2003年9月30日火曜日

安倍晋三&志位和夫

■国会論戦が始まっているのに、この扱いの小ささは何事だろう。このままではイメージだけで自民党が勝利してしまう。小泉純一郎の「丸投げ病」が国民にうつってやしないかと心配だ。このまま彼にこの国を任せていいんですか?

■多くのメディアに指摘されたが、郵政民営化以外のテーマでは首相は官僚が用意した答弁書の棒読みだ。菅直人がすかさず「これこそ官僚主導政治の実態だ」と皮肉った。小泉首相になった後、官僚の権限が強化された。これは事実だろう。しかし、国民に響いたかどうか…。

■挨拶しにきた安倍晋三に、共産党の志位和夫が「安倍さん、(昭和)29年生まれでしょ。私もそうなんですよ」と若さをアピール。さらに、「(二人ともうま年で)馬があうかどうか。さわやかにやっていきたい」とくだらない駄洒落で畳み掛ける。

■共産党と安倍晋三なんて「馬があう」わけがなかろう。水と油だ。そもそも、志位のようなカバみたいな野郎が、「うま年」って名乗ること自体、私には違和感があるんだ。たのむからやめてくれ。


2003年9月29日月曜日

石原慎太郎都知事とダボハゼ

■今日の朝日新聞の社説は、「石原知事へ――ダボハゼからのお返事」だ。石原知事が「片言隻句に飛びつくばかなメディアがダボハゼのごとく食いつく」とメディア批判したことに関して、朝日は「そこまでいわれて引き下がるわけにはいきません」と再度、噛みついたのである。
■いささかヒステリックな感じもしないでもない。朝日新聞の「愛好家」にとっては、格好のネタだろう。きっと「ダボハゼ」のように食い付いているに違いない。
■しかし、撤回しないばかりか、開き直りとも取れる言動を繰り返す「バカな石原」に、実際にテロの対象となり言論の自由を脅かされているメディア(とりわけ朝日新聞)が「ダボハゼのごとく食い付く」のは当然ではなかろうか。
■「拝啓 石原慎太郎様」で始まる社説では、以下のことを指摘している…
・日朝首脳会談を目前に控えた記者会見で、「とてもいいことだと思う。失うものは何もないね」と評された。それと最近の批判はどう整合するのか?
・首脳会談によって、北朝鮮が拉致を認め5人の被害者の帰国が実現した。あの首脳会談がなければ、いまだに事実はベールに包まれていた。そのことは正当に評価すべきだ。
・「外務省は拉致問題について25年間、何もしなかった」という指摘は明らかに言い過ぎ。
■続けて石原個人への批判…ちょっとどうなんだと思うものの、なかなか面白い。
・25年間にわたって国会議員を務めたが、拉致問題に関する発言はいっさいしていない。99年に政治活動を回想した「国家なる幻影」を出版したが、そこでも拉致問題への言及はない。
・田中氏が首相らの意向を無視して好き勝手に外交を展開しているという批判も不思議。田中氏を重用している政府の最高責任者は首相なのだから、堂々と小泉批判をしたらどうか。
■特に後者のものは、正当な指摘だ。総裁選の応援演説でなされた発言なのに、小泉批判はしていない。卑怯と言われても仕方あるまい。「官僚」を叩くのは簡単で、それは「ダボハゼメディア」やポピュリストの政治家が最も得意とするところである。


2003年9月28日日曜日

ソフトなマキャベリスト

■長野県の田中康夫知事は、県庁のある長野市から県南部の泰阜村に住民票を移した。田中知事は「大きな町だと税金をどこに使われているか分からない。私は歯を食いしばって住民自治を行っている小規模自治体をお手伝いしたい」と語り、同村の医療や福祉政策を評価し、住民税を納めて村を支援したい意向…らしい。
■康夫チャンもパフォーマンスが好きだなぁ。くだらんパフォーマンスしてる暇があるなら、長野県知事なんだから、「小規模自治体をお手伝い」するような「政策」を考えろと言いたくなる。
■田中は自らを「ソフトなマキャベリスト」と呼んでいる。「パフォーマンス」と批判されることがわかっていて、意図的にやっているのだろう。「新・民主党」の相手は、パフォーマンス政治の権化の小泉首相だ。その意味で、田中康夫が応援していることは何とも心強いはずだが。
■「朝まで生テレビ」を録画したのだが、締め切りが迫っている「仕事」があるため、まだまだ後になりそうだ。ちらっと見ただけで、内容自体は知らないけど、感想一つ…村田晃嗣(同志社大学助教授)と横江公美(VOTEジャパン社長)が気持ち悪かった(笑)。いや、外見をとやかく言うのは残酷だとは思うけど、やっぱり生理的に受けつけない人ってのはいるんですね。かつて、田原総一朗が高市早苗を「下品」と罵倒したけど、あれもそうだと思う。
■巨人の原辰徳監督が辞任ですか。なんか裏がある…ってなことを書いてもいいんだけど、みんな言ってるからやめた。後任は堀内恒夫だ。ふふふ…こうやって巨人人気がなくなっていくのだなぁ…感慨深い。


