2004年4月30日金曜日

スットコドッコイ!ネクスト総理大臣・菅直人の「つぎつぎ詐欺」

■もう笑うしかないので、とことん笑ってやろう…というわけでして。
▼枝野幸男政調会長 ―記者会見で(28日)
「未納・未加入の期間がありましたのはネクスト総理の菅代表」
「ネクスト総理」って響きがおもしろい。「未納三兄弟」という格好の攻撃材料を手に入れたのに、「ネクスト総理」も「次の内閣」も、どんどん遠くなる一方だ。言うまでもなく、イギリスの「影の内閣」をパクったものだが、日本の場合、「次、次…」と言って実現していない。これはもう「やるやる詐欺」(by菅直人)よろしく、「つぎつぎ詐欺」と呼ぶべきだね。いや、これはもう、自民党を延命させる信条を持った確信犯ですよ。
▼菅直人 ―広島県呉市の街頭演説で(24日)
「未納3兄弟は、もしかしたら、4兄弟、5兄弟、6兄弟かもしれない」
ほんと、このボケは秀逸だな。「お前もやろっ!」というツッコミが欲しいのか、あるいは、「まぁ、私も兄弟なんですけどね」と後に続けるつもりだったのか、定かではない。でも、未納兄弟がたくさんいて、にぎやかな大家族でいいな。食費とか大変そうだけど…って、「台所事情は年金財源と一緒だ」って言いたかったのだろう。ほんと、宣伝上手なんだから。江角マキコを「宣伝」に利用しただけじゃ物足りなかったんだね。
▼野田佳彦・国会対策委員長 ―未納3兄弟に対して(23日)
「こういうときに使う言葉なんだと思います。 顔を洗って出直してこい、すっとこどっこい!」
それでは…お言葉に甘えて使わせてもらいます。。。
すっとこどっこい!  >民主党党首
すっとこどっこ〜い!!  >民主党党首
すっとこどっこ〜い〜!!! >民主党党首
■コホン。この「未納兄弟」という茶番劇を要約するとこういうことだ…「年金制度は国会議員や専門家ですら間違うほど複雑である」。テレビのコメンテーターたちは、雁首並べてこのことを言う。あと、「未納問題に矮小化されて、年金審議がほったらかし」とかね。とにかく、してやったり顔のそいつはそううれしそうに言ったんだ。
■菅直人の今日の一言「私の国民年金について」
(前略)
いずれにしても行政の手続き上なんらかの間違いがあった結果、共済加入により強制加入の国民年金から脱退扱いになったもの。自民党の閣僚でも同じようなケースがあるようだ。結果的に国民の皆さんに不信感を与えたことについてお詫びしたい。この様な間違いは年金が共済年金、厚生年金、国民年金とバラバラな制度であることが背景にある。やはり民主党が提案しているように一元化が望ましいことが改めて示されたともいえる。
「民主党が提案しているように一元化が望ましいことが改めて示された」と言い切ってしまった。転んでもタダでは起きない、このガッツを私も見習いたい。
 っていうか、すごい居直りだ。いやはや…他の議員が言うのは許されるんだろうけど、「お前が言うなよ!」である。
■「小泉内閣の年金未納率」は41.2%で、国民平均37.2%(2002年度)を4ポイントも上回っている…などと言われるが、国務大臣・政治家ならではの事情は確かにあって、まぁ単純比較はくだらないお遊びだと思いますよ。民主党の「次の内閣」に未納兄弟がいないのは、政権与党になることがなかったためだ。


2004年4月29日木曜日

実は菅直人も「未納兄弟」だった!?/社民党と憲法

■はっきり言って、笑った。民主党「次の内閣」の国民年金保険料納付状況で、「未納3兄弟にはもっと多くの兄弟がいそうだ」などと言っていた菅直人・党首自身が未納だった。本人は「全くやましいことはない。行政上のミスだ」と述べているが、ほんとかなぁ…
■自民党では、現時点では「未納7兄弟」だ(新たに福田官房長官、谷垣財務相、竹中経済財政・金融相、茂木沖縄・北方相)。これだけ未納大臣がいれば、非難が爆発しそうだが、そのインパクトをかき消したのが菅直人だ。あろうことか菅自身も「未納兄弟」だが(隠し子かよ!)、先頭に立って非難していた菅が納付していないというのは痛すぎる。攻撃の材料を手に入れるどころか、自ら大きなケガを負ってしまった。これは責任問題に発展しそうだ。
■年金審議そっちのけで、「喜劇」を演じている。菅は自ら「低投票率」の要因は作り出した。自身のことを棚上げして、まだ「義務投票制」を主張するのだろうか。
■「未納三兄弟」「個人の情報だから、申し上げる必要はない」と「秘密主義長官」ぶりを発揮し、「身内に甘い」などと批判をされていた。結局、自己保身だったわけね。あの「逆ギレ」も必死さから来てたんだ、と妙に納得。竹中平蔵が未納ってのはなんとなくわかる気がする。それこそ「自己責任」で株を買ってますものね。谷垣禎一は…うーん、個人的には好きな政治家なんだけどね…これで年金について発言しにくくなっちゃったね。
■菅直人の今日の一言「ゴールデンウイークの予定」
今日は年金法案の委員会採決をめぐっての攻防戦。年金掛け金の引き上げ法案を提出した当事者である閣僚について、年金納付の実態を公表することが「個人情報」だから出せないという理屈は誰が考えても通らない。福田官房長官も焼きが回ったのか。
 明日からはゴールデンウイーク。明日夜、成田をたってニューヨーク、ローマ、スエーデン、ノールウエイ、スペインに出かける。ニューヨークでは国連関係者と会談し、ローマではバチカンを訪問予定。スエーデンでは年金制度について政府関係者と会談し、ノールウエイでは国連待機軍について話を聞く。スペインは新政権の関係者とイラクについての意見交換を予定。
 帰国は5月9日の予定。この間ご意見箱を読むことができないのでご遠慮いただければありがたい。

 ・・・完全に「笑いの神」が降臨中である。「福田官房長官も焼きが回ったのか」って自分はどうだ。…で、「未納兄弟」は海外へ高飛び。「この間ご意見箱を読むことができないのでご遠慮いただければありがたい」って、抗議メールの処分が面倒なだけじゃないかっ!!
■小泉ダジャレで野党挑発「野党は駄々っ子」(夕刊フジ)
構造改革特区記念展示会で
 だじゃれ連発で野党を挑発−。小泉純一郎首相は28日昼、首相官邸で開かれた構造改革特区の1周年記念展示会で、山形・鶴岡市の「バイオキャンパス特区」コーナーに置かれた「だだちゃ豆」に目を留め、年金制度改革関連法案をめぐる与野党対立を念頭に、「野党が駄々っ子で困っている。駄々っ子豆はないのかなあ」と挑発した。
 北九州市と福岡市の「ロボット開発・実証実験特区」コーナーでは、警備・監視用ロボットが初期消火の蒸気を噴霧すると、「オー、けむに巻くのにいいなあ」。金子一義構造改革特区担当相はすかさず「(国会の)委員会でね」と合いの手を入れていた。

 ・・・・・あぁ、そうですか。
■「憲法改悪は反対、改正には賛成」土井・社民前党首(朝日新聞)
 「(憲法)『改悪』には反対だが、『改正』には賛成」。社民党の土井たか子前党首が27日、TBSの番組収録でこんな見解を披露した。土井氏は護憲の象徴的存在。自民党中心に進む改憲論議にブレーキをかけたい、との思いがあるようだ。
 収録で土井氏は「『憲法に指一本触れてはいけないと思っているのでしょう』と言われるが、とんでもない」と柔軟ぶりを強調。一方、最近の論議については、「(憲法99条で尊重擁護を義務づけられた政治家が)憲法を粗末に扱って、国民から『憲法違反』と批判された法律に合わせて憲法を変えようというのだから、改悪としか言いようがない」と語った。

 おやっ、と思わせる記事だ。「頑固に平和」と言ってきたわけだから、平和国家・憲法9条は堅守というところではあろうが。
 でも、これで「護憲」という看板を下ろし、「論憲」に転ずることとなるのか。具体的にどういう憲法を想定しているのか興味深いところではある。
■朝日新聞の社説が「人質事件――『反日』とは何ですか」として、柏村武昭の「反日的分子」発言を非難している。まぁ、当たり前のことが書かれているが、要諦だけ引用しておくと…
・政府の方針と違う考えの人たちを「反日」と決めつけ、排除するようなことでは、民主主義とはいえない。そんなことが国会議員にわからないのか。
・柏村氏は人質になったことを「反国家的」「利敵行為」とも述べた。まるで戦時体制のような言い方だった。
・一議員の暴言にすぎないかもしれない。だが、その発言を生み出すような空気が今の社会にありはしないか。与野党を問わず、国会議員はよく考えてほしい。そして大いに意見を言ってほしい。
政治家の時代錯誤な妄言と片付けられない不気味さが残る。というのも、これは保守派の「自己責任」論と強く共鳴し合っているものだからだ。すなわち、「自衛隊派遣に反対していた」「退避勧告を無視」という、「反政府」的行動をするものは排除せよという論理だ。


2004年4月28日水曜日

菅直人「義務投票制」論/投票の義務化

■菅直人の今日の一言「憲法に義務投票制を」
義務投票制度を採用している国はイタリア、オーストラリア、シンガポール、ベルギーなど30ヶ国を超える。憲法に「投票の行使は市民の義務」と規定しているイタリア、罰金を課しているオーストラリア、選挙人名簿からの抹消を規定しているシンガポール、公職就任の禁止を規定しているアルゼンチンなど内容はさまざま。日本においても憲法に投票することは権利であると同時に義務であることを明示する規定はあっていい。
 まだ言うか。確かに棄権は組織票を有効にする。が、義務化はちょっと違うんじゃないかという気がする。いや、正確に言えば、政治家の口からこのような発言ばかり出てくることに違和感を持つ。しかも、民主党の党利党略じゃないか。
 投票を棄権している民意を政治家がどう受け止めるか。なぜ小泉政権は黙認されたか。野党第一党・民主党の党首に聞きたかったのはそういうことだ。菅から今回の選挙の反省が聞かれない。低投票率、公明党・創価学会に転嫁するばかりである。なぜ小泉政権が「支持」され続けるのか、攻めあぐねる民主党はそれを考えねばなるまい。

 さて、投票の義務化について。なるほど、それは深刻な「政治的無関心」から目をそらす鎮痛剤の役割を果たすだろう。だが、それで政治が変わるのか?はなはだ疑問である。


■自民党の柏村武昭参院議員がイラクで人質になった人たちを「反日的分子」「反政府分子」と表現したことについて、民主党の野田佳彦国会対策委員長は記者会見で、「どの時代のどういう思想集団にいる人なのか。驚きを禁じ得ない」と批判した。まさにそのとおり。こういう人が政治家やってるんだかんねぇ。国会議員定年制って、老人を政界から追い出す運動があるけど、こういう戦前政治家の方が問題では?

■ご本人の反応(ホームページより)
 26日午後の参議院決算委員会での私の発言が全国のマスコミに取り上げられ、激励のメール、ファックス、電話などを頂戴いたしました。勿論、反対というか批判的なご意見も頂戴しています…でも激励が大体七割から八割でしたので、あァ、僕の考えが解って下さる人がいっぱいいらっしゃるんだなァと、本当に心を強くした次第です。
この現象は「類は友を呼ぶ」って言うんですかね。さっそくバカが「よくぞ言った!」と励ましているらしい。で、「本当に心を強くした」そうだ。あぁ、めでたいなぁ…


2004年4月27日火曜日

低投票率と政治不信/民主主義の敗北/柏村武昭・反日的分子

■さて、菅直人が敗北を「低投票率」のせいにしていたわけだが…どれくらいだったのか?
■衆院補選投票率は3選挙区で過去最低、政治不信の極み(読売新聞)
 25日に投開票された衆院3補選の投票率は、現行の選挙制度で行われた1996年以降でみると、3選挙区とも過去最低を記録した。
 埼玉8区は35・22%で、昨年11月の衆院選と比べて19・74ポイント下回った。広島5区は55・52%で9・04ポイント減、鹿児島5区は54・92%で10・31ポイント減だった。
 各党は、今回の補選を7月の参院選の前哨戦と位置づけ、年金改革やイラク復興支援などをめぐって論戦を繰り広げたが、投票率に結びつかなかった。参院選に向けて、各党とも政策面でわかりやすく具体的な争点を有権者に提示することが求められそうだ。
 また、埼玉8区の補選は、公職選挙法違反で起訴された新井正則・前衆院議員(自民党を離党)の辞職に伴う選挙で、「有権者の政治不信が投票率の落ち込みにつながった」(政府関係者)との見方が出ている。

 埼玉の場合は「低投票率=政治不信」って構図だけど、他は違うだろ。補選だから低投票率になるのはやむをえないわけだし。正確には、不信と言うよりも、無関心だ。
■「我が意を得たり」と思ったのは、東京新聞(中日新聞)の「大量棄権に愕然とする」と題する社説。
 小泉政権まる三年の区切りの日に、三つの衆院補欠選挙の投開票が重なった。イラクや年金、政権の評価を問う好機だったが、あまりの投票率の低さに愕然とする。これは代議制の危機ではないか。
��中略)
 鹿児島と広島はともに自民大物議員の死去に伴うもの。自民候補が強固な地盤に立つ無風の鹿児島はともかく、広島は保守層を自民と民主で二分した。遊説の小泉首相は脅しに屈せず人質解放を果たせたことを誇り、民主党の陣営はイラク支援のあり方を考え直す時だと訴えた。
 埼玉は自民の現職が選挙違反で失脚、関係した自民市議の大量逮捕もあったのを追い風に、民主の候補は「自民が勝てば与党が年金法案を強行採決する」と危機感をあおった。
 とりわけ年金問題は与野党が攻撃し合う格好の材料となった。採決へ強硬姿勢をちらつかす与党に、審議拒否を繰り返す民主。そのどちらをも多くの有権者は相手にしなかったことを、投票率が示している。
 有権者にとっては、一概にこうだと言い切れない、判断の難しいテーマばかりだったかもしれない。大方の気分からすれば、景気もそこそこ回復の兆しなら、不満はあるが、議席をどこが取ろうが知ったことでない、といったところだったろうか。
 補選の意義がこのまま失われていけば不要論も台頭しよう。こんな低投票率のもとでは、三議席すべてを確保した自民も喜々としてはおられまい。国民の琴線に触れられない、そんな政党政治の危機を肌で感じないようでは参院選も思いやられる。

そのとおりだ。自民党や民主党…「議席をどこが取ろうが知ったことでない」のである。
■産経社説
 首相はこの民意を背景に、自信を持って自衛隊によるイラク人道復興支援活動など所信を貫いてほしい。
 民主党には痛烈な打撃となった。年金法案をめぐる審議拒否戦術や自衛隊撤退を求めた菅直人代表の「抵抗政党」路線を国民は受け入れなかった。この結果を重く受け止めるべきだ。
��中略)
 一方、民主党にとっては同党出身の知事を抱え、無党派層の強い埼玉で負けたことで、「選挙の顔」としての菅代表の鼎(かなえ)の軽重が問われよう。
 民主党はこのところ、古賀潤一郎衆院議員(除籍処分)の学歴詐称疑惑、佐藤観樹前衆院議員の秘書給与詐取事件などの不祥事が相次いだうえ、年金法案をめぐっては委員会室を封鎖するなどの審議拒否戦術を取った。
 邦人人質事件に対しても菅氏は当初、脅迫に屈するわけにはいかないとしたが、途中から小泉首相の責任追及に方針転換した。こうした路線が支持されなかったことで菅氏ら執行部の責任が問われるのは当然だろう。
 民主党の不祥事は関係ないと思うし、年金法案に関してもさほど影響はなかろう。単なる小泉政権への批判票が民主党に流れるという構図のように思える。したがって、人質事件も小泉政権は強運にも無事解決したために、民主党に票がながれなかった。それだけのことだ。「世論」は産経の都合のよい解釈どおりにはいかない。
■敗戦の弁…菅直人の今日の一言「義務投票制」
衆院補欠選は3選挙区共敗北。終盤戦ムードはよかっただけに残念。それにしても埼玉8区の投票率は35%と極めて低かった。絶対得票率(有権者全体に占める得票率)は、当選した柴山候補が16%、民主党の木下候補が14%、共産党候補が5%。つまり100人の有権者の内16人で柴山候補は当選。毎日新聞によると埼玉8区の公明党支持率が8%で、全員が柴山氏投票氏に投票したとすると、柴山候補の得票の半分は公明党票で、残りが自民党支持者と無党派ということになる。投票率が低ければ低いほど公明党の組織票のウエートが高くなることを実証。50%を切るような投票では議会制民主主義は形骸化する。オーストラリアなどでは棄権した人に軽いペナルテイーを課す義務投票制が導入されている。オーストラリアなどの義務投票制を研究してみたい。
事前に「投票率」という言い訳を用意していたが、やはり出てきた。で、泣きっ面で「こうなったら強制的に投票させちゃえ!」とわがままを言い出した。
■こちらは政権三年について…朝日社説
小泉氏は意固地である。こうと決めたら、ぶれることを極度に嫌う。
��中略)
 ぶれないことは「強さ」でもある。バブル崩壊後の停滞の中で国民が自信を失い、新しい誇りや生きがいを模索している時代。少なからぬ国民が首相に頼もしさを感じたことは間違いあるまい。
 しかし、ぶれないことは危なっかしさと紙一重でもある。イラク戦争支持を「雰囲気で決める」と語った乱暴さ。自衛隊は軍隊だと言い募る一方で、自衛隊の派遣先は何が何でも非戦闘地域だとする強引さ。まわりに目を凝らすことなく突き進むと、気付いた時にはもう取り返しがつかないことにもなりかねない。
 首相の靖国参拝へのこだわりも世論のナショナリズム志向と波長が合う。しかし、そこにはアジアの中で生きる日本としての国益判断は見いだしにくい。
 政治も経済も世界規模で激しく動く。勢いはいいが、余りに単純な「テロに屈するな」流の発想では立ち行かない。
 看板の「小泉改革」でも骨抜きが続く。消費税問題を封印し、つぎはぎだらけになった年金改革。抵抗勢力と妥協した道路改革。改革は不十分でも景気が良くなればいいという話ではない。

■日本マクドナルドの創業者で藤田商店会長の藤田田(ふじたでん)が21日に心不全のため死去していたらしい。78歳。不健康の象徴であるマクドナルド…一時はハンバーガー半額なんてことをやって「デフレ時代の勝ち組」などと言われていたが、それが消費者離れを促しちゃったんだよね。いや、それにしても、なぜ田なんて名前付けられたんだろう。しかも田田だ。
■外務省がイラクで人質になり解放された高遠菜穂子さんら3人に対して、ドバイでの診察費や滞在費など計約198万円を請求していたらしい。3人の診察費は約45万円で、残りは現地入りした家族を含めた3人のホテル代など。航空運賃は含まれていない。診察費については現地で既に支払っており、残る150万円余りについても近く支払うという。うーん、これを安いとみるか高いとみるか。一人あたり66万円か。
■自民党の柏村武昭参院議員が、参院決算委員会で、イラクで人質にされた日本人について「自衛隊のイラク派遣に公然と反対した人もいるらしい。そんな反政府、反日的分子のために血税を用いるのは、強烈な違和感、不快感を持たざるを得ない」と述べた。「反政府分子」「反日的分子」の論拠は「自衛隊のイラク派遣に公然と反対した」ということにある。自衛隊派遣に反対しただけでこのレッテルが貼られるのか。どうも「非国民」を連想してしまう。


2004年4月26日月曜日

衆院補選・自民党完全勝利/公明党・創価学会パワー三塚博・死去

■衆議院の補欠選挙があり、自民党が三つすべての選挙区で勝利した。イラク人質事件での軟着陸に成功したことや経済指標が上向いていることが与党の勝利につながったようだ。民主党も有権者へのセールスポイントを提示できていなかった。
■菅直人は自身のホームページでしきりに投票率を気にしている…「心配は投票率。昨年の総選挙と同じ程度まで行けば勝算あり。」「しかし投票率が低いと公明党の組織票の影響が大きくなる。」これは本心であると同時に、公明党への嫌悪感をついたネガティブキャンペーンでもある。まぁ、民主党の年金改革などを訴えるよりかはよほど宣伝になるのかな。
■実際にどれくらい組織票が効いているのか。今回の選挙でも公明党の支持母体の創価学会がフル稼働したようだ。
■宗教つながりと言えば強引なのだが、三塚博が死去。幸福の科学もさぞかし悲しんでいることだろう。さすがに福田派の先輩の死だ…選挙で勝利したが、小泉首相はバンザーイをできないようだ。
★三塚博データ
��6歳死去。蔵相のほか外相、通産相と主要閣僚を歴任し、中曽根内閣では運輸相として国鉄の分割・民営化に取り組んだ。自民党でも幹事長や政調会長を務め、91年には安倍派を引き継いで「三塚派」の領袖となり、海部首相の後継を争う同年10月の総裁選にも挑んだ。その後、森喜朗に派閥会長の座を譲り、昨年政界を引退。


