2004年5月31日月曜日

風見鶏 平沼赳夫

平沼赳夫・前経済産業相の立場が微妙のようです。

■平沼拉致議連会長、訪朝批判と擁護で揺れる発言 (読売新聞)
 平沼氏は22日夜、日朝首脳会談を受けて拉致被害者の家族連絡会のメンバーらと記者会見に臨み、「(安否不明の10人の情報がなかったのに、人道支援に踏み切るのは)安易な妥協だ」と言い切った。

 しかし、24日の党拉致問題対策本部では、岩屋毅衆院議員らが「家族会が首相を『子供の使い』呼ばわりするのは失礼千万だ。なぜ、拉致議連が黙って見ているのか」と平沼氏らの対応を批判。平沼氏のホームページにも、「首相批判は筋違いだ」といったメールが相次いだ。

 平沼氏は25日の拉致議連総会で「訪朝自体は評価したい」と“軌道修正”し、28日の群馬県太田市での講演では「これからが本当の勝負で、首相にはがんばってほしい」とエールを送った。25日の衆院本会議では、首相に近い森前首相に「(首相批判で)ご心配をおかけしました」と語りかける場面もあった。

 平沼氏は「家族の思いを代弁していきたい」との思いを持っている一方で、次の総裁選出馬を目指し、党内で幅広い支持を得たいというのも本音だ。だが、党内では「発言がぶれるのはまずい」との声も出ている。
 当初は、厳しい非難をして時流に乗ろう…って考えたんだろう。家族会も批判していたんで、「我こそは家族会の代弁者だ!」とばかりにしゃしゃり出てきた。が、世間では「評価する」と肯定的だった。これに最も面食らったのは平沼だろう。

■拉致問題によって、安倍晋三が人気を獲得したために、二匹目のドジョウを狙うべく、拉致問題を政治利用する動きが加速していた。「ポスト小泉」レースで勝利するために、平沼さん、点数稼ぎしておきたかったのだろうなぁ。まぁ、その魂胆はみえみえだったから、一部から失笑をかうかたちになっていたが。で、ここで空気をよんで方向転換ですか。平沼総理待望論…わきあがってこなくて残念でしたね。だけど、こういった発言のブレによって、保守派の支持を失ってしまうんじゃないっすか。


2004年5月30日日曜日

橋田信介 小川功太郎 襲撃事件

■元共同通信論説副委員長で、ベトナム戦争当時のサイゴン特派員経験もある藤田博司上智大学教授の話(東京新聞・特報より)
 一般にはジャーナリストは危険を承知で取材に行き、本人がリスクを負っているのだから、その行為は第三者が良い、悪いと言うべきことではない。戦争の実相を自分の目で確かめ、伝えたいという使命感があるからだ。名誉欲やお金のためという側面も入り交じってはいるだろう。ただ、特に日本では、大手メディアの記者が危険な現場から立ち去る中、フリーランスの記者が報道で果たしてきた役割はきちんと評価すべきだ。

 フリーランス記者を評価すべきだというのはもっともだ。

 こういうのが大手メディア批判につながるケースもよくある(勝谷誠彦がその典型)。
 っていってもですね、朝日は「私たちもリスクを負っている」とばかりにこんな社説をのっけてますけど。


■朝日新聞 社説
 4月に起きた日本人の人質事件では、人質になった5人が「軽率だ」と政府・与党から批判された。外務省の渡航自粛勧告を無視して、国に多大な迷惑をかけたではないか、と主張するメディアまであらわれた

 今回の事件で、政府は退避や渡航自粛をさらに強く求める方針だ。

 だが、日本の政治の場には、戦争報道のあり方についての視点があまりにも欠けているのではないか。

 イラクはいま、占領から主権回復にどう進むかという重大な岐路に立っている。各国のジャーナリストが危険を覚悟でイラクに入っている。日本の主要な新聞社も、人質事件を機に記者を退避させた読売新聞など一部を除き、バグダッドを拠点に取材を続けている。

 取材には危険がつきものだ。国際ジャーナリスト連盟によると、イラクでは開戦以来、すでに43人の報道関係者が死亡した。ベトナム戦争では日本人14人を含めた死者・不明者は約70人にのぼる。

 米国では大量破壊兵器をめぐる誤った記事など、過去のイラク報道に関するメディアの自己批判が始まっている。日本の新聞やテレビも自己検証が欠かせない。そんななかで、メディアが立ち返るべき原則のひとつは現場主義である。

 危険を冒しながらも、可能な限り現場にこだわる。橋田さんと小川さんがしようとしたのはそれだった。
 「外務省の渡航自粛勧告を無視して、国に多大な迷惑をかけたではないか、と主張するメディア」である「読売新聞」はイラクから撤退しちゃったみたいだけど、「迷惑をかけちゃいけない」と思ったんでしょうかね…なんて「よい子」なのでしょう(笑)。
 「日本の新聞やテレビも自己検証が欠かせない」…って、大量破壊兵器うんぬんも読売新聞への皮肉のように思えるんですが。読売新聞は「現場主義」で大量破壊兵器問題を自己検証せよ…ってね。


■「外務省の渡航自粛勧告を無視して、国に多大な迷惑をかけたではないか、と主張するメディア」はどう語っているのか。奇妙なことに、「今回の事件で責められるべきは、犯人の方であって本人たちではない。二人の仕事は、むしろ評価に値する」(産経新聞・社説)と肯定的だ。では、いったいなぜイラクの人質を非難したのか。

■読売新聞 社説
 今回の襲撃事件は、先の日本人人質事件とは、様相がまったく異なる。人質事件が極めて特異だったのである。
 政府に国民の生命を守る責任があるのは、当然だ。だが、家族が自衛隊のイラクからの撤退を掲げ、政府に政策変更を要求したことが、無用な混乱を招いたのである。
 家族の「自衛隊撤退」要求に呼応するように、わずか二日間で約十五万人の署名が集められた。国会前では、組織的なデモが続いた。極めて政治的な、奇妙な光景が繰り広げられたのである。
 しかし、国の政策変更を公然と求めたことへの批判に、家族が「自衛隊撤退」を口にしなくなるや、こうした動きも、急速に沈静化した。


■産経新聞 社説
 四月の邦人人質事件の際、自己責任が問題とされたが、それは一部の人たちが自己責任には目をつぶり、責任は自衛隊を派遣した政府にある、として即時撤退を求めるなど、事件を政治的に利用しようとした結果であった。


 なんともわかりにくい。要するに、「自衛隊撤退」と政治的に利用されそうになったから、被害者である人質の無謀さをバッシングしたってことでOK?
 だが、拉致家族会バッシングへの反論のように、家族の心情を理解し寛容になれなかったのだろうか。


■ついでに「産経抄」も…
 イラクの人質事件がおきた時、「自己責任」問題がかまびすしく論じられた。小欄は“言い出しっぺ”の一人だから、責任上再度申し上げるが、そのことでは「国の方針に従わぬ人間は死ねということか」という式の反論があった。

 なかにはフランスの新聞やアメリカの政府高官の見解を引き合いに出してきたメディアもある。例によって“外圧”を利用し、トラ?の威を借りるなんとやら、しかも都合のよい部分の引用だから笑止千万とも何ともいいようがなかった。

 「自己責任」論とは、何もイラクに行くなという主張ではない。そこは超危険な地であり、最高度の退避勧告がでている地だから、行く以上は自分で責任を持て。他人には迷惑をかけるな。ましてやジャーナリストなら危険を冒すことに自ら責任を負うべきであるということだった。

 今度の場合の考え方も、その延長線上にある。惨事は痛恨極まりなく心から憂慮するが、二人ともそれなりの決意と覚悟の上の取材行だったはずである。日ごろからそのように語っていたともいわれている。国家や政府の責任など持ち出せば、二人にはさぞ迷惑なことだろう。
 やっぱりイラク邦人人質事件の時とは温度差があるね。


■こうなると、いかに自分の都合のいいように利用するかが問題となる(参照:奥さんの遺志)。かっこうの批判材料を得た…とばかりに、しんぶん赤旗が「戦争批判した おじとおい」「自衛隊派兵見る目 痛烈」と見出しをつけている。
 「一日一億円かけて210万円の水を供給している自衛隊」「今度はサマワで『バカ!』と叫びたい」――。死亡が確認されたフリーのカメラマン、橋田信介さん(61)は夕刊紙「日刊ゲンダイ」(十二日付)にそんなリポートを最後に寄稿していました。
 イラク情勢について、「日刊ゲンダイ」に不定期でリポートを掲載していた橋田さん。今回、自衛隊宿営地の取材がひとつの目的でイラクへ行きました。

 自衛隊派兵を見る目は痛烈でした。
 前出記事には自衛隊の給水活動について、水の価格の「五十倍以上のムダな予算をかけて」「黄金の水」をつくっていると指摘、こう批判しています。
 「自公政権は…安いコストと考えているのだろうが、現地イラク人はもちろん、フランス、ドイツ、ロシア、中国の人々は『アメリカの犬がまたバカをやっている』とせせら笑っている。今回の自衛隊派遣は、国際社会で不名誉でバカな行為と思われているのだよ、第2次隊の皆さん」
 民主党内には、今回の事件で、イラク復興支援特別措置法に基づく「非戦闘地域」ではなくなった、として、自衛隊撤退に言及する向きもある…らしい。みっともないから今はやめとけと言いたい。


2004年5月29日土曜日

日朝会談の真相と小泉総理/朝まで生テレビ

久々の「朝まで生テレビ(朝生)」の感想文。
今回、司会者が宮崎哲弥である。
2001年の生活ノートにて、次のような発言をしている。
��「確率」と「確立」を間違えるほど若かった…)
「田原総一郎の後継者は評論家の宮崎哲弥とみた。かなりの確立だと私は思っている。」
で、その後も、「老人特有の症状」が見られる田原に代えて宮崎哲弥にすべきだ、と言い続けた。ついに今回、それが実現したわけだが…。
青山繁晴(作家,独立総合研究所代表取締役)
木村剛(KFi代表取締役社長)
小林よしのり (漫画家)
重村智計(早稲田大学教授)
原口一博(民主党・衆議院議員)
日垣隆(作家,ジャーナリスト)
平沢勝栄(自民党・衆議院議員)
宮台真司(東京都立大学助教授)
宮崎学(作家)
森本敏(拓殖大学教授)
山本一太(自民党・参議院議員)
柳在順(ノンフィクション作家)

 冒頭、先月出演したフリージャーナリストの橋田信介について。
 勝谷が「大手メディアがイラクから引き上げている」ってな毎度のご批判、その後ろ側で、小林よしのりがハンカチで涙をふいていた。たのむから笑わせないでくれ。
 宮台は、日本人記者は「自己責任」論について問いて謝罪させようとしたが、外国人記者は「よくかえってきた」という状況は、そこに「立場の入れ替え可能性」があるからだと主張した。
 つまり、外国人記者は現地取材を行うために「明日は我が身」と考えるが、日本の大手メディアは危険地域から引き上げており、現地取材をするようなジャーナリストを「賤民」のように見下し、想像力が働かないという説明をした。
 いかにも宮台って感じの「わかりやすい」分析なのだが…そうかなぁ。被害者家族への誹謗中傷、さらには政府高官までもが「自己責任」論を言い出す始末…いわば「自己責任」なるものを問う世論ができあがっていた。日本のメディアはその世論をぶつけるのは当然のことじゃないか(まぁ、産経・読売のように「自己責任」論を推進するメディアがいたことも事実だが)。外国人記者は日本の世論から一定の距離をおけるだろうし、「明日は我が身」という想像力を特に外国人記者がはたらかせていたとする根拠も乏しい。
 冒頭の「自己責任」論議…どうでもいいよって感じですかね。「自己責任がある」とか「国家には個人を守る責務がある」とか言い合ってるけど、別に白黒つける必要性はないだろう。
 「自民党が作り出した世論じゃない」と詭弁家の山本一太が言っていたが、少なくとも、それに乗っかったのは明らかじゃないっすか。また、「あなたは自己責任論者なのか?」と問われても、違和感があるとお茶を濁す。違和感って、それは権力者が言うべきことなのですか?
宮崎哲弥…最初、めちゃくちゃ緊張している様子で、原稿棒読み。議論を始めるとすんなりいくんだけど、決まったセリフを言うのがダメみたい。カミまくり。見てるこっちが冷や冷やモンですよ。
…ぐらいしかいえない。録画したものもどこかにいってしまい、冒頭しか見れなかった。


バレーボール:テレビ局と公平性

■男子バレーボール…アテネオリンピックがいよいよ絶望的になり、フジテレビ・TBSの必死さがなんとも滑稽。

■さて、五輪バレーボール予選について、しんぶん赤旗が「大会丸ごと“日本応援団”か」という興味深い記事を掲載していた。

 記事によれば、演出は「すべてテレビ局側の判断」(日本バレーボール協会広報)で、それが選手に影響を与えているという。

 日本の男子チーム、小林敦主将は「(始まる前に)ショーなどがあって、ウオーミングアップしてから試合までの時間が長く、体が冷える」と話しました。オーストラリアのダニエル・ハワード主将は「あまりの声援に神経質になった」といいます。
 本来なら、選手が集中して試合ができる環境を提供するのが国際バレーボール連盟や日本協会ら主催者側の務めです。しかし、運営の多くにテレビ局の意向が働き、現場に影響しているのが現状です。
 視聴率稼ぎのためにNewsを動員して、ジャニヲタを釣ろうってあざとい魂胆がどうも嫌になる。

 また、テレビ局側の意向が反映された結果、公平性の観点から問題が生ずると指摘する。
 今大会、試合は午前中から行われ、他のチームは時間が毎日違います。ところが日本だけはテレビ中継の関係で、すべて午後6時からスタート。そして日本戦だけは、2、3セットの間に、10分間のタイムアウトが設けられ、ショーが行われます。
 テレビ局の要請で時間が変わるのは日本だけにとどまりません。女子の韓国戦でも、地元韓国のテレビ局の要望で、開始を15分遅らせた試合もありました。

 また今大会、日本は男女ともに開催国として特権を持っていました。予選も免除されたうえ、2試合の日程と対戦カードを指定できるのです。
 日本女子は5日目の対戦相手に韓国を選び、4日目に韓国対イタリアが対戦するよう設定しました。これは、自分たちが対戦するまえに、韓国がイタリアとたたかうことでデータを引き出せると考えたからです。

 テレビ局側の意向でもって6時から試合開始。で、テレビ局はあたかも「生放送」であるかのように7時から放送する。まぁ、要するに試合が長引いたり、早く終わってしまうリスクをヘッジするために、時間と相談しながら臨機応変に放送内容時間を調整しているのだ。鮮やかな「時間差攻撃」ですねぇ。

 で、結論部分…
 スポーツはルールにのっとり、どのチーム、どの選手にも平等であることで成り立っています。特に4年に1度の五輪は選手にとって大事な大舞台。そこへの出場を決める場が不公平なものであれば、互いに尊重しあうどころか、不満や憎しみさえ残りかねません。
 韓国の金監督は、「韓国の協会は大きな大会を開く財源はない」と話しました。日本は、他のアジアの国々よりもバレー人気が高く、スポンサーもつきます。大会を開く環境が他国よりあるのです。だからといって、日本有利の大会運営にするのではなく、開催国として公平に臨む責任があるのではないでしょうか。
 国際連盟や日本協会は、テレビの圧力に屈せず、選手を第一に考えた運営、公平な運営に改善することが必要です。
 まったく正論。ちょっと前に取り上げたが、日本でやるのはやはりスポンサーの関係だったらしい。

 メディア、スポンサーの都合で公平性が侵食されている。「スポーツと商業主義」の弊害を指摘する声は今に始まったことではないが、バレーボールの場合は特にひどさが目立つ。こういった非難は当然、テレビ局に押し寄せていると思われるが、改善する様子も見られない。商業主義に走る他のメディアもだんまりを決め込んでいる。

 こういう時こそ赤旗の出番である。「スポーツと資本主義」ってな感じで特集よろしく。


2004年5月28日金曜日

スモハラ(スモーク・ハラスメント)

■「スモハラ」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか?

