2004年2月29日日曜日

オウム真理教の裁判

■ちょっと用事で仙台まで行っていたのだった。今日帰ってきて、明日から箱根に行く。二泊して、水曜日に静岡県の沼津市に寄りつつ名古屋の実家に帰る。なんかちょこまかと動いており疲れる。というわけで、次回の更新は水曜か木曜なのです。
■麻原彰晃(松本智津夫)の裁判で面白かったのは、判決が言い渡された時の各メディアの慌てぶりだ。テレビ各局は、「死刑判決が出ました」「主文は後回しです」などを競うように早く報道しようとしているが、その速報性がそんなに重要なことなのか。意味も無く慌てふためいている記者を笑ってください、というサービス精神だろうか。そんなとこで競うくらいなら、もっと気の効いたコメントの準備でもした方がよい。
■街頭インタビューで、麻原を「人間じゃない」とコメントする人が多数見うけられた。なんだかなぁ…。麻原を同じ「人間」と認めたくない気持ちでもあるのかなぁ。しかし、我々の社会が麻原を生み出したのは事実であって、この現実から目を背けていないか?また、目が不自由で小さな頃に盲学校に入れられ、孤独感があった…みたいなのもどうか。なにかに要因を求め、「だからあんな悪魔のような人間になったんだ」と納得して安心したいだけじゃないのか。そんな慰めけっこうですと言いたい。
■それにしても笑えるのは尊師のお歌だ。「わたしは潔白だぁ〜やぁってない〜♪」「しょ〜こ〜、しょ〜こ〜、しょこしょこしょ〜こう、麻原彰晃♪」ってな歌は秀逸だ。また、座禅を組んで一生懸命飛び跳ねている信者も面白い。空中浮遊って脚力で飛ぶわけじゃなかろうに。いったい何がやりたいんだろうか。
■以下、ちょっとしたメモ…各誌社説の反応。(以下の社説引用は主に結論部分から)
■左派は、事件の原因に焦点を当て、社会のあり方に還元する内容となっている。小論文の課題として出されれば、このような無難な回答になるんだろうなぁ。
「教団を生んだ社会の病巣を少しでも知りたい。悲劇を再び起こさないための糧を得たい。」「なぜ事件は起きたのか。なぜ教団がなくならないのか。私たちも考え続けなければなるまい。」(朝日新聞)
「情熱を注ぐ対象を見つけられない若者が、正体不明の宗教団体やカルト集団へとひかれていく風潮は、専門家から繰り返し指摘されている。不正腐敗を一掃し、夢と希望があふれる社会を構築しない限り、事件再発の危険は消え去らないとも心得ていたい。」(毎日新聞)
「生命を軽んじる風潮が広がっている。日本人がオウム事件に正面から向き合わなかったツケだろう。いまからでも遅くはない。事件を多角的に分析し、私たちの生き方、社会のあり方を探り、再発防止の処方箋を書かなければならない。」(中日新聞/東京新聞)
■右派は「治安」「テロ」を強調し、国家による抑え込みを志向する。まぁ、アメリカの「テロとの戦い」に参加しようと意気込んでいる連中において、これとオウム事件が結び付くことは想像できるが。
「国際テロが頻発する時代を迎えながら新たな組織的な反社会集団に対する法の整備は進んでいない。」「野放し状態にある極左の過激派と、国際テロ組織『アル・カーイダ』が結びつくと、どうなるのか。」 「オウム事件とはまさに、日本の治安の『安全神話』を突き崩したものにほかならない。この悲劇を、治安再生の礎石にしなければならない。」(読売新聞)
「サリン事件は、オウムという集団が一般市民に仕掛けたテロ戦争だったことを再認識したい。今も多くの被害者が後遺症に苦しんでいる。テロへの万全の対応が求められる。」(産経新聞)
■日本経済新聞はどちらとも言えない。淡々と語っている印象。
「残された問題も多い。まず、なぜ多くの若者がカルト(狂信)集団にからめとられ残虐非道な犯罪に走ったか、という問題である。超能力や死後の世界への関心、現代社会への不安や不満など、『迷える若者』は少なくない。それに手を差し伸べる活動は十分ではない。経済の繁栄の中で精神世界を軽んじてきた戦後社会のつけと言えよう。」「事件後人員や装備の面で大規模テロ対策は急速に進んだ。だが、事件の兆候を見逃した捜査・警備の反省も不可欠だ。」(日経新聞)
■裁判の長期化について。読売・産経は直接的に弁護側を批判。日経は遠回しに批判。中日は弁護側を擁護。毎日は責任の所在は曖昧にしている。朝日は言及せず。
「裁判が長期化した責任の大半は、国選弁護団にある。迅速な審理に不可欠の争点整理には応じなかった」「弁護団は証人尋問では、重箱の隅をつつくような枝葉末節の尋問を繰り返し、検察側の五倍の約千時間をかけて、引き延ばしを図った。」「裁判引き延ばしの『弁護のための弁護』に近いものだった。」(読売新聞)
「最大の要因は、弁護側の引き延ばし戦術にあった。弁護側は検察官が申請した証拠の大半を不同意にし、重箱の隅をつつくような反対尋問を約九百二十時間(全尋問の83%)にわたって繰り返し、審理は長期化した。」(産経新聞)
「いま刑事裁判の充実・迅速化を目指す刑事司法改革が進んでいる。この裁判を教訓として、『すべての裁判で2年以内の一審判決』が実現する方策を急ぐべきだ。『引き延ばし戦術』との批判があった弁護活動についても検討が必要であろう。(日経新聞)
「しかし、前代未聞の凶悪犯罪でも法が定めた厳格な手続きで裁く必要がある。実行行為をしていない被告の責任を首謀者として問う事件の特殊性、起訴事実の多さからも長期裁判は予想された。弁護団を非難するのは筋違いだ。」(中日新聞/東京新聞)
「空前の事件とはいえ、弁護士の交代や審理のもたつきで遅延した面もある。裁判官や検事、弁護士の迅速化に向けた努力と工夫が不足していたと言わざるを得ない。裁判員制度も導入される折、関係者は二度と繰り返さぬように長期化の原因を究明し、教訓を今後に生かしてもらわねば困る。」(毎日新聞)