2004年4月25日日曜日

中川昭一・麻生太郎・石破茂、国民年金未納3兄弟

■国民年金未加入・滞納問題、3閣僚が衆院委で陳謝(朝日新聞)
 国民年金の未納・未加入期間があったことが明らかになった中川経産相、麻生総務相、石破防衛庁長官の3閣僚は23日夜、衆院厚生労働委員会に出席し、改めて経緯を説明したうえで陳謝した。野党側は「国民の年金不信を高めた」などと引責辞任を求めたが、3氏はそろって拒否。保険料を納めないという意図はなく、単純なミスだったと釈明した。
 21年間と未加入期間が最も長かった中川氏は、「国会議員に初当選以来、1回も保険料を払っていなかった。私の無知に尽きる。おわび申し上げる」と陳謝。麻生氏は「経企庁長官就任時に、国民年金への切り替えを怠った」と説明した。
 記者会見で02年10月から滞納していたとした石破氏は、これとは別に民間企業への勤務をやめて国民年金に移行した際の83年3月と、農水政務次官だった92年12月から93年5月までの2回、未納期間があったことを明らかにし、「政府に入ると、国家公務員共済に入ると勘違いしていた」と説明した。
 これに対し、民主党の枝野幸男政調会長は「今回の政治責任は、単なる勘違いやミスというレベルでは通じない」と批判した。
 小泉首相は23日夜、記者団に対し「閣僚も気づかない、払わないことがあるんだから、どういう改善策があるか、考えていかなきゃいけない。国民だって分からない、払ってないという方も多いと思いますよ」と述べ、複雑な制度に問題があるとの認識を示した。
 三人のコメントに笑った。特に石破が「払ってなくても誰も教えてくれないのね」とニヤニヤと笑っていたのは秀逸だ。なにせ、マザコン軍事オタクは悪びれる様子もなく開き直っていたのだった。制度の欠陥に転嫁する発言が見られた。これこそ「自己責任」は?と問いたくなる。首相も「うっかりしていたんでしょう」ですませている。「お前は うっかり八兵衛か?」と「たとえツッコミ」がしたくなるってもんだ。
 福田康夫官房長官は「私も首相も保険料を納付していた」と言ったが、「途中、抜けていたとの報道もあるが」との質問に対して「個人の情報なのでこれ以上の答えは差し控える」と遮った。払ったなら払ったと言えるはずだ。疑いの目を向けてしまうのは私だけか。
 彼らは江角マキコに対するバッシングをどう見ていたのか。攻撃材料を失っていた民主党の面々がうれしそうな顔をしている。だが、国会議員には与野党問わず、たくさんいるのではないか。
■菅直人の今日の一言「未納3兄弟」
国民年金などの掛け金引き上げを内容とする政府の年金法案は、全閣僚がサインして閣議決定され、国会に提出たもの。サインをした閣僚の内3人が国民年金の未納者であったことが明らかになった。中川昭一大臣などは21年も未納。掛け金引き上げを強制する法案を自らサインをして出しながら、自分は国民年金を未納していて、謝れば済むのか。「未納3人兄弟」は閣僚としての資格に欠ける。3兄弟以外にも福田官房長官のようにプライバシーを立てに自らの年金掛け金を納付しているかどうか答えない閣僚もいる。掛け金引き上げ法案の提出者である閣僚が自らの掛け金納付について答えることが何故プライバシーに反するのか。やましいことを隠そうとしていると思われても仕方がない。未納3兄弟にはもっと多くの兄弟がいそうだ。
 今度は「未納三兄弟」ですか。「やるやる詐欺」とかキャッチフレーズばかり作ってんだな。自分とこの「次の内閣」は何人兄弟だ?攻撃する前に、民主党議員は全員納めていると断言したら説得力も増すのだが。
 当然、与党からは「それなら野党議員の支払い実態は」と目クソ鼻クソ論が登場する。年金改革論議はどこへ行くのか。
■26日で小泉政権発足3年になるとか。読売新聞世論調査によれば、
小泉内閣の実績を「評価する」人は63%にのぼったようだ。
■小泉政権3年で山崎拓氏「常識破りが人気の源泉」 (読売新聞)
 小泉首相とともに、「YKK」と言われる自民党の加藤紘一・元幹事長と山崎拓・前副総裁が23日放送のテレビ東京の番組で、小泉政権3年を振り返った。
 山崎氏は「あっという間の3年間、波乱万丈だった。常識破りなところが小泉政治の人気の源泉だ」と解説。最近、首相と距離を置いている加藤氏も「いつまでやれるかと思ったが、3年続いている。抜群のバランス感覚と運動神経。小泉純一郎は政治が非常にうまい。不思議な内閣だ」と持ち上げた。
 さらに、山崎氏は「小泉政権はあと2年半。外交・安保で仕上げねばならないのは日朝平壌宣言だ」と北朝鮮問題の重要性を強調。加藤氏は「ブッシュ米大統領への友情と政策は別だ。首相はイラク問題でブッシュと組んではだめだ」と苦言を呈した。
 「ワールドビジネスサテライト」であろうか。「常識破り」という点では山拓さんの性欲もそうなのだが、こっちは裏目に出るばはりだ。
 発足当初は「常識破り」のパフォーマンスが見られたが、最近はそれがない。すっかり「森派」的な政治に落ち着いている。「自民党をぶっ壊す!」と絶叫したり、「抵抗精力」とのファイティングポーズをとる一方で、旧態依然の派閥政治を続ける。高支持率は、この詐術に騙されている国民のおかげだ。


2004年4月24日土曜日

「おれおれ詐欺」の定義

■警察官名乗りおれおれ詐欺(東京新聞)
 神奈川県秦野市のパート女性(49)が二十二日、警察官を名乗る男からの電話で、千百九十二万円をだまし取られた。秦野署は、身内の交通事故を装った新手の「おれおれ詐欺」として捜査を始めた。
 調べでは、同日午前十時ごろ、女性宅に男の声で「警察ですが、ご主人が交通事故を起こし、相手が妊婦で流産した。手術代と事後補償費四百九十六万円を指定した口座に振り込んでください。そうすれば罪になりません」と電話があった。電話口で妊婦の夫を名乗る男が「どうしてくれるんだ」と話したり、別の男が泣き叫んだりしていた。女性は、泣き叫ぶ男を夫と思いこんだという。女性は定期預金や郵便貯金を解約し、同十一時十分ごろ、指定された銀行口座に振り込んだ。警察を名乗る男の携帯電話に連絡すると、さらに四百九十六万円を要求され、振り込んだ。
 帰宅後、再びこの男から電話があり「まだ足りない」と、午後二時二十分ごろ、二百万円を振り込んだ後、夫(49)の勤務先に電話して、だまされたと気づいたという。
前にも述べたが、「おれおれ詐欺」とは「オレオレ」と言って身内を装う詐欺行為、ではないのか。電話で詐欺行為におよぶことは「オレオレ詐欺」なのか?


■産経抄(産経新聞)が自己責任論への反論の反論をしている。
 テレビのコメンテーターや新聞の人質擁護論で、意図的なのかどうか、ほおかむりしている論点がある。こんどの人質事件は特殊で異様な状況の下で起きていることだ。その一つがイラクは“超危険地帯”として再三に及ぶ最高度の退避勧告が出されていた。
 確かに国家には国民保護の責務がある。しかし退避勧告を無視して行動する人は、国としても面倒見切れません、自分が責任をとって下さいよ、というのも仕方がない。いやむしろ当然ではないか。その点に知らん顔して論じている。
 二つは、人質の多くは反戦活動家といわれている人で、日ごろは国家や政府を否定し批判している。その人たちが、いざ困った時は国家が自分を助けろというのは少々虫が良過ぎはしまいか。だが家族は「個」の責任をそっちのけにして「公」の政策変更を声高に要求した。
 それに対し違和感や嫌悪感をおぼえたのが世論なのである。“被害者たたき”でも何でもない。国民のごく普通の感覚であり、気持ちなのだった。しかもテレビのキャスターやコメンテーターは、家族の無分別をたしなめるどころか一緒になって政府を責めたり、批判したりした。
 家族は後になって「感謝とおわび」に転じたが、初めからそうしていれば世論も横を向いたりしなかったろう。繰り返すが、国民の一人一人が自分の行動に責任を持つべきことは普通のこと。何に限らず、「自己責任」の自覚を促すのは当然なことである。
 「人質の多くは反戦活動家といわれている人で、日ごろは国家や政府を否定し批判している。その人たちが、いざ困った時は国家が自分を助けろというのは少々虫が良過ぎはしまいか。」という。「政府に反逆するものは見捨てよ」という主張である。また、その後でてくる人質家族の場合はどうか。家族は国家を否定したか?それとも、「お国の方針には従いなさい」と戦前ばりに教育せよ、というのか?

 逆のことも言える。国家や「公」を好む保守派が「個」へと責任を転嫁している構図があり、逆転現象が起きている。「家族は後になって『感謝とおわび』に転じたが、初めからそうしていれば世論も横を向いたりしなかったろう」…よく言ったものである。「自衛隊撤退」という議論を封じ込めるためにでてきた政治的産物にほかならない。「世論」の使用法も極めて産経的だなぁ。


■テレ東社長「報ステ」チクリ(スポーツニッポン)
 テレビ東京の菅谷定彦社長が22日の定例会見で、古舘伊知郎(49)がキャスターを務めるテレビ朝日「報道ステーション」(月〜金曜後9.54)について「苦しんでいるようだ」と感想を述べた。民放キー局の社長が事件絡みなどを除き、他局の番組についてコメントするのは異例。言われた側のテレ朝の反応は…。
 菅谷社長の発言は、記者側が新年度の番組編成に関して「気になる他局の番組はあるか?」「報道ステーションはどうか?」などと質問したのに対して答えたもの。さすがに「なるべく自社の番組を見ているから、(報ステは)ザッピング程度」と慎重に断った上で「古舘さんは、だいぶ苦しんでいるようだ。スタートとしてはちょっと物足りない。テレ東にとっては、ある意味チャンスととらえて頑張っていきたい」と幾分、辛口の論評。その一方で「才能はあるんだから、数カ月すれば軌道に乗るんじゃないか。人間、万能じゃない。時間の問題」とも付け加え“敵に塩”ならぬエールを送ることも忘れなかった。
 報ステは、今月5日の初日の平均視聴率が14.6%(ビデオリサーチ調べ)と好発進。以降、おおむね10%台前半で推移しているが、これまでに1ケタを2回記録するなど、視聴率面からみても“前任者”久米宏キャスター(59)時代に比べ苦戦している。テレビ朝日広報部では、菅谷社長の発言について「特にコメントすることはありません」としている。

「アニメ・経済」依存症の局の社長のセリフですか…他局の番組に口出しする前に自分の局をなんとかしろよ。久米宏の後任ということで、比較される運命だが、古館なりにこなしていると見るべきだ。ときどき頓珍漢なコメントも出てくるが、それも許容範囲だろう。視聴率は10%代前半キープ、それ以上は望めないだろう。あと、コメンテーターを充実させるべきではないか。加藤千洋だけでは物足りない。


2004年4月23日金曜日

自衛隊活動・サマワの評判

■自衛隊の活動「不満」51%…サマワの地元紙世論調査(読売新聞)
 陸上自衛隊が復興支援活動を行うイラク南部のムサンナ県民の約半数が、自衛隊の活動に満足していないことが21日、地元紙「アルサマワ」の世論調査でわかった。

 自衛隊の活動への過剰な期待はかねて心配されていたが、評価が数字に表れたのは初めてで、同紙のナフィ・エルファトリス編集長(34)は「期待が大き過ぎる一方で、自衛隊の支援があまりに遅く小さ過ぎた結果」と分析している。

 世論調査は、陸自の本格支援が始まった後の3月27日から4月7日にかけて、サマワ市などムサンナ県内11市村から無作為抽出した2000人に面接して行われた。

 それによると、「自衛隊の派遣は有益か」という質問に対し、「思わない」と答えた人が51%に上り、「思う」の43%、「どちらとも言えない」の6%を上回った。また、「自衛隊の駐留に賛成か、反対か」という質問では、「賛成」が49%、「反対」が47%、「特に考えはない」が4%で、賛成と反対がほぼ同数だった。

 一方、「自衛隊に何をしてもらいたいか」との質問では、「失業問題の改善」を挙げた人が45%と最も多く、次いで「復興」33%、「投資」17%の順だった。

 陸自がサマワ入りする前の今年1月前半に行われた世論調査(1000人対象)では、「自衛隊の派遣を歓迎する」が86%を占めていた。
日米関係を考慮せずに「復興支援」という観点から見れば、武装した自衛隊が行くよりも、現地で雇用して公共投資を行った方がよかった。村上龍『あの金で何が買えたか』(小学館)的に考えれば、自衛隊をわざわざ派遣した金で、どれだけの雇用が期待できただろうか。米国の占領統治に協力しているというイメージをもたれないし、反日感情を高めることもない。また、人質誘拐事件も起きなかったのではないか。20億ものお金が救出費用にかかったとされる。イラクのために、いったいどれだけのことができただろうか。

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■「米国は単細胞」 中曽根元首相がイラク問題で批判(朝日新聞)
 中曽根元首相は21日、東京都内で講演し、イラク問題について「米国人は(ペルシャ)湾岸で政治をしたことがない。しかも単細胞だから自分の民主主義が一番いいと思って押しつける癖がある。アラブの民衆の所へ行ったら失敗するに決まっている」と述べ、米国の占領政策を痛烈に批判した。

 その上で「米国は軍事戦争に片が付いたら仏独ロを迎え入れ、相当譲って平等に一緒にやっているという姿をアラブ人に見せるべきだ」と指摘した。

 中曽根氏は、イラク戦争開戦時に、小泉首相にこうした考えを伝えたことを明かした。さらに「パレスチナの独立国家をつくって、アラブ人が納得すればイラクもうまく行く」と助言したという。パレスチナ問題では、「イスラエルに圧力をかけると、11月の大統領選の時にユダヤ人の票が入ってこないので手を抜いている」と、米国の対応を批判した。
すっかり「老人特有の症状」が見られる大勲位に、「単細胞」と言わしめるのがアメリカの現状だ。まだまだ棺桶は無用とばかりに、「ご意見番」的に政治活動を続けている。

■ベッカム、次は男と浮気!?(日刊スポーツ)
異性トラブルが絶えないが、21日にはゲイ疑惑が再び浮上した。19日夜にロンドン市内で行われたビクトリア夫人の所属会社主催のパーティーに丸刈りで出席。その時履いたジーパンの左後ろポケットに白と黒のバンダナを見えるように入れていたが、これが問題となった。ゲイ社会では「僕は今日、ボクサーショーツ(体に密着し、ラインがくっきり出るトランクスのようなもの)の下着をつけているよ」のメッセージだという。真意は明かされていないが、英国の複数の新聞が報じた。
記事のバカバカしさに笑った。仮にベッカムがゲイだとしたら、わざわざこのようなネタを提供する必要があるのか。女性スキャンダルの食つきが悪くなったから、新しい餌に代えましたってとこか。


2004年4月22日木曜日

イラク邦人人質事件/自己責任と国家の責任

■自己責任――私たちはこう考える(今日の朝日新聞社説)
 誘拐された5人の状況認識に甘さがあったことは否めない。とくに、激しい戦闘が続いていたバグダッド周辺の安全確認は不十分だった。危険地での活動を考えるうえで、今度の事件が残した教訓は大きい。
 だが、与党内を中心に声高に語られている過剰な「自己責任」論には、首を縦に振るわけにはいかない。
 政府の退避勧告を無視してイラク入りしたこと自体がおかしい、という議論がある。「自業自得」だ、救出費用は彼らに払わせろ、という声さえある。
 各国政府が自国民に出す退避勧告は確かに重い。だが、それに従っていては報道の使命や人道支援がまっとうできないことも、紛争地ではいくらでもある。
 人質の家族が、犯人が解放の条件とした「自衛隊の撤退」を政府に求めた。それを批判する人々も「自己責任」論をあおった。「助けを求めながら国に逆らうとはどういうことか」という主張だ。そんな感情論は不幸と言うしかない。
 この人質事件には、日本の国際的な評価を高めるのに役立った面もある。「外国へ人助けに行こうという世代が日本に育った」。仏紙ルモンドはそう報じた。「あんな連中を助けることはない」といった声が同じ日本人から聞かれる状況には寒々しい思いがする。
 言わずもがなのことではあるが、外国にいる自国民の保護は、どこの民主主義国でも政府の責務である。とくに、正体不明の武装組織に人質にとられれば、救出のために政府が果たさなければならない役割はいっそう大きくなる。
 政府にとって都合の良い人物であろうがなかろうが、それは同じことだ。
 「自己責任」という言葉が飛び交っている。
 この言葉は、家族が自衛隊撤退という「政治的発言」に対し、それを封じ込めるために登場した。読売・産経にもそれが見て取れる。
 自衛隊撤退を求める声を殺すという政治的目的のために…数十億もの血税を投入したという憤りのために…リスクを冒してNGO活動や報道などをする人への軽蔑のために(それをしていない自己を正当化するために)…そういった思惑が「自己責任」という大きな波を作り出し、被害者たちに押し寄せている。
 そうした政治的思惑は功を奏した。被害者家族に対して誹謗中傷がぶつけられ、帰国した人質や家族は、そうした声におびえた。ただただ謝罪と感謝を繰り返すばかりで、自衛隊に関する発言も消えうせた。
 日本は判官贔屓(はんがんびいき)の国で、社会的弱者に同情する性質があるらしい。
 今回も、最初は涙ながらに訴える家族に「かわいそうだ」と同情した。ところがその後、「自己責任」論に一気に振れた。これは弱者が主張をし始めたからで、弱者は弱者でも「強い弱者」を日本人は好まないからだ。
■国家の責任 小泉流『自己責任論』がかき消した
 各種世論調査によると、イラク邦人人質事件について、約7割が小泉政権の対応を支持している。政府の危機管理が問われる事件でありながら、矛先を被害者の「自業自得」に向けることで、巧みに世論を操ったともいえる。だが、個人の「自己責任論」が世間を覆う中で、見過ごされ、かき消されそうな「国家の責任」もある。
邦人人質事件そのものについては、多くの与党幹部が「危険地帯に入った無謀な人たち」を政府あげて救出する「迷惑」の大きさを強調してきた。しかし、そもそも政府は人質解放のために水面下で有効な救出策を打てたのか。疑問の声は多い。解放されたのは、人質になった人たちが占領や自衛隊派遣に反対だったというのが第一の理由。
 イラクの聖職者協会の人が言った「日本政府から働きかけはなかった」が本当だと思う。政府はバタバタと救出策をとり、逢沢一郎外務副大臣がアンマンに行ったりしたが、本当の交渉をやった形跡はない。
 小泉首相が来日していたチェイニー米副大統領にファルージャ停戦を申し入れたかの報道もあるが、本当であれば、米国のメディアはそう報道するだろう。停戦の継続は(米国の政策上)独自に決まった話で、小泉首相が関与したように言われるのも世論操作だ。
 
 むしろ小泉首相は人質事件の発生当初、武装グループを「テロリスト」呼ばわりしたことで、イラク国内の反日感情を刺激し、解放を遅らせたとも伝えられる。
 
 結局、人質解放の決定打は、人質がイラクの敵ではなかったからだし聖職者協会の人たちの理性のようだ。実際、解放されたフリージャーナリストの安田純平はNHKのインタビューで、政府の対応に謝意を表しながらも、「(イラクと)日本の歴史に救われた」と率直に語った。
政府は機密を盾に解放までの経緯を明かさない。だが、漏れ伝わってくるのは有効策よりも無策ぶりだ。
 政府が困っているのは打ち寄せてきた請求書の処理。例えば、ヨルダンは(解放に向けた情報提供や協力の見返りとして)約二千億円に上る債務の帳消しを求めてきた。日ごろから情報がなく、役に立たないルートまでボタンを押しまくったツケ
こうした政府の対応には多くの疑問符がつく。本来なら「責任論」も噴出しかねないが、世論は小泉内閣を後押しする結果となっている。
17、18日に読売新聞が行った世論調査では人質事件についての政府の対応を「評価する」が74%に上った。自衛隊のイラク派遣を「評価する」人も60%で、一月の同様調査の53%を上回ったという。内閣支持率も「支持する」が59・2%で三月調査より増えた。
本当は、イラクには非戦闘地域などない時期で、小泉首相は窮地にあった。ところが、人質事件で出た自己責任論が、逆に小泉首相や政府を利する結果となり、自衛隊派遣をも合理化する結果となった
 政治の駆け引きの中で人質事件が論じられ、自己責任論が出たため、自衛隊の派遣が正しかったのか、国際社会の中でどういう意味を持つのかという議論が隠れてしまった。特に、人質家族が、政治の土台に乗るような形で、『自衛隊撤退』を言うと、そこに世間の非難が集まった。本来、人質問題とは距離を置いた自衛隊派遣反対の意見にまで『人質家族と一緒になって騒いでいる』というような逆風をもたらす構図ができてしまった
自衛隊の撤退という問題が、国際的な政治問題の中でなく、国内政治の問題として出てきた。小泉首相にすれば、家族の置かれた状況を利用し、逆に『自己責任』を出すことで自らの責任をすり替えることに成功した


イラク人質事件、その周辺―産経新聞/千葉眞

■3邦人人質ビデオ未放映映像を解析 内藤正典・一橋大大学院教授―日本語話す人物存在 「言って、言って」発言促す(産経新聞)
 イラク邦人人質事件で犯行グループがカタールの衛星テレビ局アルジャジーラに送り付けたビデオの未放映映像の中で、人質の一人がナイフを突き付けられ、「ノー・コイズミ」と叫ぶ前に、何者かが「言って、言って」と、日本語で発言を促すような音が録音されていたことが一橋大学大学院の内藤正典教授の研究室の解析で二十日、明らかになった。イラクからの自衛隊撤退を要求するビデオの“演出”に、少なくとも日本語を話せる人物が加わっていた可能性が出てきた。
 アルジャジーラは八日、人質の邦人三人のビデオ映像を放送したが、その際、犯行グループが人質に銃やナイフを突き付けて脅迫する場面は放送しなかった。
 未放映の脅迫場面を含むビデオ映像は、(1)三人が目隠しをしている場面(2)目隠しを外した場面(3)パスポートの映像の三場面から成っている。内藤研究室でこれらを分析したところ、(2)の目隠しを外した場面で、何者かが「言って、言って」と日本語で人質に発言を促すような音が録音されていたことが判明した。
 目隠しをとった場面では、(1)高遠菜穂子さん(三四)と郡山総一郎さん(三二)が口元に手をやり「何か話すのか?」と手ぶりを交えて尋ねるようなしぐさをする無音の映像(2)高遠さんの叫び声と郡山さんが「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫ぶ有音の映像(3)今井紀明さん(一八)が首にナイフを突き付けられ「ノー・コイズミ」と叫ぶ有音の映像が、切れ目なく録画されている。
 分析によると、「言って、言って」という指示らしき音は、今井さんがナイフを突き付けられても何も言わなかった後、突然、始まっていた。周囲の犯人の声とは違ううえ、カメラ側から聞こえており、内藤教授は「『イッテ』という音はアラビア語だと意味をなさない。カメラを持った人間か、カメラの側にいた人物が発言している可能性が高い」と分析している。
 さらに、ビデオの分析では、(1)敬虔(けいけん)なイスラム教徒が行うとは考えられない、女性を脅す場面がある(2)人質を押し倒す際に、犯人が手を添えて支える場面がある(3)脅迫場面の前に、合図があったかのように人質の一人
がカメラを見つめている−などの不審点があった。
 また、政府筋によると、犯行グループは旧イラク軍が使用しない高価なイタリア製の自動小銃を所持しており、アディダス製の靴をはき、映像はソニー製の比較的新しいビデオカメラで撮影、編集作業はアップルコンピュータ製のノートパソコンで行われた可能性があるなどの疑問点があった。
 一方、犯行グループの二つの声明文の分析でも、声明文が西暦を使い、非イスラム的な内容であることから、日本の事情を良く知った人物の関与が浮上しており、今回の日本語による指示と符合する。
 別の政府筋によると、人質となった三人は、脅迫映像に“演出”があったことを事情聴取において大筋で認めているが、アンマンからバグダッドに陸路で向かったという三人の出国記録が残っていないとされるなどの疑問点が残っている。