■断れない、上司のたばこ=6割我慢、「スモハラ」深刻(時事通信)
 上司に「吸っていいか」と聞かれると、約6割は断れない―。
 31日の世界禁煙デーを前に「禁煙広報センター」(東京)が会社員を対象に実施した調査でこんな結果が出た。昨年5月の健康増進法施行でたばこ問題への意識は高まりつつあるが、社内の上下関係を背景にした「スモークハラスメント」は解消されていないようだ。
Yahooでこの記事を見つけた時には、見出しが「会社での『スモハラ』が深刻」だった。冷静に考えれば、「スモハラ」が「スモーク・ハラスメント」の略とわかるのだが、いきなり「スモハラ」などと言われたもんだから、「相撲ハラスメント?」と思ってしまったではないか。相撲ハラスメントだなんて、想像するだけでも恐ろしい嫌がらせだ。この上司が筋金入りで、ふんどし の着用まで強要されたら…ふんどし一丁で上司とがっぷり四つ…退職の理由としてはそれだけで十分だ。

■ともあれ、「スモハラ」である。「吸っていい?」って聞くだけでも、良心的とさえ思ってしまう。別に上司じゃなくっても、「吸っちゃダメ!」なんて言いにくいと思うし、そもそも聞く側だって社交辞令として聞いているだけであって、「ダメ!」という回答が返ってきたら面食らってしまうだろう。逆に上司に対して断れるって人もすごいと思う…気が強いというか、ずぶというというか。


■世の中にはいろいろな「ハラスメント」があるもんだ。
セクハラ(セクシャル・ハラスメント)
アルハラ(アルコール・ハラスメント)
ドクハラ(ドクター・ハラスメント)
パワハラ(パワー・ハラスメント)
アカハラ(アカデミック・ハラスメント)

■何でもかんでも「ハラスメント」をつける安易な風潮はいかがなものか…と言ってる私も「カンハラ(感動ハラスメント」だとか、「カラハラ(カラオケ・ハラスメント)」という語を使ったことがあった。いったいどうなってるんだ。

◆追記
 「スモハラ 相撲」で検索してくる方が数名いたので、「もしかしたら」と思って、「相撲ハラスメント」で検索したら、数件ヒット。この人たちも勘違いしたらしい。「自分だけではなかった…」と妙な仲間意識が芽生えた。
 ちなみに、その人たちは、「相撲ハラスメント」を太っている人への嫌がらせと考えたようだ。


■北朝鮮から帰国した家族の報道―もっと静かにしてあげられないものだろうか。まるで「珍獣」扱いだ。どの店に行って何を買った…ってなことまで調べ上げる。日本にはプライバシーというものがないのか。まぁ、日本人は「日本は自由な国で、しばらく住めば日本の良さを理解する」と勝手な思い込みをしているようだが。

■マスコミが押し寄せることで、閉じこもる要因になってしまう。しかも、そういった映像を見た後で、平気な顔して「日本に早くなじめるといいですね」とかコメントするもんだからたちが悪い。

■記者会見で、記者のバカな質問にも蓮池薫さんは丁寧に答えており、見てて気の毒になってきた。「興味本位の報道はやめて欲しい」と前置きしたばかりなのに、「興味本位」な質問ばかりされていた。別に「冬のソナタ」を二晩で見ようがいいじゃないか。


2004年5月27日木曜日

五輪バレーボール

■中国、オーストラリアに連敗し、五輪出場が絶望的になった男子バレー。こうなると私の注目は、選手以上にTBS・フジテレビの必死さに集中する。視聴者をつなぎとめるために「まだ可能性がある」「あきらめるのは早い」とか言っちゃうんだろうなぁ…わくわく。

女子バレーがオリンピック出場を決めた際も、視聴率獲得のために「全勝でアテネに行こう!」って連呼していた。「他の出場国になめられないために全勝する」とか選手らは言ってたんだが、「マークされるから、負けた方がいいんじゃない?」って思っていた。まぁ、結局、ロシアに完敗して全勝は無理だったんですけどね。後味が悪かったんだけど、そのことはなかったかのように大はしゃぎしてた。さんざん「全勝してアテネに行かなければ!」って言ってた奴が途端に「課題が見つかってよかった」と言い出しちゃうし。いったいどうなってんだよ。


■長野県の田中康夫知事が、自身の住所認定問題で、住所は泰阜村にあると正式決定した。鷲沢正一長野市長は「知事の住所は市にある」として、行政訴訟を起こすんだとか。ヤッシー、くだらねぇパフォーマンスをしてないでもっとよい政策を考えたら? あと、税法には詳しくないんだが、こんなことを許しちゃっていいのか。たとえば浦安市に住民票だけを移して税負担を軽くするってことはできないのかなぁ。


■テレビ朝日:「報ステ」平均視聴率 2週連続で13%台に(毎日新聞)
 テレビ朝日の広瀬道貞社長は25日の定例会見で、古舘伊知郎(44)をキャスターに迎えて新たにスタートした「報道ステーション」(月〜金曜後9・54)について、週ごとの平均視聴率が「2週続けて13%台に乗った」として上昇傾向を強調した。
 へぇ…そうなのか。まぁ、古館さんはそれなりにがんばってると思いますよ。


2004年5月26日水曜日

家族会批判

■首相批判の家族会にメール500件 4分の3が批判の声(朝日新聞)
 「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)が訪朝後の小泉首相と面会した際の発言に、批判が出ている。増元照明・家族会事務局次長(48)は25日午前、拉致議連総会で「ご批判に対して」と題する家族会や支援団体「救う会」の見解案を読み上げた。

 救う会によると、首相と面会した家族会メンバーが訪朝結果を批判した22日夜から、メールが500件、電話が100件、救う会にあった。4分の3は「首相に感謝の言葉がない」「拉致被害者の家族の帰国を喜ばないのか」などと批判する声という。

 「見解案」では「テレビでは報じられていないが、発言者は首相に敬意を示し5人の帰国への喜びを述べた」としたうえで「蓮池さん、地村さんのご家族が全員帰国でき、曽我さんについても第三国での再会ができる見通しになったことはうれしく、小泉首相をはじめとする関係者のご努力に敬意を表したい」と改めて評価した。

 そのうえで「小泉首相が(死亡・不明とされた10人の)未帰還者の真相解明を強く迫らず、『制裁発動なし、コメ支援』という不満足な結果に事実上の幕引きと疑い、強い怒りを感じた。私たちの力不足もあり、国民のご理解を得ることが不十分だった」としている。
 イラク人質事件と同様、「強い弱者」は好まれないってことだろう。家族会に同情していた人々の気持ちも、ヒステリックに非難する様を見ると離れていってしまう。ただでさえ、報道は帰国した家族に集中し、「よかった」という安堵感が広まっている。世論が残りの10人の拉致被害者を見捨てかねない危うい状況であり、それこそ北朝鮮の思う壺である。
 世論を味方にできないと、拉致問題の解決は難しい。テレビでは印象的な部分だけが切り取られてしまい、何度も流される。言動には十分に注意する必要があるってことだろう。
 また、増元さんのように「現政権にできないなら次の政権にやってもらうしかない」といった政治的な発言はやめた方がいい。ただでさえ拉致問題が政治的に利用される傾向があるわけだし。


2004年5月25日火曜日

ISSA ハゲ対策

■ISSA反省のスキンヘッド!!二股交際発覚で(夕刊フジ)
 写真週刊誌で二股交際が伝えられた4人組ダンスグループ「DA PUMP」のISSA(25)が23日、千葉・浦安市内で行われた「MTV Video Music Awards Japan 2004」に出演。“反省”ともとれる剃りたてのスキンヘッドを披露した。

 ISSAは先週発売の「フライデー」で女優、柴咲コウ(22)との破局、アイドルのあびる優(17)、木舩香織(25)との二股交際を報じられたばかり。

 この日、メンバーのKEN(24)から「こいつ『フライデー』でやらかしまして」と紹介され、「本当にすいません」と帽子をとって何度も頭を下げたが、具体的な話は一切語らなかった。
 笑った。坊主にして反省した…って、単なる若ハゲ隠しじゃないっすか!
 イッサ君は、スキンヘッドの時だけ帽子を外せるみたいだね。DA PUMPの他のメンバーも大変だよなぁ… 一茶のせいで、衣装は いつも帽子ですよ。頭皮がむれて一茶みたいに 禿げ ないといいけどね。

■一茶の髪の現状はどうなっているんだろう。通常、一茶は帽子が大好きなため、詳細は不明だが、坊主の映像を見れば、青くなっている部分(つまり、毛根の生存地帯)がかなり後退していることがわかる。

【追記】ネットで拾ったISSA画像。頭皮が…ハゲてますかね?(出所はいつだかしらないがHEY!HEY!HEY!の自宅紹介VTRらしい)
ISSAの頭皮…ハゲてる?


■別に薄毛つながりではないのだが、今気になっているのは蓮池透さんだ。いつも厳しい批判をしてきたのに、今回は妙におとなしい。「ヒステリックな非難は控えるべき」と極めて冷静だ。甥っ子が帰ってきたから…という目で見られやしないか。あと、今後の活動はどうするんだろう…そろそろ手を引きたいって内心では思っているのだろうか。本人は「自分が事務局長をやっていても説得力がなくなる」って言ってたけど。「これからは家族会としてではなく、参議院議員として、拉致問題解決にむけて努力する」って宣言するかも。

■蓮池透さんに代わって狂犬ぶりを発揮しているのが増元照明さんだ。「小泉総理にはプライドはおありなのか。2回も金総書記にだまされているのに平気な顔をしている。」と非難している。さらには「なぜジェンキンスさんに意思確認をしたのか?」「そのまま乗せて帰ってくれば良かった」とも発言。あわわ…それを「拉致」って言うんじゃないですか?また、「現政権のトップである小泉総理が解決能力がないのであれば、次の政権のトップにやって頂くしかない」とも語っている。これが自身の参院選出馬への伏線になるのか?(こちらはすでに出馬を明言している)


■各社の世論調査では、おおむね6〜7割の国民が首相の再訪朝に肯定的のようだ。家族会の強い批判、曽我さんの涙…小泉政権への批判が強まるとてっきり思っていたが、国民は冷静のようだ。まぁ、今回の訪朝を評価するにはまだ早いって感じもするが。民主党にとっては追い風にならないかっこうだが、追求はしていかねばなるまい。

小沢一郎
「拉致は国家テロ。『テロに屈しない』と言った人が、身代金を払って5人を連れてきた。人気取り、選挙目当てのパフォーマンスに(人道支援の)大枚を差し出したのは言語道断だ」
コメ支援するって聞いてから、私も同じような表現を使おうと思っていたが、先をこされてしまった。
 つまり、小泉政権は「人道支援」って美名を掲げれば許されるって思ってるみたいね。ただ、イラク自衛隊派遣では「人道支援」に並々ならぬ情熱を見せていた読売新聞や産経新聞も、今回のは懐疑的のようですよ。


■岡田民主党に「期待」33%(朝日新聞社世論調査)
 岡田克也代表が率いる民主党についての期待度も聞いた。「期待する」は33%で、「期待しない」の53%を下回った。小沢一郎氏が同党代表に内定していた前回調査(15、16日実施)での「期待」35%とあまり変わらず、菅直人氏が代表に返り咲いた02年12月調査の「期待」40%より低めだ。
 岡田民主党への「期待」は、男性34%、女性32%。小沢氏の時は男性46%、女性24%だった。小沢氏率いる民主党に比べ、男性の期待度が下がって女性が上がり、男女差がなくなった。
興味深かったのは小沢の男女格差。石原慎太郎と同じ傾向か。女性に嫌われ、男性から好かれるのは、やはりマッチョ体質だからでしょうか。


■ムーア監督、「びっくりしちゃっただろ」 カンヌ最高賞(朝日新聞)
 「何てことしてくれるんだよ。びっくりしちゃっただろ」――。「華氏911」でカンヌ国際映画祭の頂点を極めたマイケル・ムーア監督は、授賞式のステージに上がると戸惑った表情で傍らの審査員団に語りかけた。

 ドキュメンタリー作品としては56年の「沈黙の世界」以来のパルムドール受賞となった「華氏911」は、ブッシュ大統領父子とビンラディン一族を含むサウジアラビア王族との密接な関係などを告発した作品。ディズニーの米国配給拒否などで開幕前から大きな話題をまいた。

 公式上映では今回最長のスタンディングオベーションを浴びたが、一方で「ブッシュ大統領再選阻止」を打ち出す政治性には批判もあり、受賞は大きな驚きを呼んだ。

 会見でムーア監督は「米国の右派メディアは『(反米の)フランスからもらった賞』と報じるだろう。だが、審査員9人のうち4人は米国人、英国女優1人を加えれば過半数が有志連合側。フランスの賞じゃないからね」と笑わせた。

 「僕自身も政治映画を作ったつもりはない。観客が『いい2時間だった』と思って映画館を出られる作品を目指した」とムーア監督。11月の米大統領選への影響は「わからない」としながら、「映画ファンの一人として、映画には現実を変える力があると信じている」と語った。
 これに対して、ホワイトハウスは「ムーア氏の受賞で、米国が思うことを発言できる自由の国と改めて教えてくれた」とコメントしたとか。ディズニーの圧力に対するコメントはないのかな?
 う〜ん、ブッシュと対峙するマイケル・ムーアにはすごく好感を持つけど、政治的な映画に受賞させるのはちょっと違うんじゃないかって気もする。作品の評価に個人的な政治信条が加わって、バイアスがかかる。冷静な審査などできないんじゃないか。まぁ、そもそも「映画」ってのは、見る側のバックボーンは切り離せないものだろうけど。


2004年5月23日日曜日

鈴木宗男 年金未納 / 小泉訪朝

■拉致被害者家族が帰国した。このビックニュースの脇でこっそりと年金未納を発表した卑怯者がいた…「ムネオハウス」こと鈴木宗男だ。鈴木宗男、外務政務次官在任中の90年12月から91年10月までの11カ月間、保険料を納めていなかったことを22日に発表した。受託収賄罪などに問われ、公判中のムネオハウスは、7月の参院選に北海道選挙区から立候補すると表明している。年金未納は大したことないが、こういう姑息な手段が気に入らない。


■さて、気を衒って鈴木宗男をトップにもってきたが、やはり拉致被害者家族帰国について。

■訪朝前、森前総理が「行くからにはそれ以上の何かがあるだろう」とたずねたところ、小泉総理は黙ってうなずいたという。拉致被害者家族の帰国以外に、行方不明者の安否などでも成果が期待できる…と報じられてきた。つまり、「8人の帰国+α」ということになるだろうと予想されていたので、世論はこの「+α」の部分に注視していた。それだけに、逆の意味で「サプライズ」だったのかもしれない。

■帰国する手はずは整っていたとてっきり思っていたのだが、「脱走兵」のチャールズ・ジェンキンスさんと娘さんは帰国しないという。そもそも、「帰国」という言葉は正確ではない。北朝鮮が働きかけたかどうかは定かではないが、ジェンキンスさんが訪日しないというのは当然の理由がある。そのことが拉致問題をややこしくしている。


■北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の横田滋代表は、記者会見で「再訪朝は予想していた範囲の最悪の結果となった」「もっと時間をかけて交渉すべきだった。(北朝鮮の)実利だけが通った形で落胆している」 と交渉結果を強く批判した。

■今回の訪朝について、読売新聞の「北“こうかつ”外交術、2枚のカードで多様な実利獲得」という記事が的確な指摘をしている。
 首脳会談の結果を分析すると、北朝鮮が明確に「譲歩」したのは5人帰国だけだ。曽我さん一家の問題、安否不明者調査再開は、今後の対日交渉次第で、いつでも揺さぶりカードとして使えるよう手元に残した。

 核問題をめぐっても金総書記は非核化を目指す意思を示した上で、6か国協議進展に努力すると約束したが、これは4月の胡錦涛・中国国家主席との会談で表明した内容そのままだ。「米国の姿勢で核抑止力を持たねばならなくなった」と従来通りの論理を強調し、米国に直接取引を迫る意思を改めて鮮明にした。

 これに対し、北朝鮮が獲得したのは、まず、経済崩壊寸前の中で早急に必要な食糧25万トンと1000万ドル相当の医薬品。対北制裁法も発動されれば、日本からの金とモノは止まり、北朝鮮経済の息の根が止まるほどの威力があるだけに、発動阻止は是が非でも獲得しなければならなかった。

 さらに注目すべきは、「日本は今後、在日朝鮮人に差別を行わず、友好的に対する」との約束だ。これは一見、政治的意味が薄いように見えるが、北朝鮮からすれば、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)施設への課税、貨客船・万景峰号の検査などをめぐり、日本に今後の対応の緩和を迫る論拠を得たのにも等しい。

 北朝鮮の獲得物はいずれも経済に連関している。北朝鮮経済は日本に相当、依存してきたが、拉致問題で、その動脈は狭まった。金総書記は、小泉首相を再び平壌に迎え入れ、動脈を復活させることを狙ったのだ。

 北朝鮮は対米交渉や南北対話で、相手国が解決を求める懸案をカードとして逆手に取って、その価値を高めた上で、効果的に切って目標を一気に獲得する外交を得意とする。核問題がその象徴で、韓国が求める離散家族再会も同じだ。金総書記は、日本に対して拉致カードを使ってまったく同じ外交術を使った。
 否定的な見方が強くなるかもしれず、民主党にはチャンスカードの到来と言えるかもね。さぁ、どう攻めよう?