2004年2月21日土曜日

社民党のリストラ/ワークシェアリング

■「社民党職員にもリストラの波 政党交付金減、財政火の車」(朝日新聞)
 長年、労組の支援を受け、安易なリストラを批判してきた社民党が、足元の党本部職員のリストラに追い込まれた。昨年の総選挙での惨敗で、党財政を支える政党交付金が激減するためだ。20日、執行部は全職員を対象に希望退職を募ることを職員に通告した。社民党の春は遠い――。

 総選挙で社民党の議席は18から3分の1の6に減った。18日の党首討論で福島党首が「登板」できないなど小会派の制約も大きい。同時に直撃したのが、国会議員数と国政選挙の得票数をもとに配分される政党交付金。昨年は約17億円だったが、今年は約5億円減の約12億円になる。収入の大半を占めるだけに、財政難は深刻だ。支出のカットは避けられない。

 そこで「切り札」に浮上したのが本部職員のリストラ。希望退職者には退職金を上乗せ。党と関係の深い労組などへの再就職のあっせんも検討することで、4月末までに約40人のうち15人を削減。年約3億円の人件費を約1億円分減らす考えだ。支出の約3分の1を占める都道府県連合への年5億円余りの交付金も半減させる方針。

 「雇用を守り、労働者の声を代弁することが売り物の政党が、身内の首を切る。皮肉な話だ」。党職員は、こう語る。

 ただ、想定以上に退職者が出れば退職金がかさみ、参院選の運動資金にも手をつけざるを得なくなる。地方組織の財政力に余裕がなくなれば地方議員の選挙にも影響し、党勢拡大にはマイナスになる。

 党本部も党費の値上げなど増収に躍起だ。「党本部の内部が警察署の雰囲気に似ている」として、会議室を刑事ドラマのロケに貸し出したりしているが、「焼け石に水」(党職員)。党内からは「自民、民主両党のように政治資金パーティーを開くしかない」という意見まで出始めている。

■おいおい、冗談だろ。あの社民党は「リストラ」を批判してなんぼだろが。こともあろうに、自分たちが「リストラ」をする側になるとは。リストラをする企業の気持ちがわかりました…ってか。

■「ワークシェアリング」の理念はどこへ行ったんだよ。こういう苦境の時期こそ、社民党が言ってきた「ワークシェアリング」を実践しろよ。まぁ、社民党の場合、辻元清美みたいに、秘書給与の流用のことを「ワークシェアリング」と思い込んでいた可能性が残るんですがね。

■これは敗北宣言か。リストラをしようということは、もはやかつての規模に回復できないと判断したからだろうか。「ワークシェアリング」をしても成長が見込めない限り、不健全な部分が温存されるだけである。だから、「構造改革」をするしか道はない…そういうことか?

■政策秘書給与の流用に加えて、政治資金パーティーですか。これはもう「政治とカネ」の問題を批判できなくなっちゃうね。それこそ自分の首を締めるような行為だ。たとえ、日本の右傾化を嘆く人々から資金を集めたとしても,それで国民の票を獲得できると思ったら大間違いだ。つくづく「護憲」だけで票が集まった時代が恋しいことだろう。憲法9条が一番必要なのは社民党なのですね。


■このまま社民党はつぶれてしまうのか。民主党の「二大政党制」という詐術を前に、完全に行き場を失ってしまった。これまで、社会民主主義的な(市場の暴力性を是正し、市場を補完していくような)政策体系を作り上げていく必要がある…などと言ってきたが、こんなことをしても実際には票は集まらない。なぜなら、それは日本の民主主義が成熟していることを前提に話をしているからだ。悲しいことに現実はそうではない。

■自民党と民主党という大波に埋もれて、社民党は完全に存在感を喪失させてしまった。社民党に足りないのは「顔」である。こんなことを言うのは不本意なことだが、社民党は復活のために、知名度の高い人物の勧誘に励むべきだ。

■それにしても、社民党が危機に陥っている時に、左翼系の文化人たちは何をやっているんだろうと思う。沈みそうな船に乗り込むのが怖くて、安全な陸の上から「がんばれ」と言っているだけだ。


■自民党憲法改正プロジェクトチームで憲法改正草案のたたき台として論点整理案を作成している。憲法前文に、日本の歴史・伝統・文化・国柄、健全な愛国心を盛り込むという。現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3原則を掲げた一方で、「誤った平和主義、人権意識への戒め」も盛り込むべきとの指摘も出てるとか。

■予想していたことではあるが…とてつもなく変な方向を向いている。やれやれ…「たたき台」というだけあって、叩きどころ満載だ。歴史・伝統・文化・健全な愛国心?まったく…どれもいかがわしい言葉ばかりじゃないか。誤った平和主義?人権意識への戒め?なんなんだこの保守派常套句のフルコースは。頭が痛くなってくる。


2004年2月20日金曜日

カイワレ大臣

■昨年10月〜12月期のGDP(国内総生産)成長率が、年率換算で7・0%とバブル期以来の高い伸びとなった。「改革の現れだ」と福田康夫が強弁していたが、何だろう…景気の回復の寄与したという「改革」って。ともあれ、「実感のない経済成長」と報道されているものの、経済が上向きつつあるのは事実のようだ。そのせいか最近、金子勝を見る機会がめっきり減った(髪の毛も…)。かつてはこれでもかってぐらいメディアに露出してたのに。


■O157の集団食中毒で、国の「カイワレ大根原因説」の根拠とされた調査は不正確とされ、国の控訴は棄却されたそうだ。カイワレとくれば、カイワレ大根をパクついて失笑をかった「カイワレ大臣」だが、現在も手詰まり状態で迷走気味だ。

■昨日の党首討論も、「菅氏が手立てを間違えた。民主党の自己宣伝にこだわるあまりなのか、素材を詰め込み過ぎて主張が散漫になり、どれもが消化不良。首相への切り返しもひどく物足りなかった。」(朝日新聞社説)とか、「菅代表が最初に取り上げたのは農業政策だった。民主党の姿勢をアピールするのが狙いだろうが、党利党略に過ぎる。」(毎日新聞社説)と酷評ばかり。