「自作自演説」はさすがに出せないわけね。
■共産・社民 イラク人質犯「自衛隊撤退」要求に相乗り!?―党勢回復が狙い “失速の恐れ”も
 共産、社民両党がイラク邦人人質事件を機に“反転攻勢”を狙っている。犯行グループが当初、人質解放の条件として両党の主張する「自衛隊撤退」を要求していたことに乗じた形。七月の参院選に向けて自衛隊撤退運動を展開する構えだ。だが、野党第一党の民主党を含めて大勢は「テロに屈しない」という政府方針を支持しており、こうした現実を直視しようとしない両党が人質解放で勢いを失い、土俵際に追い込まれる可能性もある。
 人質事件への共産、社民両党の対応は素早かった。市民団体代表の今井紀明さんら三人の事件が表面化した八日夜、民主党が状況把握に動いていた段階で、共産党の志位和夫委員長は「自衛隊派兵によってこうした事態が引き起こる危険はかねてから危惧(きぐ)されていた。改めて自衛隊撤退を求める」との声明をいち早く発表した。社民党も追随するかのように福島瑞穂党首が「イラクに自衛隊を派遣したことへの反感が事件の背景にある」と自衛隊即時撤退論をぶち上げ、人質事件をめぐる両党の“共闘”の舞台が整った。
 翌九日から共産党は不破哲三議長を含む幹部が全国各地で街頭演説に立ち、自衛隊撤退への賛同を求める署名活動を全国規模で展開した。社民党も福島氏ら国会議員が市民団体主催の緊急集会などに参加して同様の主張を繰り返したほか、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラに「社民党は自衛隊のイラク派兵に同意していない」として犯行グループに人質解放を呼びかけるメッセージを送る“パフォーマンス”も演じた。
 自衛隊派遣に「反対ありき」の立場を貫いてきた両党にとって、人質事件は自らの主張の“正当性”を国民にアピールする材料となり、昨年の衆院選惨敗で希薄になった党の存在感を示す好機にもなった。
 衆院選で野党では“独り勝ち”した格好の民主党が、イラク情勢の悪化に伴う自衛隊撤退を求めながらも、「テロに屈する形で自衛隊は撤退させない」と政府方針を支持したことも、両党の動きを“後押し”した。背景には「対応がわかりにくい民主党との違いを鮮明にすれば、衆院選で民主党に流れた『反自民票』を参院選で取り戻せる」(共産党関係者)との計算が働いている。
 二件五人の人質事件はひとまず決着したが、今後も日本人を標的にしたテロが起きる可能性も指摘されていることから、両党は自衛隊の即時撤退を求める国民運動を継続し、参院選の選挙運動と連動させていく構えだ。スペインの新政権がイラク駐留部隊の撤退を表明するなど国際社会でイラクへの対応を見直す動きも出始めているため、両党としてはこうした例を指摘して自衛隊撤退論を盛り上げたい考えだ。
 しかし、人質解放を受けて、自衛隊撤退論は急速に沈静化している。与党側は「再び事件が起こらなければ、共社両党が自衛隊撤退要求を党勢拡大に結び付けるのは難しい情勢」(自民党筋)と分析。民主党にも「イラク問題で共社両党の立場を支持するのは従来の特定支持層だけ。『自衛隊撤退要求パフォーマンス』は、その特定支持層をつなぎとめておくための苦肉の策ではないか」(幹部)との冷ややかな見方が広がっている。
「テロリストに相乗り」というレッテルはいかにも産経式。人質無事開放で一番困ったのは両党であることは間違いないが。
■千葉眞「国民の生命の保護は政府の重大な責務」(赤旗)
 自己責任を一方的に強調する最近の議論は、今回の人質事件を通じて国民による政府批判や平和的世論が高まることを恐れる勢力によって仕組まれた議論という一面があります。
 人質となった人々の「自己責任」の問題については、リベラル・デモクラシーの社会における個人の自由な活動に対する各人の責任として、これは認めなければなりません。実際、イラクで人質となった人々は、危険、ある意味では「死」をも覚悟でイラクへ行ったという面があるでしょう。
 しかし、同時に考えるべきは、個人の「生命に対する権利」です。「一人の生命は地球より重い」、そういう考え方で日本国憲法も、一三条で「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を保障しています。また、憲法前文は日本国民および全世界の人々の「平和的生存権」を保障しています。こうした規定に基づき政府は、国民の生命が危険にさらされた場合、その生命を保護する重大な責務を負います。
政府の義務はなくならない
 したがってこの問題は、「自己責任」と「生命権」との緊張関係の中で考える必要があります。
 今回の人質事件のような具体的状況では政府は人質の救出に全力を尽くすべきです。「自己責任」は否定できませんが、それが政府による国民の「生命尊重」の義務をなくすものではないはずです。「生命尊重」に触れずに、一方的に「自己責任」だけを取り出すのはおかしな議論です。
 今回の人質事件の背景には何があるのか。日本政府による自衛隊のイラク派兵があります。これは違憲の疑いの極めて強いもので、与党内や保守的な人々からも違憲だという声が出ています。
 他方、イラクでのいくつかのNGO(非政府組織)の人道支援活動は自衛隊が行く前から続けられてきたものです。それが、日本政府による自衛隊派兵で、イラクの人々が占領軍に加担するものとして日本人を敵視するようになり、日本人が選択的に狙われるという状況が生まれたわけです。
 こうした状況も考慮に入れるならば、人質に取られた人々の生命と安全を保障する責務は、より重く政府にのしかかっていたといえます。
 しかし、政府は「自衛隊の撤退はしない」ということだけは言いつづけましたが、人命救出のための活動では、果たしてどれだけのことをやったといえるのでしょうか。
政府の責任を転嫁する議論
 今回の人質事件の解決には、日本国内外での人道支援のNGOや平和運動団体や一般の人たちの支援活動が大きな役割を果たしました。十万単位のおびただしい数のメールが日本からイラクへ送られたともいわれています。こうした呼びかけに応える動きがイラク国内でおこりました。
 いま政府筋が人質の「自己責任」を一方的に強調するのは、政府自身による自衛隊派兵によってイラク国民と日本国民との関係を悪化させた責任と、人質事件への政府の対応への国民の疑問を、すりかえ、カムフラージュし、責任転嫁するための議論と言われても致し方ない一面があります。
 人質となった人々はまるで戦前の「非国民」のような扱いを政府筋や巨大メディアによって受けています。「自己責任」を果たすべき部分、不注意な部分について、彼らにも非があるでしょう。しかし、それだからといって、彼らの活動の意義を全否定するような議論はまったくおかしいと思います。彼らのような人たちが、世界平和を積極的に創造し寄与していく将来の日本をつくっていくわけですから。
 今回の事件が示した最大の教訓は、このまま自衛隊がイラクにとどまれば、日本人殺害や自衛隊員への攻撃を誘発しかねないという危険性です。日本国民とイラク国民の「平和的生存権」を尊重するという意味で、政府は一刻も早く戦闘状態のイラクから自衛隊を撤退させるべきです。



2004年4月21日水曜日

荻原健司・K点越え/ムネオハウス参院選出馬/ニシタマオ・タマちゃんを見守る会/ルモンド

■荻原健司(ノルディックスキー複合団体の五輪金メダリスト)が、東京都内のホテルで記者会見し、夏の参院選比例区に自民党から立候補することを正式に表明した。荻原は「スポーツを通じて学んできたことを国政の場に生かそうと立候補を決意した。『K点越え』を目指す気持ちで取り組んでいく」と抱負を語った。やれやれ…タレント候補擁立でK点越えを狙う自民党の姿勢がどうも嫌だ。

■また、鈴木宗男前衆院議員が7月の参院選に立候補する意向を固めたようだ。受託収賄罪などに問われ、東京地裁で公判中である…勝算はあるのか?
■タマちゃん、埼玉に来て1年…推定200キロに成長(読売新聞)

 アゴヒゲアザラシのタマちゃんが横浜市の帷子川から埼玉県へ“引っ越し”し、20日で1年。すっかり朝霞市の荒川にすみつき、ユーモアたっぷりの姿が相変わらず人気を集めている。
 県みどり自然課によると、タマちゃんは現在、推定で体長2メートル、体重200キロ。1年前に比べ体長は50センチ伸び、体重も50キロ増えた。今年夏には推定3歳になるという。桟橋に係留されているボートに乗るのがお気に入りだったが、最近は体重が増えたためか、ボートと桟橋とのすき間で浮く姿を見かけるようになった。今月11日には、岸の砂地で水鳥と戯れる姿も見られた。ここ約1週間ほど姿を見せないが、ライブカメラなどを通じ動向を観察している「タマちゃんを見守る会」の藤田智明さんは、「落ち着いて日光浴できる場所を探しに行った可能性がある」と話している。
恥ずかしながら、私はすっかり「ニシタマオ」のことを忘れていたのだった。あれだけ「ニシタマオ」やその周辺部を注視していたのに…。今日で埼玉県に引っ越してから一年がたったらしい。そういえば、「ニシタマオ」のために住民票を作ったバカがいたが、あの時の住所は「横浜市西区西平沼町帷子川護岸」になっていた。交付した役所は「ニシタマオ」の件はなかったことにしてないか?都合のよい時だけ利用するなどの汚い連中だ。それに引き換え、「タマちゃんを見守る会」は未だに見守りつづけている。この執念深さを見習いたい。
■仏紙ルモンド、人質事件で自己責任問う声に皮肉(朝日新聞)
 19日付の仏紙ルモンドは、イラクでの邦人人質事件で「自己責任」を問う声が日本国内で広がっていることを紹介した。「人道的価値観に駆り立てられた若者たちが、死刑制度や厳しい難民認定など(国際社会で)決して良くない日本のイメージを高めたことを誇るべきなのに、政治家や保守系メディアは逆にこきおろしている」と皮肉った。
 同紙は17日、人質事件について「外国まで人助けに行こうとする世代が日本に育っていることを示した」と好意的に論評していた。
 19日付の記事では、解放された人質が「今後も活動を続けたい」と発言したのをきっかけに、謝罪や費用弁済を求める「無理解と激高の怒声」が広がっている、と紹介。「社会秩序を乱した者は後悔の念を示さなければならないのが日本の習慣」と説明した。

原文が読めないので、もう一つ…
■自己責任論を批判 「若者誇るべき」と仏紙(共同通信)

 20日付フランス紙ルモンドは、イラク日本人人質事件で、日本政府などの間で「自己責任論」が台頭していることを紹介、「日本人は人道主義に駆り立てられた若者を誇るべきなのに、政府や保守系メディアは解放された人質の無責任さをこき下ろすことにきゅうきゅうとしている」と批判した。
 東京発の「日本では人質が解放費用の支払い義務」と題した記事は、解放された人質が「イラクで仕事を続けたい」と発言したことをきっかけに、「日本政府と保守系メディアの間に無理解と怒号が沸き起こった」と指摘。「この慎みのなさは制裁まで伴っている」とし、「人質の家族に謝罪を要求」した上に、健康診断や帰国費用の負担を求めたと批判した。
 記事は、「(人質の)若者の純真さと無謀さが(結果として)、死刑制度や難民認定などで国際的に決してよくない日本のイメージを高めた」と評価。パウエル米国務長官が人質に対して、「危険を冒す人がいなければ社会は進歩しない」と慰めの言葉を贈ったことを紹介した。



2004年4月20日火曜日

イラク人質/韓国総選挙・山本一太・評/史上最強打線

■帰国した三人はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を理由に予定されていた記者会見をしなかった。このことが一部で顰蹙(ひんしゅく)を買っている。涙流して「ごめんなさい」と言っておけば、そういう連中の気も少しは晴れたのかもしれないが。
■イラク戦争の結果を警告 国務長官が大統領にと新著(共同通信)
 イラク戦争開始前の昨年1月13日に、パウエル米国務長官がブッシュ米大統領からイラク攻撃を決断したことを伝えられ、戦争がマイナスの結果をもたらす可能性があると警告していたことが明らかになった。
 17日付の米紙ニューヨーク・タイムズが近く発売されるボブ・ウッドワード記者の著書「攻撃計画」の内容として報じた。
 ブッシュ政権は外交解決を目指すと言明しながらも戦争開始の2カ月以上も前に既に攻撃を決断していたことを示しており、論議を呼びそうだ。
 ホワイトハウスの大統領執務室で大統領からイラク攻撃を決断したことを告げられた長官は「本当ですか。戦争の結果を理解していますよね。この場所を支配することになることを分かっていますよね」と半ば質問するように応じた。
 長官は2002年夏にも大統領に「(イラクの)2500万人の支配者として、彼らの望み、願いや問題すべてを背負うことになる」と警告していた。
ブッシュ政権は同時テロの首謀者とされる国際テロ組織アルカイダよりもイラクに強い関心を向けていたと指摘したクラーク元米大統領特別補佐官会の証言の信ぴょう性を裏付けている。また、同著書によれば、戦争に反対していたパウエル国務長官と推進派のチェイニー副大統領の対立は激しく、一時はほとんど口もきかなかったほどだったという。
■山本一太参院議員がみた韓国総選挙(中央日報)
「韓国政治は変化が激しく、ローラーコースターのよう。だが今回の総選挙で進歩・保守の両党体制となり、一方に偏ることはなくなりそうです。長期的には韓国政治にプラス要因でしょう」−−。
日本の代表的な知韓派政治家、自民党の山本一太(46)参議院議員は16日「韓国と日本は国民性や政治環境が違うとはいえ、韓国政治はあまりにもダイナミックだ」と話す。
「新世代総理を創る会」を率いる山本議員は「日本では政界の世代交代が非常に遅いが、韓国では一気に行われた」と話し、うらやんだ。 しかし「変化があまりに急激だと政治が不安定となり、昨日まで行われてきた政策が一朝一夕に変化するなど、一貫性不足となる危険性もある」と指摘した。 「開かれたウリ党」(ウリ党)が議席の過半数を占めたことについては「弾劾が契機となったが、ここ数年間進んできた有権者、特に若い層の政治意識の変化と新政治への欲求が背景にあると思う」と話した。
一方山本議員は、参議院・外交防衛委員長としても活躍。その視点から「総選挙の結果により、北朝鮮核問題をめぐる日韓米間の協調体制に多少摩擦音が出る可能性もある」と懸念した。 対北朝鮮政策については「安定した政治基盤と自信を手に入れた盧大統領は、日米との協力強化や、自主・自立路線の強化のひとつを選択するだろう。盧大統領は韓国が独自の判断のもとで北朝鮮政策を展開すべきだとの立場であり、後者を選ぶだろう」と予想した。 また「北朝鮮に関する経験の少ない若い世代も、盧大統領のDNAと一致し、盧大統領は対北朝鮮政策で圧力よりは対話をさらに重視するだろう」とし、これが日韓米のチームプレーを阻害する不安要素となり得ると予想した。 さらに「杞憂かもしれないが、韓国のムードが左(進歩)側に偏り、独島(ドクト、日本名・竹島)、首相の靖国神社参拝、歴史問題をめぐり、韓国側の(日本批判の)声が高まれば、日韓に摩擦が生じる可能性もある」と懸念した。
だが一方で「韓日共同ワールドカップ(W杯)や文化交流の増加で両国国民の相互理解は広がっており、深刻な状態には陥らないだろう」と期待をのぞかせた。山本議員は、韓国・日本の若い議員10人余りが結成した交流ネットワークを率いている。

■ジャイアンツのチーム打率2割4分2厘で、リーグ6位だとか。「史上最強打線」という名称に疑問符が付いてもいい状況だが、これは一時的なものだろう。なにせ、ローズ・小久保・ペタジーニと他球団の主砲級をそろえたあの強力打線だ。それにしても、なぜピッチャーを取らなかったんだろうか。ピッチャーはたくさんいればいるほどいいのだから。


2004年4月19日月曜日

名誉の殺人

■仮面の告発 衝撃の殺人(今週AERA,宇留間和基編集長おすすめの記事)
 パリにある出版社の一室に現れたのは、アラブなまりの仏語を話す40代半ばの女性だった。昨年、フランスで発売されるやベストセラーとなった自叙伝。その作者スアドさんである。インタビューの写真を撮影する際には、必ず白いマスクで素顔を隠す。ペンネームももちろん仮名である。いまでも、命を狙われる危険性があるからだ。首や腕からのぞくやけどの痕が痛々しい。耳も変形して原形を留めていない。

●実行犯は英雄扱い
 現在のヨルダンに位置する小さな村で生まれた。女性は家畜以下と見なされ、子供でも奴隷のように働かされる毎日だった。父親からの虐待も日常的だった。

「それが辛いことだということすら当時は分からなかった。父親の暴力でさえ生きている証し。その生活を受け入れるしか生きる方法がなかったんです」

 身体的苦痛から逃れるには結婚して家を出るしかないが、父親が相手を決めるまで結婚はできない。17歳で恋をした。彼の気持ちをつなぎ留めておきたくて、求められるままにセックスをした。そして妊娠。それが家族に発覚した時、彼女を待っていたのが「死の報い」である。ある日、頭から石油をかけられ火をつけられた。手を下したのは義兄で、指示したのは両親だった。

 ヨルダンを始め、アフガニスタンやパキスタンなど、アジアや中東の一部地域では、「名誉の殺人(Honor Killing)」と呼ばれる習慣が今なお存在する。女性の婚前、婚外交渉は身内の恥とされ、「家族の名誉を汚した」代償として、父親や男兄弟が本人を殺害して家族の面目を保つ。家族会議で誰が、どんな方法で殺すかが決定される。実行した男性は「英雄」となり、罪に問われることはない。

 中東のジェンダーに詳しい名古屋大学大学院の中西久枝教授によると、イスラム教成立前の部族社会に存在した家父長制主義が女性の婚外交渉を避けるためにヴェール着用を促した。そうした価値観と習慣が温存された結果だという。

 国連の統計では、2003年にヨルダンだけで5千人が被害にあったとされる。被害者の多くが殺され、まれに助かっても見つけだされて殺害されるのを恐れ沈黙するため、生き証人がほとんどいない。家族もかばい合う。明るみに出ているのは氷山の一角だ。アムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠事務局長は言う。
「ドメスティック・バイオレンスの最も激しい形。放置している政府の責任は大きい。警察が加担することまであり、状況は深刻です」

●欧州でも相次ぐ悲劇
 スアドさんは重度のやけどを負いながらも奇跡的に助け出されたが、母親は病院で瀕死の状態にあった娘に毒を飲ませて「名誉の殺人」を完了させようとしたという。

 福祉団体の助けで、現在は欧州のある国で新しい人生を送っている。結婚して娘が2人いる。やけどで昏睡状態のまま出産した息子も同居し、幸せな毎日だという。

 だが欧州でも「名誉の殺人」の悲劇は起こっている。最近も、38歳のスウェーデン人女性が離婚を申し出たために、アラブ人の夫と7歳の息子によって水死させられた。スアドさんにも、いつか家族に捜し出されて、また殺されるのではないかという不安が募る。

「でも自分の体験を話すことは唯一の武器。今もおぞましい風習で殺されかけている女性のために、命を賭けて世界に伝えたい」



■ひと:スアドさん=「名誉の殺人」から奇跡的に生き残った(毎日新聞)
 白いマスクは、身元とやけどの手術痕を隠すため。顔から両腕、背中、胸と30回以上の皮膚移植手術を受けた。それが25年ほど前のことだ。ヨルダンの小さな村で生まれた。女は家畜以下の生活。婚前に男性と関係を持つと「一族の恥」とされ、名誉回復のため家族の手で殺される。これが「名誉の殺人」だ。

 17歳の時、隣家の男に恋をし妊娠した。殺されるのはわかっていた。「何の疑問も持たずに男は女を虐待する。それが間違ったことだと考えもしない社会でした」。両親の命を受けた義兄にガソリンをかけられ火を付けられた。ひん死で病院に担ぎ込まれ、その後、スイスの人道団体に救出された。渡欧し、すぐ手術。西欧女性の自由な姿に衝撃を受け、故郷の男たちの「悪」を理解した。

 「中東だけでなく欧州やパキスタン、ブラジルなどの一部で、今でも『名誉の殺人』はまかり通り、年間5000人以上が被害に遭っている」
 被害女性の救出活動に協力し、実態を知ってもらいたいと本にまとめた。「思い出すのは苦しい作業だったが、この本によって生き返った」
 救出されてからは自殺未遂やうつ病を繰り返しながらも、結婚し娘2人をもうけた。「火あぶり」の際におなかにいた息子とも再会を果たした。

 「ようやく女性でいる幸せがわかった。生まれ変われるとしても、女に生まれたい。もちろん、あの村以外で」



イラク人質事件と自作自演

■新たに2人が開放された。それにしても、「とても良い扱いだった。毎日、いい食事を出された。目隠しをして毎日、家を移動させられた」と犯人たちを擁護したり、「米国、英国はイラクの敵だ。我々は今後も戦う。日本人はイラクになるべく来ないようにしてほしい。私たちは友人を傷つけたくない。自衛隊もイラクから出ていってほしい」とここぞとばかりに犯人側のプロパガンダ。映像も犯行声明文もなく、三人のときとはかなり状況が違う。自作自演説が散見されるのも理解はできる。それとも、テロリストは彼らを「メッセンジャー」として利用しただけなのか。
■イスラエル軍、ハマス最高指導者ランティシ氏殺害(朝日新聞)
 パレスチナ自治区ガザ市で17日夜(日本時間18日未明)、イスラム過激派ハマス最高指導者ランティシ氏が乗った車にイスラエル軍の武装ヘリがミサイルを発射した。車は爆発し、パレスチナ自治政府筋によるとランティシ氏と側近2人の計3人が死亡した。イスラエル軍による殺害作戦とみられる。
 ランティシ氏はハマス政治部門の最強硬派。3月23日に、イスラエル軍に前日殺害されたハマス創始者で最高指導者のヤシン師の後継に就任したばかりだった。
トホホ…また報復の連鎖が続くのか。この泥沼化にアメリカは公平な仲介などする気はまるでない。大統領選もあるために、イスラエル寄りの政策にならざるをえない。今回の暗殺も前回同様、「どの国もテロに立ち向かう権利がある」みたいなことを言っているし。
■イラク・中東専門家ウォッチング
大野元裕(中東調査会)さんの台頭が目立つ。NHKの御用達になったかと思えば、ほとんどの局に出てくる。手堅くてNHK的な解説が好評のようだ。フジテレビや日本テレビは好んで大野さんを使っているが、酒井啓子(アジア経済研究所参事)さんは左派的な色がついてしまったために、敬遠されているように思われる。


2004年4月18日日曜日

TBS捏造疑惑?