2004年5月20日木曜日

政策ロボ・岡田克也

■岡田克也が正式に民主党代表になった。野党第一党の新党首の誕生だ。もっと注目を集めてもよいのではないか。ニュースなどの取り扱いが妙に小さく、いよいよ民主党がやばいことになってきた。

■幹事長には藤井裕久が就任する。小沢の側近中の側近だ。小沢は代表を固辞したものの、結局のところ、裏で影響力を行使するわけだ。これまでもやってきたように、「側近」を通じて自分の意向を伝える。そうやって「政策ロボ」を操縦していくのだろう。あぁ、気にいらねぇな。

■知られていないかもしれないと思って、説明するのだが、「政策ロボ」とは岡田克也の呼称らしい。と言っても、世間的な認知度はかなり低そうだ…と思い、ついさっきGoogleで検索してみたら、私が書いたものを含めて3件しかヒットしなかった。

■ちなみに、私が書いたのはこんな感じ…(生活ノート、2002年12月より)
菅直人のニックネームが「イラ菅」というのは聞いたことがあったが、岡田克也のニックネームが「政策ロボ」なんて初耳だ。「ロボ=人間味がない」ってことだろうか。なんだかジェロム・レ・バンナの「ハイパーバトルサイボーグ」にも似ていて、強そうだ。
民主党代表選の時、「報道2001」で初めて知ったらしい。

■つまり…
「50歳と若く、まじめで誠実な政策通として、早くから『民主党のホープ』と目されてきた。半面、『堅物すぎて面白みがない』『政治家としての華がない』などの評もある。」(日経新聞社説)
「岡田代表の人物評には必ず『手堅い』とともに『官僚的』『協調性に欠ける』が付いて回る」(毎日新聞社説)
…ということのようだ。


産経新聞・社説
気がかりなのは岡田氏の国家像がはっきりみえないことだ。岡田氏は昨年十二月の中国訪問時の記者会見で、小泉首相の靖国神社参拝によって中国政府首脳との相互訪問が中断しているとの指摘に対し、「このような異常な状態を続けるという判断は明らかに間違っている」と批判した。外国の内政干渉を誘発するかのような発言がいかに国益を損ねるか、政権を目指すものとしての危うさをみせつけた。
ははは、産経らしくて、ついつい引用してしまった。産経の言う「国家像」ってのは、極めて狭義なもんなんだろうけどね。

■民主党の執行部人事…政調会長に仙谷由人衆院議員(58)、国対委員長に川端達夫衆院議員(59)をもってきた。うーん、こんなとこか。枝野幸男が外れたのは残念だ。


■訪朝同行記者団の日本テレビ排除方針撤回へ(毎日新聞
 細田博之官房長官は19日午前の記者会見で、北朝鮮を訪問する小泉純一郎首相の同行記者団から日本テレビが排除された問題について「私の責任で善処する」と述べ、排除方針を事実上撤回する考えを示した。「コメ25万トンの支援で最終調整」との日本テレビの報道内容については「首脳外交との関係で今後も注意すべきことだ」と注文をつけ「(日本テレビとの間で)若干、行き違いやいろいろなやり取りがあったことは事実」と、この報道を理由に排除を図った経過を認めた。

 日本テレビは(1)飯島勲・首相秘書官から16日の報道を理由に同行を拒否するとの通告があった(2)同秘書官から「情報源を明かせば同行を許可する」との要求があった−−として内閣記者会を通じ18日、公式に抗議していた。

 細田長官は「どういう根拠で確定的なことが言えたのか、というやりとりがあったようだ。スクープとして報道されたことにずいぶん、立腹した向きもある。『一体、誰がこんな確定的なことを言って報道したんだ』というやりとりになりがちだ」と述べ、事実関係を大筋で認めた。

 さらに「あいまいな(ことが)スクープとして報道されることは控えてほしい」と注文をつけた。ただ「北朝鮮は日本の報道陣に開放されていない。同行報道しか道がないということで善処すべく検討する。報道と同行うんぬんを直接に結びつけるか、私なりの考えもある」と述べ、報道統制につながる懸念を示し、同行問題は切り離す考えを示した。
 どういう報道をしたのかどこも報じてないように思えた。「コメ支援に関する報道」とだけ報じている。具体的な数字が出ていたのは毎日だった。これも「国益」を考えたうえでの各社の対応なのか。朝日のネット記事では桂敬一と森田実を使って批判している。

朝日新聞
桂敬一・立正大教授(ジャーナリズム論)は「国益に反する報道はけしからんという露骨なメディアコントロールで、とんでもない話だ」と官邸の対応を批判する。「自分たちの意図に従うのがメディアだと官邸が考えていることがはっきりした。ブッシュ政権がアルジャジーラはけしからんというのと全く同じ構図だ」としたうえで、「報道機関全体で抗議すべき問題だ」と話した。

 政治評論家の森田実氏は、「今回の出来事には、小泉政権の非民主主義的体質が現れた」と批判した。



2004年5月19日水曜日

プロ野球・球団別年俸

■プロ野球・球団別年俸(2004年・選手会調査)

支配下公示選手
出場選手登録
人数平均年俸年俸合計人数平均年俸年俸合計
ダイエー
61
4,191
255,654
23
7,163
164,750
西武
66
3,309
218,400
27
5,611
151,500
近鉄
64
3,084
197,380
23
5,510
126,720
ロッテ
62
3,016
186,985
25
5,321
133,025
日本ハム
63
3,431
216,180
24
5,917
142,000
オリックス
60
2,911
174,640
24
4,739
113,740
阪神
63
4,342
273,560
23
8,726
200,700
中日
64
4,364
279,290
24
8,064
193,530
巨人
63
6,394
402,820
24
12,525
300,602
ヤクルト
61
3,272
199,590
23
6,111
140,550
広島
63
2,718
171,260
24
4,554
109,300
横浜
61
4,621
261,860
25
9,334
233,350
パリーグ
376
3,322
1,249,239
146
5,697
831,735
セリーグ
375
4,289
1,608,380
143
8,238
1,178,032
全体
751
3,805
2,857,619
289
6,954
2,009,767
※金額の単位は万円
■巨人VS広島なんて、3倍近く開きがある試合だ。なんか最初っから勝負ありって感じがするよね。加えて外国人選手(ローズ・ペタジーニ…)もいるわけだし。


2004年5月18日火曜日

小沢一郎・代表辞任

■小沢一郎、代表辞任。まぁ、代表を辞任するためのよい口実を見つけた…って感じもしますけど。どうせこのまま参院選にいったって敗北は明白だし。こんなとこで「剛腕」とやらのメッキがはがれちゃったら困りますものね。小沢シンパにヨイショされて、大物を気取ってんのが彼にはお似合いですよ。
■訪朝をぶつけられた仕返しかどうかは定かではないが、小泉首相の年金未納問題を追求する目的…ということになっている。小泉政権が姑息な手段を使って打ち消そうとしたのは気に入らないけど、今さら蒸し返すような問題でもあるまい。未納問題に当初ギャーギャー騒いでいた国民も、そろそろうんざりしてきており、「一体、いつまで国民年金の保険料未納・非加入を騒ぎ立て、混乱を続けるのか」(読売新聞社説・18日)という声も大きくなっているのではないか。仮に小泉首相への不信を増大させることに成功したとしても、その批判票は民主党に流れることはないだろう。だって、民主党も未納兄弟を多数輩出した名門なのですから。このままいけば、低投票率→自民公明の勝利か。トホホ…
■新聞各社の論調…社説より一部を抜粋。
◆東京新聞
→異論を挟むつもりはさらさらないが、もしや小沢氏の代表辞退は政界の駆け引きの一環だとするならば、策を弄しすぎてはいないか。
→権力ゲームにつられる国民はもういない。政治家はもっと政治をまじめに考えていい時期だと気づかないといけない。
◆読売新聞
→未納・非加入という脇の問題で、混乱を増幅させることに、もう終止符を打つべきだ。参院での本格審議を一刻も早く開始し、三党合意に沿って、年金の一元化や消費税率の引き上げによる財源確保などを議論する必要がある。
◆毎日新聞
→小泉首相は少なくとも、法案を白紙に戻し、けじめをつけるべきである。国民の関心が一気に高まったのだから、原点に立ち返って徹底論議が必要だ。まず政治不信を払しょくしなくてはならない。
◆朝日新聞
→こんな「未納ドミノ」にいつまで付き合わされるのだろうか。国民は、年金を払っていたか否かばかりが問題になる政治や、辞任劇のくりかえしに、もううんざりしている。政治全体が一刻も早くこの問題にけじめをつけ、本来の年金改革に向けて出直すべきだ。
→いま求められているのは、国会議員の未納・未加入の全容を示し、そのうえで悪質な議員は責任を明らかにすることだ。こうしたミスが起きないようにする仕組み作りも喫緊の課題である。
◆産経新聞
→参院では具体的な選択肢として、(1)抜本改革を実現させるための道筋と期限を三党合意よりもさらに明確化し、修正案を成立させる(2)法案は廃案にし、次の国会で手直しを施した給付と負担の見直し法案を政府案として再提案する(3)法案は廃案とし、抜本改革の議論がまとまるまで給付と負担の見直しは放置しておく−の三つが想定できる。
◆日経新聞
→不必要な混乱を防ぐために未納、未加入問題でどこまで責任を問われるのかについて明確な線引きが必要である。
→民主党は菅代表に代わって小沢氏を擁立して態勢を立て直し、反転攻勢に転じようとした矢先に小沢氏が辞退して再び混乱に陥った。未納、未加入問題を際限なく追及していけば自分の首まで絞めつける結果になりかねない。
■まぁ、どれも正論ですね。ただ「三党合意に沿って」というよりも、ここまできたら法案自体を白紙撤回すべきところまできたように思える。
■後任は岡田克也である。あまり目立つ政治家ではないので、小泉流に埋没してしまわないかと心配になる。まぁ、とにかくがんばってほしい。


おしおきだっちゃ! byラムちゃん(ラムズフェルド国防長官)

■「おしおきだっちゃ!」とばかりに拷問を指示したのではないか…そういう疑惑が持たれているのがアメリカのラムちゃん(ラムズフェルド国防長官)である。まぁ、こっちのラムちゃんは「うる星やつら」のラムちゃんよりも100倍は狂暴で恐ろしいからねぇ。

■国防長官が特殊尋問承認 イラク人虐待で米誌報道(共同通信)
 米誌ニューヨーカー(電子版)は15日、ラムズフェルド米国防長官がイラクでの情報収集強化のため、拘束しているイラク人男性に対し睡眠を妨害したり性的に辱める特殊な尋問方法を承認し、それが最終的にイラク人虐待につながったと報じた。情報機関当局者らの話として伝えた。
 報道が事実とすれば、バグダッドの旧アブグレイブ刑務所で広範囲に行われていた虐待行為の「土壌」となる特殊な尋問方法は、国防総省トップの承認を受けていたことになり、同長官の政治的責任を問う声が一層強まる可能性がある。
 国防総省スポークスマンは「虐待につながり得る計画を国防総省が承認したことはない」と記事を全面的に否定した。
 同誌によると、この尋問方法は、国際テロ組織アルカイダ関係者の情報を集めるためアフガニスタンで実行されていた。「テロとの戦い」を進める上で重要な人物を逃がさないため、殺害や逮捕、尋問を事前承認する極秘作戦の一環で、過酷な条件下の尋問も認めている。
 ニューズウィークによる最新の世論調査によれば、ブッシュ大統領の支持率は42%と就任以来最低を記録したという。ふふふよい傾向だ。

■拷問よりもひどいのは殺害であるはずで、結局のところイラクでの戦死者は何人になるわけ?あと、アフガニスタンも。


産経抄(産経新聞、17日)
 こうした捏造・誤報といえばどうしても、昭和十二年の南京攻略戦での「百人斬り」報道を思い浮かべる。日本軍の将校二人が日本刀で殺人競争を行ったと東京日日新聞(現毎日新聞)が報じた。これがもとで将校二人が中国の軍事裁判で死刑になってしまったのだ。

 もとより荒唐無稽な話である。現地にいた東京日日のカメラマンも虚報を認め、当時は「戦意高揚のためのホラ話だ」とすまされていた。ところが戦後になって、真実顔をしてひとり歩きし、歴史の副教材になるなど「自虐史観」のよりどころになっているのだ。

 虐待はあってはならない忌まわしい事件である。しかしそれが捏造報道によって事実以上に誇張され、ゆがめられ、米国のイラク政策にまで影響を与えてしまうことも危険きわまりない。「百人斬り」が戦前の歴史をねじまげたように。
 イギリスの大衆紙デーリー・ミラーとアメリカのボストン・グローブ紙の捏造を受けて。
 何十年もの前の話を持ち出して、毎日に対してチクリと皮肉を言っている。朝日バッシングをする連中が好む手法だ。
 そうなると蒸し返したくなるのが、「大量破壊兵器」である。これも「戦意高揚のためのホラ話」だったなんて冗談はよしてよね。


2004年5月17日月曜日

新しい日記

■わけあって、日記構築システムを改善した。とてつもない労力を費やしたが、見ている方はデザインが変わっただけと思うかもしれない。
■シンプルなデザインを追求した結果、このようなダメダメなデザインに。黒とか白といった色よりも、ちょっと薄めた色同士の方がストレスなく読めるとのことで、結局、この配色を継続することにした。そのうち直す予定。
■検索機能を付けるかどうかは迷った。なぜなら、過去の私の言動を簡単に調べられるので、矛盾が露呈してしまうからだ・・・
■時流に乗るためにblogっぽくしようかとも思ったが、やはりコメントへのリアクションがめんどうなのでやめにした。そういう意見を意識して書くのは嫌だし。
■安定性も保証されていないので、今後どうなるかわからないが、しばらく様子見。


2004年5月16日日曜日

永田町の論理 / テレビキャスターの論理

■小泉首相の訪朝が決まった。拉致問題が幕引きになるのではないか、そういう懸念は当然だ。まぁ、少しずつ進んでいくしかない。
■拉致問題は政治的な利用価値があるということなのか、当初、参院選前に訪朝して選挙に勝とうと企んでたようだが、それが早まった。与党側を直撃している年金未納騒動は、ついに小泉首相まで波及した。さらに、この日は小沢一郎が民主党の新代表に就くことが決まった。偶然にしてはできすぎおり、あえてこの日にぶつけたという疑惑が残る。民主党と自由党の合併のときに、藤井道路公団総裁の更迭をぶつけたという前科もあるわけで。
■まぁようするに、「自民党をぶっ潰す」といった小泉流パフォーマンスを得意技としているが、しょせんベースは「ザ・自民党」なわけで、森派がフル稼働している。いつも思うのだが、純ちゃんポスターや写真集に食いついたバカな小泉信者はいま何してるんだろう。今ごろはどこかで「安倍さ〜ん」とかって言ってるのかな。
■一方、民主党も「造反者」の小沢一郎がすんなりと代表になって「密室政治」と揶揄されるわけだ。こちらは「ザ・自民党 Ver.森喜朗」なわけで、小泉さんよりも旧式だ。これで選挙に勝てますかな。3党合意を撤回して、「小沢一郎は理念がある」って洗脳する計画かな。
■筑紫哲也のぶっちゃけで、「未納兄弟」がテレビ界にまで波及した。ははは、人類みな兄弟ってわけでして。新たに兄弟だと発覚した方々…
・田原総一朗
・小宮悦子
・安藤優子
・小谷真生子
・小倉智昭
・森本毅郎
・草野仁(17日に追加)
小宮は出演自粛、他はそのつもりがないとか。まぁ、皆で渡れば怖くないってわけでね。自粛っていっても、正しくは休暇とかわんないだろう。
■未納問題が魔女狩りみたいになってきたと言われるが、あえて言わせてくれ。お前たち隠してただろ。筑紫君が「やりました」と手を上げたから、「僕も!」「私も!」とみんな手を挙げたのだろう。先陣きってカミングアウトした筑紫哲也が一人バカを見たって感じ。こうなると、逆に筑紫の誠実さを称えたくなってくる。古館伊知郎はどうなのかな。『報道ステーション』スタートと同様、「申し訳ありません」で月曜日は始まるかもね。
■『報道ステーション』と言えば、古館伊知郎の違和感がだいぶなくなってきたように思える(視聴率は低迷しているようだが)。誰もが「久米宏のイメージを引きずっている」というアホみたいな批判をしていたわけだが、「それは逆だろ?」というのが私の感想。つまり、視聴者の側が久米宏のイメージを引きずっているだけである。政府に懐疑的なスタンスをとっていたり、主観的なコメントをするキャスターは日本には久米宏しかいなかった。だから、枠から外れたキャスターを「久米宏」と認識してしまうわけだ。
■ニュース番組のバラエティに乏しく、どれも似通っている。各局のニュース番組はもっと独自色を出していくべきだと思う。フジ・日テレといった保守系のメディアは特にそうすべきだ。


2004年5月15日土曜日

多事争論 筑紫哲也 年金未納キャスター/象徴天皇制

筑紫哲也氏も2年11カ月 番組で陳謝(毎日新聞)
 ニュースキャスターの筑紫哲也氏(68)は13日、TBSの番組「筑紫哲也NEWS23」で、自らが2年11カ月間、国民年金に未加入だったことを明らかにし、「未納問題を厳しく批判してきた身として誠に恥ずかしい。視聴者の信頼を裏切り、申し訳ない」と陳謝した。TBSは、筑紫氏と協議した結果、14日から当面、番組出演を見合わせることを決めた。

 未納期間は、筑紫氏が朝日新聞を退社した89年8月1日から、92年6月30日までの2年11カ月。筑紫氏は特派員としてニューヨーク滞在中に退社したため、厚生年金から国民年金への切り替えをしていなかったという。92年7月に個人事務所を設立し、厚生年金に再加入した。

 TBSによると、未納問題が浮上した4月下旬、筑紫氏は事務所から「未納はない」と報告を受けたが、政治家らの未納が次々に明らかになったため、自ら社会保険事務所に確認したところ、13日に未加入期間があったことが判明した。

 田島泰彦・上智大教授(メディア法)の話 報道機関で厳しく問う立場であったので責任は軽くはない。しかし、法案の採決に加わる政治家や閣僚とはレベルが違い、社会が責任を取ることを押しつける問題ではないだろう。筑紫氏は言論に対する責任を自ら厳しく受け止め、対処しようとしているのではないか。