■自衛隊派遣は憲法違反といった菅直人を真っ向から批判するなど、最近、どうも鳩山由紀夫の動きが目立つ。鳩山は捲土重来の機会をうかがっている。やれやれ…次の党首選で、小沢一郎は鳩山を担ぎだすんじゃないか。なにせ神輿は軽いほど担ぎやすい。

■まぁ菅直人にはがんばってもらうしかないが、保守派が民主党を完全占拠する日は近そうだ。やれやれ…僕はどこに避難したらよいのだろうか。


■大晦日に醜態をさらした曙太郎が、3月27日に武蔵と対戦するらしい。武蔵に対して、曙がどのような突き押し相撲を見せるのか。まぁ、自分の相撲が取れるように頑張っていただきたいのだが、スタミナ切れのところに、武蔵のローキックで撃沈…という展開が予想される。


2004年2月19日木曜日

対北朝鮮経済制裁の有効性

■興味深い統計を見つけたのでメモ(朝鮮日報の記事をもとに)
 韓国・統一部によれば、昨年の日朝間の貿易は2002年に較べ28%減少した2億7000万ドルと暫定集計された。反面、中国との交易は前年比38.7%増加した10億2000万ドル、韓国との交易は12.9%増加した7億2000万ドルと集計された。

 北朝鮮に対する日本の強硬政策などにより、日朝の交易は萎縮している。その一方、相対的に中国・韓国との交易は増加する基調を見せている。
 特に、中国と韓国はそれぞれ北朝鮮の対外交易の1、2位国で、交易全体の70〜80%を占めており、今後、中国・韓国への依存度がさらに高まる見通しだと、韓国の政府当局者は展望した。

■上記のデータは、日本による一国の経済制裁の限界を示している。確かに日本の経済制裁は北朝鮮にとって痛いが、中国・韓国との貿易を深化すれば、それを十分に補いうる。とりわけ、中国への依存の高まりは顕著である。

■そう言えば昨日の『TVタックル』で、政治評論家の三宅久之が「中国は北朝鮮に対してそれほど発言権を持っていない」と話していたが、この発言はデータと矛盾する。むしろ、北朝鮮にとって、中国の存在はますます大きくなっているのが現実だし、北朝鮮の非核化に中国からの圧力は不可欠だ。


■ちなみに、2002年度の日本から北朝鮮への送金が、判明しているだけで40億円(通貨単位の違いに注意)だと言われている。
※外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく報告義務のある500万円以上(現在は1000万円以上)の送金が4億円、36億円は届け出義務のある渡航者による現金の持ち出し。

■以下は、日本がちらつかせている「圧力」の効果に関する素朴な疑問。
・全体のうちで金正日政権へと流れている額は?
・判明しているだけで40億だというが、規制を行った場合、それらをも射程に入ることが可能かどうか?
・他の国を経由して北朝鮮に送金するなど、規制の抜け道はないか?
・その場合、金正日政権は規制回避行動を取ると思われ、在日朝鮮人から親族への送金のみを規制するという最悪の事態にならないか?


2004年2月17日火曜日

これぞ日テレ式の視聴率至上主義

■今日は偉大なる指導者金正日同志のお誕生日だそうだ。これほど「偉大なる金正日将軍万歳〜」という映像が流されてるのは、北朝鮮と日本ぐらいなもんじゃないか。
■日本テレビの『マネーの虎』で、「サブリミナル(潜在意識下)的表現手法」を使ったようだ。オープニングから本編に切り替わる瞬間、1万円札の福沢諭吉の顔を0.2秒間挿入した。民放連(日本民間放送連盟)では、サブリミナル的表現手法について、「公正とはいえず、放送に適さない」と規定している。意図の有無や何らかの効果が認められるか否かにかかわらず不適とし、番組テーマに関するものでも適さないとしている。
■僕ですら「サブリミナル効果」が禁止であることは知っており、プロが知らないわけがない。0.2秒の挿入は、まさにこれを意図したものでしかなく、悪質きわまりない。また、プロデューサーだけではなく、その指示に従った共犯者が当然いるはずで、組織的犯行である。
■日テレのプロデューサーは「お金を印象づけるためで、サブリミナル(効果)を狙う意図はなかった」という意味不明な言い訳をしているらしい。「お金を印象づけるため」って…それを「サブリミナル効果」って言うんじゃないのか?この居直りがすごい。
■視聴率操作に続いて日テレの不祥事がまた発覚した。身体障害者や不正な手段を使っても、視聴率を獲得しさえすればよいという発想、これが日テレ式(あるいは、汐留スタイル)である。視聴率操作の際には、日本テレビに不正を生む風土があったわけではなく、視聴率を抱えるテレビ業界全体の問題だ、として議論を摩り替えた。今回、どのような弁明がなされるのか非常に興味深い。また、各局の報道も注目だ。
■日経新聞の全国世論調査…
日本経済新聞社が12―15日に実施した全国世論調査で、小泉内閣の支持率は前回の2003年12月調査より5ポイント上昇し、48%になった。不支持率は5ポイント低下し、36%だった。イラクへの自衛隊派遣に関しては、賛成が43%、反対が42%となり、賛成が反対を上回った。自衛隊派遣への理解が進んだことが、内閣支持率を押し上げた格好だ。
 自衛隊派遣の賛否の推移をみると、イラク復興支援法が成立した直後の昨年8月の調査では、賛成が28%、反対が52%で、反対が大きく上回っていた。政府が自衛隊派遣の基本計画を決めた後の前回調査では賛成33%、反対52%と、その差が縮小。実際に自衛隊が派遣された今回の調査では、さらに賛成が増える一方で、反対の比率も低下に転じた。
 男女別にみると、男性は賛成53%、反対36%。一方、女性は賛成34%、反対46%で、女性に反対論が根強いことがうかがえる。