■産経抄もご立腹
 人質救出にあたっては、宗教指導者や各部族の長老やさまざまな情報筋などへ、いろいろな形の協力費や謝礼金を支払っているに違いない。特別機のチャーター代など多大な救出費用もかかっている。
 それらをすべて国民の税金でまかなっては納税者は納得しないだろう。山岳遭難と同じく自己責任のはずだからだ。そのほか目に見えない形で政府関係者の血のにじむ労苦もあったろう。しかし三人とその家族から、国家に対する感謝の言葉はついに聞かれなかった。
 それどころか三人は「これからもイラクで活動したい」とか「撮るのが仕事なんだよ、おれは」などと語っている。自分勝手もいい加減にしてもらいたい。これ以上わがままを通すなら「何があってもお国に助けを求めない」の一札を入れよ。
 これまで以上に厳しい論調である。山岳遭難と一緒にしますか。ボランティアや報道ってのは娯楽の一種なんですかね?まぁ、救出費用を聞けば賛同する声も増えるかも…

■救出費用は数億円?「弁償させるべき」の意見も―バグダッド脱出チャーター機は数千万円 (夕刊フジ)
 イラクで人質となった3人の無事救出という「グッド・ニュース」にもかかわらず、国内では3人に対して批判が噴出している。自民、公明両党からは、「救出にかかった費用は税金。3人に弁償させるべき」との声すら出ており、政府に対し費用の積算を行うよう求めていく方針だ。ちなみに、今回の救出費用は数億円にのぼる可能性もある。

 16日午前に国会内で開かれた自民、公明両党による与党対策本部で、自民党の額賀福志郎政調会長は、危険地域への「渡航禁止」を定めた立法措置を提案。出席者には同調者も多かったが、「移動の自由」を保障する憲法との兼ね合いを指摘する声も出た。

 このため、今回のようなケースで、「『政府その他の機関が費やした費用を、後に当事者に請求できる』との法律を定め、抑止効果を狙う方向で研究に入ってはどうか」という意見が出て、まずは実際にかかった費用を積算してみることにした。

 3人は今後、バグダッドからアラブ首長国連邦のドバイに向けてチャーター機で脱出する予定だが、これにも数千万円の費用がかかるという。そのほか、現地での人件費なども合わせると、今回の事件解決に要した費用は数億円にのぼる可能性もあるという。
 スポーツ報知の試算によれば4億だとか…あるいは数十億という試算もある。いやはや。くだらない「もしも」なんだけど、このお金でイラクのために何ができただろうか?そう考えるとねぇ…一人で子供たちを支援したり(高遠菜穂子さん)、劣化ウランの絵本を作ったり(今井紀明さん)、写真撮ったりする(郡山総一郎さん)よりよっぽど意味がある…なんて思っちゃうけど。とにかく、巨額な支出に世論はどん引きしている。


■解放の1人、日本大使館に移送後 聴取に不快感「悪いのは自衛隊」「なぜ警察がいる」(産経新聞)
 人質の一人は「イラク人は悪くない。悪いのは自衛隊だ」などと述べたという。さらに、人質事件解決のためバグダッド入りしていた警察庁の「国際テロ緊急展開チーム」のメンバーに対し、「どうして警察の人がいるのか」と不快感を示していたという。

 三人のうち郡山さん、高遠さんの二人はイラクでの活動の続行を希望し、これに対して日本国内では批判が強まっている。これと併せ、三人のうちの一人の自衛隊批判発言はさらに波紋を広げそうだ。
 莫大な支出金、さらには三人の言動に批判が沸き起こっている。「空気読め」的な状況なのだろうが、ややバッシングが強すぎる。というのも、事件が起きて動転しているし、日本でどういう状況になっていたかを正確に把握しておらず、冷静な対応ができないからだ。もう少し寛容であるべきだ。


■TBSによれば、インタビューでパウエル国務長官が「自己責任の原則」で3人を非難するべきではなく、リスクを取る人を誇りに思うべきだと言ったとか。筑紫哲也などが「お国柄の違い」などとうれしそうにコメントしていた。が、なにやら捏造だという噂も耳にしたので(すごく2ch臭がして嫌だが)、原文を入手してみた。
※カッコ内は私の英語力の限界を示すアバウトな訳。

【金平記者・TBSワシントン支局】
In the history of the modern nation, it is said every government has an obligation to protect their own citizens.Some people in Japan are saying that those who are kidnapped are willing to take risk and they were expected to assume the responsibility for their own act. What is your comment?
��近代国家では、いかなる政府も自国の市民を守る義務があります。しかし、人質にされた3人は、自らリスクを冒したのだから、自身の行動に対して責任を持つべきだと主張する人もいます。これについてどう思われますか?)

【コリン・パウエル米国国務長官】
Well, everybody should understand the risk they are taking by going into dangerous areas. But if nobody was willing to take a risk, then we would never move forward. We would never move our world forward.
��危険地域でのリスクは認識すべきですが、誰かがリスクをとらなければけっして前には進みません。私たちの世界が前に進むことはありえないのです。)

And so I'm pleased that these Japanese citizens were willing to put themselves at risk for a greater good, for a better purpose. And the Japanese people should be very proud that they have citizens like this willing to do that, and very proud of the soldiers that you are sending to Iraq that they are willing to take that risk.
��ゆえに、このような日本の市民が、すばらしい活動と目的のため、すすんで自らの身を挺したことは喜ばしいことです。日本の人々はそういう行動をした市民がいることを誇りに思うべきでしょう。また、日本の人々がイラクに送った自衛隊は、進んで危険に立ち向かっています。このことも誇りに思うべきです。)

But even when, because of that risk, they get captured, it doesn't mean we can say, "Well, you took the risk. It's your fault." No, we still have an obligation to do everything we can to recover them safely and we have an obligation to be deeply concerned about them. They are our friends. They are our neighbors. They are our fellow citizens.
��しかし、危険を冒したために人質になったとしても、「危険を冒したのだから、それはあなたの責任だ」ということにはなりません。彼らの安全を回復するため、最善を尽くす義務があるし、十分な関心を向ける義務もあります。彼らは我らの友人であり、隣人であり、同じ市民なのです。)

■まぁ、大したことは語っていない。「自己責任だ!」などとパウエルが言えるはずがない。反発を恐れ無難なことを言っているともとれるが、それ以上に自衛隊のことを強く意識している。「自己責任」としてしまって、もし自衛隊員が死んだらどうするのか?危険なところに派遣するからいけない、ということになってしまい、撤退論が勢いづいてしまう。リスクを冒すことで前進するのであり、それを担っている自衛隊を誇りに思うべき…パウエルの本心はそこにある。それを一部分だけ切り取って、左派が利用した…という感じか?


■高遠菜穂子さんの『愛してるって、どう言うの?』(文芸社)という本が売れているらしい。「毎晩のようにススキノ(高校時代)か六本木(大学時代)で踊っていたものだ」「12歳で煙草(たばこ)を覚え、13歳でトルエンにはまり、15歳でガンジャマン=大麻=になった」と屈折していた青春も包み隠さず、赤裸々に吐露しているらしい(夕刊フジからの孫引き)。

愛してるって、どう言うの?―生きる意味を探す旅の途中で
文芸社

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■と言っていたらこんな記事が…
「週刊新潮」の車内広告見出しを一部シールで隠す(サンスポ)

 札幌市交通局は16日、「週刊新潮」が市営地下鉄に出した車内広告の見出しが「基準に合わない」として一部をシールで隠す措置をとった=写真。邦人人質事件で札幌市や千歳市出身の今井紀明さん、高遠菜穂子さんらの家庭環境などに関する内容の部分。交通局は広告代理店に表現変更か削除を求めたが、応じなかったため440枚すべてにシールをはった。「人質のうち2人は道民。家族、知人も多いことなどを配慮した」という。

★「週刊新潮」の早川清編集長
 「3人の家族は自己責任を避けて通り、当初は政府を敵視、犯人と同じような要求をした。多くの国民の関心ごととなり、背景にあるのは何かを探り記事にした。中刷りで見出しを隠されたのは前代未聞。広告といえども市民の目に触れないのは残念」と話す。
 なんと言いましょうか…隠されるとよほどすごいことが書いてあるのか、と逆に好奇心をそそられる。しかもこうやって隠すことによって話題性も増す。利するのは「週刊新潮」だけであって、共謀じゃないかと勘ぐりたくもなる。


2004年4月17日土曜日

官房機密費・イスラム聖職者協会/キャバクラ組→無断外出組

■それにしても急に開放されたのは何故だろう。世論の力?日本政府がファルージャでの戦闘の激化をアメリカに止めさせた?

■政府は身代金などは払っていないと言うが、ほんとかなぁ。莫大な身代金を払ったとの情報が流れれば、同様の人質事件が起きうる。隠している可能性はないか…ってか、こういう時のために「官房機密費」ってあるのでは?

■「イスラム聖職者協会」…なんか、うさんくささを感ずる。今回の人質事件では大きな役割を果たしたわけだが、いくらか金銭が流れているかもしれない。あるいは、政治的に見ても、同団体は内外にその影響力を誇示することができた。まさか、自作自演じゃないだろうな。


■まったく懲りる様子のない郡山さん…
フォトジャーナリストの郡山総一郎さん(32)は、宮崎県佐土原町の母きみ子さん(55)の携帯電話に連絡を入れた。支援者によると、郡山さんは「昼と夜のバイトでためた金でイラクに来た。まだ写真を撮っていないから、このままイラクに残って撮りたい。感謝の気持ちで良い写真を見せたい」と話した。
 きみ子さんは「ばかじゃないか」とあきれたように答えたという。
 電話が切れると、きみ子さんは「あまりに元気すぎて、かわいそうという気持ちもない。ばか息子と言ってやった。心配したのに損やった。全然懲りてない。ぶん殴ってやりたい」と話した。(共同通信)
 唖然。自分の命よりも写真…その覚悟ができていたことを示している。そんな命を粗末にする人まで責任を取る必要があるのか、と「自己責任の原則」が聞こえてきそうだ。それに、自分の功名心のためにイラクに行っただけみたいだなぁ。自分のためにどれだけの人が動いたか自覚がないのだろうか。

■首相、被害者の発言に不快感 「自覚持ってほしい」(共同通信)
 小泉純一郎首相は16日昼、イラク人質事件で保護された被害者側からイラクでの活動継続希望が示されたことに対し「いかに善意の気持ちであっても、これだけの目に遭っても、これだけ多くの政府の人たちが寝食忘れて努力して、なおかつそういうことを言うのか。自覚をもってもらいたい」と強い不快感を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 同時に自衛隊派遣による復興支援を継続する方針に「変わりない」と強調。バグダッド近郊で拉致されたとされる2人に関しては「まだ確認がとれていない」とした。



■問われる「自己責任」、退避勧告に法的拘束力なく(読売新聞)
 イラクで武装グループに拘束されていた日本人3人が15日、無事解放された。しかし、新たに日本人2人が拉致されたとの情報もあって、政府や与野党には、危険地域への入国について、国民に「自己責任」を求めるべきだとの意見が改めて強まっている。
 外務省がイラク全土を対象に退避勧告・渡航自粛を再三呼びかけても、これを無視して邦人がイラクに入れば、法的には阻止できないのが実情だ。今回の事件は、自己責任の原則を改めて確認する契機となった。
��中略)
 今回解放された3人と、新たに拉致されたとされる2人は退避勧告を無視してイラク入りした。その行動を止められなかった3人の家族は、人質救出を優先して自衛隊の撤退を政府に求めた。こうした行動や要求を疑問視する声が、政府や与野党内に少なくない。
��中略)
 しかし、海外渡航の自由を禁じるのは憲法との関係で実現は難しいと見られている。自民党幹部は「政府には危険情報の周知徹底を、国民には自己責任の原則の徹底を求めることが必要だ」と指摘する。



■例の8人を『キャバクラ組』と呼ばないで!(サンスポ)
 日本サッカー協会は7日、2月の茨城・鹿嶋合宿で無断外出した8選手について「選手のモチベーション維持の観点からも自粛をお願いしたい」と『キャバクラ組』の表現を自粛するよう報道各社に要請した。3月31日のシンガポール戦での不招集などで、すでに「社会的な制裁を受けている」という理由。ジーコ監督も事実上、招集解禁を宣言している。

一週間ぐらい前の記事。テレビでやっていて、初めてしったのだが、そう言えば、いつの間にか「無断外出組」になっていた。「無断外出組」よりかは「キャバクラ組」の方が潔い。コンビニに買い物に出かけたとかだったら、「コンビニ組」とは呼ばれなかっただろうが、やはりキャバクラのインパクトは違う。女の子をはべらせて、「俺たち日本代表なんだぜ!」と大きな顔してそうだ。記者も悪意を込めて「キャバクラ組」と書いているかも。これがソープとかだったら「ソープ組」になるのか。なんだか、イアン・ソープの家来みたいだ。あと、「性感ヘルス組」ってのも素敵だ。

■キャバクラ組のメンバー
��F・小笠原満男(鹿島アントラーズ)
��W・久保竜彦(横浜F・マリノス)
��F・奥大介(横浜F・マリノス)
��F・山田暢久(浦和レッズ)
��K・都築龍太(浦和レッズ)
��F・山田卓也(東京ヴェルディ1969)
��W・大久保嘉人(セレッソ大阪)
��F・茂庭照幸(FC東京)


■今日の菅直人ウォッチング(ホームページより)
 人質解放、本当によかった。今のイラク情勢からすると幸運だったとしかいえない。背景には聖職者を含めイラクの人々の間に日本に対する好感情がまだ存在していたことが影響したと思われる。民主党も事件直後に藤田幸久代議士をアンマンに送った。藤田氏は長年の海外経験を駆使して情報収集に努めてくれた。
 アメリカの軍事力に頼りすぎの占領政策は破綻寸前。スンニ派にしろシーア派にしろイラク人そのものなのだから、全てを「敵」にまわしてはイラクの安定は不可能。日本もイラク人の日本に対する好感情を大切にして、国連中心の国際協力の枠組みを中心とし、話し合いによる占領政策への転換をアメリカに提言すべき。
 最近の小泉総理は、発言だけでなく、顔までブッシュ大統領に似てきたように思うのは私だけだろうか。なんでもブッシュ大統領の後をついて行くという困った総理だ。

・政府の努力とは言えないわけね。
・民主党も人質救出のために努力しました…と宣伝したいらしい。でも、知らなかった。あと、何の役に立つんだ?
・提言して聞く相手ではないが、自衛隊撤退の口実にはできるだろう。
・顔までブッシュ大統領に似てきた…って、人質が助かって、よほど肩透かしくらったらしく、こんな攻撃しかできない始末…トホホ。


2004年4月16日金曜日

安田純平・渡辺修孝/菅直人・やるやる詐欺

■安田純平さんと渡辺修孝さんという人が拉致されたらしい。やれやれ。しかも、「人間の盾」に志願したというのだから筋金入りだ。

■…と思っていたら、前に拉致され人質にされた人たちが無事バクダッドで開放された。
ジャーナリスト、郡山総一郎さん(32)=東京都杉並区
市民団体代表、今井紀明さん(18)=札幌市西区
ボランティア活動家、高遠菜穂子さん(34)=北海道千歳市

■家族が喜んでいるさまを見ると、あぁよかったなと思うものの、これからメディアがこの「迷惑者」を追いかけ回すのことはうっとうしい。あと、菅直人の「チッ!」という舌打ちが聞こえた気がする。


■今日の「産経抄」(産経新聞)
 イラクへの日本の自衛隊派遣について語られた天皇陛下のお言葉にびっくりした。正しく書けば、心をゆさぶられた。大げさに書けば、感動してしまった。十三日の午前、皇居・宮殿に招かれたチェイニー米副大統領夫妻とのご会見でのこと。
 宮内庁によると、いきさつはこうである。チェイニー氏が邦人人質事件について、「米側としてもさまざまな形で協力しており、早期解決を期待しています」と語った。そのことでは陛下は「大変心配しており、一刻も早く解放されることを願っております」と述べられた。
 大事なのはイラクでの自衛隊の役割についてである。副大統領が自衛隊を評価すると、陛下はこう述べられたという。「自衛隊は給水や医療活動など、復興支援のために派遣されたものであり、無事にイラクの人びとに貢献することを願っております」。
 なんと、陛下は自衛隊のイラク派遣が人道支援であることを明言された。彼らは戦争に行ったのではなく、復興のために赴いたことを。この問題では国内にさまざまな見方があり、論議もわいている。しかし国の象徴である天皇陛下はここにきっぱりと一つの認識をお示しになった。
 小欄の知る限りはじめてのこと、すごいことである。このご発言はサマワで苦闘中の自衛隊員にとって何よりの熱いメッセージだろう。同時に、夫や子をイラクに送りだしている家族や関係者にとって、涙のこぼれるほどありがたいことだったろう。
 陛下、よくぞおっしゃって下さいました。念のため新聞各紙を調べると朝日、読売は十三日夕刊にご発言のすべてを、毎日はなぜか自衛隊イラク派遣の部分を削ってのせている。いずれにせよ、小欄が感動したというのはそう言い過ぎではない。

 いや、言い過ぎですよ。自衛隊派遣は「米国の占領の支援のため」とか「日米同盟のため」とか立場的に天皇が言えるわけないじゃん。人質事件が起きているし、建前の「復興支援」と天皇が言うのは当たり前だ。なんて単純なんだろう。天皇が「復興支援」という「お言葉」を述べることにはすぐ感動するくせに、実際に危険をおかして復興支援している民間人には妙に冷たい。

■菅直人の今日の一言「やるやる詐欺」(菅直人ホームページより)
 昨日の党首討論については賛否両論のご意見をいただいている。小泉総理が公約した政策のうち実現した政策はほとんど無いにもかかわらず、支持率が下がらないのは、テレビで力強く「やります」と言った印象が強いからだ。まさに「やるやる詐欺」としか言えない。

 昨日も取り上げたが…菅さん、よほど気に入っているようで、まだ言っている。やれやれ、「政権交代を実現する」と言いつづけて、どれくらいの時が経っただろうか。「次の内閣」とか「民主党マニフェスト」こそ「やるやる詐欺」じゃないの?


■「やるやる詐欺」は不見識 川崎氏、菅発言を問題視(共同通信)
 自民党の川崎二郎国対副委員長は15日午前の記者会見で、民主党の菅直人代表が党首討論で年金問題に関連し、小泉純一郎首相を「やるやる詐欺だ」と批判したことについて「乱暴な言葉を繰り返し、誠に不見識だ」と述べ、衆院議院運営委員会理事会などで追及する考えを示した。
 14日の党首討論で菅氏は「首相は年金の一元化をやると言いながら、結局は20、30年後に先送りしている。やるやると言って何もやらない『やるやる詐欺』だ」と指摘。川崎氏は「党首同士が日本の将来を議論する場でこのような言葉遣いをするのは残念だ」と述べた。

 そりゃぁ、そうだ。菅直人はよほどこの「やるやる詐欺」に自信があったんでしょうね。あと、最近、民主党の影が薄いから…


■ナイナイのオールナイトニッポン…いやぁ笑った。もんたよしのりサンが登場して「鼻くそダービー」だ。ただ、もんたサンが「ハナクソ」の発言回数をカウントするだけの企画だ。もんたサンは音楽やアフリカについて真剣に語る一方、「はなくそ」というくだらないことで笑っている。そのギャップが面白い。特に「鼻くそ系」「鼻くそ的」は秀逸だ。


2004年4月15日木曜日

被害者家族を叩く、醜い日本人/イラク人質事件

■昨日の日記で「家族が外務省職員を怒鳴っていた映像は、このような意見を勢いづかせることとなろう」と書いたが、事態はもっと深刻だったようだ。

■心労の家族に心ない中傷 留守電にまで「死ね」(共同通信)
 イラク日本人人質事件で心労の深まる3人の家族に、心ない中傷や嫌がらせが追い打ちをかけている。無言電話や「自業自得」と書かれたファクスなどは13日までで数十件。家族は留守番電話にするなどの対応に追い込まれ、警察は不測の事態に備え実家警備を強化した。「傷ついている人になぜそんなことを」と憤りの声が上がった。
 札幌市の今井紀明さん(18)の自宅は、あまりの嫌がらせ、中傷電話の多さから13日に留守番電話にしてNTTの電話番号案内もやめた。だが、今度は留守電に「死ね」と吹き込んで切ったり、仏具らしい「チーン」という音だけが繰り返し録音されたりした。
 北海道千歳市の高遠菜穂子さん(34)宅。強い調子で発言する弟妹の映像がテレビで流れた後「ふざけるんじゃねえ」などの電話が多数かかり、家の人は寝られなかった。

■人質事件、高遠菜穂子さんの自宅に嫌がらせ電話相次ぐ(朝日新聞)
 北海道千歳市内にある高遠菜穂子さん(34)の実家にはここ数日、東京にいる弟高遠修一さん(33)、妹井上綾子さん(30)らの記者会見発言に対する批判や嫌がらせの電話や手紙が相次ぎ、知人らが電話を取り次ぐなどして対応しているという。

 関係者によると、拘束されたことが報道された日から、「自業自得だ」などとする電話や手紙があり、その後、テレビで弟妹らの記者会見の模様が流れると、すぐに嫌がらせの電話が鳴るという。

 高遠さんの母京子さん(65)は13日午前、自宅前に姿を現し、「菜穂子たちへの多くの支援に感謝しています。ただ、若い娘と息子の記者会見での感情的な発言が誤解を招いているようです。追いつめられた状況の中で声を荒立てることを、そばでいさめることのできないもどかしさを痛感しています。どうか2人の心情をくんでやってください」と声を詰まらせた。

 一方、今井紀明さん(18)の札幌市内に実家にも同様の電話があり、今井さん方では13日から、電話番号を替えた。

 醜い。本当に醜い。「自業自得」と言われ始めている中、怒鳴っている家族たちを見れば、視聴者は「なんだあの態度は!」と反発があろう。その意味で戦略的には誤っていた。
 しかし、家族の苛立ちは、錯そうする情報、政府や小泉首相が何もしていないという誤解からだ。精神的に追い詰められていることを考慮すれば、同情の余地は大いにある。

■何よりも、わざわざ電話番号を調べて、嫌がらせをするバカな暇人の方が不愉快である。このようなバカがいることを日本人として心より恥じる。

■保守派が露骨に家族を非難し始めている。なにゆえ、被害者家族が苦しんでいる時に、追い討ちをかける必要があるのか。(自衛隊派遣した小泉政権への批判に対して)「一致してこの問題に取り組むべき」「憎むべきはテロリスト」と言っていた舌の根の乾かぬうちに、このダブルスタンダードの登場だ。これでは便乗平和主義者らと何ら変わらないではないか。

■「自業自得だ」「見捨てよ」と言うことで、「こりゃぁ人質を取っていても意味がないな」とテロリストに思わせたり、「国家に見捨てられた人質」として同情を引く戦略だったらおもしろいが。


■邦人人質事件 貫きたい自己責任の原則(産経新聞社説)
 日本人三人の人質事件に関し、竹内行夫外務事務次官が十二日の記者会見で自己責任原則の徹底を求めたのは当を得たものといえる。

 外務省から退避勧告が出される中、三人はそれを承知でイラク入りし、事件に巻き込まれてしまった。不幸なことではあるが、第一義的に自分たちの責任だということを忘れてはならない。

 竹内氏は「日本の主権が及ばない所では保護にも限界がある。安全、生命の問題であり、自己責任の原則を改めて考えてほしい」と訴えた。国家と個人を問わず、危機管理の原則は、正確な情報と、冷静さと自制を伴った行動にあることを確認したい。

 自民党内からは法的な拘束力を持たない退避勧告ではなく、渡航を禁止する法的措置を検討すべきだという意見が出ている。現状のままでは同じような事態が繰り返されるという危機感に基づくものだろうが、渡航自由の侵害にならないか、論議を深めるべき課題でもある。

 今回の事件は個人と国家のありようにも問題を投げかけている。

 人質の家族からは「自衛隊は早期撤退をしていただきたい」「三人の人権が大事なのか、国家が先なのか」「人の命と国のメンツ、いずれを優先しているのか、知りたい」など国を批判する言葉が発せられている。

 だが、こうした発言は、国家を国民との対極におき、国民を抑圧する「悪しき権力」と一方的に決め付けていないだろうか。この思考はマスコミや識者の中にも散見される。

 しかし、国家は自国民の生命や財産を守る責務を担い、そのために努力している存在である。日本政府も十分とはいえないだろうが、そうした努力を払っている。

 政府が、テロリストの脅迫には屈せず、自衛隊を撤退させないとの立場を堅持しているのも、国民を守る責務をわきまえているからだ。脅迫に屈すれば日本国民はいたる所でテロリストのターゲットとなり、際限のない譲歩を余儀なくされてしまう。