 服部孝章・立教大教授(メディア法)の話 年金法案を通そうとした国会議員が、未納と分かっても地位にとどまろうとする中で、筑紫さんが出演を見合わせるのは、筑紫さんなりのメッセージと思う。ただ、問題の焦点が、年金制度から誰が未納かどうかになっており、原点に立ち返り議論すべきだ。
 あぁ見逃した。当面は、佐古忠彦、草野満代の両キャスターで番組を進めるらしい。
 ネット右翼のはしゃいでる様が目に浮かぶわ。まぁ、一度確認してから非難したようだし、隠しとおそうと思わず発覚してからすぐに対処したってのもなかなか良心的じゃないですか。当面見合わせるってのは…気まずいから年金未納騒動がおさまるまで時の経過を待ちます、ってことか。逃げにもとられそうだが、今は「制度が複雑だ」と言っても言い訳に聞こえてしまう。これがベストの対応だろう。

■友好関係の会社(TBSと毎日新聞は全くの別会社になったらしく、その点で他局とは異なるらしい。毎日の岩見隆夫・岸井成格・嶌信彦らが他局に出演するのはそういう事情があるらしい)を擁護するために、自分たちが言わないで、大学のセンセ方に言わせるとは…なんだかなぁ。


■さて、こうなるとチェックされるのが彼の言動についてだ。番組内でどういったことを言っていたかは2chあたりの筑紫ネタで確認しなければわからないが、ひとまず、多事争論チェック。

?「崩壊」(News23 4月28日)
国民年金に対する未納者が増えているというのは、この制度に対する信頼性がないからであります。ですから、これを改革しようという場合には「どうやって信頼性を高めるか」というのが最大の問題で、テーマであろうかと思います。

しかしながら、国会の議員たち、閣僚たちがこんなに払っていないということになりますと、「その程度の制度なんだな」という感じが深まりますから、信頼性はますます落ちて、年金制度というものが言ってみればもう崩壊の淵に立たされるのではないかと恐れます。

崩壊しているのはこれだけではありません。言うまでもなく、「政治家に対する信頼性」であります。自分の身の始末をしなきゃいけないテーマについて言えば、例えば議員年金とか、あるいは議員秘書の問題とかいろんな問題があるにも関わらず、ずっとうやむやにしたまま、今日まで来ております。「自己責任、自己責任」とおっしゃる人たちが、自分の自己責任をきちんと果たしているのかという大変疑問があります。

こういう状況に対して多くの人たちが驚き、あきれ、怒っておりますけれども、しかし驚いたりあきれたりすることというのは、私はあまり政治の力にはならないんじゃないかと思います。

やっぱりこの際はもう少し怒ることが大事でありまして、政治家もそして今の内閣も「世論」というものを非常に気にしながらいろんなことをやっているわけですから、怒りというものの表し方によっては、それは十分に力になりうると。あきらめてただあきれるだけではこういう状況は何も改まらないのではないかと私は恐れます。
「自己責任」論への懐疑的立場からの皮肉はいかにも筑紫だ。なるほど、筑紫哲也への不信ではなくて、「あきらめてただあきれるだけではこういう状況は何も改まらない」わけで、抗議の電話をたくさんしましょうってことか。

?「ローメーカー」(News23 5月11日)
政治家は別名ローメーカー、つまり法律を作る人と言い方があります。議員達が次々と国民年金を未納している問題というのは、自分達が作ってきた法律を守らなかったという、そういう点では大いにモラル的に問題のある事でありますが、それにとどまらず、あまりにもわかりにくく複雑で不完全で自分達さえ守れなかった法律を作ったという、つまり、プロとしての問題の方がむしろ大きいかもしれません。

しかも、今日衆議院で可決されました新しい年金改革法案は、この問題を解決していないどころか、極めていろんな点で不備な法律、怪しげな法律という点がその後も続出しております。例えば国民に負担を求めているにも関わらず50%の給付が守れるのかどうか、その積算の基礎も相当怪しげではあります。

そういう法律をさらに通すというのは、ローメーカーとしてさらに自分達の欠陥をさらしている様なものでありまして、実は政治不信が広がっているどころではなくて私の感じるところ、もう絶望に近いものが広がっております。

その中で微かな望みを持つとすれば、これは確かであるかどうかわかりませんけども、この法律は次の参議院にいきます。参議院というのは今まで良識の府、衆議院とは違うんだと言っているわけでありまして、しかも選挙が近づきます。私たちはそれぞれの参議院議員がこのずさんな法律に対してどういう態度を取るのか、それを次の選挙のためにそれの参考のために、大いに見守る必要があると思います。そういう所に望みを託さなきゃいけないというのは誠に絶望的ではありますが。
今度はこんな制度を作ったことこそが政治責任を問われるべきだ、と主張している。まさかこの時には自身の未納がわかっていた…というわけではあるまいな。


■年金未納騒動について、バカバカしくて真面目にコメントする気にもならなかったが、この機会に少しだけしておこうか。筑紫はいたずらに未納問題を騒ぎ立ててるわけではない。むしろ、力点は?の後半にあるように思われる。未納問題を問題にするよりも、これによって国民が政治不信・年金不信へおちいるだけでは何も解決しないと警告しているのだ。また、?においても、このような制度こそが問題で、それを放置してきたことの方が問題だと指摘する。で、こういった制度をどう変えるのか、「良識の府」である参院を注視しようじゃないか、と主張する。?と?から読み取れるメッセージは、たんに年金不信に陥るのではなく、年金制度に関心を持とう、ってことだ。


■テレビという制約のせいか、筑紫哲也という人の性格かはわからないが、このメッセージは当り障りがない。彼のメッセージを勝手に展開するならば、「年金不信っていうけど、お前らが年金制度に関心を持たなかったから、こんな制度が残ってんじゃねぇかよ」ってことだ。

■「やっぱり政治家はダメだ」といったムードが広がっているが、本当は年金問題から目をそむける言い訳にしているんじゃないか。年金わからないから、「政治はダメだ」ってことにしたくて思い込んで自分自身を安心させているのだ。「こんなことしてると年金不信になっちゃうね」というお前は与党案・民主党案、どこがどう違うのかさえ知らないんじゃないかと問いたい。両案を比較すれば年金問題の論点が浮かび上がってくるし、今回の未納問題だって、一元化の必要性とその障害といったアプローチだってできたはずだ。

■テレビのコメンテーターたちは「政治不信はますます高まる」などと言っているが、自分たちがそれを煽っていることには無自覚なようだ。年金未納問題は大したことではないで済ませればよい。…とまぁ、こんな安易なメディア批判をしていると、「わかりやすいことを求める視聴者の需要に応えているだけ」と自分で反論を書きたくなる。結局、この程度の国民にはこの程度の政治、という言葉に還元されるのか。


■タイミングよく、というべきか、今日発売の『週刊金曜日』、風速計を筑紫哲也が担当している。タイトルは「ツキのない国」だ。
 菅直人という人を政治家になる前から私は知っていて、その資質と能力を買ってきた。こんなことでつまずくのは惜しいと個人的には思っている。政治家にはツキが付きまとうものだが、先の女性問題といい、今回といい、ツイてない。

 だがもっとツイてないのはこの国とそこに住む民である。

 未納問題が浮き彫りにしたのは、年金制度が欠陥だらけであることと、それを作ってきた政治家たちがそれに対して真剣な関心など払って来なかったことの2つである。それが露呈した以上、矛盾だらけの改正案の採決は見合せて仕切り直しをするのが政治の側の国民へのまともな対応なはずである。自らの未納問題で腰が引けてしまった民主党は逆の対応(3党合意)で妥協してしまった。

 未納が起きないように徴収策の強化も盛り込まれたが、これも預金差し押さえをふくめた苛斂誅求が国民に待ち受けているだけだ。

 この国の与党は、政権の側にあり続けることが目的化した人たちの集団だ。そのための手練手管には長けていて、何でもやる。が、長年そんなことをやり続けてきたために、病弊と制度疲労著しく、賞味期限はとっくに過ぎている。「小泉政権」という“奇策”で延命を図っているのだが、その高支持率の最大理由が「代わりがいない」であることは与党としての手詰まりの裏返しなのである。

「代わりはこちらにいますよ」と野党が存在感を示す絶好の機会なのだ。参院選挙はその重要なステップだった。

 深まる政治への絶望はおそらく低投票率につながり、“岩盤”のような固定票を持つ党が勝つだろう。そして無策無為の政治がその後も続き、この国は奈落に向かってずり落ちて行く。本当にツイていない。
この人は本当に国民を叩かない。本田勝一とはずいぶんと違う。なにか信条でもあるのか、それともただ迎合しているだけなのか。
 「ツイていない」で国民は免罪されるべきなのか。「代わりがいない」というのは支持の理由になってないし、低投票率は我々国民の責任以外の何物でもない。


「男児出産まで外遊反対」 皇太子妃で英紙(共同通信)
 13日付の英紙デーリー・テレグラフは、皇太子さまが雅子さまについて「外国訪問がなかなか許されず、キャリアや人格を否定する動きがあった」などと語ったことを取り上げ「宮内庁は世継ぎの男児出産までは外遊に反対だとみられている」と報じた。
 記事は「皇太子、息の詰まる皇室に疲れた病妻に心痛」との見出しを掲げ、皇太子さまの記者会見の内容を紹介。外交官から皇太子妃となった雅子さまの経歴や、現在の皇室典範が皇位継承を男性皇族に限定していることなどを伝えた。


■天皇は日本の「象徴」だという。あれほど閉鎖的で保守的で、俗世と切り離された天皇のいったいどこが「象徴」だ、とずっと思ってきたが、雅子さんに対する「子供を生め」という圧力が生じているという記事に、あぁなるほどなと思うことがあった。少子高齢化の日本も「少子化対策」と称して、いかに女性に子供を産ませようかと無駄な知恵をしぼっている。アプローチからして間違った方向をむいているとしか思えないのだが。

■「女は子供を生むためにいる」という皇室こそが日本の象徴…そう思い込んじゃっている典型が「天皇を中心とする神の国」と発言した森喜朗なのだろう。それが最もよく出ているのが以下の発言だ。
「子どもをたくさんつくった女性が、将来国がご苦労様でしたといって、面倒を見るのが本来の福祉です。ところが、子どもを一人もつくらない女性が、好き勝手といっちゃなんだけど、自由を謳歌して楽しんで、年取って……。税金で面倒見なさいというのは、本当におかしいですよ」(鹿児島県での少子化問題などを巡る討論会で)

■子供を産んだ女性に対して「ご褒美」として福祉をあげるらしい。それができない奴は無価値だってさ。じゃぁ、男性は?褒美をあげる側かい?

■そう言えば石原慎太郎も「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄」「きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」(「週刊女性」2001年11月6日号)と言っていたな。「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ」とも言っている(卑怯なことに「…と○○が言っていた」という形式だが)。彼らの抱く社会はなんと前近代的な男性優位社会であることか。だが、皇位継承を男性皇族に限定しているわけで、見事にバカ保守オヤジたちのそれは「象徴」されている。


■幸か不幸か、私は皇室に何のシンパシーも持たない人間である。左翼イデオロギーで「天皇制を廃止せよ」と言いたいのではなく、皇室・宮内庁を抱えることで生ずる税金の無駄遣いと北朝鮮ばりのマンセーな皇室報道が嫌いなだけだ。


2004年5月14日金曜日

皇室世継ぎ問題

「男児出産まで外遊反対」皇太子妃で英紙(共同通信)
 13日付の英紙デーリー・テレグラフは、皇太子さまが雅子さまについて「外国訪問がなかなか許されず、キャリアや人格を否定する動きがあった」などと語ったことを取り上げ「宮内庁は世継ぎの男児出産までは外遊に反対だとみられている」と報じた。
 記事は「皇太子、息の詰まる皇室に疲れた病妻に心痛」との見出しを掲げ、皇太子さまの記者会見の内容を紹介。外交官から皇太子妃となった雅子さまの経歴や、現在の皇室典範が皇位継承を男性皇族に限定していることなどを伝えた。

■天皇は日本の「象徴」だという。あれほど閉鎖的で保守的で、俗世と切り離された天皇のいったいどこが「象徴」だ、とずっと思ってきたが、雅子さんに対する「子供を生め」という圧力が生じているという記事に、あぁなるほどなと思うことがあった。少子高齢化の日本も「少子化対策」と称して、いかに女性に子供を産ませようかと無駄な知恵をしぼっている。アプローチからして間違った方向をむいているとしか思えないのだが。
■「女は子供を生むためにいる」という皇室こそが日本の象徴…そう思い込んじゃっている典型が「天皇を中心とする神の国」と発言した森喜朗なのだろう。それが最もよく出ているのが以下の発言だ。
「子どもをたくさんつくった女性が、将来国がご苦労様でしたといって、面倒を見るのが本来の福祉です。ところが、子どもを一人もつくらない女性が、好き勝手といっちゃなんだけど、自由を謳歌して楽しんで、年取って……。税金で面倒見なさいというのは、本当におかしいですよ」(鹿児島県での少子化問題などを巡る討論会で)
■子供を産んだ女性に対して「ご褒美」として福祉をあげるらしい。それができない奴は無価値だってさ。じゃぁ、男性は?褒美をあげる側かい?
■そう言えば石原慎太郎も「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄」「きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」(「週刊女性」2001年11月6日号)と言っていたな。「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ」とも言っている(卑怯なことに「…と○○が言っていた」という形式だが)。彼らの抱く社会はなんと前近代的な男性優位社会であることか。だが、皇位継承を男性皇族に限定しているわけで、見事にバカ保守オヤジたちのそれを「象徴」されている。
■幸か不幸か、私は皇室に何のシンパシーも持たない人間である。左翼イデオロギーで「天皇制を廃止せよ」と言いたいのではなく、皇室・宮内庁を抱えることで生ずる税金の無駄遣いと北朝鮮ばりのマンセーな皇室報道が嫌いなだけだ。日の丸の小旗をふったマスゲーム、天皇翼賛番組、あぁいうのを見ると私は吐き気がするんだ。


公明党 年金未納イカンザキ

…などと、月並みなタイトルをつけてしまったわけだが。

■菅直人の切腹によって、「未納兄弟」という喜劇も終幕となった…と思いきや、「そうはイカンザキ!」というマヌケなジョークとともに登場する者がいた。オイオイ、俺たちを忘れてもらっちゃこまるぜ…そう啖呵をきっているのは公明党・未納3兄弟だ。

■しかも、福田康夫・菅直人に負けてたまるかとばかりに、黄門様(神崎武法・代表)が、助さん(冬柴鉄三・幹事長)格さん(北側一雄・政調会長)を引き連れての三役揃い踏みである。年金法案が通った後に印籠を出すとは…まさしく『水戸黄門』ばりにもったいぶっていた。


■しかも、菅直人と同様に、前フリもしっかりしている。
神崎武法 ―菅直人の未納が発覚して
「他人のことを言う前にみずからえりを正す必要がある」
さすがである。坂口力 厚生労働大臣の髪型だけでも反則もんなのに、まだ笑いを取りにいく貪欲さはすごい。これも尋常ならざる名誉欲をお持ちである池田大作先生のご指導の賜物なのだろう。(そういえば、こんな公明党のギャグもあったな)


■年金改革関連法案に造反した小沢一郎が後任となる情勢…これについて産経新聞(社説)は次のように言う。
 国民にはなんともわかりにくい後任選びだ。同党内では夏の参院選を乗り切るには、知名度の高い小沢氏に頼るしかないという思いが強いのだろうが、執行部の対応は不可思議だ。

 主だった幹部が、後任代表の任期が菅氏の残任期間である九月末までに限られているということも出馬に慎重だった理由かもしれない。

 しかし、民主党は昨秋の衆院選で政権を担当したときに実行する政策をマニフェスト(政権公約)として提示、新風を吹き込んだ。それを今回、やらない手はない。後任を決める両院議員総会で立候補者は自らの所信を明らかにして、国会議員による選挙を実施するのが筋である。

 衆参両院で二百四十六人にのぼる民主党議員の中に勇気ある人材は一人もいないのだろうか。
 参院選を戦えるのは小沢しかいない、そういった雰囲気が党内にできあがっているのだろう。まったくおかしな話だ。落ち込んだ信頼を取り戻すために、党首選を利用しないてはない。党首選ともなればメディアが取り上げてくれる。そこで論戦を行えば、民主党の宣伝にもなる。また、民主党はただでさえ知名度のある議員がいない。新たな人材を売り出すチャンスにもなったはずだ。


朝日新聞
もし小沢氏が党首になるとすれば、民主党そのものが大きく変質することを覚悟せねばなるまい。

 民主党がめざしてきた政党像を思い返したい。党運営も政策も自由に論議し、批判も遠慮なく言い合う。既得権益で結ばれた自民党政治とは対照的に、永田町の外とのつながりを大事にする。若い世代の議員の力で日本の古い政治文化を変えてしまおう。そんな政党だった。

 小沢氏の足跡を見れば、その強引な体質や手法は随分と異質だ。11年前に政治改革を掲げて自民党を飛び出して以来、党を作っては壊す繰り返しだった。小沢氏の行くところ最後は「親小沢か、反小沢か」で割れるのが常だったからだ。自由党との合流に党内から異論があったのもそんな小沢氏への疑念からだった。

 肝心な場面では表に姿を見せず、「側近議員」が意向を代弁して回る。そうした「党中党」的なやり方も変わらぬようで、3党合意をめぐって激論になった両院議員懇談会にも姿を見せなかった。
 朝日も「選挙すべき」との意見で一致するが、際立っているのが小沢一郎への不信感だ。田中角栄の汚い金にシッポをふり、キングメーカーを気取って自民党を操ってきた。そういった意味で「ザ・自民党」なわけだが、世論の自民党への不満が高まると、真っ先にそこから逃げ出し、「政治改革」という御旗をふりだした政治家だ。その後、何を考えたか知らないが、再び自民党とくっついたこともあった。そんな奴を党首にしていったい民主党はどうするってんだ?保守二大政党制による政治支配が目的なのだろうか。それとも、さっさと自民党と合併しちまおうって魂胆かい?