柔道の伝統

■全日本柔道連盟が、強化指定選手を対象に、身だしなみ、品位に関するガイドラインを作成することを決めた。世界柔道における、矢崎雄大の「赤髪」や秋山成勲の「銀髪」に抗議が殺到したためだ。
■世間を見渡したって「黒髪」が減少しているんだから、髪を染めた柔道家がいたっておかしくない。「伝統」という虚構をふりかざしているバカが、柔道家は黒髪・短髪と勝手に決め付けて、それを選手に押し付けているだけである。よっぽど髪を染めた選手の方が、日本社会を表している。
■この種の「柔道の伝統」は、「青い柔道着」によってとっくの昔に否定されたはずだ。守らねばならない「伝統」とそうじゃないものをしっかりと見極めるべきであり、これは、甲子園球児は坊主頭でないといけない…といった捨ててもよい「伝統」である。頭髪の色によって、柔道までも汚されるというの大間違いだ。
■むしろ、見過ごせないのはこういった不届き者だろう…
秋山の柔道着に不正疑惑 苦しい立場の山下新理事(共同通信 2003年9月13日)
 大会第2日の12日、男子81キロ級の試合で、日本の秋山成勲(平成管財)の柔道着が不正との疑惑が持ち上がった。相手がつかみにくいような滑る細工が施してあるのでは、と対戦相手国が国際柔道連盟(IJF)に抗議して騒ぎが大きくなった。
 今回はIJFがチェックした結果、問題はないとされたが、日本チームに暗い影を落としている。「競技発祥国として世界をリードしたい」。そんな理念を持つ山下泰裕IJF理事が誕生したばかりだからだ。
 山下理事は「不正かどうかではなく、日本選手が疑惑を持たれたこと自体が問題」と、怒りをもって秋山の柔道着交換を命じた。
 相手がつかみにくいように細工をしてある柔道着は、数年前から欧州などで流行した。洗剤をすり込んだり、襟を厚くしたりした柔道着である。
 組み合わない柔道は一本を取る柔道の発展を阻むとして、日本は一貫して反対の立場を取ってきた。秋山に不正がなかったとしても、山下氏の立場は苦しい。
 現在、IJFでは試合前に柔道着コントロールを実施しており、秋山の柔道着も例外ではない。ただ、滑るかどうかは、審判の触感に頼るため、一定の基準が設けにくい。
 もともとこのテーマは、山下理事の守備範囲だった。とはいえ
「理事になって最初の仕事がこういう形になるとは」と、皮肉なスタートを嘆いた。
 山下泰裕の「不正かどうかではなく、日本選手が疑惑を持たれたこと自体が問題」というのは正論だ。不正な柔道着かどうかは問題ではなく、細工するという精神自体が腐りきっているのだ。「礼に始まって礼に終わる」というように、柔道は礼節を最も重んじてきた競技だ。勝つためなら何をしてもよいという考えを、日本柔道は徹底的に拒否しなければならない。それこそ何が何でも守らねばらなない「柔道の伝統」だ。
■秋山成勲は在日韓国人だ。こうなると、さっそく某掲示板では「これだから在日は…」といった汚い中傷がなされる。在日韓国人であるがゆえに、日本の柔道を大切にして欲しかった。


2003年9月27日土曜日

サプライズ人事

■お久しぶりです。とりあえず、復帰してみたものの、今後の「更新」がどうなるかは不安定な情勢です。なんと言いましょうかですね。院試はかる〜く乗り切った(?)ものの、卒論というものがありまして。で、力作を作ろうと意気込んでいるわけですよ。だけど、自分でもびっくりするぐらい進んでいなくて、これはのん気にホームページなどやってる場合ではない…なんてことを思いまして。