 テロリズムは社会が騒ぎ、動揺することも狙っている。テロリストには妥協も理解もありえないという鉄則を貫き、日本は脅しが効かない国と思わせることこそが肝要だ。



■IMF専務理事 日本は改革でもっと主張を(毎日新聞)
 国際通貨基金(IMF)の次期専務理事選出が大詰めを迎えている。先月初め、ドイツ大統領選出馬のため、突如辞任したケーラー前専務理事の後任選びだが、今回も従来同様に、欧州諸国によるたらい回しの様相を呈している。

 それでいいのだろうか。

 IMFはアジア通貨・金融危機でその機能に疑問が持たれて以来、改革が求められている。しかし、具体的な動きはほとんどない。自国利益にこだわる最大出資国である米国の意向が、運営に色濃く表れていることも背景にある。

 そうした状況の中、今回の専務理事選出過程では途上国などの間から、公開性や透明性の高い手順を踏むべきだとの声が上がっている。ところが、アジア諸国の一員である日本は、成り行き任せで、明確な主張をしていない。

 アジア危機ぼっ発直後に、日本はこの地域における通貨・金融危機への迅速な対応のためアジア通貨基金(AMF)構想を提案した。米国の反対でうやむやに終わったが、その当時は米国に物申そうという意欲があった。

 日本が国際金融の世界で、応分の役割を果たしていこうというのであれば、先進国間の協調とともに、途上国に目を向けた姿勢を取っていく必要がある。専務理事選出時はそのいい機会なのである。

 いま、米欧がケーラー氏の後任に想定しているのは、フランス出身のルミエール欧州復興開発銀行(EBRD)総裁とラト・スペイン経済相の2人だ。いずれに決まるかは米国の意向次第である。

 IMF専務理事は1946年の設立以来、欧州出身者が占めてきたが、米国の政策に沿う運営が行われてきたのは、そのためでもある。国際政治や通貨政策では米国と対立することが少なくないフランスも、IMFの場では協調的である。歴代8人の専務理事のうち3人がフランス出身で、その期間は31年半に及ぶことと無関係ではあるまい。

 この間、IMFの業務内容は大きく変わってきた。かつての国際収支悪化国に対する出資に応じた融資から、80年代の累積債務問題の顕在化以降、経済構造調整の企画・執行機関になっている。

 通貨危機に直面した国や市場経済に移行しようという国が、規律ある国内経済運営を行わなければならないことは間違いない。しかし、それが過度に厳しいものであれば、経済回復そのものを阻害しかねない。IMFは緊急時に機能しなければならない機関であり、まずは、国の生命維持を図ることを要請されているのだ。

 世界銀行はアジア危機の経験から、軌道修正を探ってきた。IMF改革を本物にするためには、世銀や地域開発金融機関との任務分担を明確にするとともに、危機に陥った国が使いやすい仕組みを構築することだ。

 こうしたことに日本が貢献していけば、日本から専務理事をという声も上がるであろう。そのためにも、日本としての改革案を提示するなどの行動が望まれる。

 アジアとロシアの通貨危機後にはIMF改革論議がなされていたが、最近はどこへやら。喉元過ぎれば熱さ忘れる…ってことだろうか。


■バブリーな中東専門家
酒井啓子(アジア経済研究所参事)
大野元裕(中東調査会・元イラク大使館員)
高橋和夫(放送大学助教授)


■小泉首相、菅代表が党首討論 今国会2回目(産経新聞)
 小泉純一郎首相と民主党の菅直人代表は14日、邦人人質事件などイラク情勢緊迫の中、今国会2回目の党首討論に臨んだ。人質解放の難航で首相答弁は歯切れが悪く、菅氏も年金問題では「やるやる詐欺だ」とばっさり切り捨てたが、人質事件では犯行グループの要求に沿った形での自衛隊撤退論は口にできず苦しい追及となった。

 菅氏は、米国に対しファルージャでの地元武装勢力への攻撃を自制するよう要求すべきだと主張。首相は「人質の問題とも絡んでいる。日本が公開で言うべきことと、水面下で働きかけていることがある。慎重な物言いをしている」と言葉を濁した。人質の捜索、救出などを米国に頼らざるを得ないという微妙な立場にあることをうかがわせた。

なんだ、ヤルヤル詐欺って?「やるやる」と言っておきながら、やらない詐欺行為を指すようだが…。報道ステーションで古館伊知郎に「言葉遊びをしてる場合か。それは私の仕事。」ってな趣旨の発言をされていた。しかも「オレオレ詐欺」はちょっと古いし。


■NEWS23>筑紫哲也>多事争論13日「自国民」
 実際にはその状況は刻々と変化しているようでありますが、それにテロリズムがこれだけ世界に広がっている時代に、安全な所というのは、完全に危なくない所というのは存在いたしません。例えば子どもをハワイにやる時に、ハワイが危なくないと考えるのかどうか、あるいは子どもが渋谷に出かけていく時に、それじゃそれをどうするのかと考えれば、これは無限に広がる話であります。

 筑紫おじいちゃんが無茶苦茶言っている。イラクにハワイや渋谷を持ち出しますか。やや茫然とさせられる。「ハワイや渋谷で事故にあっても、『自己責任だ』と言うつもり?」とぼやいていらっしゃるのかな。


2004年4月14日水曜日

「プロ市民」と「自己責任の原則」

■産経抄…ふたたび自己責任論
 しかしイラクは“超危険地帯”とし最高の「退避勧告」がたびたび出ていた。それを無視していた三人の無謀と軽率さに対して、テレビ会見をみている限り、家族の側に自覚も反省もないようである。そのあたりに違和感を覚える人も少なくないのだ。
 責任はそういう「個」と「公」のけじめの欠如を、そのまま情緒的にたれ流している報道にもあるだろう。それが国民の“ちょっと違うなあ”という感情を増幅させているのである。家族たちは「日本は直ちに自衛隊を撤退して下さい」と性急に要求する。
 しかし「個」がとるべき自己責任をそっちのけにし、「公」が下した政治的決断をひっくり返せばどういうことになるか。それより何よりテロリストの脅しに屈すれば、日本の国際的声価や国際社会の一員としての責任はどうなるか。そういうことへの思考が全く欠落している。

■読売新聞社説
 人質の家族の言動にも、いささか疑問がある。記者会見で、公然と自衛隊の撤退を求めていることだ。
 人質の安全を望むのは、家族として、当然だ。だが、武装グループの脅しに応じ、政府の重要政策の変更まで求めることが、適切と言えるだろうか。
 日本は容易に脅迫に屈すると見られ、日本人へのテロや誘拐を誘発する危険がかえって増大する。
 事件の再発防止にも努めたい。
 政府は、昨年来のイラクからの「退避勧告」に加え、今年だけで十三回も注意喚起の情報を出し、民間人の退去を求めている。三人は事件に巻き込まれたのではなく、自ら危険な地域に飛び込み、今回の事件を招いたのである。
 自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任な行動が、政府や関係機関などに、大きな無用の負担をかけている。深刻に反省すべき問題である。

 まぁ、家族が外務省職員を怒鳴っていた映像は、このような意見を勢いづかせることとなろう。ネタか本気かは定かではないが、2chでは3人は「プロ市民」とレッテルが貼られ、この「自業自得!」が散見される。
 子供が国(自衛隊)のために死ぬのが正しい、と考えることを保守派は望むのかもしれないが、家族が自衛隊撤退を望むのは当然である。
 この「自己責任の原則」…それなりの説得力を持つが、その一方で、国民を守らずしてなにが国家だ、という見方も有力だ。
 自衛隊撤退はありえないにしても、「自己責任だから」と非難(あるいは、見捨てる)ことは「人道」に反するし、国家のあり方として間違っている。少なくとも、なぜ今か。理解に苦しむ。
■産経新聞社説
いま、誘拐された三人の家族が、自衛隊の撤退を求める政治的な発言をすることは、誘拐犯に取引の余地があるような錯覚を与えかねない。家族の圧力で日本政府が譲歩すると誘拐犯が考えれば、解放を長引かせて不安をあおる逆効果を生むだろう。まして、日本国内の平和団体がこれに便乗する動きは、誘拐犯を利するだけである。

間違ったことは言っていない。現在の「自衛隊撤退を!」という抗議活動はテロリストを勢いづかせるだろう。3人の人質によって、日本で撤退論が大きくなったという「誤解」を与えかねない。
■NEWS23>筑紫哲也>多事争論12日「人道と人命」
 日本人の3人が人質になってるわけでありますけれども、危ないところに3人に対する安否に大きな気がかりを示している人が沢山いるんですが、その一方では、危ない所に出掛けた方が悪いんだと、あるいは政府の自衛隊派遣に賛成してない事を言い立てる人達もいます。
しかしながら、そういう事以前に自国民を守るという事は、一つの国家にとっての最優先の課題であるはずであります。そして、その事は、本人がたまたまその国で生まれたとかそういう事を関係なしに優先されるというのが、そもそも国家の在り方だろうと思います。テロに屈しないというだけを言っているだけでは、問題は解決しないわけでありまして、その曲げられない自衛隊派遣というのは人道復興支援だといいます。しかし、人道的な措置をする対象はイラク人、はっきり言いまして日本人ではありません。その人道のために自国の人の人命の方が見殺しにされるというような事になれば、これは本末転倒と言わざるをえないと思います。

 言いたいことはわかる。が、問題の本質には答えていない感が残る。「イラクのために人道支援するぐらいなら、まずは日本人を助けよ」と言いたいのだろうが、もっともではあるが、民主主義に基づいた政治的意思決定が、人質を取るという暴力行為によって捻じ曲げられてよいのか?今後も同様の事件が起きたらどうするのか?
 そもそも、イラクに自衛隊を派遣したのは、自国民を犠牲にしてもイラクの人道支援をする、という政治的判断が前提として存在したからだ。


2004年4月13日火曜日

起き抜けの革命家・森山直太朗/元・夕暮れの代弁者

■森山直太朗が知らぬ間に「起き抜けの革命家」になっていた。勝手に夕暮れを代弁したかと思ったら、今度は革命家だ。しかも「起き抜け」だ。なんだそれは。三省堂『大辞林』によれば、「寝床から起き出してすぐのこと。起きがけ。起きしな。」だ。「夕暮れ」が「起き抜け」になったか。意味がわからない。
■「参院選で現有51議席割れば首相退陣も 青木参院幹事長」(朝日新聞)
 自民党の青木幹雄参院幹事長は11日、山梨県昭和町での講演で、7月の参院選について「(改選で)現在の51議席を割ることがあれば、6年前の橋本首相は辞職したのだから、小泉首相も当然そうせざるを得ない」と述べた。さらに「衆院で自民党は過半数を持つので(首相に)居座ることはできないことはないが、全くの死に体だ。小泉首相の性格からしてそういうことはありえないと思っている」と語った。
 青木氏の発言は、参院選に対する危機感を強調することで党内の選挙への取り組みを加速させる狙いがあるとみられる。
 参院選への引き締めのようだが、これは小泉首相への牽制だろうか。


植草一秀/ミラーマン

■早大の植草教授を都迷惑防止条例違反で逮捕・警視庁
JR品川駅構内で手鏡を使い女子高校生のスカートの中をのぞいたとして、警視庁高輪署は12日までに、早稲田大大学院教授、植草一秀容疑者(43)=東京都港区白金台3=を都迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕した。

 調べによると、植草容疑者は8日午後3時ごろ、JR品川駅高輪口上りエスカレーターで、持っていた名刺大の手鏡を差し出し、前にいた高校1年の女子生徒(15)のスカートの中をのぞき見した疑い。植草容疑者は容疑を認め「申し訳ないことをした」と供述しているという。

 植草容疑者はテレビのコメンテーターとしても活躍。野村総合研究所主席エコノミストなどを経て、昨年4月から早大大学院公共経営研究科の教授を務めていた。


■夕刊フジ 2004/04/13
経済より下着…のぞき植草常習犯!?だった
不審な行動繰り返し鉄道警察隊に跡つけられ

 女子高生のスカートの中をのぞき見して現行犯逮捕された早大大学院教授で経済評論家、植草一秀容疑者(43)が、執拗にターゲットを物色していたことが、13日までの警視庁高輪署の調べで分かった。過去にも同様の容疑で逮捕されていたといい、常習犯だった可能性も出てきた。新進気鋭の経済評論家との評判を得ていた植草容疑者だが、ハレンチな犯罪で、自らの“株価”大暴落を招いた。

 犯行は「出来心」で片づけられるものではなかったようだ。

 植草容疑者は逮捕される約2時間前の8日午後1時すぎ、JR横浜駅でエスカレーターを上り下りしながらミニスカートの女性をつけ回すなど不審な行動を繰り返しているところを、テロ警戒のため巡回していた神奈川県警鉄道警察隊員に見つかっている。

 約1時間以上も同駅周辺で物色した後、JR横須賀線で東京方面に向かったため、同隊員も尾行を開始。自宅近くの品川駅で下車した植草容疑者は、改札を出て高輪口に向かったが、途中、下りエスカレーターですれ違った女子高生に目をつけた。

 植草容疑者は当初、手鏡はテレビ番組に出演するためで、「(スカートの中は)見ていない」と容疑を否認していたが、高輪署に移されると一転、「ストレスからやってしまった。申し訳ない」と容疑を認めた。

 さらに、過去にも同条例違反容疑で逮捕され、罰金刑になったことがあることも判明。常習犯の可能性も高く、同署では「この手の犯罪はクセになる」と、余罪も含め厳しく追及している。

 植草容疑者は、経済問題などのコメンテーターとして、多くのテレビ番組にも出演。雑誌にも複数の連載を抱える売れっ子だったが、下着への関心は経済問題に負けないくらい強かったようだ。


 これはビックリした。構造改革と対峙する財政出動派としてメディアに重宝され、今やコメンテーターとして不動の地位を手に入れたように思われたが。スーフリの早稲田ということで、生徒が生徒なら教授も教授だ…などと言われなきゃいいけどね。

 フジの報道だと、早大生らしきバカが「経済を見通さずに、スカートの中を見通していたとは…」とかくだらんことを言うんだ。あれは何なんだ。


■追悼企画『植草一秀データ』

専門は経済政策論、金融論。

■主著
現代日本経済政策論
岩波書店
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「金利・為替・株価の政治経済学」(岩波書店)
「日本の総決算」(講談社)
植草一秀・その他の著作


■経歴
1960年12月 東京都生まれ
1983年 3月 東京大学経済学部経済学科卒業
1983年 4月 株式会社野村総合研究所経済調査部
1985年 7月 大蔵省財政金融研究所研究官
1991年 6月 京都大学助教授(経済研究所)
1993年10月 米国スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー
1996年 7月 株式会社野村総合研究所主任エコノミスト
1999年 4月 株式会社野村総合研究所上席エコノミスト
2002年 4月 株式会社野村総合研究所主席エコノミスト
2003年 4月 現職(早稲田大学大学院公共経営研究科教授)


■好きな経済学者
ジョン・M・ケインズ、ミルトン・フリー

■推薦する本
ミルトン・フリードマン「選択の自由」(日本経済新聞社)
ジョン・K・ガルブレイス「バブルの物語」(ダイヤモンド社)

■推薦する雑誌
「フォーリン・アフェアーズ」


■追悼コメント

★WBS・ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)

 …全く取り上げず。なんてこったい。経済ニュースだから、そんな下賎なことは取り上げないってか。


★とくダネ!(フジテレビ)

 「ご意見番」として出演させていたその「見識」に注目が集まったが…
 冒頭でオヅラさん(小倉智昭)がコメント。何せ「田代まさし」ばりの探究心をお持ちの方を「ご意見番」にしてしまったのだから、避けてはとおれないところだろう。「大変残念」「視聴者の皆さんを裏切る結果となってしまいました。大変申し訳ありませんでした」とコメント。
 「何を聞いてもつぶさに答えてくれる」ってパンツまで見るぐらい好奇心旺盛だからね。そりゃ何でも屋ですよ。

 また、とくダネタイムスでも取り上げた。小倉は「日本の経済をしょって立つ」みたいなことをしきりに言っている。何言ってんの?



■「スカートのぞいてない」 植草教授「不当逮捕」主張(共同通信、4月14日)
 女子高校生のスカートの中を手鏡でのぞこうとしたとして、東京都迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕された早稲田大大学院教授植草一秀容疑者(43)が、東京地検の調べに対し「手鏡は持っていたがのぞこうとしていないし、のぞいていない」と容疑を否認していることが14日、分かった。
 植草容疑者は19日までの拘置が決定しているが、裁判官の拘置質問に対しても容疑を否認し「不当逮捕」と主張したという。
 植草容疑者は8日午後、JR品川駅のエスカレーターで、前にいた都立高校の女子生徒(15)のスカートの中を手鏡でのぞこうとしたとして、同容疑者を尾行してきた神奈川県警の捜査員に現行犯逮捕され、警視庁に引き渡された。

当初、「申し訳ない」と容疑を認めていた。弁護士の入れ知恵でもあったのかな?

■産経抄(4月20日)
 自白にもいろいろあって、「真実」の自白と「うそ」の自白がある。拷問が珍しくなかった昔ならともかく、いまの時代でやってもいない犯罪を「私がやりました」と認めてしまうのはなぜか。どんな心理メカニズムが働いているのか。“人間、この複雑なるもの”だろう。
 経済アナリスト、大学教授、テレビコメンテーターで高名なエコノミスト(四三)が、駅のエスカレーターで女子高生のスカートをのぞいていたという。現行犯で逮捕された直後は「申しわけないことをした」と全面的に認めていたのに、一転「事実無根だ」と否認しているそうだ。
 痴漢行為は決して許されない犯罪だが、「われわれの社会のすべてがスカートの中にある」と喝破したのは、十九世紀フランスのリアリズム作家バルザックである。さすがは『人間喜劇』の観察者、これは“真実の自白”といっていいかもしれない。

 なるほど…「われわれの社会のすべてがスカートの中にある」か。植草は研究熱心がたたって捕されたのかもね。そんな植草氏にお勧めしたい本がある…
井上章一『パンツが見える。―羞恥心の現代史』
朝日新聞社

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2004年4月12日月曜日

産経新聞社説/産経抄

■産経新聞社説「朝日社説 詭弁としか言い様がない」
 朝日新聞の十日付社説は「脅迫では撤退できぬ」と主張し、脅迫を受け入れてしまえば同じような人質事件を誘発しかねないと述べている。その通りである。ダッカの日航機ハイジャック事件を持ち出すまでもなく、政治目的、金銭目的の誘拐犯との取引は、海外にいる多くの日本人を別の危険にさらすことになる。

 ところが、朝日社説はそう指摘しつつも、後半部分ではイラクの現実が特措法にかなったものかを考えれば、「撤退の決断もためらうべきではない」と論理を飛躍させる。仮にも日本政府が今の時点で特措法を理由に自衛隊を撤退させたら、誘拐犯のみならず世界は日本が脅迫に屈したと考えることに変わりない。結果的に、日本は「ひ弱な国家」として海外の邦人を一層の危険にさらすことになる。

 誘拐犯の蛮行はイラクの復興を願う人々への明らかな敵対行為である。日本政府はあらゆる手立てを惜しむべきではない。何よりも、国内が一致して解決の道を探り、テロリストに弱みを見せないことである。

 極めて重大なこの時期に朝日がこのような「二重基準」の社説を掲げることは悪影響を与えかねない。

 朝日のこれまでの社説からいえば、イラクへの自衛隊派遣に反対した立場から、「派遣していなければ、こんな事件も起きなかった」という思いが強いのであろう。

 だが、現時点で、本音である撤退論を打ち出す勇気もない。そこで羊頭をかかげて狗肉を売るという苦しい結果になったのだろう。しかし、これは詭弁と言わざるをえない。

 そうだろうか。テロリストの要求とは関係なく、撤退すべきと言いたかっただけではないか。イラクの状況が悪化している。イラク特別措置法が想定する環境ではなくなった。だから撤退するという決断があっても不思議ではなく、そのことは「テロに屈する」ということとは関係がないように思える。


■産経抄
 テロリストが「米国人、英国人、日本人は皆殺す」と解放した韓国人牧師に豪語する一方で、人質をとった各国の軍のうち自衛隊だけに撤退を要求している。多くの識者が「不可解」と提起している謎だが、小欄はこう考えた。
 武装集団に米英と並んで名指しされたのは一カ月前のスペインの列車爆破テロでも同様だった。これは金だけ出して印象の薄かった湾岸戦争時とは比較できないほど鮮明に世界に顔が見える国になった証左だ。五百五十人の自衛隊駐留の効果はそれほど計り知れない。

 日本人がターゲットにされたことで、「世界に顔が見える国になった」と喜ぶ無邪気さはすごい。韓国人は解放されて、日本人は拘束されて、優越感にひたっている。


9.11(同時多発テロ事件)は防げたか?