2004年5月13日木曜日

菅直人ウォッチャー

■まぁ、政治生命は終わったとするむきもあるわけだが、私は菅直人ウォッチャー(?)として、今後も彼に注視していきたい。というわけで、最近の発言。


■「風潮」(菅直人の今日の一言/5月11日
 昨日の両院議員懇談会で民主党代表の辞任を表明。激励をいただいた多くの方に感謝します。最近の日本は何かがあると席を切ったようなバッシングで、冷静な議論はなかなか伝わらない。この風潮は危ない傾向だ。
 よく言ったものである。見切り発車によって、江角マキコや未納閣僚を非難して騒ぎを大きくしたくせに。やれやれまたもや自分のことを棚上げして批判ですか。まったくこりてないみたいだね。

■「未納3兄弟」と名づけバッシングしたのはどうなんだ?とても冷静な議論だとは思わないが。また、「席を切ったようなバッシング」がメディア・国民によって起きることを期待したからではないか?まぁ、それが菅未納兄弟もあいまって、年金に関する「冷静な議論」ができなくなったわけだ。まさしく「危ない傾向」だと私は思いますよ。

■今回に限らず、菅は自分のことを棚上げして他人を非難することが多々ある( 知的基礎体力やるやる詐欺 を参照)。今回のことを教訓に、まず自分の姿を見るべきだろう。まぁ、鏡を見てもそれが自分だと気づかず、噛みこうとするかもしれないけどね。

■「両院議員懇談会」(菅直人の今日の一言/5月10日
 私の真意を国民のみなさんに伝えるには、記者や評論家を通して伝わる間接話法ではなく、直接肉声の伝わるテレビの生出演が好ましいと考えて、金、土、日といくつかの番組に出演。かなり誤解を解くことができた。テレビを見た方からこれまでにないほど多くのメールを頂き、その大半が激励のメール。先日のスウェーデンなどのヨーロッパ訪問で通訳をして下さった方からも激励のメールがあり、嬉しかった。今日、夕方には民主党の全国会議員が集まる両院議員懇談会。
 「大半が激励のメール」と言っている。これを見て連想するのは柏村武昭のケースだ。世間からバッシングを浴びている人間は「自分にはたくさんの味方がいる!」と言いたいものらしい…いや、自分に言い聞かせて安心したいだけなのかもしれないが。


2004年5月12日水曜日

責任野党?政権担当能力?

菅直人辞任。まぁ、毎度のことながら…他人のふんどしで相撲をとるわけだが、新聞各紙の社説に言及しつつ展開したい。
■「未納兄弟・菅直人」の辞任については、
「最初に三閣僚の国民年金保険料未納が明らかになった際、『未納三兄弟』などと個人攻撃に走った。本来、この未納問題を年金制度の欠陥をただす契機にすべきだったのに、政争に持ち込もうとしたのが誤りだった。」(読売社説)
…ということにつきるし、
「なぜ『未納3兄弟』と閣僚批判する前に、自身の加入状況をチェックしなかったのか。先手を打って辞任し、政府・与党の追及に転じようとしなかったのか。さらなる混乱を招く3党合意を急いだのか。」(毎日社説)
…というのが素朴な疑問だ。
■辞任の経緯を説明するのはどの新聞も共通している。読売・産経の社説は似通った論を展開している。三党合意承認を歓迎しているのが特徴だ。
■産経新聞
 寄り合い所帯といわれる同党の路線の明確化と「責任野党」を期待されたが、理念・政策面での現実路線の鮮明化は中途半端でしかなかった。
 昨秋の総選挙で議席を増やしたほか、有事法制に賛成するなど、政権を担える野党第一党の存在感を示した功績はある。一方ではイラクでの邦人人質事件で当初、小泉政権に全面協力する姿勢を取っていたが、途中から「政権の責任は大きい」と批判に転ずるなど、ぶれが目立つ党運営であり、抵抗政党の域を出なかったのは残念だ。
 こうしたことが国民の支持の広がりにつながらなかったのではないか。四月の三つの衆院補選で敗北し、求心力を失ったことに加え、年金問題でも与党との間でわかりにくい行動をとったことが辞任につながった。
 菅氏は先週末、テレビ番組に出演し、「年金制度が政府案のままで進んでしまったのでは国民に責任を果たせない」と、年金制度改革に関する三党合意への理解を求めるなど、説明責任を果たそうとする意地をみせた。
 三党合意は最終的には了承された。参院選の争点に年金問題を据え、政府案の問題点を追及しようというグループの主張より、年金一元化を含む社会保障制度全般を見直すという訴えが受け入れられたことを歓迎したい。
 イラク人質事件での政府批判が「国民の支持の広がりにつながらなかった」とするのは、いかにも産経的な珍説である。
 「ぶれが目立つ党運営であり、抵抗政党の域を出なかった」と言っているが、今回の三党合意こそ「ぶれが目立つ党運営」でなかったか。なんか奇妙な論理展開だ。
■読売新聞
 民主党内では、七月の参院選を意識した思惑がいろいろ交錯している。
 菅氏の辞任も、「菅氏では勝てない」という声が広がった結果だ。
 党内では、三党合意に対して、旧自由党議員らから「政府・与党にすり寄り過ぎだ」との批判や異論が噴出した。参院選で攻勢に出るために、三党合意を破棄して、与野党対決ムードを演出すべきだ、との主張が底流にあった。
 国家百年の計である年金問題を、政争の具にすること自体が筋違いだ。いつまでも与野党の不毛な対立を残し、年金改革論議を頓挫させてはならない。

■読売・産経は三党合意を肯定的に捉えてきた。これまでも審議拒否戦術などをする民主党を、「政権担当能力」「責任野党」なる怪しい言葉を使って非難してきた。もしかすると、反対ありきだった旧・社会党の亡霊に苦しめられているのかもしれない。
■朝日新聞
 この与野党合意について、与党からは一元化の約束ではないという声があがり、合意に基づいて修正された政府案にも一元化の方向は明記されなかった。年金を参院選の大争点にするはずが、これでは戦えない。民主党内にそうした焦りの声が噴き出したことも分かる。
��中略)
 民主党内には参院選への不安が募る。だが、ここは目先のことにとどまらず、自民党政権に取って代わるための「野党道」を真剣に考え直すべき時だろう。
 菅氏の失敗は未納問題への対処にとどまらない。自分が先頭に立って振ってきた政権奪取という民主党の旗印を揺るがせたことである。
 年金改革で民主党は抜本改革の対案を出した。今後の方向性を示すものとして評価できる内容だ。菅氏も当初はこれを武器に真っ向から勝負を挑もうとしたが、途中から迷走してしまった。
 民主党にはその使命を思い起こしてもらいたい。それは、政権交代の実現だ。それがなければ本当の構造改革も政治の健全化もできないと考える人は多い。そうした意識と覚悟の乏しさが、この右往左往の根本の原因である。

■民主党に社会党の影を見るのはナンセンスだ。なぜなら、民主党は対案を出している。政府案は徹底的に叩き、自らの案を売り込み政権打倒を試みることこそ「責任野党」だ。与党と真っ向勝負しなければ、野党は埋没してしまう。そうなれば、有権者が民主党の存在意義を見出すのはますます困難になるだろう。
■年金問題を政争の道具にするなという読売の指摘はもっともだ。しかし、政策論争の道具にすることは歓迎すべきだ。参院選の争点にすれば、両党とも切磋琢磨したのではないか。「国家百年の計」であるからこそ、年金改革は国民的議論がなされるべきで、国民を蚊帳の外におくべきではない。
■最近、称賛してばかりいるようだが、毎日新聞が一番よかったと思う。
 合意は「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の見直し」について、「07年3月をめどに結論を得る」などとし、現在審議されている政府案の付則に一文を盛り込むというものだ。だが、今後の与野党協議で、民主党が主張する厚生年金、共済年金、国民年金の一元化が実現する保証はない。一方で政府・与党は、抜本的改革とは程遠い内容の政府案を、今国会で成立させようとしているのだ。
 中身以上に問題なのは、合意に至った経緯だ。菅氏は、年金問題に幕引きをし、自身の責任論も棚上げしようとしたのではなかったか。そのシナリオが、突然の福田氏の辞任で崩れてしまったというのが実相だったと思われる。
 与野党双方が都合よく解釈できる玉虫色合意により、問題を先送りするのは、民主党も批判してきた旧態依然とした国会対策的手法だ。加えて、与野党協議という同じ土俵に上がってしまえば、参院選の争点になりづらくなる。小沢一郎代表代行らが3党合意の破棄を求めたのも一理あろう。
 振り返れば、今回にせよ、イラク問題にせよ、民主党は、当初は政府・与党を激しく批判するものの、いつしか対決姿勢は薄れ、与党との違いが見えにくくなるパターンを繰り返してきた。菅氏の辞任で、ことは済まない。こうした分かりにくさ自体に、国民は厳しい目を向け始めていることを、民主党は忘れてはならない。
 読売・産経とは対照的に、毎日はこれこそが「旧態依然とした国会対策的手法」と非難する。
 また後半部分も産経とは対照的だ。産経らが言う「責任野党」に徹すれば徹するほど、民主党の存在感は薄れる一方なのである。そこらへんに言及せずに、「旧態依然の野党」と非難するのは安易過ぎる。
■日経は特に目を引くところはなかった。まるでニュース解説のようで、民主党内の分裂を確認し、「民主党は一刻も早く混乱を収束させるべきだ」と言っただけ。
■東京新聞/中日新聞

失敗の教訓を生かす場は参院の年金審議だろう。このまま混迷を深めるだけでは政治はまた緊張を失う。失望感が高まれば参院選でも有権者の足が遠のく。結果は、先の衆院三補選を思い起こすまでもなかろう。
 菅直人は民主党の敗北を低投票率のせいにしていたが、自らの未納問題でますます有権者の腰を重くさせた。まさか、それを見越して「義務投票制」を主張したわけではあるまいな。
■後任は小沢一郎と耳にして落胆したが、岡田克也で落ち着く可能性が強いとか。個人的には枝野幸男がよいのです。
■皇太子の「雅子のキャリアや人格を否定する動きがあったことも事実です」との「異例発言」が波紋を広がっているようだ。週刊誌か何かが書きたてたことかな…とも思ったが、違うようで、
当時、外国訪問が許されなかったのは、男児誕生のためにご体調面での負担にならぬよう、との配慮からだった。しかし、外交官を辞めて皇室入りし、国際親善で重要な役割を果たしたかった雅子さまにとって、外国訪問を十分に務められずにこられたことはつらかったとみられる。皇太子さまはこの日の会見で、こうした雅子さまのご心中を改めて気遣われたようだ。
…と産経新聞は解釈している。
■北朝鮮にも負けない、持ち前の「将軍様マンセー気質」でもって、「皇太子様はおやさしい」だの、「雅子様の体調が心配」だのと言っている。あぁ、そうですか。そういうのが逆に重荷になるんだと思いますよ。


2004年5月11日火曜日

新聞社説/菅直人代表辞任

■まぁ、毎度のことながら…他人のふんどしで相撲をとるわけだが、新聞各紙の社説に言及しつつ展開したい。
■「未納兄弟・菅直人」の辞任については、
「最初に三閣僚の国民年金保険料未納が明らかになった際、『未納三兄弟』などと個人攻撃に走った。本来、この未納問題を年金制度の欠陥をただす契機にすべきだったのに、政争に持ち込もうとしたのが誤りだった。」(読売社説)
…ということにつきるし、
「なぜ『未納3兄弟』と閣僚批判する前に、自身の加入状況をチェックしなかったのか。先手を打って辞任し、政府・与党の追及に転じようとしなかったのか。さらなる混乱を招く3党合意を急いだのか。」(毎日社説)
…というのが素朴な疑問だ。
■辞任の経緯を説明するのはどの新聞も共通している。読売・産経の社説は似通った論を展開している。三党合意承認を歓迎しているのが特徴だ。
■産経新聞
 寄り合い所帯といわれる同党の路線の明確化と「責任野党」を期待されたが、理念・政策面での現実路線の鮮明化は中途半端でしかなかった。
 昨秋の総選挙で議席を増やしたほか、有事法制に賛成するなど、政権を担える野党第一党の存在感を示した功績はある。一方ではイラクでの邦人人質事件で当初、小泉政権に全面協力する姿勢を取っていたが、途中から「政権の責任は大きい」と批判に転ずるなど、ぶれが目立つ党運営であり、抵抗政党の域を出なかったのは残念だ。
 こうしたことが国民の支持の広がりにつながらなかったのではないか。四月の三つの衆院補選で敗北し、求心力を失ったことに加え、年金問題でも与党との間でわかりにくい行動をとったことが辞任につながった。
 菅氏は先週末、テレビ番組に出演し、「年金制度が政府案のままで進んでしまったのでは国民に責任を果たせない」と、年金制度改革に関する三党合意への理解を求めるなど、説明責任を果たそうとする意地をみせた。
 三党合意は最終的には了承された。参院選の争点に年金問題を据え、政府案の問題点を追及しようというグループの主張より、年金一元化を含む社会保障制度全般を見直すという訴えが受け入れられたことを歓迎したい。
 イラク人質事件での政府批判が「国民の支持の広がりにつながらなかった」とするのは、いかにも産経的な珍説である。
 「ぶれが目立つ党運営であり、抵抗政党の域を出なかった」と言っているが、今回の三党合意こそ「ぶれが目立つ党運営」でなかったか。なんか奇妙な論理展開だ。
■読売新聞
 民主党内では、七月の参院選を意識した思惑がいろいろ交錯している。
 菅氏の辞任も、「菅氏では勝てない」という声が広がった結果だ。
 党内では、三党合意に対して、旧自由党議員らから「政府・与党にすり寄り過ぎだ」との批判や異論が噴出した。参院選で攻勢に出るために、三党合意を破棄して、与野党対決ムードを演出すべきだ、との主張が底流にあった。
 国家百年の計である年金問題を、政争の具にすること自体が筋違いだ。いつまでも与野党の不毛な対立を残し、年金改革論議を頓挫させてはならない。
■読売・産経は三党合意を肯定的に捉えてきた。これまでも審議拒否戦術などをする民主党を、「政権担当能力」「責任野党」なる怪しい言葉を使って非難してきた。もしかすると、反対ありきだった旧・社会党の亡霊に苦しめられているのかもしれない。
■朝日新聞
 この与野党合意について、与党からは一元化の約束ではないという声があがり、合意に基づいて修正された政府案にも一元化の方向は明記されなかった。年金を参院選の大争点にするはずが、これでは戦えない。民主党内にそうした焦りの声が噴き出したことも分かる。
��中略)
 民主党内には参院選への不安が募る。だが、ここは目先のことにとどまらず、自民党政権に取って代わるための「野党道」を真剣に考え直すべき時だろう。
 菅氏の失敗は未納問題への対処にとどまらない。自分が先頭に立って振ってきた政権奪取という民主党の旗印を揺るがせたことである。
 年金改革で民主党は抜本改革の対案を出した。今後の方向性を示すものとして評価できる内容だ。菅氏も当初はこれを武器に真っ向から勝負を挑もうとしたが、途中から迷走してしまった。
 民主党にはその使命を思い起こしてもらいたい。それは、政権交代の実現だ。それがなければ本当の構造改革も政治の健全化もできないと考える人は多い。そうした意識と覚悟の乏しさが、この右往左往の根本の原因である。
■民主党に社会党の影を見るのはナンセンスだ。なぜなら、民主党は対案を出している。政府案は徹底的に叩き、自らの案を売り込み政権打倒を試みることこそ「責任野党」だ。与党と真っ向勝負しなければ、野党は埋没してしまう。そうなれば、有権者が民主党の存在意義を見出すのはますます困難になるだろう。
■年金問題を政争の道具にするなという読売の指摘はもっともだ。しかし、政策論争の道具にすることは歓迎すべきだ。参院選の争点にすれば、両党とも切磋琢磨したのではないか。「国家百年の計」であるからこそ、年金改革は国民的議論がなされるべきで、国民を蚊帳の外におくべきではない。
■最近、称賛してばかりいるようだが、毎日新聞が一番よかったと思う。
 合意は「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の見直し」について、「07年3月をめどに結論を得る」などとし、現在審議されている政府案の付則に一文を盛り込むというものだ。だが、今後の与野党協議で、民主党が主張する厚生年金、共済年金、国民年金の一元化が実現する保証はない。一方で政府・与党は、抜本的改革とは程遠い内容の政府案を、今国会で成立させようとしているのだ。
 中身以上に問題なのは、合意に至った経緯だ。菅氏は、年金問題に幕引きをし、自身の責任論も棚上げしようとしたのではなかったか。そのシナリオが、突然の福田氏の辞任で崩れてしまったというのが実相だったと思われる。
 与野党双方が都合よく解釈できる玉虫色合意により、問題を先送りするのは、民主党も批判してきた旧態依然とした国会対策的手法だ。加えて、与野党協議という同じ土俵に上がってしまえば、参院選の争点になりづらくなる。小沢一郎代表代行らが3党合意の破棄を求めたのも一理あろう。
 振り返れば、今回にせよ、イラク問題にせよ、民主党は、当初は政府・与党を激しく批判するものの、いつしか対決姿勢は薄れ、与党との違いが見えにくくなるパターンを繰り返してきた。菅氏の辞任で、ことは済まない。こうした分かりにくさ自体に、国民は厳しい目を向け始めていることを、民主党は忘れてはならない。
 読売・産経とは対照的に、毎日はこれこそが「旧態依然とした国会対策的手法」と非難する。
 また後半部分も産経とは対照的だ。産経らが言う「責任野党」に徹すれば徹するほど、民主党の存在感は薄れる一方なのである。そこらへんに言及せずに、「旧態依然の野党」と非難するのは安易過ぎる。
■日経は特に目を引くところはなかった。まるでニュース解説のようで、民主党内の分裂を確認し、「民主党は一刻も早く混乱を収束させるべきだ」と言っただけ。
■東京新聞/中日新聞
失敗の教訓を生かす場は参院の年金審議だろう。このまま混迷を深めるだけでは政治はまた緊張を失う。失望感が高まれば参院選でも有権者の足が遠のく。結果は、先の衆院三補選を思い起こすまでもなかろう。
 菅直人は民主党の敗北を低投票率のせいにしていたが、自らの未納問題でますます有権者の腰を重くさせた。まさか、それを見越して「義務投票制」を主張したわけではあるまいな。


