2004年4月27日火曜日

低投票率と政治不信/民主主義の敗北/柏村武昭・反日的分子

■さて、菅直人が敗北を「低投票率」のせいにしていたわけだが…どれくらいだったのか?
■衆院補選投票率は3選挙区で過去最低、政治不信の極み(読売新聞)
 25日に投開票された衆院3補選の投票率は、現行の選挙制度で行われた1996年以降でみると、3選挙区とも過去最低を記録した。
 埼玉8区は35・22%で、昨年11月の衆院選と比べて19・74ポイント下回った。広島5区は55・52%で9・04ポイント減、鹿児島5区は54・92%で10・31ポイント減だった。
 各党は、今回の補選を7月の参院選の前哨戦と位置づけ、年金改革やイラク復興支援などをめぐって論戦を繰り広げたが、投票率に結びつかなかった。参院選に向けて、各党とも政策面でわかりやすく具体的な争点を有権者に提示することが求められそうだ。
 また、埼玉8区の補選は、公職選挙法違反で起訴された新井正則・前衆院議員(自民党を離党)の辞職に伴う選挙で、「有権者の政治不信が投票率の落ち込みにつながった」(政府関係者)との見方が出ている。

 埼玉の場合は「低投票率=政治不信」って構図だけど、他は違うだろ。補選だから低投票率になるのはやむをえないわけだし。正確には、不信と言うよりも、無関心だ。
■「我が意を得たり」と思ったのは、東京新聞(中日新聞)の「大量棄権に愕然とする」と題する社説。
 小泉政権まる三年の区切りの日に、三つの衆院補欠選挙の投開票が重なった。イラクや年金、政権の評価を問う好機だったが、あまりの投票率の低さに愕然とする。これは代議制の危機ではないか。
��中略)
 鹿児島と広島はともに自民大物議員の死去に伴うもの。自民候補が強固な地盤に立つ無風の鹿児島はともかく、広島は保守層を自民と民主で二分した。遊説の小泉首相は脅しに屈せず人質解放を果たせたことを誇り、民主党の陣営はイラク支援のあり方を考え直す時だと訴えた。
 埼玉は自民の現職が選挙違反で失脚、関係した自民市議の大量逮捕もあったのを追い風に、民主の候補は「自民が勝てば与党が年金法案を強行採決する」と危機感をあおった。
 とりわけ年金問題は与野党が攻撃し合う格好の材料となった。採決へ強硬姿勢をちらつかす与党に、審議拒否を繰り返す民主。そのどちらをも多くの有権者は相手にしなかったことを、投票率が示している。
 有権者にとっては、一概にこうだと言い切れない、判断の難しいテーマばかりだったかもしれない。大方の気分からすれば、景気もそこそこ回復の兆しなら、不満はあるが、議席をどこが取ろうが知ったことでない、といったところだったろうか。
 補選の意義がこのまま失われていけば不要論も台頭しよう。こんな低投票率のもとでは、三議席すべてを確保した自民も喜々としてはおられまい。国民の琴線に触れられない、そんな政党政治の危機を肌で感じないようでは参院選も思いやられる。