■でですね、今後、更新回数が激減し、訪問しても更新してないという状況が生じる。そういう状況は、慙愧の念に堪えませんので、メルマガ化なども検討中。


■総裁選は、予想通り、小泉勝利で終わった(「100%再選はない」と言っていた福岡政行の言い訳が聞きたい)。安倍晋三を幹事長に抜擢するという「サプライズ人事」によって、「毒饅頭」もすっかり解毒され、小泉政権の支持率もぐーんとアップ。しかしまぁ…菅直人が「タカ派毒まんじゅう政権」と命名したように、新内閣には「タカ派」がずらりと並んでる。

■安倍幹事長ですか。たしかに「サプライズ」だ。だが安倍のような「若造」がどれだけ動けるかは疑問で、指摘されているように、安倍は「選挙用看板」ということだろう。森喜朗や中川秀直、あるいは山崎拓などが実質的な動きをとるのだろうか。それでも、「安倍晋三総理大臣」がリアルなものになってきたことは確かなのだが。

■竹中平蔵が留任。妥協と取られかねないので、両方とも…って感じだろうか。マスコミが「金融担当相をはずす」という見方をしたため、より効果的なパフォーマンス人事となったようだ。

■石原伸晃国土交通大臣…これも「道路公団民営化」に注目させ、改革をしているというパフォーマンス。榊原英資あたりが繰り返し指摘していることだが、「郵政事業民営化」も「道路公団民営化」も景気にそれほど直結するものではなく、政策的なプライオリティは低いはずだ。だが、「小泉改革VS抵抗勢力」という構図を描くことで、支持率を得られる…ってわけでして。

■坂口力厚生労働大臣…改革に後向きと伝えられたので、「更迭」かと思われたが、公明党に「続投」と言われたので、留任。浜四津敏子という女性閣僚がよかった、というのが小泉首相の本心だろうか。

■小池百合子環境大臣…いかにもって感じだ。女性の大臣を出さないと批判があるからね。外交・安保が専門の小池が環境大臣になるんだから、いかにこの国の環境行政が軽んじられているかがわかる。環境問題のスペシャリストって、自民党にはいなかったっけか。タカ派の小池は、環境破壊大臣じゃないかと因縁をつけたくもなる。

■唯一、評価できるのは、谷垣禎一財務大臣。よかったと思います。まぁ前任者が塩爺というボケ老人だったという落差もあるけど。そういえば、塩川正十郎はめでたく引退するそうで。そら機密費について「忘れてしまいました」と痴呆ぶりを発揮してんだから、ここらが限界でしょう。


■自由党を吸収合併した新民主党が、この政権に挑むわけだ。はっきり言って、厳しいものになるだろう。だが、麻生太郎総務大臣の郵政民営化への態度からもわかるように、自民党が中身のある政権公約(マニフェスト)を出せるかどうかは疑わしい。その点、民主党は政策における勝負で優位に立つことができる。それを国民がどう判断するか…う〜ん、絶望的かも。


■石原慎太郎・東京都知事3男の石原宏高氏が、みずほフィナンシャルグループを辞職して立候補を正式表明した…らしい。で、「今の日本は不安がいっぱい。日本人が自信を取り戻し、だれでも夢が持てるような世の中にしたいと出馬を決意した」と語っているようだ。あぁ、世襲制がはびこる政界にこそ「夢」を取り戻すべきではないか、と言いたい。政治家になりたいという「夢」をどれだけの人間が捨てていることか。そういえば、私も昔は政治家になりたかった気がする…。

■今回の内閣で指摘されることも、世襲議員の多さでありまして、民主党はそこを批判すべきだと思うものの、菅直人の息子(菅源太郎)が立候補しちゃったもんだからね。何やってんだって感じですけど。


2003年9月25日木曜日

石原慎太郎「曽我ミヨシさん殺された」

「年寄りだから殺された」発言、石原知事が撤回
東京都の石原慎太郎知事が都議会の答弁で北朝鮮に拉致された曽我ひとみさんの母ミヨシさんについて、「さらってみたら年寄りだったから殺された」などと発言した問題で、石原知事は26日の本会議で、「配慮に欠けるものと反省している。一日千秋の思いで肉親の帰りを待ちわびている曽我さんをはじめとする被害者の方々の切実な願いを心ならずも傷つけてしまったことは、痛恨の極みであり陳謝いたします」などと述べ、発言を撤回した。