■テロ1カ月前の大統領日報、公開 ライス証言と食い違い(CNN)
 米ホワイトハウスは10日夜、同時多発テロの約1カ月前に、ブッシュ大統領に国際テロ組織アルカイダと最高指導者オサマ・ビンラディン氏の動向について報告した「大統領日報」の文面を公開した。日報は、アルカイダの対米テロ計画と見られる疑わしい活動が2001年8月現在でも続いていると指摘し、01年5月段階で、米国内のアルカイダ工作員による爆弾テロ計画の情報を得たと報告している。この日報についてライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は8日、日報は「過去」の分析が中心で、アルカイダが飛行機を武器として使うという情報はななかったと証言していた。
��001年8月6日付の大統領日報は「ビンラディン、米国内の攻撃を決意」と題され、「大統領のみ」が見るべき内容としている。今回公開されたのはA4用紙約1枚半で、中央情報機関(CIA)の情報源の固有名詞が黒塗りされている。同時多発テロを米政府がなぜ防げなかったのか調べる独立調査委員会が、公開を強く求めていた。
日報は、▽ビンラディンと支持者が1997年から98年にかけてワシントンなど米国内やナイロビの米大使館などにテロ攻撃を計画していたこと ▽アルカイダ工作員が米国内に多く在住あるいは渡航しており、米国内に支援ネットワークが存在していること ▽ビンラディン工作員がニューヨークで、テロ攻撃のためにイスラム系米国人青年を募集したという情報が98年にあったこと ▽98年には、アルカイダが米旅客機をハイジャックして、米国に拘束されている活動家の釈放を求めようとしたという情報があったが、結局確認できなかったこと――などを報告している。
その上で日報は、ビンラディンは「作戦を何年も前から計画し、挫折しても決意は揺るがない」男だと分析し、対米攻撃の計画は続いているだろうと示唆。
さらに「連邦捜査局(FBI)が得た情報は、米国内で疑わしい活動が引き続き、恒常的に続いていることを示している。疑わしい活動とは、ハイジャックなど攻撃の準備を意味する。これには、最近ニューヨークの連邦ビルに対して行われた監視活動も含まれる」と指摘している。
さらに「FBIは、米国全土でビンラディン関連と思われる事案約70件について、本格的な現地捜査を行っている。CIAとFBIは、アラブ首長国連邦(UAE)の米大使館に今年5月に寄せられた電話内容も調べている。この通報は、ビンラディン支持者のグループが米国内におり、爆発物を使った攻撃を計画しているというものだった」と大統領日報には記されている。
文書公開にあたりホワイトハウスは、「大統領日報は9・11の攻撃を警告していない。大統領日報は、ハイジャックの可能性を指摘はしているが、飛行機を武器として使用する可能性を挙げてはいない」と強調した。
この大統領日報について、同時多発テロ調査委の公聴会で8日に宣誓証言したライス補佐官は、「過去の状況」を分析した内容がほとんどで、テロ対象としてあげられたのは国外施設が中心だったと述べている。ライス補佐官はさらに、アルカイダが飛行機を武器として使うという情報は、9月11日以前には得られていなかったと証言していた。



2004年4月11日日曜日

イラク人人質事件と自己責任の原則

■産経抄
 共産党や社民党など、ある種の人びとは“いわぬこっちゃない”といわんばかりに、テロリストをではなく、日本政府を批判する。「それみたことか。日本人が人質になったのも自衛隊のイラク派兵のためだ。政府は責任をとれ」と、まるで本末転倒である。
 誤解を恐れずにいえば、“いわぬこっちゃない”とは、本来、人質になった三人の日本人に対していわねばならぬ言葉だ。イラクでは日本人外交官も殺害されて治安悪化は深まっていた。外務省は再三、最高危険度の「退避勧告」を行ってきたのである。
 三人のうち一人は週刊誌に写真や記事を売り込むフリーのジャーナリスト、もう一人もフリーライターの若者。女性だけはイラクの子供たちへのボランティア活動に従事していた。同情の余地はあるが、それでも無謀かつ軽率な行動といわざるをえない。
 確かに、国家には国民の生命や財産を保護する責務はある。しかしここでは「自己責任の原則」がとられるべきだ。危険地帯に自らの意志で赴くジャーナリストにはそれなりの覚悟が、またNGO(非政府組織)の活動家らにもそれぞれの信念があったはずだからである。
 二十七年前、ダッカの日航機ハイジャック事件で日本は「人命は地球より重い」と、テロリストに身代金を払って過激派赤軍を釈放した。あの国際的な批判を浴びた“苦い教訓”を忘れることはできない。日本の世論も少しずつだが成熟しているはずである。

 昨日の読売の社説よりも明確である。危険なのを知って行ったんだから自業自得である、と。まるで雪山で遭難する奴は捜索する必要がない、死ぬ覚悟はできてたんでしょ?っていわんばかりだ。
 う〜ん、この自己責任論をどう評価すべきか。「“いわぬこっちゃない”とは、本来、人質になった三人の日本人に対していわねばならぬ言葉だ」と言う。今回、人質に取られたのが自衛隊員だったら、いったいどうなったのだろう。産経は「いわぬこっちゃない」と言ってくれるだろうか。
■産経新聞社説
自民党役員会では「再三の退避勧告にもかかわらず、人質三人はなぜイラクに入ったのか」などの疑問の声が出た。テロリストがはびこる世界ではリスクがつきまとうことを忘れてはならないだろう。どの地域でもテロが起きるという心構えを持たねばならない時代である。

■読売新聞社説
今、自衛隊が撤退したら、一体、どういう事態になるのか。 結果的に武装勢力をますます勢いづかせるのは間違いない。武装勢力が誘拐を効果的な手段と見て、同様の事件を他国にも仕掛けることになりかねない。

まぁ、昨日書いたが、これが自衛隊撤退がありえない理由だ。
朝日新聞ですら、
 私たちはイラク戦争に反対し、自衛隊の派遣にも反対してきた。これは今も正しいと考えている。恐れた通り、米国主導の占領はうまくいかない。衝突の拡大で、自衛隊の撤退に踏み切らざるを得ない時期は遠くないかも知れない。
 そもそも自衛隊を派遣していなければ、こんな事件も起きなかっただろうと考えると、いたたまれない思いだ。

と前置きを置き、何が何でも自衛隊は撤退させないという、単純な「テロに屈するな」論との主張とは異にすると強調するが
 それでも、人質を盾に他国の国民や政府を脅すやり方は、どうしても認めるわけにはいかない。脅迫を受け入れての撤退には応じることができない。つらい選択だが、私たちはそう考える。
 もし今、ここで犯人たちの脅迫を受け入れたらどうなるだろうか。「日本は無法な要求に弱い国だ」というイメージを広げ、同じような人質事件を誘発しかねない。他の国を標的にした犯行に弾みをつけてしまう恐れもある。
 自衛隊の派遣は、その是非はともかく、日本が法律に基づく手続きをへて決めたことである。それがこうした卑劣な手段でねじ曲げられることは、やはりあってはならないことだ。

イラクの治安悪化を見れば「撤退」を考えるべきだが、人質事件とは切り離して考えるべきだと主張している。


めちゃイケ/蓬田修士

■『めちゃめちゃイケてる』(フジテレビ)をみた。久々に蓬田修士(ヨモギダ・シュウジ)が登場する。

■ヤラセ臭さは相変わらずだ。スケジュールが詰まっているナイナイが一日中張り込むなんてことありえるか?なぜライブスタジオや地元の高校に潜入して隠し撮りができるのか。絶対に情報が漏れるだろ。あるいは、なぜ打ち上げの居酒屋を盗撮することができるのか。事前に隠しカメラを設置しているということは、場所がわかってたってことでしょ?バンドメンバーが協力してくれてたみたいなことがチラッと出てきたが…それだけでは説明できない。蓬田のリアクションなどもわざとらしい。

■仕込であろうと笑えればOKなのだろうが、終盤の感動を取りにいこうという姿勢がどうも嫌だった。父親との「感動物語」はなんだ?無視されて雛形がキレるというオチでオールOKってこと?中途半端なことはやめて欲しい。

■今後も追い続けるのかどうなのか。売れなかった時の現実も『めちゃイケ』は流してくれるだろうか。ヨモ父は「三年」を期限にしたが、三年後が楽しみだ。それとも、コネで無理やり売るのかな?まぁ、めちゃイケに出たというだけで、蓬田や「PATCH WORK LIFE」(パッチワークライフ)の宣伝になっているわけだが。

■笑えたのは爆風スランプの「Runner」をナイナイ岡村が熱唱する時に、おもいっきしカンペが映ってたこと。感動を狙ってたんだろうけど、台無しじゃん。

■「ヨモ大」などと隠されると知りたくなる。どうやら中央大学文学部らしい。筑波大学を前期後期ともにすべって、ヨモ大(中央大学)ねぇ。ありそうな経路だな。あれ?浪人してたっけ? にしても、「ヨモ大」をなんで隠したんだろう。大学の名誉のため?

■ともあれ、今後の蓬田修士とPATCH WORK LIFEは要チェックだ。


【追記】
2008年にもなったが、蓬田クンの名を聞かない。めちゃイケであれから扱われたことがあったか?
「あの人はいま?」的な感覚で調べたら、Darlin'onStageなるバンドを結成して、活動しているとか。三年でやめなかったことだけは事実のようだ。

2004年4月10日土曜日

勝谷誠彦

■『勝谷誠彦の××な日々。』(2004/04/09)
こういうことはみっともないので公にすべきではないのだが私はイラクに向けて日本を発つ前に「特異事態発生時行動指針」という書類を信頼できる筋に寄託しておいた。親族ではいけない。親族は冷静な判断が出来ないからである。そこで書いた中で最も重要なのは今回のような事態になった時の判断である。私の遭難時には「日本国政府はいかなる妥協にも応じるな。見捨てよ」という声明を即時に事務所を通じて出すことになっていた。国家の警告を無視して行く以上それは当然のことでありその一言が政府を縛る卑劣なる輿論の縄を切ってあげることになるのである。無論それは私個人の生き方で他人に強いることではない。
 勝谷という人間が好きになれないのは、汚く罵る口だけではないようだ(「毒舌」「辛口」などと言われているが、ただ言葉が汚いだけ。物事の本質をついているわけではない。)。なんというか…「公にすべきでない」と言いつつ、「俺すごいでしょ?」と自慢話を出してくるのには恐れ入った。たまたま見ていた『ザ・ワイド』でも有田芳生によって、勝谷の美談は紹介されていた。勝谷はよほど自分の宣伝が上手らしい。さんざん宣伝しておいて、「みっともないので公にすべきではない」という無駄な前置きはなんだ。みっともないったらないじゃないか。

■勝谷の自慢はまだ続く…

■勝谷ウォッチング(勝谷誠彦の××な日々。2004/04/13)
本日発売の『SPA!』の巻頭コラムで先日ちょっと触れた、私がイラクに行く時に書き置いて行った「特異事態発生時行動指針」のごく一部を紹介している。私自身が拉致監禁された場合に日本政府にテロリストに対する妥協を禁じた文書である。この原稿を書いたのは金曜日なので雑誌が出る時にはいずれにせよ事態は決着していると思っていた。この状況の中で世に出るのは面映いがそれもまた運命であろう。興味があればご一読を。

流石である。先日の「こういうことはみっともないので公にすべきではない」に続いて「世に出るのは面映い」と来たもんだ。こういう謙虚を装いつつ、自己顕示をする姿勢こそ「みっともない」「面映い」と恥じよ。

■勝谷誠彦の××な日々。(2004/07/21)
―自著『イラク生残記』(講談社)の宣伝の中で。
もうひとつ悩んだのは『SPA!』のコラムで少しだけ引用した「特異事態発生時行動指針」を載せるかどうかだった。私が遭難の時のために書きおいていった文書である。しかしこれも存在を言いながら公表しないのは無責任であると思い恥を忍んで全文を掲載した。


そもそも、この「特異事態発生時行動指針」って意味があるのか。国家はそんなもんとは関係なく、救出する責務があるわけで、やらないわけにはいかんだろ。


社説比較/靖国神社参拝憲法違反判決

■首相の靖国参拝は「宗教的活動」で違憲・福岡地裁(日本経済新聞)
 小泉純一郎首相の靖国神社参拝は、憲法の定める政教分離原則に違反するとして、九州・山口の戦没者遺族や宗教家ら211人が、同首相と国に2110万円(原告1人当たり10万円)の賠償を求めた訴訟の判決が7日、福岡地裁であった。亀川清長裁判長は「内閣総理大臣による参拝は、憲法で禁じられている宗教的活動に当たる」と述べ、小泉首相の参拝は違憲との判断を示した。「私的参拝」を主張する小泉首相を巡る訴訟の判決は、2月の大阪地裁、3月の松山地裁に続き三例目。違憲判決が出るのは初めて。

 亀川裁判長はまず参拝の公的性について検討。首相が参拝の際、公用車を使ったことや「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳したことなどから「内閣総理大臣の職務の執行と認められる」と公務であることを認めた。そのうえで「宗教的な評価や社会通念に従って客観的に判断すると、憲法で禁じられた宗教的活動に当たり違憲」と判断した。

 ただ「信教の自由を侵害したとはいえない」として、被告側の賠償責任を否定、原告側の請求を棄却した。


 さらに、判決は「靖国神社を四回も参拝したのは、政治的意図に基づいている」と指摘し、「裁判所が違憲性の判断を回避すれば、今後も同様の行為が繰り返される可能性が高い。当裁判所は本件の違憲性を判断することを自らの責務と考えた」と言及をした。

 予想どおり、読売新聞と産経新聞はこの判決を非難している。「特定の主義主張に偏っている」「一連の訴訟は、裁判を利用した一種の政治運動」(産経)とか「小泉首相の靖国神社参拝を『政治的意図』とする今回の判決自体が、政治的性格を帯びた内容だ」(読売)、と「目には目を…」とばかりにイデオロギー満開。
 産経は…
 判決はさらに、「首相が戦没者の追悼を行う場所として、宗教施設たる靖国神社は必ずしも適切ではない」とし、福田康夫官房長官の私的懇談会が出した「新たに国立の無宗教施設が必要だ」とする結論を暗に支持した。しかし、この靖国代替施設構想は遺族や多くの国民の批判を受け、事実上、見送られている。
…などと言っている。「多くの国民の批判」とは何だろうか。いかにも産経的な妄想という気がするが。


 朝日新聞は「靖国参拝にこだわる首相はもう関心を失ったのか、計画は一向に進まない」として、首相自身の怠慢を問題視している。
 毎日新聞は「小泉首相が『靖国に代わる施設じゃないから』と発言したことで骨抜きになったからだ」としている。
 「政教分離に反する」という批判に対する反論は以下のとおり。

■産経「判例を曲解した違憲判決」


政教分離を定めた憲法二〇条について、最高裁が昭和五十二年の津地鎮祭訴訟で、「目的」が宗教的な意義をもち、その「効果」が特定の宗教を援助または他の宗教を圧迫する場合でない限り、憲法に違反しないという判断を示し、これが判例として定着しているからだ。「目的・効果基準」といわれる。

福岡地裁は、小泉首相が平成十三年八月十三日に靖国神社を参拝したことについて、「終戦記念日には、前年の二倍以上の人が靖国神社に参拝し、靖国神社を援助、助長、促進する効果をもたらした」とし、違憲判断を下した。参拝者が増えたのは結果的にそうなったのであり、首相が事前にそれを意図して参拝したわけではない。
福岡地裁の違憲判断を推し進めていくと、歴代首相が毎年初めに行っている恒例の伊勢神宮参拝も憲法違反に問われることになる。
■読売「伊勢神宮参拝も違憲になるのか」

 首相の靖国神社参拝は戦後も、伊勢神宮参拝などと同様、日本の伝統や慣習に基づいて歴代首相が行ってきた、ごく自然の儀礼的行事だった。

 小泉首相は、今年一月五日の伊勢神宮参拝の際に「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳している。他の首相も同様だが、違憲訴訟が出されたなどという話は聞いたことがない。なぜ靖国神社参拝に限って、近年になって違憲かどうかが問題にされるようになったのか。



 彼らは伊勢神宮に関しても訴訟を起こせ、と言いたいのだろうか?まぁ、それも違憲判決になったら、どう反論するのか見物ではあるが。

 厳密に「政教分離」を解釈すると、伊勢神宮との線引きがどこにあるのかという疑問は当然である。靖国の場合、その「歴史」が問題視され、訴訟に発展しているにすぎない。ゆえに、「伊勢神宮はどうなんだ?」という居直りについての反論も、現時点では「歴史」が絡んでこざるをえない。裏を返せば、産経と読売はそれを棚上げするしか選択肢がなかったから、伊勢神宮を持ち出したのである。

■毎日「靖国参拝違憲判決 首相は真摯に受け止めよ」


 伊勢神宮に対する正月の閣僚を伴っての首相参拝を引き合いに「靖国だけ問題にされるのか」と反論、今後も参拝を続けると明言した。

 これはおかしい。司法から違憲と判定された行為を続行することは、公務員の憲法尊重擁護の義務を定めた憲法99条にも反する。旧来方式での参拝を続けるなら、小泉首相は二重の意味で違憲な行為を重ねることになる。

 靖国参拝は、歴代首相の多くが行ってきたが、時の政府自身も憲法に抵触する危険を十分に認識していた。戦後初めて終戦記念日に参拝した三木武夫首相(当時)は、(1)玉ぐし料は私費負担(2)私有車を使う(3)記帳には肩書をつけない(4)公職者を随行させない−−との4原則を設けて、「私人」とした。中曽根康弘首相(同)は終戦記念日での公式参拝に踏み切ったが、中国の反発を理由に、その後は中止した。

 政教分離を憲法で規定している国は少なくない。わが国の場合、二度と国家と神道を結びつけないことを国内外に約束するものとして盛り込まれた経緯を忘れてはなるまい。

 靖国神社は東京招魂社を前身とし、国家や戦争と直結してきた特別な神社だ。江戸期から「お伊勢参り」として広く庶民に親しまれた伊勢神宮参拝を、小泉首相のように同列に論じることには異論の余地があるのではないか。
■朝日「靖国参拝―小泉首相への重い判決」
 首相がこだわる靖国神社とはどんなところなのか。半世紀以上前にさかのぼってみよう。

 戦前の日本では、国家神道に事実上の国教的な地位が与えられ、神社への参拝が強制された。その国家神道の要が靖国神社だった。靖国神社は軍の宗教施設としての性格を持ち、軍国主義の精神的な支柱という役割を果たした。


 日本国憲法が国は宗教的活動をしてはならないと戒めているのは、そうした過去の反省に立っているからだ。首相は「伊勢神宮、あれも違憲?」と語った。政教分離という点では首相の参拝に違憲の疑いがあるが、靖国神社が背負う歴史を見れば同列には論じられない。


 しかし首相は三権のひとつ、政府の長である。個人的心情だと開きなおる前に自分の立場を考えなければならない。首相が参拝すれば、それは靖国神社を特別扱いし、援助していると見られても仕方がないだろう。憲法違反という司法の警鐘に素直に耳を傾けるべきだ。

■日本経済新聞「靖国参拝に一石投じた判決」

 判決も述べるように、憲法に違反する疑いのある国政の最高責任者の行為を是正する方法として損害賠償訴訟に形を借りるしかない現状では、許容されるものと考える。むしろ憲法判断を回避することこそ司法府に期待される「憲法の番人」の役割を放棄するものだろう。

 戦争指導者が合祀されている靖国神社への参拝を繰り返す小泉首相のかたくなな姿勢が日中関係に緊張をもたらし、韓国からも抗議を受けている。最高裁は、愛媛玉ぐし料訴訟判決で、明治維新以降国家が神道と結びつき多くの弊害をもたらした反省から政教分離原則が定められたという憲法の制定経緯を指摘した。首相の靖国参拝は、平和国家として再出発した日本に疑いの目を向けさせることになりかねない。

 私たちは、アジアの近隣諸国との間に摩擦を生じ、国内でも意見の対立を招く首相の靖国参拝は慎重にすべきことを繰り返し主張してきた。もちろん首相にも信仰の自由はある。国に殉じた人々を国家が慰霊するのは当然だ。しかしいまの形での参拝は控えるのが賢明であろう。

■中日新聞/東京新聞

 そのこと自体も重要だが、原告の損害賠償請求を退けながら、法律的には必ずしも必要ない参拝違憲の判断を裁判所が示した意味も大きい。

 「靖国参拝は数十年前から合憲性が取りざたされ歴代内閣が慎重に検討してきたのに、小泉首相は十分議論しないまま参拝を繰り返した。黙っていれば今後も繰り返される可能性が高く違憲判断は裁判所の責務」−という判決理由からは、法に照らして行政をチェックする司法の使命に忠実であろうとする裁判官の気概が感じ取れる。

 靖国神社には、戦陣に散った人たちだけでなく、あの戦争を主導、指導した人もまつられている。かつて同神社が軍国主義を支える精神的支柱だったことは否定できない。

 そのような神社に公式参拝する日本の指導者に、侵略戦争の犠牲となったアジア諸国が警戒心を抱くのは無理もない。原告のように心を痛める人がいるのも理解できる。

 だが、首相はこうした人たちに配慮することなく参拝を繰り返した。判決が出ても「違憲はおかしい」というだけで、まじめに受け止めようとはしない。

 戦没者の慰霊、追悼は個人の自由に任されるべきだが、国の代表としての行動にはそれなりの制約があるのは当然だ。靖国問題に限らず、議論も熟慮もなしで自分の考え、方針を押し通す小泉流には多くの国民が疑問や不安を抱いている。

 他人と議論しじっくり考えると思わぬ発見があるかもしれない。新発見はなくても、すでに見つかっている真理がより確かなものになる。異なる意見には誠実に耳を傾け自説を再検証するのが政治家としての正しい態度である。



■朝日新聞的に「しかも、靖国神社にはA級戦犯が合祀されている。中国や韓国は、そのため首相の参拝に反発している」とは口が裂けても言いたくないのだが、参考までに、韓国の社説。
★中央日報「戦犯参拝しながら平和を語れるか」

福岡地裁が7日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝は違憲との判決を下した。小泉首相の靖国参拝を強力に糾弾してきたわれわれは、今回の判決について、平和を愛好し、近隣諸国との善隣関係を結ぼうとする大半の日本人とともに歓迎の意を示したい。


たとえ、今回の判決が、政教分離の原則にのみ限られたものではあるものの、日本内の大多数の世論を反映したものと考えられるからだ。小泉首相の靖国参拝に反対する理由は明確だ。国際社会で責任のある一員であり平和愛好勢力であることを誇る日本の首相が、人類歴史上、取り返しのつかない罪悪を行った「軍国主義日本」のA級戦犯を、英雄・愛国者に褒め称え追慕するのは、歪んだ歴史認識から出てくるものと判断するからだ。


とりわけ、これらA級戦犯らは、周辺諸国だけでなく、日本内でも途方もない人的・物的被害を招いた張本人らで、終戦の後、国際戦犯裁判によって処罰を受けた人類共同の敵である。ゆえに、日本の首相がこれらA級戦犯らに、毎年、尊敬と追慕の念を示したいと言い張るのは、深刻な外交問題と言える。


万が一、ドイツ首相がヒットラーやゲッベルスの墓地に毎年参拝し「英雄への評価は、国ごとに異なり得る」と話したり、それを批判する周辺諸国の世論について「他国に対する干渉であるだけ」といった具合のき弁を弄するならば、人類の普遍的良心に対する挑戦と考えざるを得ない。


小泉首相の靖国参拝は、一般の戦死者遺族や子孫が、個人的に参拝するのとは全く異なるレベルのものだ。日本の戦没者に対する追慕すべてを反対するわけではない。A級戦犯を一般戦没者らと合祀した後、周辺諸国の反発を招きながらも、日本の首相が定期的な追悼行事を行おうとしている、歪んだ歴史認識に反対するのだ。


小泉首相は、今回の判決を契機に、健康な歴史認識だけが善隣友好を増し、経済力に相応しい政治的影響力を獲得しようとする日本の念願を可能にするとの点を肝に銘じなければならない。
★違憲判決の要旨

?被告小泉純一郎は、本件参拝に際し、公用車を使用し、秘書官を随行させ、「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳し、「献花内閣総理大臣小泉純一郎」との名札を付した献花をし、参拝後に内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝した旨述べており、本件参拝は、行為の外形において、内閣総理大臣の職務の執行と認め得るものというべきであるから、国家賠償法一条一項の「職務を行うについて」に当たる。

?本件参拝は、神道の教義を広め、春秋の例大祭や合祀祭等の儀式行事を行い、拝殿、本殿等の礼拝施設を備える宗教法人である靖国神社において、内閣総理大臣によりなされたものであり、その行為の行われた場所、その行為に対する一般人の宗教的評価、行為者の意図、目的、行為の一般人に与える効果、影響等諸般の事情を考慮し、社会通念に従って客観的に判断すると、憲法二○条三項によって禁止されている宗教的活動に当たり、同条項に反する。

?本件参拝は、原告らに対して信教を理由として不利益な取り扱いをしたり、心理的強制を含む宗教上の強制や制止をするものではないから、原告らの信教の自由を侵害したものとはいえない。また、原告らの主張する宗教的人格権や平和的生存権等は、憲法上の人権と認めることはできない。

?原告らの主張する人格的利益は、憲法上の人権といえないものとしても、一般論として不法行為による被侵害利益たり得ないと解することはできない。しかしながら、本件参拝により原告らが不安感、憤り、危惧感等を抱いたとしても、その行為の性質上、これにより賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったものということはできず、本件参拝について不法行為の成立を認めることはできない。
★靖国神社

