2005年1月31日月曜日

中山成彬:自虐的な教科書

■29日、宮崎県都城市の大臣就任祝賀会にて…

■歴史教科書:中山文科相、また「自虐的」と発言(毎日新聞)
 中山文科相は、あいさつの中で、自民党が公明党との調整がつかずに今国会提出を断念した教育基本法改正案について「私としては『愛国心』という言葉でまとめ、改正したい」との考えを示した。そのうえで、歴史教科書に触れて「自虐的な教科書がいっぱいある。日本が悪いことばかりしたという教科書がある」などと述べた。

 同相は昨年11月に大分県で行われたタウンミーティングで、歴史教科書について「自虐史観に立った教育だけはしてはいけない」などと発言。韓国メディアらの強い批判の後「個人的な立場で述べたが、教科書検定を実施する立場になった以上(発言は)控えるべきだった」と、発言を修正していた。

 今回の発言に同相は「もう失言はしないようにしようと思っている。本当は失言したいんです。今日はマスコミはいるの? じゃあ、あまり(失言)しないように」とも述べた。
 なるほど、自身の言っていることが「失言」であると自覚していて、確信的に言っているわけだな。

■で、前の「教科書検定を実施する立場になった以上控えるべきだった」という反省は何だったの?


2005年1月29日土曜日

井内顕策・東京地検特捜部長:マスコミ批判

■「報道は有害」特捜部長・南野法相「あくまで私信」(日経新聞)
 井内顕策・東京地検特捜部長が一部の記者に「マスコミの取材と報道は捜査にとって有害無益」などとする書面を配ったと報じられたことについて、南野知恵子法相は28日の閣議後記者会見で「穏当を欠いた表現があった」としながらも、「親しい記者に出したあくまで私信」と弁明。本人が謝罪し、上司も指導したとし、処分について「今のところ考えていない」と話した。

 文書は今月初旬に井内特捜部長が一部記者に渡したもので(1)逮捕や捜索の強制捜査の前打ち報道などは捜査を妨害し、社会正義の実現を妨げ、犯罪者および犯罪組織を支援している(2)マスコミはやくざ者より始末におえない悪辣(あくらつ)な存在――などと書かれていた。
 南野法相が「穏当を欠いた表現があった」とはね。あーたがいいますか。

■文章の詳細


■当局にとって、メディアがうっとうしい存在であるのは当然。ただ、それを言わないのが最低限の作法ってもんでしょ。あるいは、戦前まで時計の針を戻そうとしているのだろうか。

■ま、こういうのをメディアが「けしからん!」とばかりに報道すっから「傲慢」と見られるんだろうけど。メディア叩きってのはひとつの流行ではあるんで、「よく言った」という人もいるでしょうね。


ハンセン病

■胎児ら標本114体保存−ハンセン病6施設 堕胎強制され(しんぶん赤旗)
 厚生労働省が設置した第三者機関「ハンセン病問題に関する検証会議」(座長・金平輝子元東京都副知事)は二十七日、国立ハンセン病療養所などに保存されている胎児・新生児の標本についての検証と、被害実態調査結果を報告書にまとめて公表しました。

 報告書によると、同療養所など関連六施設に保存されている胎児・新生児の標本は百十四体にのぼっています。

 なぜ標本が残されたかについては、胎児などの80%に研究目的とした切開痕が認められないこと、人工妊娠中絶などの年月日、両親の名前など半数以上が添付されていないことから「研究が目的ではなかった」と分析。「法の不備もあって目的もなく残されたのではないか」と指摘しています。
 中絶ってのはすでに知られていたが、新生児を殺して標本にまでしていましたか。なんだかね…

■なぜか思い出したのが、ちょっと前に取り上げたアウシュビッツ知らないイギリス人の話。そして、日本人でどれだけこういった事実を知っている人がいるのかなってことを考えるのだった。もうちょっと大きく報じてもよさそうなものだが…社説で扱ったのも朝日だけ。