2003年9月16日火曜日

更新をサボる

■個人的な都合で、しばらく更新をサボります。いつ復帰するかは未定です。下手したら10月になるかも。


2003年9月12日金曜日

国賊征伐隊

■「9・11」から二年。この日は、テロで失った悲しみと「テロとの闘い」の思いを強くする日だ…そして、今後も語り継がれていく。一方、(緒方貞子はアフガニスタンを「忘れられた国」と言ったが)同時多発テロの報復として行われた「聖戦」はすっかりと「忘れられた戦争」となってしまった。

■石原節と言いましょうか…石原慎太郎が「田中均というやつ、今度爆弾しかけられて、あったり前の話だ」と軽口をたたき、物議をかもしている。石原は、橋本派の分裂について「ざまぁみろ!」と発言したが、同じ感覚だったのだろうか。斜に構えて、前後の文脈を聞かないと彼の意図はわからない…と書こうと思ったが、「バカだなぁ」で片付くことに気がついた。あるいは、保守派の目を振る向かせるために意図的に発言したんだろうか(最近、安倍晋三に浮気されているからね)。

■しかも、自民党総裁選候補・亀井静香の応援としてこの発言をするのだから、石原都知事がいったい何をしたいんだかわかんない。自分の主張を言いたいばっかじゃないか。それにしても、石原慎太郎は、野中・亀井と会った時に「密談」「大変だ」と思わせぶりな発言をしたりして、何かと自民党総裁選にしゃしゃり出てくる。よっぽど、自分の存在感を誇示したいらしく、「誰が首相に望ましい?」アンケートで1位をキープしたいんだろうな。

■最大の対立軸は「経済政策」なのだから、その辺で亀井静香のどこを支持するのかを論じて欲しかった(それがタブーだったから、話が脱線しちゃったのかな?)。「都市VS地方」の構図を描くことに関してはお上手で、両者は両極にいる…さぞ面白い話が聞けたでしょうに。

■これじゃぁ、政策で支持できない青木幹雄や村岡兼造を批判できない。「義理」で支持だなんて、野中広務に類する「古い政治家」だ。

■「国賊征伐隊」に「征伐」されそうな朝日新聞は社説にて、「テロをあおるのか」とご立腹だ。「政府の外交のあり方に対する批判は大いにあってよい。だが、そのことと、気に入らない外交官の家には爆弾を仕掛けても構わないということはまったく別の話である。」…この件に関してはこれに尽きるだろう。また、「知事は住民の安全に責任を負っている。石原氏自身、東京の治安悪化をだれよりも憂えてきたのではなかったか。」というレトリックに、ニヤリ。

■「国賊征伐隊」が現れたと思ったら、「建国義勇軍」なる者も出てきた。野中広務の事務所に銃弾が送りつけられたのだ。よくこんな恥かしい名前を名乗れるなぁと感心させられる。言ってて恥かしくないか…聞いてるこっちが恥かしくなるよ…なにせ「征伐隊」に「義勇軍」だ。やってる事や当人たちは非常にシリアスだが、どうもバカっぽく思え、そのギャップに笑ってしまう。

■まぁ、とにかく石原都知事は、「征伐隊」や「義勇軍」というテロリストにシンパシーを感ずるらしい。中国人には「犯罪者DNA」がある、と言っていた石原都知事…じゃぁ、彼には「テロリストDNA」があるんだろうなぁ…。「拉致はテロ」と非難してきたが、こんな身近なとこにもテロリストがいたとは。ビン・ラディンやアルカイダにも推薦したい気持ちで一杯だ。

■野中の姿勢を支持する若手議員の会合が行われた…というニュースがやっていた時だ。小泉支持に回った堀内光雄(H)、青木幹雄(A)、村岡兼造(M)のイニシャルを取って「HAM太郎」(『とっとこハム太郎』を文字って)と揶揄する声もあり…なんてことが報じられた。そんなダジャレを考えている暇があるのかと問いたい。こんなとこで使われた「ハム太郎」も泣いている。