■最近のメディア報道を見れば、当然の結果と言えるだろう。派遣前はイラク治安が悪化、テロ多発というニュースばかりが流されていた。最近では、自衛隊の活動内容を紹介する内容に変化している。つまり、「自衛官の死」以上に「復興支援」という側面がより意識される。こんなことで、反対から支持へと移動するのか…そりゃ某氏に「単純な国民」と呼ばれるわけだ。自衛隊派遣、支持不支持を決めるポイントがちょっと違うんじゃないか。
■男女間の乖離は非常におもしろい。「女性は平和を好む」という言説と合致するかっこうだが。世代間の相違は対象外だが、だいたい予想はできる。年配になればなるほど自衛隊派遣への抵抗感は強いことだろう。
■最近では世間の関心事が北朝鮮へと移行している。拉致問題へのいら立ちが、政権批判につながりかねず、支持率が上がったからといって安心していられない。この警戒感から、「対話と圧力」のうち「圧力」への傾斜が予想されうる。やれやれ…不毛な報復合戦へとエスカレートしなきゃいいけど。
■久しぶりに『TVタックル』を見た。いやぁ〜、タカ派がズラリと並んで、江田憲司がまとも見え、ますますひどい番組になっていた。それネタでしょ?と言いたくなるような議論ばかりしている。特にハマコーのトンデモはもはや笑ってすまされないとこまで来ている気がする。


2004年2月15日日曜日

恐れていたメールが来たのだった(管理メモ)

■気がつけば、バレンタインデーだという。年を重ねるごとに、この資本主義的(!)な行事が、だんだん縁遠いものとなってくる。中学生の頃の期待感が懐かしく思え、急激に年を取った気分だ。
■「お便り」は非常にありがたいのだが、ときどきノーサンキューなメールが届く。以下、嫌なお便りランキング。
?無礼者。
?「〜について教えてください」「試験がやばいんです」と僕に助けを求める。
?単なる他人の受け売り、知識のひけらかし、著名な学者・知識人を持ち出して無意味な権威付けをする。
?読解可能な日本語ではない。論理の飛躍がひどい。
?なんか一人で盛り上がっていて(自分だけ理解しているつもり)、付いていけない。また、聞く耳を持ってくれない。
まぁ、このてのメールは「黒ヤギさん」を見習って、読まずに食べてしまうので、どーってことはない。
■今日、バレンタインデーのチョコの代わりに、僕が恐れていたメールが来てしまった。ホームページの管理・制作に関わる指摘だ。今回ご指摘があったのは、「タグがおかしな組み合わせになっているせいで、ブラウザ『Mozilla』(又はNetscape6〜)では、うまく記事が表示されない」というものだ。むむ…IEでの表示ばかりを気にしてるため(普段は違うプラウザを使っているが)、「バリアフリー」が達成できていないようだ。タグがおかしな組み合わせになっているのは、僕がHTMLに関してドシロウトであるからで、初歩的なとこ以外は他の記述を模倣しつつ、試行錯誤で作成しているからだ。
■ここ1ヶ月の間に訪問していただいた方の統計によれば、確かにInternet Explorerの方が圧倒的に多いものの、1割もの方がNetscapeだ。これは無視できない数字である。あるいは、僕が解像度を「1024x768」で最大化して見ているため、これ以外の人にとっては見ずらいかもしれない(特に800x600の方…けっこう多い)。デザインの大枠すら決らないのに…どうしたものか。とりあえず、お便りをいただいたGさんから処方箋をいただいているので、その点だけでもひとまず直しておこう。「そのうち」と逃げていては、わざわざアドバイスを頂いたGさんに申し訳ない。
■ウェブの管理に関する指摘でよくもらうのが、この■についてである。この生活ノートは、突如として話題がガラリと変わる。初めて読む方はこれに戸惑いを感じるらしい。だから、「■は話題を変える時だけに使ったらどうか?」という指摘を受ける。実はネタが同一でも、一つの文章として組み立てる手間を省くために、■を使っている。また、■という区切りを入れることで、長文を読む際の精神的負担を軽減できると思っているからだ。改善策として、話題を変えるときは改行を二行にしているが、あまり効果をあげていないようだ。う〜ん…■と▼を使ってみるかな…それとも、どこかのblogツールを使うか…
■情報ソースを提示して欲しい、という意見もよく寄せられる。確かに流行しているblogを見てもそれが必須なのはわかる。どの記事に依拠して書いたかを提示するのはマナーとも言えるし、あれば少しは理解の手助けとなろう。だが、後々から見る時に、リンク切れがあると気持ち悪いと思って、躊躇ってしまう。この点は引用枠を付けてわかりやすくしたつもりだが、まだまだ検討が必要だ。
■運営に関するお便りを恐れている…と言ったのは、迷惑だという意味ではなくって、どれも有意義な指摘であるがゆえに、改善すべき点が露呈するからだ。これは、よりよいサイトを作るためには避けて通ることが出来ないので、歓迎したい。気づいていた点があったら、遠慮無く送ってください。


2004年2月14日土曜日

靖国神社とか従軍慰安婦のヌードとか

■ある方からお便りをいただいて、「中国は靖国神社を外交カードとして利用しているだけ」という指摘があった。まぁ、何が言いたいのかよくわからないものの、中国は「とんでもない国」であるとわざわざ僕に伝えたかったのだろうと理解しておく。
■もう少し考えていただけたらわかるのだが、じゃぁ、その「とんでもない国」に「外交カード」を献上している愚か者は誰か?「憂国」とか「愛国」といった聞いてて赤面してしまうようなフレーズを好み、自己陶酔している者にとって、靖国神社は聖地なのだろうが、僕にとっては厄介な場所でしかない。
■したがって、まず前提条件から違うため、靖国参拝の是非に対しても認識が違ってくる。わざわざ外交カードを提供するために、靖国神社に参拝することに意味があるとは思えないし、A級戦犯が奉ってある神社に参拝するが「称賛」と映り、反日ナショナリズムの起爆剤になるという帰結は、当然のことではないか?少なくとも「日本は死者を区別しない」という論理が通じるわけがない。
■「二度と戦争を起こしてはならない」という気持ちが、小泉首相を靖国参拝へと駆り立てるのだそうだ。ならば、この国のために亡くなった方に対して不戦の誓いをする場所に、わざわざ靖国を選ぶ必要はあるまい。もう少し彼に脳みそがあれば、賢い行動が期待できただろうが、それは無理のようである。中国・韓国という「抵抗勢力」を見て、闘牛のように興奮している小泉サンは、毎年一回の参拝しようと意気込んでいるようだ。
■「愛国者」「憂国者」は悲しいまでに単純だ。だが、彼らが抱く中国への憎しみとは逆に、日中の経済依存関係は驚くほど進展している。彼らに必要なのは、自分たちの存在が(愛国・憂国する者が好きな)「国益」を損なっているという自覚だ。
■朝鮮日報を見て知ったのだが、韓国で「慰安婦ヌード」なるものが問題となっているらしい。
元従軍慰安婦のファン某(76)さんは韓国挺身隊対策協議会(挺対協)、韓国女性民友会とともに、13日、タレントの李丞涓(イ・スンヨン)さんと(株)ネティアンエンターテインメントなどを相手取って、李さんの「慰安婦ヌード」に対する写真、動画像、インターネットサービス提供禁止仮処分申請を行った。