1869年「東京招魂社」として東京・九段に建てられ、1879年に「靖国神社」と改名。内務省所管の一般神社と違い、陸海軍両省所管の軍事的宗教施設として造られた。教科書でも「ここ(靖国)にまつられてゐる人々の忠義にならって、君(天皇)のためにつくさなければなりません」(国民学校四年修身)と、天皇への忠誠死を教えるなど、精神的支柱となった。戦後、政教分離原則を定めた憲法の下で一つの宗教法人になったが、1978年、東条英機元首相らA級戦犯14人も合祀している。このことから、小泉首相の靖国参拝は、中国、韓国が強く批判していた。特に中国は、先の大戦での戦争責任を問われたA級戦犯が合祀されていることを問題視。日中両国首脳による相互訪問は停止している。
★憲法第二〇条

(1)信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
(2)何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
(3)国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。


社説比較/イラク人質事件 自己責任

「聖戦士旅団(サラヤ・ムジャヒディン)」なる反米武装勢力が、民間人を人質に取ったことについて、各誌とも「卑劣」「蛮行」と非難することでは一致している。
自衛隊派遣に反対していた左派は、「恐れていた事が起きてしまった」(朝日新聞)「自衛隊をイラクに派遣したときから恐れていたことが、起こったといっていいだろう」(東京新聞)と言っている。ようするに、「そら見たことか!」と言いたいのだろう。
まぁ、そんなことは今言ってもしょうがないわけで、どうするべきなのか?どの新聞もそれが語られていない。
「犯人グループは3人をただちに解放すべきである。何はともあれ、政府はまず救出に全力をあげるしかない。」(朝日新聞)
「情報収集に全力をあげ、事実関係の確認に努めると同時に、あらゆるチャンネルを動員して犯人グループとの連絡ルートを開き、交渉を可能とすることが求められる」(産経新聞)
「人質の安全確保を図りつつ、イラク国民やイラクの宗教指導者らの協力、応援も得る形での解決策も考えるべきだ」(産経新聞)

 当たり前である。同種のだが、「解放すべきだ」と言われて解放するテロリストはいないし、全力を尽くすのは当然だ。むしろ、ここから見えてくるのは、どうしようもないという現実だ。
「自衛隊を派遣したイラク人道復興支援特別措置法には、今回のような場合は想定されていなかった」(産経新聞)
「イラク復興支援特別措置法上、三人の救出のため自衛隊が活動できる余地は考えにくい。政府は、場合によっては情報入手のほか救出作戦でも米軍などの支援を仰げないか、打診する必要があるだろう。」(東京新聞/中日新聞)
「日本政府はまず事実の把握に努める必要があるが、現地情勢に詳しい米国の協力が不可欠となる。米政府は日本に協力すると言明しており、日米当局が緊密に連携して対応してほしい。」(日本経済新聞)

自衛隊撤退という選択肢がない限り、アメリカ軍による救出に期待するしかないだろう。
 3人は、占領に協力するためにイラクへ行ったのではなかった。今井紀明さんは米軍が残した劣化ウラン弾問題を訴えていた。高遠菜穂子さんはイラクで貧しい人々や子どもたちを助けるボランティア活動をしていた。2人は戦争に批判的な立場だ。郡山総一郎さんはアフガンやイラクの現実を写真で伝えてきた。
 それが、米国を支持し、自衛隊を派遣した国の人々だというだけで誘拐された。何ということだろう。卑劣な犯行への怒りが募るとともに、日本が彼らの標的になってしまった現実を無念に思う。(朝日新聞)

 テロリストにとって、そんなことはどうでもいい。むしろ、この不条理こそが精神的ダメージを与えることになり、ソフトターゲット(軍隊などに比べて狙いやすく、政治的な効果が高い標的)を狙う有効性を増しているのではないか。
 福田官房長官は「自衛隊は人道復興支援を行っている。撤退する理由がない」と、誘拐犯の要求を拒んだ。かといって要求を突っぱね続ければ、3人の身に危険が及ぶだけでなく、同種の事件を誘発する恐れがある。それがこの事件の深刻なところだ。
��朝日新聞)
解放交渉にあたっては、もちろん三人の安全確保が最優先課題だが、犯行組織の要求をただちに受け入れれば、テロに屈することになる。それでは日本がテロに弱い国と印象づけられ、今後、かえってテロリストたちが日本人を狙って事件を引き起こし、さまざまな要求を突き付ける事態を招きかねない。(東京新聞/中日新聞)

 スペインの列車テロによって、スペインの世論が撤退に傾むくという成功をもたらした。だからこそ日本も狙われたのだろう。ここで撤退したら、同種のテロが各国に波及し、アメリカのイラク占領統治はますます困難なものとなる。日本はその引き金を引くことになってしまう。撤退はありえない。かといって突っぱねても、日本人は標的となり続けるだろう。
 進むも地獄、引くも地獄、である。だからこそ、左派は「そらみたことか!」と言いたいのであろう。
 産経や読売の立場は明確だ。
「日本政府は苦しい対応を迫られることになったが、福田康夫官房長官は八日夜、『自衛隊はイラクの人々のために人道復興支援をしている。撤退する理由はない』と断言した。この姿勢を強く支持したい」(産経新聞)
 日本は、かつて日航機を乗っ取った日本赤軍による仲間の釈放と巨額の資金要求に屈し、テロの国際的拡散を助長した苦い経験がある。
その過ちを繰り返してはなるまい。テログループによる自衛隊の撤退要求などに屈するわけにはいかない。(読売新聞)

 では、人質はどうするのか。その対応はやはり弱く、「情報収集」「米軍との協力」を持ち出すしかない。「それなりに努力してみるが、最悪の場合、三人には死んでもらう」と言いたいのだろう。他紙が明言を避ける中、読売は…
 昨年のイラク戦争の直前から、外務省は渡航情報の中で危険度の最も高い「退避勧告」を出していた。三人の行動はテロリストの本質を甘く見た軽率なものではなかったか。
 今回の事態がもたらした状況は、国際社会の中で日本が果たすべき責務としてイラクで繰り広げている復興支援活動を、結果として妨げることになる。
��読売新聞)

 危険地域で人道支援を行っていたとしても、要するに「自業自得じゃないか」ということ。ややきつい言い回しではあるが、一定の支持を得ることができよう。
 ただ、自衛隊派遣するイラクは「非戦闘地域」であり、「安全」と言い続けてきたのは日本政府である。


福田赳夫「人命は地球より重い」

■「自衛隊は撤退すべきか?」というのは問いはやや馬鹿げており、「No」しか選択肢はありえない。新たな前例を作ってしまっては、今後、同様の脅しを日本、そして国際的に誘発する。いかなる理由があるといえ、テロに屈するということは、国際的な非難は避けられない。スペインの列車テロによって、テロリストはスペイン兵撤退という勝利を得たが、今回撤退すれば、それ以上の効果をもたらすだろう。

■武装勢力は身代金を要求しているわけではなく、あえてリスクをおかしてまで日本政府とコンタクトを取るメリットがない。小泉政権に責任をどう取らせるのか?殺した場合、反対勢力は全力で追求せねばなるまい。いや、政権がひっくり返ってしまったら、それこそテロリストの思う壺なのかもしれないが…


■福田長官、父の時と「時代が違う」(朝日新聞)
 福田官房長官は9日午前の記者会見で、イラクでの日本人人質事件に関連し、父の福田赳夫首相(当時)が77年のダッカ事件で「人命は地球より重い」として赤軍派メンバーを釈放し、身代金を払う超法規的措置をとったことを問われ、「時代が違う。意味合いも違うんじゃないか」と述べた。

 福田長官は「30年近く前の話。それはそれでそうせざるをえなかった客観情勢がある。それと比べることはしない」と強い口調で述べ、自衛隊撤退という犯行グループの要求に応じるべきでないとの考えを改めて示した。
その当時の「意味合い」「客観情勢」とはいかなるものか?あの決断は正当化できないように思えるが。あるいは、「時代が違う」って言うと、人の生命は軽くなったということでしょうか?「テロに屈しない!」というスローガンだけで国民を危険にさらす首相…福田赳夫の弟子である小泉純一郎は、生命にどれだけの重さを与えているのだろうか。


各誌社説の論調―イラク人質事件をめぐって

「聖戦士旅団(サラヤ・ムジャヒディン)」なる反米武装勢力が、民間人を人質に取ったことについて、各誌とも「卑劣」「蛮行」と非難することでは一致している。
自衛隊派遣に反対していた左派は、「恐れていた事が起きてしまった」(朝日新聞)「自衛隊をイラクに派遣したときから恐れていたことが、起こったといっていいだろう」(東京新聞)と言っている。ようするに、「そら見たことか!」と言いたいのだろう。
まぁ、そんなことは今言ってもしょうがないわけで、どうするべきなのか?どの新聞もそれが語られていない。
「犯人グループは3人をただちに解放すべきである。何はともあれ、政府はまず救出に全力をあげるしかない。」(朝日新聞)
「情報収集に全力をあげ、事実関係の確認に努めると同時に、あらゆるチャンネルを動員して犯人グループとの連絡ルートを開き、交渉を可能とすることが求められる」(産経新聞)
「人質の安全確保を図りつつ、イラク国民やイラクの宗教指導者らの協力、応援も得る形での解決策も考えるべきだ」(産経新聞)

 当たり前である。同種のだが、「解放すべきだ」と言われて解放するテロリストはいないし、全力を尽くすのは当然だ。むしろ、ここから見えてくるのは、どうしようもないという現実だ。
「自衛隊を派遣したイラク人道復興支援特別措置法には、今回のような場合は想定されていなかった」(産経新聞)
「イラク復興支援特別措置法上、三人の救出のため自衛隊が活動できる余地は考えにくい。政府は、場合によっては情報入手のほか救出作戦でも米軍などの支援を仰げないか、打診する必要があるだろう。」(東京新聞/中日新聞)
「日本政府はまず事実の把握に努める必要があるが、現地情勢に詳しい米国の協力が不可欠となる。米政府は日本に協力すると言明しており、日米当局が緊密に連携して対応してほしい。」(日本経済新聞)

自衛隊撤退という選択肢がない限り、できることも限られている。
 3人は、占領に協力するためにイラクへ行ったのではなかった。今井紀明さんは米軍が残した劣化ウラン弾問題を訴えていた。高遠菜穂子さんはイラクで貧しい人々や子どもたちを助けるボランティア活動をしていた。2人は戦争に批判的な立場だ。郡山総一郎さんはアフガンやイラクの現実を写真で伝えてきた。
 それが、米国を支持し、自衛隊を派遣した国の人々だというだけで誘拐された。何ということだろう。卑劣な犯行への怒りが募るとともに、日本が彼らの標的になってしまった現実を無念に思う。(朝日新聞)

 テロリストにとって、そんなことはどうでもいい。むしろ、この不条理こそが精神的ダメージを与えることになり、ソフトターゲット(軍隊などに比べて狙いやすく、政治的な効果が高い標的)を狙う有効性を増しているのではないか。
 福田官房長官は「自衛隊は人道復興支援を行っている。撤退する理由がない」と、誘拐犯の要求を拒んだ。かといって要求を突っぱね続ければ、3人の身に危険が及ぶだけでなく、同種の事件を誘発する恐れがある。それがこの事件の深刻なところだ。 (朝日新聞)
解放交渉にあたっては、もちろん三人の安全確保が最優先課題だが、犯行組織の要求をただちに受け入れれば、テロに屈することになる。それでは日本がテロに弱い国と印象づけられ、今後、かえってテロリストたちが日本人を狙って事件を引き起こし、さまざまな要求を突き付ける事態を招きかねない。(東京新聞/中日新聞)

 スペインの列車テロによって、スペインの世論が撤退に傾むくという成功をもたらした。だからこそ日本も狙われたのだろう。ここで撤退したら、同種のテロが各国に波及し、アメリカのイラク占領統治はますます困難なものとなる。日本はその引き金を引くことになってしまう。撤退はありえない。かといって突っぱねても、日本人は標的となり続けるだろう。
 進むも地獄、引くも地獄、である。だからこそ、左派は「そらみたことか!」と言いたいのであろう。
 産経や読売の立場は明確だ。
「日本政府は苦しい対応を迫られることになったが、福田康夫官房長官は八日夜、『自衛隊はイラクの人々のために人道復興支援をしている。撤退する理由はない』と断言した。この姿勢を強く支持したい」(産経新聞)
 日本は、かつて日航機を乗っ取った日本赤軍による仲間の釈放と巨額の資金要求に屈し、テロの国際的拡散を助長した苦い経験がある。 その過ちを繰り返してはなるまい。テログループによる自衛隊の撤退要求などに屈するわけにはいかない。(読売新聞)

 では、人質はどうするのか。その対応はやはり弱く、「情報収集」「米軍との協力」を持ち出すしかない。「それなりに努力してみるが、最悪の場合、三人には死んでもらう」と言いたいのだろう。他紙が明言を避ける中、読売は…
 昨年のイラク戦争の直前から、外務省は渡航情報の中で危険度の最も高い「退避勧告」を出していた。三人の行動はテロリストの本質を甘く見た軽率なものではなかったか。
 今回の事態がもたらした状況は、国際社会の中で日本が果たすべき責務としてイラクで繰り広げている復興支援活動を、結果として妨げることになる。 (読売新聞)

 危険地域で人道支援を行っていたとしても、要するに「自業自得じゃないか」ということ。ややきつい言い回しではあるが、一定の支持を得ることができよう。
 ただ、自衛隊派遣するイラクは「非戦闘地域」であり、「安全」と言い続けてきたのは日本政府である。


2004年4月9日金曜日

筑紫哲也「News23」>久米宏「ニュースステーション」

■多事争論「さようならN.S」
45分ほど前に一つの番組が18年半の生命を終えました。言うまでもなく久米宏さんの「ニュースステーション」です。

 「淋しい」というのが何よりも第一の感想でありますが、この番組は“ニュースのかたち”というものを変えました。中でも最大の貢献は「ニュースと茶の間・視聴者の距離を飛躍的に縮めた」ことだと思います。この番組が無かったら私たちの番組も生まれていなかっただろうし、私もここに座っていなかったろうと思います。

 よく二つの番組は光栄にも比較されてきた訳でありますけれども、ライバルというよりは、もちろん負けたくないという気持ちがあって番組を作ってきたことは確かでありますが、それよりも「同じニュースというものを追究している仲間だ」という想いが強くあります。その中で「与党からの風当たり」とか「差し障り」とか、いろんな事を言われた番組でありますが、それはニュース報道をやっていれば、むしろ当然の事であって、それだけたくさんの事を言われたというのは久米さんにとっても番組にとっても、私は“勲章”だろうと思います。ジャーナリズムをやっていたという証拠でもあると思います。久米さんはよく「自分はニュースの司会者に過ぎない」ということを言いましたけれども、しかし、やっていた事は、私は報道の本筋に則ったお仕事だろうと思っております。

 私より若いのに先に辞めてしまうというのはずるいじゃないか、という個人的な感想もありますけれども、しかし、本当に18年半もの間ご苦労様でありました。
 「仲間」ねぇ…これは本心だと思うな。


靖国神社参拝は憲法違反か?―福岡地裁の違憲判決をめぐって

■首相の靖国参拝は「宗教的活動」で違憲・福岡地裁(日本経済新聞)
 小泉純一郎首相の靖国神社参拝は、憲法の定める政教分離原則に違反するとして、九州・山口の戦没者遺族や宗教家ら211人が、同首相と国に2110万円(原告1人当たり10万円)の賠償を求めた訴訟の判決が7日、福岡地裁であった。亀川清長裁判長は「内閣総理大臣による参拝は、憲法で禁じられている宗教的活動に当たる」と述べ、小泉首相の参拝は違憲との判断を示した。「私的参拝」を主張する小泉首相を巡る訴訟の判決は、2月の大阪地裁、3月の松山地裁に続き三例目。違憲判決が出るのは初めて。
 亀川裁判長はまず参拝の公的性について検討。首相が参拝の際、公用車を使ったことや「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳したことなどから「内閣総理大臣の職務の執行と認められる」と公務であることを認めた。そのうえで「宗教的な評価や社会通念に従って客観的に判断すると、憲法で禁じられた宗教的活動に当たり違憲」と判断した。
 ただ「信教の自由を侵害したとはいえない」として、被告側の賠償責任を否定、原告側の請求を棄却した。

 さらに、判決は「靖国神社を四回も参拝したのは、政治的意図に基づいている」と指摘し、「裁判所が違憲性の判断を回避すれば、今後も同様の行為が繰り返される可能性が高い。当裁判所は本件の違憲性を判断することを自らの責務と考えた」と言及をした。
 予想どおり、読売新聞と産経新聞はこの判決を非難している。「特定の主義主張に偏っている」「一連の訴訟は、裁判を利用した一種の政治運動」(産経)とか「小泉首相の靖国神社参拝を『政治的意図』とする今回の判決自体が、政治的性格を帯びた内容だ」(読売)、と「目には目を…」とばかりにイデオロギー満開。
 産経は…
 判決はさらに、「首相が戦没者の追悼を行う場所として、宗教施設たる靖国神社は必ずしも適切ではない」とし、福田康夫官房長官の私的懇談会が出した「新たに国立の無宗教施設が必要だ」とする結論を暗に支持した。しかし、この靖国代替施設構想は遺族や多くの国民の批判を受け、事実上、見送られている。
…などと言っている。「多くの国民の批判」とは何だろうか。いかにも産経的な妄想という気がするが。
 朝日新聞は「靖国参拝にこだわる首相はもう関心を失ったのか、計画は一向に進まない」として、首相自身の怠慢を問題視している。
 毎日新聞は「小泉首相が『靖国に代わる施設じゃないから』と発言したことで骨抜きになったからだ」としている。
 「政教分離に反する」という批判に対する反論は以下のとおり。
■産経「判例を曲解した違憲判決」
政教分離を定めた憲法二〇条について、最高裁が昭和五十二年の津地鎮祭訴訟で、「目的」が宗教的な意義をもち、その「効果」が特定の宗教を援助または他の宗教を圧迫する場合でない限り、憲法に違反しないという判断を示し、これが判例として定着しているからだ。「目的・効果基準」といわれる。
福岡地裁は、小泉首相が平成十三年八月十三日に靖国神社を参拝したことについて、「終戦記念日には、前年の二倍以上の人が靖国神社に参拝し、靖国神社を援助、助長、促進する効果をもたらした」とし、違憲判断を下した。参拝者が増えたのは結果的にそうなったのであり、首相が事前にそれを意図して参拝したわけではない。
福岡地裁の違憲判断を推し進めていくと、歴代首相が毎年初めに行っている恒例の伊勢神宮参拝も憲法違反に問われることになる。
■読売「伊勢神宮参拝も違憲になるのか」
 首相の靖国神社参拝は戦後も、伊勢神宮参拝などと同様、日本の伝統や慣習に基づいて歴代首相が行ってきた、ごく自然の儀礼的行事だった。
 小泉首相は、今年一月五日の伊勢神宮参拝の際に「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳している。他の首相も同様だが、違憲訴訟が出されたなどという話は聞いたことがない。なぜ靖国神社参拝に限って、近年になって違憲かどうかが問題にされるようになったのか。

 彼らは伊勢神宮に関しても訴訟を起こせ、と言いたいのだろうか?まぁ、それも違憲判決になったら、どう反論するのか見物ではあるが。
 厳密に「政教分離」を解釈すると、伊勢神宮との線引きがどこにあるのかという疑問は当然である。靖国の場合、その「歴史」が問題視され、訴訟に発展しているにすぎない。ゆえに、「伊勢神宮はどうなんだ?」という居直りについての反論も、現時点では「歴史」が絡んでこざるをえない。裏を返せば、産経と読売はそれを棚上げするしか選択肢がなかったから、伊勢神宮を持ち出したのである。
■毎日「靖国参拝違憲判決 首相は真摯に受け止めよ」
 伊勢神宮に対する正月の閣僚を伴っての首相参拝を引き合いに「靖国だけ問題にされるのか」と反論、今後も参拝を続けると明言した。
 これはおかしい。司法から違憲と判定された行為を続行することは、公務員の憲法尊重擁護の義務を定めた憲法99条にも反する。旧来方式での参拝を続けるなら、小泉首相は二重の意味で違憲な行為を重ねることになる。
 靖国参拝は、歴代首相の多くが行ってきたが、時の政府自身も憲法に抵触する危険を十分に認識していた。戦後初めて終戦記念日に参拝した三木武夫首相(当時)は、(1)玉ぐし料は私費負担(2)私有車を使う(3)記帳には肩書をつけない(4)公職者を随行させない−−との4原則を設けて、「私人」とした。中曽根康弘首相(同)は終戦記念日での公式参拝に踏み切ったが、中国の反発を理由に、その後は中止した。
 政教分離を憲法で規定している国は少なくない。わが国の場合、二度と国家と神道を結びつけないことを国内外に約束するものとして盛り込まれた経緯を忘れてはなるまい。
 靖国神社は東京招魂社を前身とし、国家や戦争と直結してきた特別な神社だ。江戸期から「お伊勢参り」として広く庶民に親しまれた伊勢神宮参拝を、小泉首相のように同列に論じることには異論の余地があるのではないか。
■朝日「靖国参拝―小泉首相への重い判決」
 首相がこだわる靖国神社とはどんなところなのか。半世紀以上前にさかのぼってみよう。
 戦前の日本では、国家神道に事実上の国教的な地位が与えられ、神社への参拝が強制された。その国家神道の要が靖国神社だった。靖国神社は軍の宗教施設としての性格を持ち、軍国主義の精神的な支柱という役割を果たした。
 日本国憲法が国は宗教的活動をしてはならないと戒めているのは、そうした過去の反省に立っているからだ。首相は「伊勢神宮、あれも違憲?」と語った。政教分離という点では首相の参拝に違憲の疑いがあるが、靖国神社が背負う歴史を見れば同列には論じられない。
 しかし首相は三権のひとつ、政府の長である。個人的心情だと開きなおる前に自分の立場を考えなければならない。首相が参拝すれば、それは靖国神社を特別扱いし、援助していると見られても仕方がないだろう。憲法違反という司法の警鐘に素直に耳を傾けるべきだ。
■日本経済新聞「靖国参拝に一石投じた判決」
 判決も述べるように、憲法に違反する疑いのある国政の最高責任者の行為を是正する方法として損害賠償訴訟に形を借りるしかない現状では、許容されるものと考える。むしろ憲法判断を回避することこそ司法府に期待される「憲法の番人」の役割を放棄するものだろう。
 戦争指導者が合祀されている靖国神社への参拝を繰り返す小泉首相のかたくなな姿勢が日中関係に緊張をもたらし、韓国からも抗議を受けている。最高裁は、愛媛玉ぐし料訴訟判決で、明治維新以降国家が神道と結びつき多くの弊害をもたらした反省から政教分離原則が定められたという憲法の制定経緯を指摘した。首相の靖国参拝は、平和国家として再出発した日本に疑いの目を向けさせることになりかねない。
 私たちは、アジアの近隣諸国との間に摩擦を生じ、国内でも意見の対立を招く首相の靖国参拝は慎重にすべきことを繰り返し主張してきた。もちろん首相にも信仰の自由はある。国に殉じた人々を国家が慰霊するのは当然だ。しかしいまの形での参拝は控えるのが賢明であろう。
■中日新聞/東京新聞
 そのこと自体も重要だが、原告の損害賠償請求を退けながら、法律的には必ずしも必要ない参拝違憲の判断を裁判所が示した意味も大きい。
 「靖国参拝は数十年前から合憲性が取りざたされ歴代内閣が慎重に検討してきたのに、小泉首相は十分議論しないまま参拝を繰り返した。黙っていれば今後も繰り返される可能性が高く違憲判断は裁判所の責務」−という判決理由からは、法に照らして行政をチェックする司法の使命に忠実であろうとする裁判官の気概が感じ取れる。
 靖国神社には、戦陣に散った人たちだけでなく、あの戦争を主導、指導した人もまつられている。かつて同神社が軍国主義を支える精神的支柱だったことは否定できない。
 そのような神社に公式参拝する日本の指導者に、侵略戦争の犠牲となったアジア諸国が警戒心を抱くのは無理もない。原告のように心を痛める人がいるのも理解できる。
 だが、首相はこうした人たちに配慮することなく参拝を繰り返した。判決が出ても「違憲はおかしい」というだけで、まじめに受け止めようとはしない。
 戦没者の慰霊、追悼は個人の自由に任されるべきだが、国の代表としての行動にはそれなりの制約があるのは当然だ。靖国問題に限らず、議論も熟慮もなしで自分の考え、方針を押し通す小泉流には多くの国民が疑問や不安を抱いている。
 他人と議論しじっくり考えると思わぬ発見があるかもしれない。新発見はなくても、すでに見つかっている真理がより確かなものになる。異なる意見には誠実に耳を傾け自説を再検証するのが政治家としての正しい態度である。