■朝日新聞/社説「ハンセン病――これは殺人ではないか」
 人間の命や遺体をずさんに扱っていたとしか思えない。いまからでも手厚く供養しなければならない。

 一方で、国の施設で組織的な犯罪がおこなわれていた疑いを放っておくわけにはいかない。調査が始まる前に標本を焼いてしまった療養所もあるのだ。

 厚労省が設置したとはいえ、第三者機関である検証会議による調査には限界がある。政府は検察官を含む事件捜査の専門家の委員会をつくり、真相を解明する責任がある。



2005年1月27日木曜日

海老沢勝二:NHK顧問で院政?

■NHK海老沢元会長 顧問に就任(スポニチ)
 NHK会長を辞任した海老沢勝二氏(70)が26日、同局の顧問に就任した。25日の辞任会見では“院政”との批判を避けるためか「人材育成、海外への文化普及のために働きたい。(役職は)新会長が決めること」などと就任については触れなかった。東京・渋谷区の同局内には顧問室もあり、海老沢氏はこの日も出勤。就任は橋本元一新会長が決定したという。放送法では会長、専務理事などの役職は決められているが、顧問というポジションの明記はない。

 歴代では海老沢氏の前代の川口幹夫氏(91〜97年に会長)らが、会長職を辞した後、顧問になっている。しかし、任期途中での辞任となった池田芳蔵氏(88〜89年)、島桂次氏(89〜91年)は顧問になることなくNHKを後にしている。
 …なんだそりゃ。責任をとって辞めたとと思いきや、「顧問」ですか。そりゃ「院政」って言われるわ。

■もちろん、反発は承知の上でのことだろう。エビジョンイルがそこまで執着する理由ってなんだろ。権力ってそんなに手放すのが惜しいものなのかな。




【追記】
海老沢氏ら顧問を辞退 NHK会長が緊急会見(共同通信1/28)
 NHKの橋本元一・新会長は28日緊急会見し、不祥事に伴う受信料不払いの急増で引責辞任した海老沢勝二・前会長(70)ら元首脳3人が顧問を辞退したと明らかにした。
 橋本会長は辞退を受け入れた。辞退の理由について「本人からの辞退としか申し上げようがない」と語った。

抗議が効いたのかな? 
■海老沢院政に抗議電話が数万件(日刊スポーツ)
 NHK会長を辞任した海老沢勝二前会長(70)が26日付で顧問に就任したことで、同局には27日、数万件もの抗議の電話が殺到し、回線がパンク状態になった。同局の労働組合「日本放送労働組合」(日放労)は「電話を受けることができたのは数千件、受けきれない電話は数万件になるだろう」としている。
 エビジョンイル氏がここまで憎まれる要因ってのを考えているのだった。

外国籍:公務員管理職

■東京都内の保健所で働く在日韓国人の鄭香均さんが起こしていた裁判に最高裁の判決がでた。管理職は日本人に限るってわけでして。

■当然のように、各紙の論調は割れる。

■朝日新聞/社説「外国籍管理職―時代が分からぬ最高裁」
 そもそも「日本国籍を持たない公務員は管理職になれない」と定めた法律はない。重大な施策に携わる公務員に国籍が必要なのは「当然の法理」とした半世紀前の政府見解だけだ。それと大差のない最高裁の判決はいかにも古めかしい。

 そんなに働きたいのなら日本の国籍を取ればいいじゃないか。そう思う人もいるだろう。しかし、過去の日本とのかかわり、先祖や親兄弟、故国に寄せる思いから、日本国籍を取る気になれないという人も少なくない。

 救いは、2人の裁判官が書いた反対意見だ。直接住民に強制する職種や、統治の核心にある職種でないのなら、外国籍の職員を管理職に登用してもよい、と述べた。こちらの方が多数意見よりはるかに柔軟だろう。

 津々浦々に外国人が暮らす時代だ。鄭さんは日本語を母語とし、知識も経験もある。地域社会で住民サービスに打ち込む意欲も強い。そんな人材を活用しないのは社会全体の損失ではないか。
 