バレーボールとジャニヲタ/Winny開発の東大助手逮捕

■女子バレーでフジテレビとTBSがバカみたいに盛り上がっている。世間がそれについていけてるかは不明だが。
■試合会場も異様な感じがする。ジャニーズのアイドル「NEWS」が試合前に歌を歌ったり、応援することによって、ジャニヲタが会場にわんさかといる。ジャニヲタを使って、会場を満員にさせたり「盛り上がってる感」を演出する手法がどうも嫌だ。あと…会場で盛り上げようとするDJみたいな人、あのノリがキモイっす。
■バレーはいつも日本でやっている。で、見てるこっちが引くぐらい、「ニッポン!ニッポン!」と応援している。日本はホーム、対戦相手はアウェーとなるわけで、かなり不公平だ。サッカーなんかでは考えられないことである。よく他国から不満がでないなぁ。スポンサーがつくからか、施設が整っているからか、観客動員が見込めるからか、よくわからないが。
■「Winny」を開発、違法複製を可能にしたとして、京都府警ハイテク犯罪対策室は、著作権法違反幇助(ほうじょ)の容疑で東京都文京区根津二、東京大大学院情報理工学系研究科の助手金子勇容疑者(33)を逮捕した。あらら、助手にまでなって逮捕か。これまでの莫大な教育投資が無駄になっちゃったね。
■いちおう説明しておくと、Winnyは「ファイル共有ソフト」の一種で、インターネットを通じて複数のパソコン利用者がファイルを共有することが可能で、映画や音楽、ゲームなどのデータが無料で入手できてしまう。サーバーに依存せず、通信内容も暗号化しているため、匿名性が高く、「ソフト違法コピーの温床」となってきた。
■これでWinny利用者はビビってしまうかもしれないね。ユーザーは激減することだろう。もちろん、私は「Winny」には手をつけていない。著作権料を支払わないフリーライダーはガンガン逮捕されればいいと思う。イノベーションこそ資本主義の本質であって、著作権はその根源ですからね。
■法律に関して無知なのでよくわからないが…。包丁で殺人事件がおきた場合、製造業者が殺人幇助で逮捕されることはない。ならば、仮にWinnyが著作権侵害を意図して作られていなかったとしたら罪に問われることはなかったのだろうか。あるいは、「著作権を侵害してはいけません」とか「違法ダウンロードを禁止します」とか言ってたら、幇助にならなかったのだろうか。
■菅直人が辞任するようだ。これについては明日の日記で。


2004年5月9日日曜日

福田康夫官房長官

■福田康夫の辞任には驚いた。未納問題よりも、年金法案を通すためにとった行動の代償ということだろうか。政治不信に拍車をかけたっていうけど…こんなくだらないことで官房長官が辞任するなんてバカげている。
■私は天邪鬼(あまのじゃく)なので、弁護したくなる。自分たちは納めているのに政治家が納めていないなんて…そういう不満はもっともだ。だが、未納といっても、いずれも行政上の「うっかりミス」であって、意図的な不払いとは峻別されるべきだ。このようなわかりにくい制度を変えなかった政治家の責任だ…もっともだ。だが、財政赤字と同様、これまで注視しなかった国民の責任もあるはずだ。
■小泉首相とはすでに辞任を打ち合わせていたのだろう。年金改正法案の修正話がまとまって、週明けの衆院通過が確実になってからの引責辞任。タイミングを考慮して今にした。福田が「私自身の未払い発表までの対応の仕方について不手際があり、政治不信を増幅させたことをおわびする」と言ったり、小泉首相が職務をまっとうするように指示するなど、未納仲間の他の六閣僚がドミノ倒し辞職にならないようにも配慮している。その結果、菅直人の辞任へと焦点が集まった。与党としては「してやったり」といったところか。
■後任の官房長官は細田博之だ。これは「サプライズ人事」が飛び出すかな…と思っていたが、それはなかった。「参院選後の内閣改造までの暫定長官」という見方もあるようだ。
■福田康夫について、朝日新聞はいかにも「朝日」な論を展開した。
(前略)
 一方で、「影の外相」と呼ばれたり「独裁者」と批判されたりもする政権の要だった。タカ派への抑え役でもあっただけに、一閣僚の辞任では済まない重い意味を持っている。
 イラク問題では、日米関係を重視する首相や与党に表立って反対はしなかった。しかし、自衛隊の派遣には慎重な姿勢をにじませることもあった。米軍を支援するために自衛隊の活動範囲や内容を広げることにも批判的だった。
 ふんばりを見せたこともある。昨年末の予算編成で、石破防衛庁長官がミサイル防衛システム導入のため防衛庁の予算の増額を求めたときだ。福田氏が石破長官を厳しく批判し、逆に戦車や護衛艦などの正面装備を削減する結果になった。
 日米同盟強化のため集団的自衛権の行使を可能にすべきだとか、憲法を改正して自衛隊を軍隊と位置づけるべきだなどという声が自民党内で強まっている。
 それらに対して福田氏は、海外での自衛隊の活動はあくまでも非軍事的であり、抑制的であるべきだという考えを貫こうとしていた。年末に予定されている「防衛計画の大綱」の改定を自らが中心になってまとめようとしていたのも、その表れだ。防衛族議員にとっては、さぞ疎ましい存在だったろう。
 また、北朝鮮問題では、「対話」を基調に外務省の田中外務審議官と二人三脚で取り組み、「もっと圧力をかけるべきだ」という自民党の安倍幹事長らとしばしば対立していたことは知られている。
 首相の靖国神社参拝のあと首脳外交が途絶えた中国へ、自ら出かけて行った。異例のことである。国立の追悼施設建設に意欲を見せていたのも福田氏だが、実現の見通しは立っていない。
 森前首相の時代から3年半にわたって政権の中枢にいたものの、与党への根回しが苦手ということもあって、かなわなかったことが多かったのではないか。
 自民党内では、タカ派議員が幅を利かせている。与党の一翼を担う公明党は政権維持のために厳しい姿勢をとっていない。福田氏は、そんな与党と首相の間で板挟みになることも多かった。
 今後、首相は与党と対決するにせよ、妥協するにせよ、自分が矢面に立たなければならない。福田氏は、政権の行き過ぎにしばしばブレーキをかけてきた。これから、その役を担う人がいるのか。政権の行方が不安でならない。
 福田康夫が過度に右へ行くことへのブレーキだったと強調し、彼がいなくなったらタカ派へと傾斜していくのではないかと危惧している。あぁ、そういう見方もできますか。そう言われると、惜しい人をなくしたなぁ…って、死んじゃいないけど。
■菅直人がテレビに積極に出演している。だが、裏目に出るばかりのように思える。自己保身に走ってるようにしか映らないからだ。「一回辞任して出直すべきだ」「他の未納閣僚の責任を問うていくのか?」と自分の都合の悪い話になると、三党合意の弁明へとシフトしてごまかしている。
■テレビに出れば出るほど、注目が集まって、この問題が蒸し返される。これが民主党の辞任論を後押しする結果となるのではないか。福田康夫が辞任によって、もはや辞任しか選択肢が残されていない気もする。これ以上、党首を続けても党内で孤立して、本当に政治生命をうしないかねない。


2004年5月8日土曜日

「特技・肉じゃが」就活成功?(エバラ食品CM)

■今さらながらで申し訳ないが、再び見かけるようになったので…エバラ食品CM「すき焼きのたれ」について。
 就職活動中の面接で、女性が「特技は、英語とパソコンと…それと肉じゃが」と答える。すると、面接官のオッサンらが「おお〜!」。で、「オヤジも実は肉じゃがに弱い!」と「採用」される。女性は、タレのビンを持って「この一本でうまくいく」。

■エバラのCMはどれも安っぽいものだが、このCMのひどさは抜きん出ている。かなり非難されてそうなもんだけど、よく放映し続けてるよなぁ…
?「肉じゃが」を作る側が女性、食べる側が男性…というフェミニストが嫌いな想定。
?ただでさえ就職難。しかも男女格差は小さくなる傾向はあるが、依然として女性の就職は厳しい。「肉じゃが」ごときで就職がうまく行くものかという不満。

■就活シーズンだから再び見かけるようになったのだろうか。だが、就活に苦しむ人たちの神経を逆撫でするのではないか。あと、エバラ食品の採用試験で「特技は肉じゃが」と言う人が何人いるのだろうか。実際、言ってみたら「そう言う人、多いんだよねぇ…」って一蹴されそうだ。


■「帰国」(菅直人の今日の一言)
5月6日午後、予定を早めて帰国。アナン国連事務総長、ブラヒミ特別顧問、スエーデンのパーション首相などと会談できて有意義な外遊であった。年金問題は私の個人の厚生大臣在任中の10ヶ月間未加入問題と、年金制度全体の改革についての与野党会談などいろいろに動いている。時差もあり少し疲れ気味。しかしここは正念場。しっかり説明し、同時に国民にとって本当の良いと言える改革の道筋をつけるために頑張りたい。
 遊びに行ってきたわけじゃない、と言いつつ、疲れ気味だけど説明責任を果たすってか。

■江角マキコ(菅いわく「えずみマキコ」)に参考人招致を求めたり、未納三兄弟と批判しておきながら、自分も未納。軽率だったと言わざるをえないが、年金未納問題なんて大した問題ではなく、笑って済ましてやるべきだと私は思う。

■しかし、国民はそうは思っていない。信用はもはや回復できないところまで落ちた。「しっかりと説明」と菅も他の民主党議員も言うが、いくら説明したところで納得するはずもない。菅直人の政治生命はこのまま終わってしまうのか。まさに今が正念場だ。

■いつも文句ばかり言っているので誤解されるのだが、私は菅が嫌いなわけじゃない。確かにパフォーマンスはきついが、政策軸は近い。だから、菅直人にはがんばって欲しいのだ。


■産経抄
いまだれよりも深く傷ついているのは、ほかならぬ米国の市民たちかもしれない。自分たちの民主主義こそ世界のどこよりも自由と人権を重んじる絶対の真理だと信じていたに違いないからだ。もしこれらが事実なら、映像は米国の民主主義にも大きな欠陥があることを突きつけた。
 アメリカの心配する前に、イスラム諸国の感情を理解すべきだろう。
 この「拷問」は事実であることは間違いないわけで、その大きな欠陥のある「民主主義」を押し付けているアメリカを産経は支持してきたわけだ。憲法を「押し付けられた」と怒っている保守派はそのつらさを忘れてしまったようだ。


■日経新聞・春秋
 アラブ圏のテレビ2局に緊急出演したブッシュ大統領の釈明は苦しい。「嫌悪すべき行為だ。ごく少数がやったことで米国を代表する行為ではない」と言うが、組織的な虐待という疑惑も消えない。1月初めから調査をしていたとも言うが、虐待の写真をいつ見たか、と聞かれ「最初に見たのはテレビで」と認めた。
 メディアの暴露がなければ闇から闇に、とならなかったか。「独裁者はこんな問いに答えない」という言葉も負け惜しみに聞こえた。「民主主義も完璧ではなく過ちも起きる」「自由な社会は米国に似たものとは限らず地域の文化に応じ発達する」と謙虚な発言もあった。戦争を始める前にその謙虚さが欲しかった。
 ははは…そうっすね。


2004年5月7日金曜日

小沢一郎とかマイケル・ムーアとか

■小沢氏が代表辞任“勧告” 菅氏否定も亀裂露呈(共同通信)
 民主党の小沢一郎代表代行が6日、国民年金保険料未納が発覚した菅直人代表に対して「毅然とした対応を期待したい」と“辞任勧告”した。
 6日発行の「夕刊フジ」の「小沢一郎の剛腕コラム」に書いたもので、一時党内に衝撃が走ったが、菅氏は記者会見で辞任を強く否定、小沢氏も事務所を通じ「真意が誤解されている。菅代表は国民にきちんと説明する責任がある」と釈明したコメントを発表した。取りあえず動揺は収まりつつあるが執行部内の亀裂を露呈した形で、今後の党運営に影響を及ぼすのは必至。菅氏に批判的なグループが小沢氏と連動し、“菅おろし”を活発化させる可能性もある。
 コラムの中で小沢氏はまず「強制加入である(国民)年金の保険料は税金に近いものであり、年金未納は脱税に匹敵する。単に事情を説明して『ゴメンなさい』で済まされるような問題ではない」と強調。
 小沢と菅直人では政策軸が離れている。小沢が菅を担いでる理由は人気だけだ。利用価値がなくなったら、捨てるのは自然な流れだろう。
■自由党との合併で、民主党の保守派が影響力を増すことを恐れていた。保守と保守の二大政党制は好ましくないと思っていたからだ。菅直人がいなくなってしまったら、民主党はますます保守化傾向を強めるのではないか。
■このままいけば参院選で大惨敗で引責辞任ってとこか。そうなると、誰が党首やるんだ?
■ムーア監督の米大統領批判映画、ディズニーが配給禁止に(朝日新聞)
 アカデミー賞を昨年受賞したマイケル・ムーア監督が、9・11同時多発テロをめぐってブッシュ大統領を批判した新作ドキュメンタリー映画「華氏9・11」が、北米でこの映画を配給するミラマックス社の親会社ディズニーの圧力によって、配給禁止の措置を取られたことが5日わかった。
 ムーア氏のウェブサイトなどによると、新作は今月12日からのカンヌ国際映画祭で初上映され、夏にも米国で封切られる予定だった。4日にディズニー側から配給の取りやめを通告されたという。
 ムーア氏は昨春、ミラマックス社からの出資を得て制作を始めた。オサマ・ビンラディン氏の家系を含むサウジアラビア王族とブッシュ家の関連や、9・11後のブッシュ氏の政治姿勢を批判的に描写する内容。タイトルは、思想統制のための焚書を描いて映画化されたブラッドベリの近未来小説「華氏451度」にちなんでいる。
 5日付ニューヨーク・タイムズ紙はムーア氏の代理人の話として、ブッシュ氏の弟が知事を務めるフロリダ州で、ディズニーがテーマパークの税金優遇措置を受けており、配給禁止は映画への反発から優遇措置が損なわれることを懸念したためと報じている。
 ディズニー側はこれを否定しているが、一方で「会社の利益を損なう映画の配給を止める権利がある」とも説明している。また、配給取りやめは昨年ムーア氏側に伝えたといい、「評判づくりのために映画祭直前になって公にした」と批判している。
 まぁ、ブッシュ政権にダメージを与えられるなら、ムーアに「がんばれ」と言いたい。「会社の利益を損なう映画の配給を止める権利がある」って露骨に減税措置を守りたいって言ってるじゃん。受賞スピーチでの「ブッシュよ、恥を知れ!」のように、ムーアは新たな勲章を手にした。宣伝効果もあっただろうしね。
��追記)
■私自身もこの記事を読んで誤解したのだが、ディズニー側の「会社の利益を損なう映画の配給を止める権利がある」というのは減税措置のことではなく、今年11月の米大統領選を前に、偏った政治的立場の映画を配給することは、片方の陣営に加担することになるとしたもので、「多様な政治的見解を持つ消費者に、偏向した内容の映画を配給することは好ましくない」「このような激しい政治論争に巻き込まれることは、大企業にとって何の利益にもならない」ということらしい。
■ってか、この書き方だったら誰でも誤解しそうだが。CNNの記事を読んで誤解に気がついたのです。