申請者らは、「日本軍慰安婦をテーマにヌードを制作したのは、李さんの脱いだ体を通じて犠牲者たちの裸身を連想させようとする反人倫的動機に起因している」とし、「被害者たちの最も記憶したくない部分を露骨に利用している」と主張した。

「日本軍の“慰安婦”を題材にヌードを制作するのは、李丞涓さんのヌードを通して慰安婦の被害者たちの裸体を連想させようとする人倫にもとる動機だ」
「ヌード写真集の題材に慰安婦を選択したことは収益を極大化しようとする制作会社の戦略に過ぎない」
「慰安婦関連の活動に全く参加していない李丞涓さんと制作会社が『慰安婦の問題が忘れられているのが残念』で、これを題材にしたという主張も納得できない」
などの非難があるらしい。これに対して、製作者側は…

ネティアンエンターテインメントのパク・チウ経営企画理事は「日章旗を燃やすシーンも含めた写真を全体的に見れば、純粋な企画意図だとをわかってもらえるはず」とし、「パラオで撮影した写真2000枚余を持って挺対協を訪ね、対話を通じて妥協点を探したい」と話した。
■どちらに転んでも日本にとっては厄介な問題である。日本の場合で考えると…沖縄における米兵のレイプ事件を再現するようなもんか…などと思ったが、違うな。製作者にとっての「純粋な企画意図」というのは何だろう。


2004年2月13日金曜日

牛丼と神々の国の単純な国民

■吉野家で「牛丼屋に牛丼がない」ことにブチキレたというニュースには笑った。牛丼屋で牛丼が食えない…それだけで暴行事件を起こしてしまうパワーはなんだ?

■そう言えば、ちょっと前に松屋で味噌汁が来ないことにブチキレてる現場を目撃した。「味噌汁が来てませんけど」と言えばすむだけなのに、わざわざ怒る。このアグレッシブな姿勢を見習いたい。これぞまさしく牛丼パワーだ。

■松屋も牛肉が切れるらしく、発売停止の前に「記念食事」をしておこうという人々が増えているらしい。これはメディアが牛丼屋を中継するなど、牛丼の宣伝していること(NHKまでも…)影響が大きい。別のところでも言及したが、ちょっと前のBSE騒動では、そもそも「狂牛病」という恐ろしい名称が使われており、感染した牛の映像が流されたり、焼肉屋に客が入っていない様子が流され、風評被害を煽った。

■前の反省からか、今回は非常に対照的である。だが、牛丼が食べれなくなるということはそれほど重要性はなくって、もっと注視すべきなのはアメリカの農業政策ではないか。確かに日本の場合、全頭検査が行われているために、BSEが発見されたとしても風評被害を煽るような真似は慎むべきだ。だが、アメリカ産の牛肉は状況が異なるはずである。

■ちなみに牛丼食べ納め行列に関して、牛丼とは無縁と思われる日本経団連の奥田碩会長は「(牛丼がなくても)死ぬわけでない。日本人は右から左へ早くふれやすい、単純な国民だと感じた」と、牛丼フィーバーをチクリと皮肉っている。奥田サンに言われるのは、なんかやな感じですね。「単純な国民」ですか…でも、その愚民はさぞかしトヨタ自動車にとって都合のよいことでしょうね。


■A級戦犯が合祀されている靖国神社への参拝について「私は抵抗感を覚えていない」と小泉首相は語ったようだ。「よその国からああしなさいこうしなさいと言われて、今までの気持ちを変える意思は全くない」と。この信念がアメリカに対しても欲しいところである。

■公明党の神崎武法との会談で、靖国神社参拝について、中国の胡錦涛・国家主席は「両国の指導者は歴史に対し責任を持たねばならない」と懸念を示すにとどまったが、唐家セン(王へんに旋)国務委員(前外相)は「両国の政治的発展の制約になっている」と厳しく批判している。唐は特にA級戦犯が合祀されていることに触れ、「指導者の参拝は、伝統や宗教の問題ではなく、アジアの国民の感情を損なう」と指摘した。

■産経新聞の今日の社説「大相撲韓国公演 日本文化への理解を期待」、期待を裏切らない論の展開には笑った。大相撲の韓国公演が週末からソウルと釜山で行われることの言及から始める。

(前略)
韓国公演が遅れたのは過去、日本の支配を受けたことから、韓国側に日本の伝統文化に対する拒否感があったからだ。韓国公演の実現は韓国の対日感情の好転を意味する。日韓関係の前進として歓迎したい。
��中略)
相撲は伝統的な日本文化としてその姿を古くから守ってきた。勝ち負け中心の単なる格闘ではなく、礼儀や型が重んじられてきた。ぶつかり合う激しい一瞬のほかは、粛々として実に静かである。

これは神社や寺での「奉納相撲」でも分かるように、神仏を前にした人間の謙虚さ敬虔さを意味しているといってもいい。相撲が儀式的なのはそのせいだ。神仏の前では最後は勝ちも負けもない。戦い終われば勝者も敗者もない。おごることもなく嘆くこともない。礼儀正しく静かに退場する。