2003年9月10日水曜日

野中広務・政界引退

■驚いた…野中広務が政界を引退。野中は不思議と嫌いになれなくて、僕にとっては困った政治家だった。そして、少し残念という思いすら抱いている。野中の引退は、日本政治に大きな影響をもたらすことは間違いない。今後、橋本派の弱体化が顕著なものとなるかもしれない。
■小泉純一郎に敵対する抵抗勢力・野中広務…「善玉VS悪玉」と単純化して、野中を「悪役」にしてきたメディアが、野中を「憂国の士」ってな美談を流していた。少し茫然とさせられた。
■野中は、「反小泉」の戦いを貫くため、「自ら退路を断たずして、この戦いはできないと判断した」としている。だが、小泉首相が言うように「小泉を倒すという信念に燃えておられるなら、引退しないで、もっと頑張ってやる方法もある」のである。
■政治生命を賭けて闘うと言うが、引退宣言をしてしまった実力者に付いて行こうと考える者はいるだろうか。同派の実力者である村岡兼造や青木幹雄と行動をともにして、勝ち馬に乗った方がいいと考えるのではないか。これではただの「敗北宣言」だ。村岡や青木が小泉支持に回ったことについて「目先のポストに惑わされているのではないか。政治家として許すことはできない」と批判していたが、負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
■党員票はともかく、国会議員の動向としては、「バスに乗り遅れるな」という心理が働き、マイナスになったのではないか。総裁選後に待っているのは、「抵抗勢力」の弱体化だ。それを野中は望んでいたというのだろうか。


2003年9月9日火曜日

青木幹雄の裏切り

■自民党総裁選が告示された。再選をめざす小泉純一郎と、江藤・亀井派の亀井静香前政調会長、橋本派の藤井孝男元運輸相、高村派の高村正彦元外相が立候補した。小泉首相はすでに国会議員票の過半数に迫る勢いを見せている。さらに、地方票においても優勢が伝えられており、情勢はほぼ固まりつつある。反小泉候補にとっては、「顔見せ興行」に終わりそうだ。

■今回の総裁選では、派閥の弱体化が大きく報じられている。「一致結束箱弁当」と結束力を誇ってきた橋本派では、青木幹雄らが、野中広務の意向に反して小泉支持に回った。保守本流を自任してきた堀内派も同じだ。派内の対立が解けずに自主投票となった。「自民党をぶっ壊す」と豪語してきた小泉総理が、自民党を変えたのだろうか。小選挙区制度による影響が大きいとはいえ、ここまで派閥融解を浮き彫りにできたことは小泉首相によるものだろう。

■だが、そんなことはあくまでも自民党内部の問題である。既得権を壊すことが目的ならば、自民党を野党にするのが一番っ手っ取り早い。そのことを国民は忘れてはならない。

■小泉首相の総裁選公約、郵政や道路公団民営化、補助金カット。どれも派閥(小泉首相の政敵と言った方が正確かも)の牙城を狙い撃ちにしたものだ。だが、反小泉の総裁選候補者が言うように、政策の優先順位を完全に誤っているし、小泉政権によって、官僚(とりわけ財務省)の力が極端に強まったという指摘がなされる。政治主導による予算編成、政策決定こそ政治改革の眼目だったのに、官僚政治の復権では逆戻りである。

■いわゆる「抵抗勢力」と呼ばれてきた人々が、小泉支持を打ち出している。その典型が、参院のドン・青木幹雄である。そして、参院橋本派の議員には、政官業の結びつきが最も顕著な業界団体の代表が多く、首相と強い対決姿勢を取ってきた。既得権益の拡大、維持に力をふるう彼らにとって、首相が進める公共事業費削減、医療費の負担増などは存在を脅かされることにつながるからだ。

■青木は、景気対策と挙党態勢の確立を支持の条件にしたという。しかし、首相は政策の路線転換はしないと繰り返している。青木は「首相にノーと言われたことはないし、裏切られたことはない」と言う。前回の総裁選で、亀井静香と結んだ政策協定を反故にしたわけで、条件がかなえられる保証はない。数がほしい首相も「本当に心強い」というばかり。「改革に反対するのはすべて抵抗勢力」と決め付けた者のセリフとは思えない。