2004年5月5日水曜日

反日分子 柏村武昭

反日的分子の柏村武昭が「元気になっちゃったかも!」
■類は友を呼ぶ、って一言ですませたいのだが、反日柏村武昭についての観察…こりゃぁ天然物のバカです。
■柏村のひとこと「ご支援、激励に感動し勇気づけられました」(ホームページより)
(前略)
 テレビ朝日から朝の生放送に出演して自己責任能力、この一点についてご意見を聞かせてほしいという話しに私は周囲の反対を押しきって敢えて出演を承諾しました。
 番組を見た皆さん方から「テレビ朝日は言葉狩りをしている」「みんなで柏村さんを攻めて司会の二人が中立の立場ではなかったので柏村さんが気の毒だった」「まるで人民裁判的のようだった、しかも司会者の二人が検事役だったのでテレビ朝日は偏向している」などという電話やファックス、メールをたくさん頂戴しました。
��中略)
 私の今回の発言にたいして全国からゆうに千通を超えるたくさんの応援ファックス、メール、お電話を頂戴しました。激励してくださった方々には心から感謝申し上げます。また反対意見をきちんと説明して下さった方々にも感謝しております。私は今回の件で皆様から実に多くの事実を教えていただき本当に有り難く思っています。
��中略)
 今回、私は自分の信念に基づいて発言し、その結果、いろいろなメディアより総攻撃?を受けた訳ですが、メディア以外の何時も黙っていらっしゃる…何も主張しない、発言しない層の方々より、予期せぬ応援、激励のメッセージをたくさん頂戴し、又、「貴方は間違っていません、私も同じ考えです」「良くぞ発言してくれました、がんばってください」と、全く見知らぬ人に声を掛けられ、自分の考え方と同じ方は日本全国それこそ圧倒的多数いらっしゃるという自信を持つことが出来ました。私の考えは決して少数意見ではなかったということを自ら確認し、そしてこの際メディアの方々にもしっかりと指摘しておきたいと思います。
 皆様より私の東京、及び広島の事務所に寄せられました応援、激励のファックスやメールの束…私の貴重な宝物として永久に大切に保存いたします。
 そしてこの感動をこれからの私の政治活動のエネルギーとして、更に筋の通る政治を目指し、しっかりと邁進していくつもりです。皆様方本当に有難うございました。
 「危険なのに出かけていった」といったバカみたいな「弁明」(正確には議論のすり替え)が延々と続いたが、そこは省略した。
■「申し訳ない」といった反省はゼロ。ただ、感謝感激を繰り返すばかり。「反日」ってフレーズを好むバカ右翼が「ダボハゼ」のように食いついたってだけだろ。それを自分は多数派だと勘違いして、自信を強めちゃったらしい。しかもそれが「政治活動のエネルギー」に変わっちゃった。時代を戦前まで逆行するそのエネルギーで、政府に反対する奴らに対してガンガン「反日」認定していくと決意を新たにしている。
■答えなければならないのは、自衛隊に反対した人々は「反日的分子」と呼ぶべきなのか?、ということにあるのだが…それについて言及しているっぽいのはこの一部分だけ…
3人はこの時期イラクへ何故行ったのか?…それは政府の自衛隊イラク人道派遣に反対…日本政府に反対…即ち反日という大きなキーワードがあるのではないのか…そういう気持ちがあったから度重なる勧告を無視して行ったのではないのか?…つまり全ての原因は政府の自衛隊のイラク派遣に反対する…ここにあると思い、それで少々過激かも知れませんが敢えて反日的分子といわせてもらったという次第です。

 「日本政府に反対…即ち反日」って、政府に反対するのが反日?・・・やっぱり、どういう思考回路しているのかさっぱりわかんないや。政府が日本という国そのものであり、それに反対するのが「反日」ということらしい。政府ありきで、国民が国を形成している…って認識はない模様。
■柏村発言 ―参院決算委員会(26日)
「人質の中には自衛隊イラク派遣に公然と反対していた人もいるらしい。仮にそうなら、そんな反政府、反日的分子のために血税を用いるのは強烈な不快感を持たざるを得ない」


2004年5月4日火曜日

社説比較/憲法記念日

■今日は憲法記念日。ゴールデンウィークなので、東京は静か…と思いきや、右翼の方々がうるさい。市民の生活を尊重しないバカが憲法を語るな。

■世論調査では「憲法を改正すべきだ」と改憲派が大勢をしめているし、自民、民主、公明の主要政党は具体的な憲法改正案作りに動き出し、政治日程にものぼっている。憲法改正は目前だ。

■まぁ、新聞各社の主張は読まなくてもわかりそうだが、タイトルを見れば…「『新憲法』を政治日程に乗せよ」(読売新聞)「憲法記念日 緊急性ます9条見直し 教育基本法の改正と両輪で」(産経新聞)「憲法改正の機は熟しつつある」(日本経済新聞)…明確に改憲の立場をとり、「憲法記念日を思う――多彩な民意を直視して」(朝日新聞)「憲法記念日 まず改正の目的を語ろう−−21世紀、どんな国になりたいか」(毎日新聞)…どちらとも言っていない。

■改憲論議で思うのが、これだけ憲法をないがしろにしてきた国で、改正した憲法が守られる保証があるのかね…ってこと。自分たちが軽視してきたことを棚上げして、「憲法と現実が乖離している」の一点ばり…そんな連中の改憲案にはとても賛同できない。改憲論議の前に厳格な違憲審査制を保証してくれ。

■読売・産経っぽいなぁってとこを引用しておく。
「イラク派遣自衛隊がテロリストに攻撃されても、武器の使用が正当防衛・緊急避難に限られるのはその一例だ。憲法九条により海外での武力行使は禁じるとの解釈があるためでもある。だが、こうした制約がある限り、国際社会の平和と安全の確保のために求められる安全保障上の役割を日本はなにも果たせない。自衛隊は外国の軍隊に警護され続けるしかない。」(産経新聞)「集団的自衛権を行使できないとする政府の憲法解釈は、安全保障政策や自衛隊を活用した国際平和協力活動を制約してきた。国際情勢や日本の安全保障環境が大きく変化している時、これでは、日本の国益を守ることはできない。」(読売新聞)
 産経には「だったらイラクに行くなよ」と言いたいし、読売には「集団的自衛権」があることで、どういった選択肢が追加され、それが国益に寄与するのかと問うてみたい。

 さらに、産経がクレイジーなことを言い出した…
 その中で自民党憲法調査会の憲法改正プロジェクトチームは、新たな憲法前文に「健全な愛国心」「日本の文化・伝統・国柄」を盛り込むことに加え、国際協力への積極参加、自衛隊の存在明記を打ち出すなど、改憲のたたき台を示しつつある。 教育基本法も国の根本法規であり、新しい国造りには改正が不可欠だ。憲法と車の両輪で「愛国心」を軸に見直し作業を急がなくてはならない。
・・・いやはや、何と言ってよいのやら。「健全な愛国心」「日本の文化・伝統・国柄」…って何ですか?憲法9条以上に解釈の余地がいっぱいあって、都合のいい言葉だね。

■一方、朝日・毎日は、「だからこそ、大いに議論してほしい。各党が国や社会のありようを根本から考えるのはよいことだ。国民にとっては政党をよく見定めるチャンスでもある。」(朝日新聞)「われわれは21世紀どういう国になるのか、そこからつめなければいけない。」(毎日新聞)と結んでおり、立場がわかりにくい。

■朝日新聞
 成長した自衛隊はいまや世界で屈指の戦力であり、立派な軍隊ではないか、憲法はごまかしが過ぎる。そんな声も強まってきた。「9・11」のあとは、インド洋上へ、イラクへと、大きな議論の末、PKOの枠を超えた自衛隊の海外派遣も続いた。
 それが改憲論にもつながるのだが、目を引くのはここでも「護憲的改憲論」の台頭だ。憲法に自衛隊の存在を明記しつつ、役割に歯止めをはっきりかけよう、といった発想である。それも一つの考え方に違いない。国連軍的な部隊への参加を明記する考え方もある。増えた9条改正論も、中身は幅が広がった。護憲と改憲はまだら模様になっている。
 しかし、それでも9条の改正となると「反対」の人がまだまだ多数派だ。少々の矛盾はあろうとも、「過去の戦争に深い反省を示した証しだから」「変えたらますます軍拡に向かう」「アジアの国々に警戒心を与えたくない」。国民に根強いそんな考えは大事にしたい。
 戦火のやまぬイラクに自衛隊が派遣されて3カ月。心配された事態は幸い起きてないが、代わりに用心深く宿営地に引きこもりがちで、看板の「人道支援」も思うに任せない。皮肉なことだが、そんな姿勢によって、「勇猛」だった旧日本軍との違いを世界にアピールしているのなら、それは9条の精神にかなうのかもしれない。
 だが、武装勢力が「撤退」を求めて日本人を人質にしたように、「米国支援」という自衛隊派遣の本音は隠しようもない。この先、もし襲われ、撃ち合いになったりしたらどうなるか。憲法との関係はなお危うい縁にある。
そんななか、9条改正によって堂々と軍隊の存在を認め、れっきとした米国の同盟軍にしようという考えが自民党などに根強い。これが改憲論の核ともいえるのだが、国民多数の気持ちを読み違えていないか。
「国民に根強いそんな考えは大事にしたい」って苦しい立場は理解するけど、やや弱い気がする…。

■毎日新聞には最も賛同する部分が大きかったので、長々と引用しておく。
◇国連決議に依拠できるか ではどのように改正するのか。まだ具体的な多数案があるわけではない。方向として国連の了解の下で日本も治安維持・平和活動のような部隊に自衛隊ないし特別編成部隊を送れるようにしようという案が有力だ。前文の改正も同じ文脈にある。決して侵略戦争の意図はない大前提だ。 だがその大前提が一番疑わしいとするのが9条改正への有力な反対意見だ。現に解放軍のはずの米軍が侵略者として攻撃を受けている。世界が非常にきな臭くなってきた今こそ、日本が誇る平和憲法の精神をもっと発揮すべきではないか。武力を使わないで世界の問題を解決するとうたった日本国憲法の神髄を生かす国際政治をするのが筋ではないかというものだ。 イラク戦争の例をとっても、もし現状に合わせた憲法改正ができていたとしたら、日本は初めから米英軍といっしょにイラク攻撃に加わった可能性は大きい。そこから先は今とはずいぶんと異なる状況になっていただろう。 だがよく考えると、国連の決議の下にしかできないと憲法で明文規定があるとかえって復興支援さえできないかもしれない。特に、国連決議という行動の条件はこの先ますます難しくなる可能性もある。しかも、決議自体どこまで何を決めたのかで解釈に差が出る。憲法の明文規定があるゆえに、ますます物議をかもし出す可能性も大きい。 総論や概念的な改正論ではなくいざ具体的な改正文案になると、判断はますます難しいのである。そこに至って初めて憲法を論じる論憲が真剣味を帯びてくる。◇米国の存在が前提 その際よく考えなければいけないことがある。米国の存在だ。現行憲法の平和条項は日米安保条約とセットになって現実を歩んできた。この間米国は朝鮮戦争に始まり、ベトナム戦争、湾岸戦争、ユーゴ空爆、アフガン空爆・イラク戦争などほぼ恒常的に世界の戦争にかかわってきた。日本の憲法解釈の綱渡りやそれが限界にきて改正の必要性が高まってきたのもその流れに呼応する。 それは今後も続くと予想できる。したがって憲法改正、特に9条関連を考える際、現実にある米国をどう見るかが大きなポイントになる。これだけ戦争にかかわりつづけてきた国が今後は戦争に対して消極的になるのか。米国次第で改正した日本国憲法の活用具合はまったく違ってくるからだ。 その現実を抜きに机上の空論としてあるいは条文のあり方として改憲を論ずることは非常に危険でもある。現行憲法で日本は矛盾を抱えながら、その矛盾を実行部隊、いい例が今回の派遣された自衛隊の不安定な存在、にしわ寄せしながらもとにかく自衛隊を海外に派遣するところまできたのである。憲法改正してこれ以上具体的に何をしようというのだろうか。 米国が次に起こすであろう戦争ではついに初めから参加したいのだろうか。そうではなく日本独自に世界平和維持のために自衛隊の持つ武力を活用する決意をするのだろうか。9条改正は世界との付き合いのために人並みのことができるようにする現状追随がテーマではない。たとえばアジアの集団安全保障機構構築に積極的に打って出るなど、外交を通してどこまで積極的に世界とかかわっていくつもりなのかをはっきりと示す、日本の国のあり方が問われるのである。
 まさに憲法9条の核心部分だ。国の礎である憲法を決定するのに「アメリカ」が出てくるのはマズイのか、保守派は「アメリカ」について何も語っていない。それとも「対米追従」との批判を恐れたのか。まさか…憲法を「押しつけられた」と怒っている保守派が、「民主主義」を押しつけるアメリカを支持することへの後ろめたさ…ではなかろうな?■憲法に世論調査でいつも気になるのは、「改憲すべき」と答える人がどのような憲法を想定しているかだ。私には「どちらとも言えない」としか答えようがない。理想では「改憲すべき」と思うのだが、現在の政治状況や社会、国際情勢などが、それを躊躇させる。その際、念頭にあるのは、やはり憲法9条だ。

■日本が憲法9条を改正して「軍隊」を持つ時、米国追従ではない意思決定はできるのか、これにつきる。「憲法9条」という「歯止め」がなかったら、日本は「No」と言えず、どこまでもアメリカに付き合うことになるのではないか。「北朝鮮のことがあるから、しょうがない…」「人道復興支援」と思考停止のまま、「テロとの戦い」に向かっていく危険性がある。そこまで突き詰めた議論をせずに、9条という「歯止め」だけを外すのは危険だ。

■9条を改正して自衛隊を「軍隊」にしたい、海外での軍事行動を容易にしたいという、「足かせ」を外す議論ばかり保守派はしている。だが、日本が「軍隊」を持ったとき、イラク戦争時のドイツ・フランスのように、アメリカと距離を取れるのか、はなはだ疑問だ。思考停止のままそれを支持することしかできないのではないか。不幸なことに、日本は主体的に戦略を立てる能力もないと思う。米国に無限に追従して、どんな危ないことでもやると考えているのか。

■「北朝鮮」が「脅威」だって?改憲したい保守派の洗脳は見事に成功しているようだ。だが、あの貧弱国家にそんなにビビる必要があるのか?あの国にいったい何ができるの?結局、「脅威」は誇大されているわけだが、まぁ、そんなことはどうでもいい。では、憲法9条を改正すれば、その「脅威」とやらは除去できるっていうのか?「北朝鮮」という「脅威」に、いったいどれだけ軍備増強したら安心できるのかな?

■で、その場合、チキン野郎な将軍様はビビっちゃって、いよいよ軍備増強を強めるわけだ。一方、金正日のおかげでアイデンティティを確立している保守派たちは、「脅威は強まった」ってエクスタシーに達するんだろうな。申し訳ないが、そんなマッチポンプにお付き合いするほどの旺盛なボランティア精神を持ち合わせていない。

■読売・産経に比べたら、イデオロギー色が薄いから日経は好感が持てる。関心を持った部分を…
 二院制のあり方も根本から問い直す必要がある。日本の参院は世界各国の上院と比べて強い権限を持っている。このため、議院内閣制の円滑な運用に支障が出るケースがしばしば見られた。日本の内閣が短命でリーダーシップが弱い理由の一つに強すぎる参院の存在がある。 国民の間にも根強い「参院不要論」がある。小泉純一郎首相も菅直人民主党代表も「一院制は検討に値する」と述べている。大いに議論したらいい。二院制を維持する場合でも参院の権限と規模は縮小すべきだ。参院で否決された法案を衆院で再議決するには3分の2の賛成が必要だが、これを過半数に改めることが望ましい。国会の会期制を廃止して通年国会にすることも大事である。
 見落とされがちだが、大きな論点の一つではある。ただ、内容はちょっとね。「日本の内閣が短命でリーダーシップが弱い理由の一つに強すぎる参院の存在がある」って、本当かい?いつの時代のことを言っているの?本来、議員内閣制では政権が議会の多数派の支持を得ている。リーダーシップは発揮できる土台はあって、むしろ、警戒すべきほどだ。最近の年金改革を見よ。これ以上「円滑な運用」とやらがなされてしまったら、それこそ与党のやりたい放題だよ?