韓国では日本の首相の靖国神社参拝に依然、拒否感がある。まるで日本が再び軍国主義化するかのような議論さえある。

しかし日本では戦いの後の死者の霊に差別はない。みんな平等に謙虚にまつる。「神々の国・日本」の大相撲を機に、日本への理解がさらに深まることを期待したい。


■相撲→文化への理解→靖国参拝への鮮やかな移行は流石である。まぁ、靖国は唐が言うように「伝統や宗教の問題ではない」のであって、すり替えないと正当化できないという苦しい事情もあるようですが。「天皇中心の神の国」という妄言は聞いたことがあったが、日本が「神々の国」だったとはね。そもそも、日本人にだって「日本文化への理解」ができないんじゃないか…もちろん「産経的な」というのが付くけど。


■同社説に「大相撲は最も伝統的な日本文化の一つだが、一方では“国際化”も進んでいる。これも韓国の皆さんにはぜひ知ってほしい日本の姿である。」という記述があった。国際化って…産経は「モンゴルやハワイ出身の横綱が誕生しているように、各国の力士が活躍中」であることを論拠に挙げているが、ちょっと違うのではないか。相撲はただ、おいしい出稼ぎの場を提供しているだけのように思える。


■サンデープロジェクトの司会者として、島田紳助の後任は うじきつよし に決定したらしい。まぁ、あのポジションは誰でもいいわけだが、島田紳助よりはマシなコメントができるのではないか。そもそも、お茶の間(素人)の代表として、サンプロの司会者に芸能人を置いているようなのだが、それが必要なのかと非常に疑問になる。だいたい、いつも「頑張ってください」といったくだらないことしか言ってない。


■安倍晋三幹事長は、自衛隊のイラク派遣承認案を採決した衆院本会議を欠席・退席した加藤紘一、古賀誠、亀井静香の3氏に対し、それぞれ電話で「戒告」処分にしたことを通告した。政党の決定と個人の信念をどちらを優先すべきか…まぁ微妙な問題でもあるが。本来なら、加藤紘一の行動には拍手を送るとこだが、三人とも信念というより、存在感をアピールしようという政治的な思惑からではないか。


2004年2月11日水曜日

ダメ人間

■大学生としての義務を終えた僕は、ゲームばかりしていた。睡眠・トイレ・水分補給…それ以外は全てをゲームにそそいだ。携帯は電源を切られており、邪魔する物は何も無い。気がついたら2日すぎていた。この集中力が学業に欲しい。
■ふと我に返る。大学院生への準備期間で、勉強しなければならないのに、ゲームをやっているとは何事だ。とりあえず、気を引き締めなければと思うものの、ゲームによって僕は無気力になっている。こうやって書いていると、またゲームをやりたくなってきた…。
■『お言葉を返すようですが』というコーナーについて考えているのだった。生活ノートでネタが消化されてしまえば、このコーナーの必要性が見当たらない。どうしようか。ひとまず、更新してはみたが…


2004年2月8日日曜日

ハゲの歴史学(ハゲ学)

■いま気になっているのは「ハゲの歴史」だ。そもそも、「ハゲの歴史」とか書いても、ネタにしか思えないこの状況は何だ。これまで、僕も「ハゲ」を容赦なくネタにしてきたが、昨日のノートを読み返してみて「なぜハゲは笑いの的になるのか?」と思ったのだ。その前提にはいったい何があるのか…非常に気になるではないか。

■加齢に伴って、頭の毛が抜けること自体自然なことだ。白髪は笑いにはつながらないが、ハゲは違う。同じ加齢による現象なのにこの違いは何だ。ハゲは誰にも迷惑をかけていない。なのに何故、ハゲることを恐れるのか。

【仮説1】ハゲの市民権を奪ったのは「カツラ」である。

■すぐにこの仮説が浮かんでくる。ヒントを与えたのは、やはり昨日取り上げた「アデランス」だ。「カツラ」はそもそも「アンチエイジング」的な発想から開発されたものであろう。が、いつしかズラ(ヅラ?)がコントの主役になっている。これは「ズラがずれている」「バレバレのズラ」といったコント的状況(カツラの失敗)から生まれたものだ。

【仮説2】ハゲへの必死な抵抗が笑いを生む。

■「カツラの失敗」から見えてくるのは、ハゲを隠したいという必死さであり、それがますます笑いを生む。また、「カツラ」の登場は「ハゲ=恥ずべきもの、隠すべきもの」という思想をも生み出した。これらによって、ハゲを忌み嫌うことが定着し、ハゲを馬鹿にする文化ができたように思われる。

■以上、ハゲがその地位を失うまでを見てきたが、もっと鮮やかな説明はできないものだろうか。まずは必要なのは、ハゲに関する国際比較だ。詳しくは知らないが、欧米では「ハゲ」を問題視することはないのではないか?カツラやハゲで笑いをとっている番組や映画を見たことがない。また、ハゲやカツラに関する意識調査、カツラ・育毛剤などの市場規模、カツラの歴史などを比較をする必要がある。特に重要になってくるのは、カツラの認知度とハゲへの抵抗の相関関係だ。このてのことを社会学かなんかで分析してないだろうか?先人たちの研究に依拠しつつ、今後も「ハゲ学」をやっていきたいところだ。

■繰り返すが、僕は真剣である。そう言わなければならないとこに「ハゲ」の悲劇がある。


2004年2月7日土曜日

包茎手術

■ハイネックを顔に被った男が、包茎手術を迫ってくる…

■今日、このページの広告を見たら、「上野クリニック」だった。ハイネックを顔に被った男が「一生、悩むか。一度だけ、決心するか。」と迫ってくるのだ。言うまでもなく、「ハイネックを顔に被る=包茎」を意味する。無料ホームページだから仕方ないのだが、このセンスのない広告は何とかして欲しい。

■そもそも「包茎=男の悩み」と勝手に決めつけて、洗脳したのはお前たちじゃないか?真性包茎や嵌頓包茎なら深刻だが、仮性包茎の人まで悩む必要はないはずだ。それに、日本人の6割は「ハイネックの男」であり、多数派である。

■あっ、今度は「アデランス」の広告に変わった。吉岡美穂が「クリックしてミホ」と誘惑してくる。アデランスも「ハゲ=男の悩み」という構図を作り、「ハゲ」であることの不安感を煽っている。包茎にハゲ…こうした「悩み」を製造するする仕組みがある限り、「男の悩み」は尽きない。