■産経新聞/社説「国籍条項訴訟 常識にかなった合憲判決」
 しかし、高知県や川崎市など一部自治体では、多くの一般公務員についても国籍条項を廃止し、外国人に広く門戸を開いている。国の主権が損なわれかねない危険性をはらんでいる。

 公務員は当然、国家に対する忠実義務を負っている。外国人が公権力を行使できる地位に就き、母国への忠誠を誓っていた場合、国益に反する重大な事態も起こり得る。高知県などの自治体は今回の最高裁判決を機に、早急に国籍条項廃止措置を見直すべきだ。
 ひとつには外国人に対する見方の違いがあるだろう。外国人を社会を構成する一員として認めるか、それとも「国益に反する」ことをやりかねない存在と見なすのか。

■また、これは「地域社会」に対する職務であるはずが、ここに「国家」だの「国益」だのという語を持ち出す必然性もわからない。

■読売新聞/社説[管理職試験訴訟]「『日本国籍』明確にした最高裁判決」
 ただ、具体的な基準は明確にされておらず、各自治体で外国人の採用や昇任などの判断は、まちまちなのが実情だ。

 国や自治体は、最高裁が判決で示した「公権力を行使するのは日本国籍の管理職」という原則をもとに、明確で統一的な基準をまとめていく必要があるのではないか。

 その運用に当たっても、自治体は、公権力の行使にかかわる管理職に外国人を任用することは、慎重にすべきだ。
 読売はとにかく外国人を地方自治体が勝手に任用することがご不満のようで、お国が統一的な基準を作ろうって主張らしい…これに対する日経…

■日経新聞/社説「外国人任用で最高裁初判断」
 最高裁は外国人の地方自治参加を巡る裁判で1995年に「地方自治体の首長、議会の選挙権を定住外国人に与えることを憲法は禁止していない。ただ、選挙権を付与するか否かは立法政策の問題であり、外国人に選挙権を認めないといって違憲とはならない」との判断をしている。

 今回の判決も、外国人の地方公務員任用に関し自治体の裁量を広く認めた趣旨と、各自治体は受け止めるべきだろう。住民の構成や地域の歴史などがそれぞれに違うのだから、外国人の職員任用を認める範囲も、そこに住む人々の意見を反映して異なるのが自然である。それが、憲法が定める地方自治の理念にも、地方分権という時代の流れにも沿う。
 朝日は「地方自治体が萎縮し、門戸開放の流れが滞ることが心配」なんだそうだが、「自治体の裁量を広く認めた」とするのが適切な解釈だろう。


2005年1月25日火曜日

内部告発の仙波敏郎・巡査部長に報復人事

■内部告発・巡査長の異動内示、「報復人事」と訴訟意向(読売新聞)
 愛媛県警の捜査費不正支出問題で県警は24日、実名で内部告発した県警地域課鉄道警察隊の仙波敏郎巡査部長(55)に本部地域課通信指令室への異動を内示した。

 仙波巡査部長は「報復人事だ」として、発令されれば、県警に発令の無効を求める仮処分を申請し、損害賠償請求訴訟を起こす意向を明らかにした。

 県警は「本人から事情を聞き、マスコミ報道などで『辞める時は死ぬ時だ』などの発言をしており、万が一のことを考えて拳銃を所持しない部署にした」としている。

 仙波巡査部長は20日、記者会見し、「上司に領収書を偽造するよう求められたが、拒否した」と、現職警官として初めて捜査費不正支出について証言した。
 わらった。いや、仙波さんには悪いけど、あまりにも愛媛県警が笑えることをするもんだから。

■だって、言い分がすごいじゃないか。「『辞める時は死ぬ時だ』などの発言をしており、万が一のことを考えて拳銃を所持しない部署にした」って、 いったいどんな頓知(とんち)だよ。