■「抵抗勢力」の小泉支持の理由は単純で、内閣支持率だ。「抵抗」したくても、議席を守れなければ首相に異論を述べることもできない。小泉総理の側にも、改革を進めるにはまずは再選が大前提で、どんな支持でも大歓迎なのか。この矛盾は、「小泉改革VS抵抗勢力」という茶番が、まだとうぶんの間継続されることを示唆している。

■象徴的なのは、総裁選向けポスターの「本気VS本気」の文字だ。あえて「本気」を強調しなければいけないところに、伝説のやらせ番組『ガチンコ!』(TBS)にも似た怪しさを感ずる。(まぁ、自民党総裁選という茶番劇には、「本気VS本気」ってのはうってつけのタイトルかもしれないが…)

■ちなみに…総裁選告示のこの日、自民党の山崎拓幹事長が、愛人問題に関して、名誉毀損で文芸春秋などに5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は請求を棄却され、変態山拓は敗訴した。


2003年9月6日土曜日

夕暮れの代弁者 森山直太朗

■ちょっと前から「夕暮れの代弁者」という言葉が気になってしょうがない。森山直太朗がごり押しのキャッチコピーである。最初聞いた時は「しょうもないボケだなぁ」と思っていたが、出るたびに「夕暮れの代弁者 森山直太朗です」と言っているので、最近では「何かの罰ゲームで言わされているのかなぁ」と思っている。
■「代弁者」を名乗る以上、「夕暮れ」の言いたいことを代弁していると思われる。だが、「さくら」や「夏の終わり」を聞いても、ちっとも「夕暮れ」の主張が伝わってこない。代弁というよりは、むしろ、「夕暮れ」に対して人々が抱くイメージと自分を重ねようとしている気がする…しかも必死で。こんなあざとい奴に利用された「夕暮れ」はたまったもんじゃない。
■「俺もいろいろ悩みはあるけどさぁ…アイツにだけは俺のことを語って欲しかないね」…僕も「夕暮れ」を代弁してみた。こうなれば言ったもん勝ちである。


2003年9月4日木曜日

ジェシカ・リンチ物語

■イラク戦争で捕虜になり、救出されて国民的ヒロインになった元米陸軍上等兵のジェシカ・リンチさん…『私も兵士−ジェシカ・リンチ物語』という手記を書くらしい。契約料は公表されてないが、推定約100万ドル(約1億1600万円)とも言われている。
■しかし、大ケガは事故によるものと判明し、米軍内部の匿名情報源がもたらした「作られた美談」だったことも明らかになっている。リンチさんは、戦争におけるプロパガンダについて論じるつもりなのだろうか。
■どうせゴースト・ライターが書くんだろうと思ったが、この本は共著になるらしい。共著の相手はピュリツァー賞を取ったことがあるリック・ブラッグ氏だ。しかも、このブラッグという人物が曲者だ。ブラッグ氏は、フリーの記者に大半を取材させながら自身だけの署名で書いた記事が問題になり、ニューヨーク・タイムズ社を退職しているのだ。
■これは、リンチさんは書いてないという疑惑を消すための出版社の戦略じゃなかろうか。結局、誰が書くのか…ジェシカ・リンチ救出劇の真相ばりにミステリアスだ。
■総裁選の候補者が出揃いつつある。亀井静香、藤井孝男、高村正彦、そして堀内派では古賀誠前幹事長が丹羽雄哉擁立に動いている。前回、橋本龍太郎、麻生太郎が出馬していたのを思うと、今回はかなり小粒だ。
■今回の総裁選を通じて、亀井静香は好感度を上げるのではないかと思っている。反小泉の候補では一番注目をあびているし、小泉純一郎との対立軸もわかりやすい。「無駄な公共事業はしない」「高速道路の夜間無料」(←これは道路公団民営化を妨げる方向に作用しうる)「中小企業支援」「アメリカ型弱肉強食社会への反発」「経済成長なくして財政健全化なし」…なんとも「わかりやすい」アドバルーンだ。加えて、石原慎太郎との結び付きを強調していること、ファッションに気を使っていること(これが意外と大きい)もプラスとなることだろう。
■だが、経済面での対立軸を鮮明にしたいのなら、もっと詰める必要があろう。2〜3%の成長というけど、その持続性に疑問符が付けられているわけだし、財政健全化への道筋を明確にできていない(財政出動派につきまとう批判に応えていない)。「弱者!弱者!」って言うくせに、社会保障の方向性、ヴィジョンが全く見えてこない。「弱者保護」と言うだけではただの大衆迎合でしかない。