2004年2月6日金曜日

着床前診断・「生命の選別」という倫理的問題

■「着床前診断」は、重い障害のある子どもの出産を回避する技術として開発されたが、「生命の選別につながる」という倫理的な問題を抱えたために、日本産科婦人科学会はガイドラインを設けていた。しかし、神戸市の産婦人科の医師がそれを無視し、3組の夫婦を対象に独断で実施し、うち2組は男女産み分けを目的としていたことが判明した。
■障害児を排除しようという発想でさえ、「優生学」的な危うさがある。しかも、恣意的に男女の選別を行うというのは、明らかに「医療」からの逸脱であり、親の都合である。人口のバランスを崩すということよりも、この先に待っているものに危惧を抱く。
■かつての「ラエリアン・ムーブメント」による「クローン人間」騒動の際にも言われたが、生殖医療技術の進展に社会が追いついてない現状が浮き彫りになっている。このようなことを規制せずにいれば、体質さらには能力までも調べて、希望に沿った受精卵だけを選び、出産することが必ずおきてくる。
■まぁ、一般論というか平凡な意見を述べたのだが、「なぜ生命を選別していけないのか?」という根源的な問いへの回答を用意せねばならない。何となく「生命の選別=倫理に反する」という固定観念が出来あがっていて、これを当然のこととして考えてきた。が、これを疑ってみる必要がある…なんてことホームページの「懐疑派」の文字を見て思った。
■「生命の選別」が抱える問題を整理して、じゃぁ「どこまでが許されるか?」という線引きの議論をする必要がある。これについては、そのうち考えてみよう。って、いつも「そのうち」と言っている気がするが(笑)、まぁ、まだ大学の試験とレポートが残っているので、とにかく「そのうち」だ。
■この点に関して(あるいは今回の事件について)、自分はこう考えるとか意見があったら、気軽に「お便り」を送ってください。あと「おすすめ本」なんかもあれば教えてください。


2004年2月5日木曜日

中川秀直・改めて問われる官房機密費の使途

■以下、朝日新聞から部分的に引用。
 女性問題で事実無根の写真と記事を掲載され、名誉を傷つけられたとして中川秀直・前官房長官が、写真週刊誌「フォーカス」の発行元の新潮社などに慰謝料を求めた訴訟で、内閣官房が、2000年7月と8月に内閣官房報償費(機密費)から計2億2000万円を中川氏に支出したことを示す文書を、広島地裁に提出していたことが分かった。
 使途は明らかにされていない。機密費の支出について新潮社は「右翼団体幹部に脅された中川氏が多額の金を機密費から支払った」と主張している。
 官房機密費は「内閣官房報償費」と呼ばれ、官房長官が管理し、自由裁量で使える。歴代の官房長官は国会で、「国の事務を円滑で効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じて最も適当と考えられる方法で機動的に使用する経費」と答弁し、使途は公表されていない。
 しかし、実際には外遊に出かける国会議員への餞別や、慶弔費、外遊の際に首相に随行する職員の宿泊費に使われていることなどが分かっている。ホテル代を水増し請求する手口で首相官邸から報償費(機密費)計約5億円をだまし取ったとして元外務省要人外国訪問支援室長が詐欺罪に問われた事件も起きている。

■二重の意味で中川秀直にとっては痛手だろう。せっかく人々の記憶から消えかかっていた女性スキャンダルが改めてよみがえったのだから。中川のホームページの
「トゥデイズ アイ」は、政治家には珍しくほぼ毎日更新されているが、当人の口からどのような弁明が聞かれるのか注目である。
■機密費で思い出されるのが、塩爺(塩川正十郎・前財務相)だ。サンデープロジェクトで、機密費の使途について、雄弁に語っていたが、国務大臣になった途端、「老人特有の症状」によって都合よく忘れてしまった。国会議員を辞めて、そろそろ記憶が回復している頃ではないか?まぁ、自身が所属していた派閥が今や主流派だし、後輩を苦しめるような記憶の回復は期待できないかな。
■取り上げるのをずっと忘れていたために、ネタとしては古いのだが、この石破茂の写真を見て欲しい。普通なら石破が写真の中心にくるはずなのに、あえて影の部分が収まるような構図をえらんでいる。単なる偶然とは考えにくく、非常に政治的な表現だと思う。なぜなら、影の部分に、石破の背後にひそむ黒幕(アメリカ)の存在を感じずにはいられないからだ。


2004年2月4日水曜日

ブッシュ大統領再選?/民主党の存在意義

■CNN、USAトゥデー紙、ギャラップ社の共同世論調査(2月2日)によれば、大統領選がケリー上院議員とブッシュ大統領の戦いになった場合に、ケリーに投票するという人が53%と、ブッシュ大統領の46%を7ポイントも上回ったという。またブッシュ大統領の支持率は、就任以来最低の49%を記録した。まぁ、民主党の指名争いが過熱している最中なので、今後どうなるかはわからないが、久々によいニュースだ。
■2005会計年度(04年10月−05年9月)予算教書によれば、2004年度の財政赤字が前年度比4割増の5210億ドル(約55兆円)に達する。主な要因は、イラク関連支出や景気刺激のための大型減税によるものと見られている。「テロとの戦い」を最重視し国防予算は、まさに「聖域」となっており、前年度比7%増の4017億ドル、国土安全保障は9.7%増の305億ドルを盛り込むようだ。
■伝統的に共和党は「小さな政府」を志向するが、財政規律が失われていることに身内の中からも批判が出ている。確かに歳出増は9.11と因果関係を持つが、大半は教育費のような新国内支出で政府や議会が主導するものであり、裁量的支出の増加も顕著である。
■ブッシュ政権はパパ・ブッシュ同様、経済問題で敗北する可能性もある。しかも、経常収支は過去最大に膨らむ見通しだ。このような「双子の赤字」がブッシュの再選を阻む障害となるだろう…と希望的観測(笑)
■以下、2月3日付け毎日新聞社説「政党評価 迷い出る企業献金の亡霊」より、部分的に引用。
・このところ日本経団連は政治献金の再開に異常に熱心になっている。それを具体化する一環として先月末に自民党と民主党の10項目の政策評価を発表した。これによると「自民は85点、民主は50点以下」という結果が出た。これを基に会員企業に献金を促す考えだが、実に11年ぶりの献金再開になる。
・洋の東西を問わず、経済界から政治サイドに余計な資金が流れ込むとろくなことがない。しかもそれは常に美しい言葉で美化して始まるものだ。政治は「カネ」に中立ではない。ここから政治の腐敗が始まり経済界の政治への依存体制が復活する可能性がある。
・今回の経団連の政策評価に対して自民党は歓迎し、民主党もこの献金を期待する様子がありありだ。いささか失望を誘う言動だ。企業からの献金にはもっと毅然とした態度が望ましい。
・政党はかつてのゼロから年に300億円を上回る「助成金」を受け取るようになった。私たちからの「無色の献金」だ。その代わり誤解と腐敗の温床になりかねない企業献金から決別してもらおうというのだ。それがいやなら助成金を返してもらいたい。企業献金の亡霊が世に迷い出ては困るのだ。