■朝日新聞的に「しかも、靖国神社にはA級戦犯が合祀されている。中国や韓国は、そのため首相の参拝に反発している」とは口が裂けても言いたくないのだが、参考までに、韓国の社説。
★中央日報「戦犯参拝しながら平和を語れるか」
福岡地裁が7日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝は違憲との判決を下した。小泉首相の靖国参拝を強力に糾弾してきたわれわれは、今回の判決について、平和を愛好し、近隣諸国との善隣関係を結ぼうとする大半の日本人とともに歓迎の意を示したい。
たとえ、今回の判決が、政教分離の原則にのみ限られたものではあるものの、日本内の大多数の世論を反映したものと考えられるからだ。小泉首相の靖国参拝に反対する理由は明確だ。国際社会で責任のある一員であり平和愛好勢力であることを誇る日本の首相が、人類歴史上、取り返しのつかない罪悪を行った「軍国主義日本」のA級戦犯を、英雄・愛国者に褒め称え追慕するのは、歪んだ歴史認識から出てくるものと判断するからだ。
とりわけ、これらA級戦犯らは、周辺諸国だけでなく、日本内でも途方もない人的・物的被害を招いた張本人らで、終戦の後、国際戦犯裁判によって処罰を受けた人類共同の敵である。ゆえに、日本の首相がこれらA級戦犯らに、毎年、尊敬と追慕の念を示したいと言い張るのは、深刻な外交問題と言える。
万が一、ドイツ首相がヒットラーやゲッベルスの墓地に毎年参拝し「英雄への評価は、国ごとに異なり得る」と話したり、それを批判する周辺諸国の世論について「他国に対する干渉であるだけ」といった具合のき弁を弄するならば、人類の普遍的良心に対する挑戦と考えざるを得ない。
小泉首相の靖国参拝は、一般の戦死者遺族や子孫が、個人的に参拝するのとは全く異なるレベルのものだ。日本の戦没者に対する追慕すべてを反対するわけではない。A級戦犯を一般戦没者らと合祀した後、周辺諸国の反発を招きながらも、日本の首相が定期的な追悼行事を行おうとしている、歪んだ歴史認識に反対するのだ。
小泉首相は、今回の判決を契機に、健康な歴史認識だけが善隣友好を増し、経済力に相応しい政治的影響力を獲得しようとする日本の念願を可能にするとの点を肝に銘じなければならない。
★違憲判決の要旨
?被告小泉純一郎は、本件参拝に際し、公用車を使用し、秘書官を随行させ、「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳し、「献花内閣総理大臣小泉純一郎」との名札を付した献花をし、参拝後に内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝した旨述べており、本件参拝は、行為の外形において、内閣総理大臣の職務の執行と認め得るものというべきであるから、国家賠償法一条一項の「職務を行うについて」に当たる。
?本件参拝は、神道の教義を広め、春秋の例大祭や合祀祭等の儀式行事を行い、拝殿、本殿等の礼拝施設を備える宗教法人である靖国神社において、内閣総理大臣によりなされたものであり、その行為の行われた場所、その行為に対する一般人の宗教的評価、行為者の意図、目的、行為の一般人に与える効果、影響等諸般の事情を考慮し、社会通念に従って客観的に判断すると、憲法二○条三項によって禁止されている宗教的活動に当たり、同条項に反する。
?本件参拝は、原告らに対して信教を理由として不利益な取り扱いをしたり、心理的強制を含む宗教上の強制や制止をするものではないから、原告らの信教の自由を侵害したものとはいえない。また、原告らの主張する宗教的人格権や平和的生存権等は、憲法上の人権と認めることはできない。
?原告らの主張する人格的利益は、憲法上の人権といえないものとしても、一般論として不法行為による被侵害利益たり得ないと解することはできない。しかしながら、本件参拝により原告らが不安感、憤り、危惧感等を抱いたとしても、その行為の性質上、これにより賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったものということはできず、本件参拝について不法行為の成立を認めることはできない。
★靖国神社
1869年「東京招魂社」として東京・九段に建てられ、1879年に「靖国神社」と改名。内務省所管の一般神社と違い、陸海軍両省所管の軍事的宗教施設として造られた。教科書でも「ここ(靖国)にまつられてゐる人々の忠義にならって、君(天皇)のためにつくさなければなりません」(国民学校四年修身)と、天皇への忠誠死を教えるなど、精神的支柱となった。戦後、政教分離原則を定めた憲法の下で一つの宗教法人になったが、1978年、東条英機元首相らA級戦犯14人も合祀している。このことから、小泉首相の靖国参拝は、中国、韓国が強く批判していた。特に中国は、先の大戦での戦争責任を問われたA級戦犯が合祀されていることを問題視。日中両国首脳による相互訪問は停止している。
★憲法第二〇条
(1)信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
(2)何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
(3)国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。


日本人人質事件/今井紀明・高遠菜穂子・郡山総一郎/イラク

■イラクで日本人3人が国際テロ組織とみられる武装勢力に拉致された。犯人は「サラヤ・ムジャヒディーン」と名乗り、カタールの衛星テレビ、アルジャジーラに3人の日本人を拘束したビデオテープとアラビア語の声明を送ってきた。 拘束邦人の解放条件は3日以内の自衛隊撤退。
■拘束されたのは札幌市出身の今井紀明さん、千歳市出身の高遠菜穂子さん、週刊朝日記者の郡山総一郎さん。イラク国内では自衛隊が展開する南部サマワの宿営地が迫撃砲によるとみられる攻撃を受けたばかりだ。
■小泉純一郎首相は「テロの脅しには屈しない」と息巻いており、民間人の拘束が確認されれば、困難な政治決断を余儀なくされる公算が大きい。「テロに屈しない」という勇ましい小泉サン…このままいけば、殺害現場が放映されることとなるかもしれない。
■日本人がテロリスト集団の標的になることは予期されたが、これは最悪の事態である。まだテロで死亡って方が政権へのダメージは小さいかもしれない。自衛隊派遣した小泉首相の決断に非難が集まるうえに、撤退させなかった責任まで問われることになる。
■「信州」への県名改称、77%が否定的 長野の世論調査(朝日新聞)
 長野県の田中康夫知事が県名を「信州」に改称するよう提案していることについて、県内に本社がある報道機関や企業などでつくる同県世論調査協会が県民1000人に電話調査したところ、77%が「望ましくない」と回答した。田中知事が住民票を長野市から県南部の泰阜村に移したことについては、「問題だと思う」が56.9%で、「問題はないと思う」の38.8%を上回った。
 また、田中県政について、「支持する」と「どちらかと言えば支持する」を合わせた「支持」は61.4%で、00年の就任以来、同調査では最も低かった。
 調査は今月3日から5日に県内の成人男女を無作為で抽出し、回答者が1000人に達するまで調べた。

■プロじゃない!みのが「報ステ」をばっさり(夕刊フジ)
 フリー司会者、みのもんた(59)が7日、都内で行われた「銀河高原ビール」のCM会見に出席「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスター(49)に“喝”を入れた。
 みのは、まず終了した「ニュースステーション」の久米宏キャスターについて「ライバルだなんて言われたこともあったけど、とんでもないよ。ぼくの目標でしたから」と大絶賛。
 だが、古舘には「1回目を見たけど、久米君のマネでしかない。古舘ショーとして久米流に真っ向勝負すべき。こんなチャンスもらって、最初のひと言が『すいません』とはプロじゃない」とキツイ採点。
 「お前の『報道ステーション』にしろよ! といいたい」と、激辛エールを送ったが、最後は、「何で出演依頼がオレんとこに来なかったわけ?」とみの流コメントで笑わせた。



2004年4月8日木曜日

子どもに見せたくない番組、クレヨンしんちゃんが春日部名誉市民

■しんちゃん一家に住民票 埼玉県春日部市(共同通信)
 人気漫画「クレヨンしんちゃん」で、野原さん一家の住所地になっている埼玉県春日部市は6日、特別住民票をしんちゃん一家に交付した。
 一家は市制施行50周年を今年迎える市のイメージキャラクターを1年間務め、職員の名刺や市のパンフレットなどにイラストが使われる。
 6日午後、同市市民文化会館で行われた交付式には、着ぐるみの家族4人が出席。三枝安茂市長から住民票を受け取ったしんちゃんは「これでおらも春日部市民だゾ」と喜んだ。
 住所は架空の「春日部市双葉町904」で、一家の愛犬「シロ」も備考欄に記載された。


まぁ、春日部の知名度の向上には貢献しているね。ちなみに、日本PTA全国協議会が公表したテレビ番組の調査で、「子どもに見せたくない番組」のトップに「クレヨンしんちゃん」が挙がっている。言葉遣いや下品なギャグを問題視する保護者が多いようだ。


2004年4月7日水曜日

ナイナイ岡村・空き巣被害/視聴率動向

■ナイナイ岡村さん自宅荒らされる…先月末、被害品なし(読売新聞)
 人気お笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村隆史さん(33)の東京都港区の自宅マンションが先月末、空き巣の被害に遭っていたことが、6日分かった。
 警視庁高輪署の調べによると、先月29日午後8時ごろ、6階建てマンション最上階にある岡村さん方のベランダの窓ガラスが割られ、室内が荒らされているのを、帰宅した岡村さんが発見し、110番通報した。被害品はなかったという。同署で住居侵入の疑いで調べている。

 被害なし…ですか。コストを支払うことなくネタを手に入れるとは、芸人としては「おいしい」ってやつだろうか。まさか自作自演だったりして?とりあえず、『オールナイトニッポン』には大量のネタハガキを届けることになりそうだ。
■祝★巨人視聴率低迷
「深刻G視聴率低迷…開幕戦17%史上ワースト2」(夕刊フジ)
 堀内丸は前途多難の船出…。そのぶざまな負けっぷりはともかくとして、放送関係者の間で、動揺が広がっている。巨人Vs阪神という開幕カードだったにもかかわらず、思いのほか視聴率が伸びなかったのだ。
 4月5日の開幕戦(日本テレビ)は17.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったが、これは、ナイターとしては史上最低だった昨年(対中日戦)に次ぐ低い数字。同じ阪神戦で比較すると、原監督の1年目にあたる02年の開幕戦は26.4%をマークしていた。日本テレビには、どんな監督でも、初年度は数字が獲れる−という伝説があるが、これだけでも堀内巨人の不人気がいかに深刻かが分かるだろう。
 ちなみに、5日の開幕戦は、関西地区では28.8%という高い数字をマークした。もう「野球は巨人」というのは一昔前の話。今では、阪神人気の足元にも及ばないのだ。
 昨年は全局平均で14.3%という史上最低の視聴率を記録した巨人。それだけに放送関係者は戦々恐々といったところ。改めて、堀内巨人の不人気ぶりが数字にクッキリと表れたからだ。
 「阪神戦で、20%いかなかったというのは正直言って、キツいですね。小久保やローズといった大型補強をしたにもかかわらず、それがまったく効いていない。今後の試合展開にもよりますが、史上最低だった昨年を下回る可能性は十分でしょう」と民放関係者は話す。
 案の定、2戦目は17.2%、3戦目は14.7%と数字は下がる一方…。グループの日本テレビ系列はともかくとして、他局が巨人戦を見放す日も、そう遠いことではないかもしれない。

■事態はよい方向に向かっている。アンチ巨人としては、好ましい限りだ。リハビリ中の長嶋茂雄に関して、「巨人の勝利が最良の薬になる」などとマヌケなことを言っていた連中がいたが、その逆になってしまったではないか?「巨人の開幕三連敗はミスターにダメージを与えた」とか指摘すればいいのに。
■申し訳ありません!古舘「報ステ」14.6%好発進(夕刊フジ)
 フリーアナウンサーの古舘伊知郎(49)がキャスターを務め、5日夜スタートしたテレビ朝日系報道番組「報道ステーション」(月−金曜午後9時54分)が平均視聴率14.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でまずまずのスタートを切った。
 古舘は、初日の放送で白いシャツにノーネクタイ、ベージュのジャケットというカジュアルなスタイルで登場。注目の第一声は「申し訳ありません!」だった。
 18年半続いた前任「ニュースステーション」の久米宏キャスター(59)が“報道番組の革命児”といわれたのを意識した発言。視聴者に「スポーツ、バラエティーとやってきたのでニュースキャスターではありません。これからニュースキャスターになります」と謙虚な姿勢だ。
 確かに、マシンガンのように造語を連発する“古舘節”の炸裂こそなかったが、報道番組にしては“熱い”トーンでの番組進行ぶりだった。
 ちなみに、昭和60年10月の「Nステ」初日視聴率は9.7%だった。

■Nステの初回との比較はナンセンスだが、この視聴率は「好発進」とは言えないのではないか。古館のニュースキャスターぶりに注目が集まっていたし、CMもガンガン流していた…当然、これぐらいの視聴率は予想できる。むしろ、ここから上げることの方が難しいのではないか。
■「北朝鮮コメンテーター」である重村智計の肩書きが「拓殖大学教授」から「早稲田大学教授」へと変わっていた。メディア露出によって、重村の市場価値も高まっていた。そこで早大が引っ張りこんだわけだ。なんだかなぁ。
■出川3連覇!「セックスしたくない男」第1位
 先ごろ元モデルの阿部瑠理子さん(26)との結婚を報告したお笑いタレント、出川哲朗(40)が、女性誌「an・an」(マガジンハウス、7日発売)恒例の調査「2004年版 あなたが選ぶ好きな男・嫌いな男」の「セックスしたくない男」で3連覇を果たした。
 「嫌いな男」の総合ランキングでも堂々4連覇を達成。結婚会見で「抱かれたくない男」などの称号について、「芸人としては絶対に譲りたくない」と宣言していたが、見事“公約”を果たした格好だ。
 一方、「好きな男」ではSMAPの木村拓哉(31)が、2位の福山雅治(35)に約1600票の大差をつける圧倒的強さで堂々の1位、11年連続の首位を達成した。
 また、映画「ラスト サムライ」で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた渡辺謙(44)が19位のほか佐藤浩市(43)、唐沢寿明(40)ら中年組の健闘も光った。

 この悪趣味なアンケートに一体どれだけの意味があるのだろうか。逆に「嫌いな女」とか「セックスしたくない女」とかもやってみればいいと思う。セクハラって言い出す奴らがでるんじゃないか?


2004年4月6日火曜日

古館伊知郎の『報道ステーション』(テレビ朝日)

■今日、始まりだったわけだが、事前に予期されたとおり、妙に違和感が残る。時が経てば、違和感がなくなるのだろうか、それとも、新たなニュース番組を作り出していくのだろうか。裏番組では『最強の男は誰だ!壮絶筋肉バトル!!スポーツマンNo1決定戦???』(TBS)というのがやっていた。古館の居場所はそこにあるはずだったのに。


2004年4月5日月曜日

選挙の季節に思うこと…

選挙のたびに同じようなことを言っているので、今後、繰り返さなくてもいいようにまとめてみた。


■騒音という環境破壊
うるさい日本の私うるさい日本の私

新潮社

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 選挙の宣伝カーから流される騒音は環境破壊である。この点は、中島義道『うるさい日本の私』新潮文庫に同調するものである。
 特に耳に障るのが「日本共産党」だ。比例代表じゃないと議席を獲得できないからであろうが、「日本共産党!日本共産党!日本共産党!」とやたら連呼をする。共産党は凶産党と名前を変えたほうがよい。こんな非人道的な洗脳が許されるのか。共産党は「生活」に身近な政策を訴えているが、我々にとって現在進行形で生活を脅かしているものが、他ならぬ「日本共産党!」連呼である。

 しかも、騒音を撒き散らし、不快な思いをさせているにもかかわらず、内容はたいしたことはない。


■国民を馬鹿にしてるのか。

候補者が握手をしたり、笑顔で手を振ったりして、票を獲得しようと考えるのは、選挙民をなめてないか。親近感を覚えて投票するだろう、と選挙民をなめきっているのだ。だが、その隙をつかれる要因は選挙民にあって、それで投票してしまう人が少なからずいるのである。

個人の候補者の公約・資質など当てにならない。問題は政党である。



■その他

・「○○解散」と無理やり名づけるのはよしてください。


■女性議員の数が話題になったりする。これは組閣で「女性閣僚が何人いるか?」以上に無意味な指標である。(とりわけ自民党や民主党など大政党において…)いかに女性が政策立案に参画しているか、あるいは、女性の地位向上のための政策を打ち出しているか、こそが問題であって、数は一つの指標に過ぎない。

■いつも思うのが、「無所属の会って何だ?」ってことだ。そもそも、「“無所属の会”に所属している」って時点で、なにかのくだらないジョークなのかと思ってしまう。ホームページをちらっと見ただけなのでわからないが、「政党間の競い合い」に辟易としている人々が作り出しているユートピアなのだろうか。あるいは、「自分の議席や既得権益、あるいは政党の利益を、国と国民に対する議員としての任務に些かでも優先させる議員は不要」と美辞麗句を並べたてて、「政党間競争」に勝利しようとする人々の集まりだろうか。


2004年4月4日日曜日

オレ流・落合博満監督采配…川崎憲次郎が開幕投手

■昨日、セ・リーグを開幕した。まったく…「オレ流」と称して、ドラゴンズを私物化している(つまり“俺竜”)落合監督が、なんと開幕投手に川崎憲次郎をもってきた。中日移籍後、初の一軍マウンドだ。なにを考えているんだ、落合は。大して結果も出せてないのだから、まずは負け試合に登板させろよ。俺流って…気を衒ってるだけじゃないのか。
■山崎拓と平沢勝栄が北朝鮮と接触をはかって、二元外交との批判を浴びている。落選した山拓は点数稼ぎだろうか。あと、平沢がテレビ朝日の「虎の門」に出ていたので驚いた。よりによって、この時期にバラエティとは…何を考えているのだろうか。


2004年4月3日土曜日

岡本依子選手(テコンドー)

■テコンドーの岡本依子選手がアテネオリンピックに出場できるかどうかが注目を集めている。全日本テコンドー協会(衛藤征士郎会長)と日本テコンドー連合(森喬伸会長)との対立、そして涙を流す「悲劇のヒロイン」(?)…なんとも、メディアが好みそうな構図だ。
■さて、こんなに岡本選手に注目が集まってしまって、オリンピック出場した際に、プレッシャーにならないのだろうか。これだけ騒がせて1回戦負けなんてことになったら、どのツラで日本に帰って来るつもりだろうか。まぁ、いずれにせよ、テコンドーがこれほど注目を集めたのは彼女の功績か。
■米大リーグ開幕戦は本拠地で行うべき=米紙(スポーツナビ)
 シカゴの地元紙『シカゴ・サンタイムズ』は1日(日本時間2日)、「米大リーグを良くする10の方法」という記事を掲載。この中で、開幕戦は対戦する両チームのいずれかの本拠地で行うべきで、日本で行うことはやめるべきだと論じた。
 同記事では、マリナーズのイチロー外野手やヤンキースの松井秀喜外野手を輩出していることからも分かるように、日本には素晴らしいプロ野球が存在し、日本人がヤンキースの試合を生で見るのが、3月だろうがシーズンオフの11月だろうが、その感動は変わらないはずであり、この時期に大リーグの試合を日本で行う必要はないと指摘。さらに、エクスポズがプエルトリコで開幕戦を行うことや、春季キャンプ中にメキシコで練習試合を行うのはまだしも、開幕戦という大事な試合を、日本あるいは欧州で行うことは、この試合を楽しみにしている地元のファンに失礼であり、対戦するチームのいずれかの本拠地で行うのが筋である、としている。

■まさしく、このことが気になっていた。早朝なのに応援しているヤンキースファンがテレビには映し出された。これは「ニューヨーカーも熱狂」というのを伝えたいのだろうが、なぜファンの不満を伝える報道がないのだろう。開幕戦というのはファンにとっては特別なもののはずで、ファン離れがますます深刻なものになりやしないか。国際化のためというのだが、日本人にとっての関心事は勝敗にあるのではなく、あくまでも「松井秀喜」だった。NewYork Postでは“IT'S THE MONEY, STUPID, YANKS' TRIP TO JAPAN ISN'T ABOUT GOODWILL”と題するコラムが登場した。親善などではなくお金のため…だとさ。
■なんとなく、日記を書き始めた。昨日今日で苦戦しつつも、新たな日記システムを構築した。まったりと気が向いた時だけにかいていこうと思う。「ちょっと懐疑派」時代のものもアップした。


2004年4月2日金曜日

エイプリルフールのバカ

■まったりと再始動。しばらく、読者を意図して書くつもりはない。ってか、しばらくの間は誰も訪問してこないだろう。このサイトを知る術がないからだ。


■一年前にも同じことを書いたが、やはり「4月バカの日」である。いい年こいたオトナが必死になって嘘を考えている様がマヌケだ。

■「Yahoo!ばぶばぶ」開始
 「Yahoo!」のコンテンツに「ばぶばぶ」が登場。「Yahoo!ぱふぱふ」かと最初思い、ややびびった。
 「おしゃぶり型入力デバイス」「ほ乳ビン型入力デバイス」「ガラガラ型入力デバイス」「赤ちゃん語翻訳ソフト」などを紹介している。
 コンテンツの中身は「赤ちゃん語」なるもので書かれており、「ぶーばーばぶっぶばばぶぶぶばぶばーぶぶばぶばーばばびばーばばぶぶっぶばぶばぶばーぶ」という記述が見られる。