憲法記念日/憲法九条

■今日は憲法記念日。ゴールデンウィークなので、東京は静か…と思いきや、右翼の方々がうるさい。市民の生活を尊重しないバカが憲法を語るな。
■世論調査では「憲法を改正すべきだ」と改憲派が大勢をしめているし、自民、民主、公明の主要政党は具体的な憲法改正案作りに動き出し、政治日程にものぼっている。憲法改正は目前だ。
■まぁ、新聞各社の主張は読まなくてもわかりそうだが、タイトルを見れば…
「『新憲法』を政治日程に乗せよ」(読売新聞)
「憲法記念日 緊急性ます9条見直し 教育基本法の改正と両輪で」(産経新聞)
「憲法改正の機は熟しつつある」(日本経済新聞)
…明確に改憲の立場をとり、
「憲法記念日を思う――多彩な民意を直視して」(朝日新聞)
「憲法記念日 まず改正の目的を語ろう−−21世紀、どんな国になりたいか」(毎日新聞)
…どちらとも言っていない。
■改憲論議で思うのが、これだけ憲法をないがしろにしてきた国で、改正した憲法が守られる保証があるのかね…ってこと。自分たちが軽視してきたことを棚上げして、「憲法と現実が乖離している」の一点ばり…そんな連中の改憲案にはとても賛同できない。改憲論議の前に厳格な違憲審査制を保証してくれ。
■読売・産経っぽいなぁってとこを引用しておく。
「イラク派遣自衛隊がテロリストに攻撃されても、武器の使用が正当防衛・緊急避難に限られるのはその一例だ。憲法九条により海外での武力行使は禁じるとの解釈があるためでもある。だが、こうした制約がある限り、国際社会の平和と安全の確保のために求められる安全保障上の役割を日本はなにも果たせない。自衛隊は外国の軍隊に警護され続けるしかない。」(産経新聞)
「集団的自衛権を行使できないとする政府の憲法解釈は、安全保障政策や自衛隊を活用した国際平和協力活動を制約してきた。国際情勢や日本の安全保障環境が大きく変化している時、これでは、日本の国益を守ることはできない。」(読売新聞)
 産経には「だったらイラクに行くなよ」と言いたいし、読売には「集団的自衛権」があることで、どういった選択肢が追加され、それが国益にどのような寄与をするのかと問うてみたい。
 さらに、産経がクレイジーなことを言い出した…
 その中で自民党憲法調査会の憲法改正プロジェクトチームは、新たな憲法前文に「健全な愛国心」「日本の文化・伝統・国柄」を盛り込むことに加え、国際協力への積極参加、自衛隊の存在明記を打ち出すなど、改憲のたたき台を示しつつある。
 教育基本法も国の根本法規であり、新しい国造りには改正が不可欠だ。憲法と車の両輪で「愛国心」を軸に見直し作業を急がなくてはならない。

・・・いやはや、何と言ってよいのやら。「健全な愛国心」「日本の文化・伝統・国柄」…って何ですか?憲法9条以上に解釈の余地がいっぱいあって、都合のいい言葉だね。
■一方、朝日・毎日は、「だからこそ、大いに議論してほしい。各党が国や社会のありようを根本から考えるのはよいことだ。国民にとっては政党をよく見定めるチャンスでもある。」(朝日新聞)「われわれは21世紀どういう国になるのか、そこからつめなければいけない。」(毎日新聞)と結んでおり、立場がわかりにくい。
■朝日新聞
 成長した自衛隊はいまや世界で屈指の戦力であり、立派な軍隊ではないか、憲法はごまかしが過ぎる。そんな声も強まってきた。「9・11」のあとは、インド洋上へ、イラクへと、大きな議論の末、PKOの枠を超えた自衛隊の海外派遣も続いた。
 それが改憲論にもつながるのだが、目を引くのはここでも「護憲的改憲論」の台頭だ。憲法に自衛隊の存在を明記しつつ、役割に歯止めをはっきりかけよう、といった発想である。それも一つの考え方に違いない。国連軍的な部隊への参加を明記する考え方もある。増えた9条改正論も、中身は幅が広がった。護憲と改憲はまだら模様になっている。
 しかし、それでも9条の改正となると「反対」の人がまだまだ多数派だ。少々の矛盾はあろうとも、「過去の戦争に深い反省を示した証しだから」「変えたらますます軍拡に向かう」「アジアの国々に警戒心を与えたくない」。国民に根強いそんな考えは大事にしたい。
 戦火のやまぬイラクに自衛隊が派遣されて3カ月。心配された事態は幸い起きてないが、代わりに用心深く宿営地に引きこもりがちで、看板の「人道支援」も思うに任せない。皮肉なことだが、そんな姿勢によって、「勇猛」だった旧日本軍との違いを世界にアピールしているのなら、それは9条の精神にかなうのかもしれない。
 だが、武装勢力が「撤退」を求めて日本人を人質にしたように、「米国支援」という自衛隊派遣の本音は隠しようもない。この先、もし襲われ、撃ち合いになったりしたらどうなるか。憲法との関係はなお危うい縁にある。
そんななか、9条改正によって堂々と軍隊の存在を認め、れっきとした米国の同盟軍にしようという考えが自民党などに根強い。これが改憲論の核ともいえるのだが、国民多数の気持ちを読み違えていないか。
「国民に根強いそんな考えは大事にしたい」って苦しい立場は理解するけど、やや弱い気がする…。
■毎日新聞には最も賛同する部分が大きかったので、長々と引用しておく。
◇国連決議に依拠できるか
 ではどのように改正するのか。まだ具体的な多数案があるわけではない。方向として国連の了解の下で日本も治安維持・平和活動のような部隊に自衛隊ないし特別編成部隊を送れるようにしようという案が有力だ。前文の改正も同じ文脈にある。決して侵略戦争の意図はない大前提だ。
 だがその大前提が一番疑わしいとするのが9条改正への有力な反対意見だ。現に解放軍のはずの米軍が侵略者として攻撃を受けている。世界が非常にきな臭くなってきた今こそ、日本が誇る平和憲法の精神をもっと発揮すべきではないか。武力を使わないで世界の問題を解決するとうたった日本国憲法の神髄を生かす国際政治をするのが筋ではないかというものだ。
 イラク戦争の例をとっても、もし現状に合わせた憲法改正ができていたとしたら、日本は初めから米英軍といっしょにイラク攻撃に加わった可能性は大きい。そこから先は今とはずいぶんと異なる状況になっていただろう。
 だがよく考えると、国連の決議の下にしかできないと憲法で明文規定があるとかえって復興支援さえできないかもしれない。特に、国連決議という行動の条件はこの先ますます難しくなる可能性もある。しかも、決議自体どこまで何を決めたのかで解釈に差が出る。憲法の明文規定があるゆえに、ますます物議をかもし出す可能性も大きい。
 総論や概念的な改正論ではなくいざ具体的な改正文案になると、判断はますます難しいのである。そこに至って初めて憲法を論じる論憲が真剣味を帯びてくる。
◇米国の存在が前提
 その際よく考えなければいけないことがある。米国の存在だ。現行憲法の平和条項は日米安保条約とセットになって現実を歩んできた。この間米国は朝鮮戦争に始まり、ベトナム戦争、湾岸戦争、ユーゴ空爆、アフガン空爆・イラク戦争などほぼ恒常的に世界の戦争にかかわってきた。日本の憲法解釈の綱渡りやそれが限界にきて改正の必要性が高まってきたのもその流れに呼応する。
 それは今後も続くと予想できる。したがって憲法改正、特に9条関連を考える際、現実にある米国をどう見るかが大きなポイントになる。これだけ戦争にかかわりつづけてきた国が今後は戦争に対して消極的になるのか。米国次第で改正した日本国憲法の活用具合はまったく違ってくるからだ。
 その現実を抜きに机上の空論としてあるいは条文のあり方として改憲を論ずることは非常に危険でもある。現行憲法で日本は矛盾を抱えながら、その矛盾を実行部隊、いい例が今回の派遣された自衛隊の不安定な存在、にしわ寄せしながらもとにかく自衛隊を海外に派遣するところまできたのである。憲法改正してこれ以上具体的に何をしようというのだろうか。
 米国が次に起こすであろう戦争ではついに初めから参加したいのだろうか。そうではなく日本独自に世界平和維持のために自衛隊の持つ武力を活用する決意をするのだろうか。9条改正は世界との付き合いのために人並みのことができるようにする現状追随がテーマではない。たとえばアジアの集団安全保障機構構築に積極的に打って出るなど、外交を通してどこまで積極的に世界とかかわっていくつもりなのかをはっきりと示す、日本の国のあり方が問われるのである。
 まさに憲法9条の核心部分だ。国の礎である憲法を決定するのに「アメリカ」が出てくるのはマズイのか、保守派は「アメリカ」について何も語っていない。それとも「対米追従」との批判を恐れたのか。まさか…憲法を「押しつけられた」と怒っている保守派が、「民主主義」を押しつけるアメリカを支持することへの後ろめたさ…ではなかろうな?
■憲法に世論調査でいつも気になるのは、「改憲すべき」と答える人がどのような憲法を想定しているかだ。私には「どちらとも言えない」としか答えようがない。理想では「改憲すべき」と思うのだが、現在の政治状況や社会、国際情勢などが、それを躊躇させる。その際、念頭にあるのは、やはり憲法9条だ。
■日本が憲法9条を改正して「軍隊」を持つ時、米国追従ではない意思決定はできるのか、これにつきる。「憲法9条」という「歯止め」がなかったら、日本は「No」と言えず、どこまでもアメリカに付き合うことになるのではないか。「北朝鮮のことがあるから、しょうがない…」「人道復興支援」と思考停止のまま、「テロとの戦い」に向かっていく危険性がある。そこまで突き詰めた議論をせずに、9条という「歯止め」だけを外すのは危険だ。
■9条を改正して自衛隊を「軍隊」にしたい、海外での軍事行動を容易にしたいという、「足かせ」を外す議論ばかり保守派はしている。だが、日本が「軍隊」を持ったとき、イラク戦争時のドイツ・フランスのように、アメリカと距離を取れるのか、はなはだ疑問だ。思考停止のままそれを支持することしかできないのではないか。不幸なことに、日本は主体的に戦略を立てる能力もないと思う。米国に無限に追従して、どんな危ないことでもやると考えているのか。
■「北朝鮮」が「脅威」だって?改憲したい保守派の洗脳は見事に成功しているようだ。だが、あの貧弱国家にそんなにビビる必要があるのか?あの国にいったい何ができるの?結局、「脅威」は誇大されているわけだが、まぁ、そんなことはどうでもいい。では、憲法9条を改正すれば、その「脅威」とやらは除去できるっていうのか?「北朝鮮」という「脅威」に、いったいどれだけ軍備増強したら枕を高くして寝られるのかな?
■で、その場合、チキン野郎な将軍様はビビっちゃって、いよいよ軍備増強を強めるわけだ。一方、金正日のおかげでアイデンティティを確立している保守派たちは、「脅威は強まった」ってエクスタシーに達するんだろう。申し訳ないが、そんなマッチポンプにお付き合いするほどの旺盛なボランティア精神を持ち合わせていない。
■読売・産経に比べたら、イデオロギー色が薄いから日経は好感が持てる。関心を持った部分を…
 二院制のあり方も根本から問い直す必要がある。日本の参院は世界各国の上院と比べて強い権限を持っている。このため、議院内閣制の円滑な運用に支障が出るケースがしばしば見られた。日本の内閣が短命でリーダーシップが弱い理由の一つに強すぎる参院の存在がある。
 国民の間にも根強い「参院不要論」がある。小泉純一郎首相も菅直人民主党代表も「一院制は検討に値する」と述べている。大いに議論したらいい。二院制を維持する場合でも参院の権限と規模は縮小すべきだ。参院で否決された法案を衆院で再議決するには3分の2の賛成が必要だが、これを過半数に改めることが望ましい。国会の会期制を廃止して通年国会にすることも大事である。

 見落とされがちだが、大きな論点の一つではある。ただ、内容はちょっとね。「日本の内閣が短命でリーダーシップが弱い理由の一つに強すぎる参院の存在がある」って、本当かい?いつの時代のことを言っているの?本来、議員内閣制では政権が議会の多数派の支持を得ている。リーダーシップは発揮できる土台はあって、むしろ、警戒すべきほどだ。最近の年金改革を見よ。これ以上「円滑な運用」とやらがなされてしまったら、それこそ与党のやりたい放題だよ?
■7月の参院選に向けて、民主党が改革案を作った。国会議員の世襲を制限するため、親族の同一選挙区からの立候補を原則禁止。衆院選比例区に原則70歳定年制を導入する。また、女性議員を増やすために、衆院選の各比例ブロックで女性新顔を単独1位に優遇する案も検討する。自民党との違いを明確にするとともに、菅直人の国民年金未加入問題で傷ついた党のイメージ回復を図りたい思惑があるようだが…。
■自民党との違いがわかりにくい。先の埼玉補選では、自民党は民主党のお得意である公募で候補者を選んだ(出来レース?)。自民党が衆院選比例区に73歳定年制を導入した。その対抗意識から、3歳低い70歳を原則にしたようだ。前回の衆院選で、菅直人の息子、菅源太郎を立候補させてしまった。選挙区を変えれば世襲制批判をかわせると思っているのか。ずいぶんと見くびられたものである。
■そういや、昨日、バカ鳩山が大勲位★中曽根を立候補させようとしてた。若い政党をアピールしたいんじゃないの?議員高齢化批判が怖かったんじゃないの?


2004年5月3日月曜日

憲法九条

毎日新聞 2004年5月3日 東京朝刊「論点:憲法改正の是非、こう考える」より
◆EU憲法草案が模範(民主党 仙谷由人)
 従来型の改憲論というのは、国家対国家の戦争を前提としている。しかし、今は地域紛争が中心となり、戦争の質が変わってきている。そこにブッシュ米政権の先制攻撃論、単独行動主義の米国を中心とする有志連合が登場する背景がある。だが、国際紛争については、あくまでも国連を中心とする多国間の枠組みで対応すべきではないか。ここに今日の憲法論議の基本がある。
 従来の戦争のイメージのまま憲法9条を改正して再軍備する発想は既に古くなっている。一方、「非武装中立・自衛隊解体」を唱えるだけでは新しい時代に意味を持たない。何よりも問題なのは解釈改憲だ。90年の湾岸危機を契機に、自衛隊の海外派遣を可能とするPKO(国連平和維持活動)法が成立したが、やはり憲法を変えてからやるべきだった。94年の村山内閣当時、旧社会党は「専守防衛の自衛隊」を容認し、9条解釈を変更した。この時も憲法を変えることを自ら提案するのが筋ではなかったか。さもなければ「法の支配」は守れない。
 9条についての考えはこうだ。自衛隊の存在が合憲の対象ならば、それを書きこまない憲法というのはあり得ない。なぜならば、憲法は文民統制の最たるもので、権力構造に向けられた規範であるからだ。そうでなければ、憲法を持つ意味はない。まず国権の発動として自衛隊の海外派遣をしてはいけないことが大原則だ。次に国家を超えた国際機関に主権の一部を移譲し、そこに派遣部隊を提供できる規定を盛り込むことが必要である。国連憲章でも憲法でも集団安全保障に参画することは許されている。
 模範とすべきは「欧州憲法条約草案」である。5月1日に25カ国に拡大したEU(欧州連合)は、戦争のない欧州を前提にしている。そしてNATO(北大西洋条約機構)軍に代わる平和構築を試みようとしている。同草案の前文には「平和と正義と連帯を全世界に拡大する努力をたやさぬ意欲を持つと信じ」とうたっている。「国連憲章の原則に従った平和維持活動、紛争防止活動および安全保障強化のため(EU)域外での使命」において、任務の遂行は「構成国の提供する諸力を利用して行われるものとする」と規定する。同草案は私の考える9条改正案と極めて近い。
 6カ国協議の過程を見ると、東アジアでも地域間協力の体制が可能性として生まれつつある。条件さえつけば、日本は「アジア連合」的な地域安全保障の枠組みを構築できるのではないか。現時点では国連の承認があり、国連の旗の下に行動するのであれば、もし仮に北朝鮮やその他のアジアの地域で何かがあった場合、部隊を提供する選択肢があってもいい。
 ただ、9条だけを変えれば改憲というのは旧来型の発想である。民主党が重視するのは統治機構の再構築だ。地方分権を本当にやるには自治体の課税自主権を憲法に明記しなければならない。

◆9条守るのが「国益」(福島瑞穂)
・9条のおかげで、軍隊が戦後海外に出ず、だれも殺さなかったことは日本の大きな財産だ。
・9条がなくなれば集団的自衛権が認められてしまう。そうなれば、日本と同盟関係にある米国がかかわる戦争に、何の歯止めもなく参戦していく恐れがある。
・9条を守れば軍事的に中立の立場を貫くことにつながり、国際的な信頼をかち取れることも大きい。
 福島のは要点のみ、保岡興治は完全省略。


欧州連合(EU)「拡大」「深化」/鳩山由紀夫・中曽根康弘

■欧州連合(EU)は、中・東欧やバルト三国など10カ国を新たにメンバーに加え、25カ国体制に拡大する。総人口4億5000万人、公用語は20か国語。経済規模も日本の倍以上で、アメリカとほぼ肩を並べる。まさに「大欧州」の誕生だ。
■欧州大陸を縦断する「鉄のカーテン」は取り払われた。しかし、この「大欧州」、一枚岩というわけではない。政治的にも経済的にも各国利害が衝突する。ラムズフェルド国防長官によって浮き彫りにされた、「古い欧州」と「新しい欧州」の路線対立もその一つである。
■この壮大な実験は非常に興味深いが、日本ではどうも取り扱いが少ない。それもあって、私も勉強不足だ。これ以上書いても、どこかの社説を薄めたような、うわべだけしか語れそうにないので、別の機会に改めたい。政治・経済・社会・域外外交…このインパクトは非常に興味あるし、アジアや日本に大きな教訓をもたらすはずだ。
■米英軍によるイラク人捕虜に対する残虐な映像が流れている。どうやら組織的なもののようで、一部の人間だけがやっているということではなさそうだ。死の恐怖が間近にあるとこうゆうことをしてしまうのだろうか。これは何もアメリカ人やイギリス人が残酷だからじゃなくって、戦争の残虐性の一端にすぎない。まぁ、こういう写真が出てくるってことはメディアはまだ健全さを保っているって証拠になるのか。日本だったら、「反日的分子」「反政府的行為」とかって怒られそうだからな。
■鳩山氏「中曽根先生、民主で出馬を」・本人は否定(共同通信)
 民主党の鳩山由紀夫前代表は2日のフジテレビの報道番組で、中曽根康弘元首相に夏の参院選に民主党から立候補するよう要請をしていることを明らかにした。ただ、一緒に出演した中曽根氏は「まあ、研究しようという程度で、今のところそういう気持ちはない」とあっさり否定した。
 中曽根氏は、鳩山氏が積極的に取り組む憲法改正問題などの“教師役”の1人。鳩山氏は憲法改正の過程で政界再編が起こる可能性に触れ「中曽根先生が民主党から参院に出馬していただくこと自体が政界再編につながる」と期待を示した。
・・・・あほか。中曽根が師匠じゃぁ、鳩山も頭がおかしくなるわね。リップ・サービスだと思っていたが、数回にわたって要請しているようだ。それにしても「政界再編」ってのが不可解だ。いったいどうしたいというのだ。
 番組は「報道2001」だろう。竹村健一など保守どもが、憲法記念日を前に毒電波を発信したんだろうな。