2003年9月2日火曜日

石原宏高

■今日は防災の日だ。関東大震災から80年だそうだ。実家である名古屋は、東海地震の危険性があるというのに、全く地震に対して鈍感で、何の準備もしてない。

■東京都の石原慎太郎知事の3男で銀行員の石原宏高に対して、自民党が衆院選の東京3区出馬の要請をした…らしい。もういいかげんにしろと言いたい。いったいどういった人物なのかわかって出馬要請しているのか。まぁ、どんなとんでもない奴でも、石原慎太郎や渡哲也・舘ひろしなど石原プロの連中が応援したら当選しちゃうよ。にしても、外形標準課税で銀行を狙い撃ちにした石原都知事の息子が銀行員だったとはね…知らんかった。

■読売新聞社の全国世論調査によれば、「小泉首相は交代した方がよい」と答えた人に望ましい次期自民党総裁を聞いたところ…1位が安倍晋三(15.4%)、2位が橋本龍太郎(5.1%)で、首相の対抗馬となりそうな亀井静香は4.6%、高村正彦は3.0%、藤井孝男は0.2%だった…らしい。

■うげっ…案の定、安倍人気はすごい。北朝鮮に対する強硬姿勢だけでこれほどの評価を受けるなんてねぇ…単純と言うか、何と言うか。まぁ時流にうまく乗ったって感じかね。安倍よりは橋龍の方がよっぽど僕は好きだし、自民党の総裁選に橋龍がなることが最も望ましい(健全という意味で)と思っている。安倍はちょっと要注意人物だな。


2003年9月1日月曜日

改革派知事

■土屋義彦前知事の辞職に伴う埼玉県知事選挙…上田清司が当選。投票率は35.80%と低い。一般的な見方をすれば…土屋前知事は資金管理団体をめぐる長女の政治資金規正法違反事件で引責辞職したので、「政治とカネ」に対する有権者の関心は高かった。しかし、各候補とも業者との癒着排除などを訴えたため「誰が当選しても同じ」と受け止められ、争点にならなかった…ということらしい。

■埼玉県民は土屋のようなバカを知事に選び続けたという反省が全く見られない。そこは「どれも一緒」と放棄するんじゃなくて、しっかり選べよ。(もっとも猛省すべきは対立候補を出さず土屋に相乗りしていた政党だが)

■上田清司知事ねぇ…まぁ、いいんじゃないのかな。上田は無党派を取り込むために、これまで所属してきた民主党を離れ、「しがらみ」がないことをアピールした。確かに一議員と知事とでは政党の意味合いが違ってくるだろうが、こういうのってどうなんだろうなぁ。僕としては民主党として勝って欲しかったけど。

■民主党は、上田優勢の情勢をみて、選挙戦後半に対応修正。菅代表と自由党の小沢党首がそろって現地入りするなど、両党の「合併」をアピールした。一方、自民党は敗れた場合の小泉政権への悪影響を恐れて「自民対民主」の構図となる事態を避け続けた。しかし告示後、個人的な支援として山崎拓幹事長、麻生太郎政調会長らが同党県連が推薦した嶋津昭の支援に入り、自民、民主が事実上ぶつかり合う総選挙の前哨戦の様相になった…らしい。

■「変態・山拓」+「抵抗勢力・麻生」の応援ですよ?そりゃぁ、応援になってないって。どれだけプラスになったかは怪しいとこだが、まだ菅直人や小沢一郎の方がマシってもんだろう。しかも、嶋津は元総務事務次官で、一方の上田は「脱官僚支配」を訴え「改革派知事」(この“改革派”って語句は、いかがわしいもんだが)のイメージをアピールしている。

■民主党は「与野党対決」に勝利したと騒ぎ立てることだろう。本当に「与野党対決」だったのかは置いておくとして、戦略的には騒がない方がよい。それは与党内の危機感を煽ってしまう可能性があり、選挙に強い小泉純一郎の再選の流れを加速する可能性があるからだ。小泉再選は民主党には都合が悪いはずだ。目先の「勝利」に酔いしれるよりも、もっと先を見た方がよいのではないか。