■ちょっと用事で仙台まで行っていたのだった。今日帰ってきて、明日から箱根に行く。二泊して、水曜日に静岡県の沼津市に寄りつつ名古屋の実家に帰る。なんかちょこまかと動いており疲れる。というわけで、次回の更新は水曜か木曜なのです。
■麻原彰晃(松本智津夫)の裁判で面白かったのは、判決が言い渡された時の各メディアの慌てぶりだ。テレビ各局は、「死刑判決が出ました」「主文は後回しです」などを競うように早く報道しようとしているが、その速報性がそんなに重要なことなのか。意味も無く慌てふためいている記者を笑ってください、というサービス精神だろうか。そんなとこで競うくらいなら、もっと気の効いたコメントの準備でもした方がよい。
■街頭インタビューで、麻原を「人間じゃない」とコメントする人が多数見うけられた。なんだかなぁ…。麻原を同じ「人間」と認めたくない気持ちでもあるのかなぁ。しかし、我々の社会が麻原を生み出したのは事実であって、この現実から目を背けていないか?また、目が不自由で小さな頃に盲学校に入れられ、孤独感があった…みたいなのもどうか。なにかに要因を求め、「だからあんな悪魔のような人間になったんだ」と納得して安心したいだけじゃないのか。そんな慰めけっこうですと言いたい。
■それにしても笑えるのは尊師のお歌だ。「わたしは潔白だぁ〜やぁってない〜♪」「しょ〜こ〜、しょ〜こ〜、しょこしょこしょ〜こう、麻原彰晃♪」ってな歌は秀逸だ。また、座禅を組んで一生懸命飛び跳ねている信者も面白い。空中浮遊って脚力で飛ぶわけじゃなかろうに。いったい何がやりたいんだろうか。
■以下、ちょっとしたメモ…各誌社説の反応。(以下の社説引用は主に結論部分から)
■左派は、事件の原因に焦点を当て、社会のあり方に還元する内容となっている。小論文の課題として出されれば、このような無難な回答になるんだろうなぁ。
「教団を生んだ社会の病巣を少しでも知りたい。悲劇を再び起こさないための糧を得たい。」「なぜ事件は起きたのか。なぜ教団がなくならないのか。私たちも考え続けなければなるまい。」(朝日新聞)
「情熱を注ぐ対象を見つけられない若者が、正体不明の宗教団体やカルト集団へとひかれていく風潮は、専門家から繰り返し指摘されている。不正腐敗を一掃し、夢と希望があふれる社会を構築しない限り、事件再発の危険は消え去らないとも心得ていたい。」(毎日新聞)
「生命を軽んじる風潮が広がっている。日本人がオウム事件に正面から向き合わなかったツケだろう。いまからでも遅くはない。事件を多角的に分析し、私たちの生き方、社会のあり方を探り、再発防止の処方箋を書かなければならない。」(中日新聞/東京新聞)
■右派は「治安」「テロ」を強調し、国家による抑え込みを志向する。まぁ、アメリカの「テロとの戦い」に参加しようと意気込んでいる連中において、これとオウム事件が結び付くことは想像できるが。
「国際テロが頻発する時代を迎えながら新たな組織的な反社会集団に対する法の整備は進んでいない。」「野放し状態にある極左の過激派と、国際テロ組織『アル・カーイダ』が結びつくと、どうなるのか。」 「オウム事件とはまさに、日本の治安の『安全神話』を突き崩したものにほかならない。この悲劇を、治安再生の礎石にしなければならない。」(読売新聞)
「サリン事件は、オウムという集団が一般市民に仕掛けたテロ戦争だったことを再認識したい。今も多くの被害者が後遺症に苦しんでいる。テロへの万全の対応が求められる。」(産経新聞)
■日本経済新聞はどちらとも言えない。淡々と語っている印象。
「残された問題も多い。まず、なぜ多くの若者がカルト(狂信)集団にからめとられ残虐非道な犯罪に走ったか、という問題である。超能力や死後の世界への関心、現代社会への不安や不満など、『迷える若者』は少なくない。それに手を差し伸べる活動は十分ではない。経済の繁栄の中で精神世界を軽んじてきた戦後社会のつけと言えよう。」「事件後人員や装備の面で大規模テロ対策は急速に進んだ。だが、事件の兆候を見逃した捜査・警備の反省も不可欠だ。」(日経新聞)
■裁判の長期化について。読売・産経は直接的に弁護側を批判。日経は遠回しに批判。中日は弁護側を擁護。毎日は責任の所在は曖昧にしている。朝日は言及せず。
「裁判が長期化した責任の大半は、国選弁護団にある。迅速な審理に不可欠の争点整理には応じなかった」「弁護団は証人尋問では、重箱の隅をつつくような枝葉末節の尋問を繰り返し、検察側の五倍の約千時間をかけて、引き延ばしを図った。」「裁判引き延ばしの『弁護のための弁護』に近いものだった。」(読売新聞)
「最大の要因は、弁護側の引き延ばし戦術にあった。弁護側は検察官が申請した証拠の大半を不同意にし、重箱の隅をつつくような反対尋問を約九百二十時間(全尋問の83%)にわたって繰り返し、審理は長期化した。」(産経新聞)
「いま刑事裁判の充実・迅速化を目指す刑事司法改革が進んでいる。この裁判を教訓として、『すべての裁判で2年以内の一審判決』が実現する方策を急ぐべきだ。『引き延ばし戦術』との批判があった弁護活動についても検討が必要であろう。(日経新聞)
「しかし、前代未聞の凶悪犯罪でも法が定めた厳格な手続きで裁く必要がある。実行行為をしていない被告の責任を首謀者として問う事件の特殊性、起訴事実の多さからも長期裁判は予想された。弁護団を非難するのは筋違いだ。」(中日新聞/東京新聞)
「空前の事件とはいえ、弁護士の交代や審理のもたつきで遅延した面もある。裁判官や検事、弁護士の迅速化に向けた努力と工夫が不足していたと言わざるを得ない。裁判員制度も導入される折、関係者は二度と繰り返さぬように長期化の原因を究明し、教訓を今後に生かしてもらわねば困る。」(毎日新聞)
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