 これに加えて、改めて問わねばならないのは、「誰のための二大政党制か?」だ。財界が両政党に便宜を図った場合、頭をなでてもらうために、競って企業の利益を代弁する危険性が生ずる。本来なら民主党が振り子のふれを戻す役割をすべきなのに、ますます「自民党」化しているのが現状だ。民主党の存在意義って一体何だ?「自民党2」でいいと思ってるなら、「二大政党制」などという誤魔化しはやめて、さっさと自民党と合併すべきだろう。
■ちなみに、先の衆院選で財界に擦り寄る自民・民主党を問題視する声は非常に小さかった…そんな中、共産党の赤旗は孤軍奮闘しており、非常に敏感になっていた。「時代錯誤な政党」と切り捨てられない存在意義が、そこにはある。


2004年2月2日月曜日

遅れてきた阪神バカ・江本孟紀/サムライの国

■大阪府知事選、現職の太田房江(自民、民主、公明、社民推薦)が前参院議員の江本孟紀、弁護士の梅田章二(共産党推薦)らを破って再選を果たした。
「事実上の三つどもえの争いとなった選挙戦で、太田氏は全国初の女性知事として1期4年の実績と生活者の視点を強調。推薦した自民、民主の府議が一部、江本氏支援に回る乱れはあったが、女性からの圧倒的な支持に加え、自民、公明、連合大阪の組織票を手堅くまとめて、他氏を引き離した。」(共同通信)らしい。

■「18年ぶりに阪神タイガースがリーグ優勝。阪神出身の私に出馬要請をもらったのも『天の啓示』だ」 と言っていた江本だが、あっさりと落選してしまった。「天の啓示」もどこへやら…ちなみに江本は元「スポーツ平和党」だ。

■「江本氏は『官僚知事では財政難や景気低迷から抜け出せない』と、旧通産省出身の太田氏との対決色を前面に打ち出した。元南海・阪神選手としての知名度や、タレント、スポーツ選手らの派手な応援で無党派層の取り込みを狙ったが、太田府政に批判的な一部自民党府議らの『勝手連』的な動きに広がりが見られず、大きな支持を集められなかった」(朝日新聞)ようだ。

■江本は「府政を官から民へ取り戻そう」と言っていたが、大阪府民は横山ノックに懲りたせいかそれも通じなかったようだし、そもそも「自分が民の代表である」というのは傲慢である。まぁ、「僕は痴漢はせん!」と答えてる江本を見て、だめだこりゃと思うのは当然だ。


■衆院憲法調査会が、女性天皇の容認に向けた議論を進めるらしい。日本国憲法2条は「皇位は、世襲のもの」と定めている。さらに、皇室制度の基本法である皇室典範は皇位継承について、明治憲法下の旧皇室典範の規定をほぼ引き継ぎ「皇統に属する男系の男子」に限るとし、女性皇族の即位を認めていない。

■皇太子サンが「子育てやってます!」って必死にアピールしたって、露骨な女性差別と世間に映ってしまったら意味ないですもんね。ちなみに、毎日新聞の世論調査(2001年12月)によれば、女性天皇を認めるべきだと考える人は86%で、認めるべきでないとする7%を大きく上回っている。まぁそれでも、反対が7%というのは、僕にとっては多く感じられ、その根拠には大きな関心を持つ。


■イラク派遣本隊隊長をつとめる番匠幸一郎1等陸佐が、「武士道の国の自衛官らしく規律正しく、堂々と任務の完遂に全力を尽くす」と挨拶したことにぎょっとしたのは、一橋大教授の加藤哲郎が、次のような発言(ネチズン・カレッジ・2月1日)をしていたからだ。
 なんか、イヤーな感じです。今年のアカデミー賞にノミネートされたのが、「ラスト・サムライ」の助演男優賞渡辺謙と外国語映画賞の「たそがれ清兵衛」。山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」自体はいい映画ですが、3月にニューヨーク、ロサンゼルスで封切られる英語版のタイトルは「The Twilight Samurai(たそがれのサムライ)」、それを根拠に、前防衛庁長官の国会質問は「義理・人情・浪花節」の「サムライ精神」で自衛隊のイラク派遣を促します。それに答える最高司令官小泉首相は、「イラクの人々自身によるイラクの復興への支援」といいつつ、陸上自衛隊派遣地サモアの統治機構=評議会があるかないかもしらない始末。要するに、Samurai サムライを正面にたてての、 Show the Flag(アジア人にとっては、いつか見た旗)、 Boots on the Ground(いつかきた道)です。防衛庁長官や外務大臣も、既成事実とマスコミ世論調査での反対論の弱まりをバックに、ひたすら「国際貢献」派兵の正統化、野党の追及もいまひとつ迫力を欠いて、イラク派遣は衆院通過。他方で、自民党に続き、民主党は年内改憲案作成を決定、イラク派兵の旗振り役となった与党公明党は、「論憲」からまた一歩踏み込み、結党時のレーゾン・デートル(存立根拠)であった憲法第9条にも踏み込むことを決定、冷戦崩壊後も、日米安保以外の羅針盤を持たずに彷徨してきたこの国は、「サムライの国」になろうとしています。

 ほんと、「イヤーな感じです」。
 「武士道の国」のサムライ…その研ぎ澄ました刀に、誰の血を奉げましょう?