■確かに、ちょっとまえに、こんな記事を見かけたけども…仙波巡査部長の一問一答

■<警察不正>「負けたら死ぬ覚悟」現職警官が手口証言(毎日新聞1/21)
 今回証言しようと思ったのはなぜか。
 ――正義感からだ。特別監査で何かが明らかになるかと期待したが、そうならなかった。最後のチャンスだと思った。
 県警からの圧力はあったか。
 ――昨日もそうだし、何度も引き止められた。県警幹部から「お前が会見したら、県警は1年間は立ち上がれなくなる」と言われた。だが、問題にフタをしたら、一生立ち上がれないと思った。
 95年以降も偽造領収書は作られているのか。
 ――私は(偽造領収書にかかわることを)要求されなくなったので、確認できないが、その後もあったと思う。
 今後の身の振り方は。
 ――あと4年たてば定年を迎える。「圧力に負けたら死ぬ」くらいの覚悟で臨まないと、この席にはいられない
 捜査協力者は実際に存在するのか。
 ――存在しない。組織の情報を告発する人が金をせびるはずがない。
 偽造領収書作りを拒否したことで、差別を受けたことはなかったか。
 ――警部補への昇進試験を受けた際、当時の署長に「偽造領収書を書いていないので、君は受からんよ」と言われた。
 偽造領収書は警察官全員が書いているのか。
 ――95年までは、私以外に一人、偽造領収書作りを拒否している人間がいた。偽造領収書作りにかかわらないと、昇進できないので、ほとんどがやっていたと思う。
 他にも裏金作りの方法はあったのか。
 ――各署の会計課が署員の印鑑を保管し、口座を作り、架空の旅費を請求・ねん出して裏金を作っていた。
 「万が一のことを考えて拳銃を所持しない部署にした」と「報復人事」による圧力。だが、こんなものに、仙波さんは負けることはないだろう。


2005年1月21日金曜日

「極左記者」と「偏向プロデューサー」?

■朝日が週刊新潮の広告断る NHK改編問題めぐり(共同通信)
 NHKの従軍慰安婦特集番組の改編問題をめぐり、20日発売の「週刊新潮」(1月27日号)の新聞広告の見出しが事実に反するとして、朝日新聞が掲載を断っていたことが分かった。
 この新聞広告は「朝日『極左記者』とNHK『偏向プロデューサー』が仕組んだ『魔女狩り』大虚報」とする見出しを載せたもの。
 これに対し朝日新聞は18日、「見出しは事実に反する」として広告代理店を通じて掲載を断ったという。新潮社は「見出しに偽りはないので、見出しを変えるような措置はしなかった」(宣伝部)と話している。この広告は20日、在京の新聞などに掲載された。
 ははは…結果的に宣伝に荷担していますよ、朝日サン。しかも、無料で。

■朝日の捏造だ、とか、発言を翻した、とか、ちょっと膠着状態ですね。決定的な証拠が出てこない。もう一度、長井プロデューサーに出場を願うしかないんじゃないか。なぜ圧力があったと確信を持てたのか説明責任がある。ってか、「信頼できる上司」とやらにご登場いただくしか道はない…ってとこまで追い詰められている気がするのだが。

■私のツボは安倍晋三だ。「これは拉致問題に対する鎮静化を図り北朝鮮が被害者としての立場をアピールする工作宣伝活動の一翼も担っている」とか「今までも北朝鮮問題への取り組みをはじめとし、誹謗中傷にあってきたが、私は負けない」とか…ものすごい陰謀説&「北朝鮮問題」を利用した自己アピールなんですね。

■彼の最大の武器である「北朝鮮」は、こんなとこでも活用できるのかと感心している。政治家にとって、仮想敵ほど頼りになるものはない。安倍は北朝鮮の独裁者に足向けて寝らんないだろう。

■あと、この事件が安倍晋三に対する世間のイメージにどういった変化を与えたのかが興味ある。ま、一部では、逆に株が上がっているみたいなんですがね。