そのとおりだ。自民党や民主党…「議席をどこが取ろうが知ったことでない」のである。
■産経社説
 首相はこの民意を背景に、自信を持って自衛隊によるイラク人道復興支援活動など所信を貫いてほしい。
 民主党には痛烈な打撃となった。年金法案をめぐる審議拒否戦術や自衛隊撤退を求めた菅直人代表の「抵抗政党」路線を国民は受け入れなかった。この結果を重く受け止めるべきだ。
��中略)
 一方、民主党にとっては同党出身の知事を抱え、無党派層の強い埼玉で負けたことで、「選挙の顔」としての菅代表の鼎(かなえ)の軽重が問われよう。
 民主党はこのところ、古賀潤一郎衆院議員(除籍処分)の学歴詐称疑惑、佐藤観樹前衆院議員の秘書給与詐取事件などの不祥事が相次いだうえ、年金法案をめぐっては委員会室を封鎖するなどの審議拒否戦術を取った。
 邦人人質事件に対しても菅氏は当初、脅迫に屈するわけにはいかないとしたが、途中から小泉首相の責任追及に方針転換した。こうした路線が支持されなかったことで菅氏ら執行部の責任が問われるのは当然だろう。
 民主党の不祥事は関係ないと思うし、年金法案に関してもさほど影響はなかろう。単なる小泉政権への批判票が民主党に流れるという構図のように思える。したがって、人質事件も小泉政権は強運にも無事解決したために、民主党に票がながれなかった。それだけのことだ。「世論」は産経の都合のよい解釈どおりにはいかない。
■敗戦の弁…菅直人の今日の一言「義務投票制」
衆院補欠選は3選挙区共敗北。終盤戦ムードはよかっただけに残念。それにしても埼玉8区の投票率は35%と極めて低かった。絶対得票率(有権者全体に占める得票率)は、当選した柴山候補が16%、民主党の木下候補が14%、共産党候補が5%。つまり100人の有権者の内16人で柴山候補は当選。毎日新聞によると埼玉8区の公明党支持率が8%で、全員が柴山氏投票氏に投票したとすると、柴山候補の得票の半分は公明党票で、残りが自民党支持者と無党派ということになる。投票率が低ければ低いほど公明党の組織票のウエートが高くなることを実証。50%を切るような投票では議会制民主主義は形骸化する。オーストラリアなどでは棄権した人に軽いペナルテイーを課す義務投票制が導入されている。オーストラリアなどの義務投票制を研究してみたい。
事前に「投票率」という言い訳を用意していたが、やはり出てきた。で、泣きっ面で「こうなったら強制的に投票させちゃえ!」とわがままを言い出した。
■こちらは政権三年について…朝日社説
小泉氏は意固地である。こうと決めたら、ぶれることを極度に嫌う。
��中略)
 ぶれないことは「強さ」でもある。バブル崩壊後の停滞の中で国民が自信を失い、新しい誇りや生きがいを模索している時代。少なからぬ国民が首相に頼もしさを感じたことは間違いあるまい。
 しかし、ぶれないことは危なっかしさと紙一重でもある。イラク戦争支持を「雰囲気で決める」と語った乱暴さ。自衛隊は軍隊だと言い募る一方で、自衛隊の派遣先は何が何でも非戦闘地域だとする強引さ。まわりに目を凝らすことなく突き進むと、気付いた時にはもう取り返しがつかないことにもなりかねない。
 首相の靖国参拝へのこだわりも世論のナショナリズム志向と波長が合う。しかし、そこにはアジアの中で生きる日本としての国益判断は見いだしにくい。
 政治も経済も世界規模で激しく動く。勢いはいいが、余りに単純な「テロに屈するな」流の発想では立ち行かない。
 看板の「小泉改革」でも骨抜きが続く。消費税問題を封印し、つぎはぎだらけになった年金改革。抵抗勢力と妥協した道路改革。改革は不十分でも景気が良くなればいいという話ではない。

■日本マクドナルドの創業者で藤田商店会長の藤田田(ふじたでん)が21日に心不全のため死去していたらしい。78歳。不健康の象徴であるマクドナルド…一時はハンバーガー半額なんてことをやって「デフレ時代の勝ち組」などと言われていたが、それが消費者離れを促しちゃったんだよね。いや、それにしても、なぜ田なんて名前付けられたんだろう。しかも田田だ。
■外務省がイラクで人質になり解放された高遠菜穂子さんら3人に対して、ドバイでの診察費や滞在費など計約198万円を請求していたらしい。3人の診察費は約45万円で、残りは現地入りした家族を含めた3人のホテル代など。航空運賃は含まれていない。診察費については現地で既に支払っており、残る150万円余りについても近く支払うという。うーん、これを安いとみるか高いとみるか。一人あたり66万円か。
■自民党の柏村武昭参院議員が、参院決算委員会で、イラクで人質にされた日本人について「自衛隊のイラク派遣に公然と反対した人もいるらしい。そんな反政府、反日的分子のために血税を用いるのは、強烈な違和感、不快感を持たざるを得ない」と述べた。「反政府分子」「反日的分子」の論拠は「自衛隊のイラク派遣に公然と反対した」ということにある。自衛隊派遣に反対しただけでこのレッテルが貼られるのか。どうも「非国民」を連想してしまう。


0 件のコメント: