■まぁ、想像通り、対照的な社説を2つ…
■日米関係―ブッシュ時代の夕暮れ(朝日新聞)
それにしても、ブッシュ時代の日米関係は、米国の外交路線に振り回されてきた7年半ではなかったか。アメリカにこれだけ尽くしたのに、このざまだからね。まぁ、アジア外交はそりゃ重要で、外交の方向性としては正しいんだろう。ただ、拉致に限定すれば、アジア外交を強化したところで解決するわけもないが。
9・11同時テロの後、当時の小泉政権はブッシュ氏の掲げた「テロとの戦争」に協力した。欧州主要国と米国との間に亀裂を生んだイラク戦争を支持し、国論を二分したまま、戦闘状態が続くイラクに自衛隊を派遣した。
その背景にあった大きな要素が北朝鮮問題だった。
国際社会で評判の良くないイラク戦争で米国に協力すれば、日本の安全保障に重大な影響がある北朝鮮問題で米国の支援を確かなものにできる。そういう考えがあってのことだろう。
だが、結果として、イラクの泥沼状況が続く中で、北朝鮮は弾道ミサイルの発射実験をし、核実験まで強行して、危機は深まってしまった。拉致問題も足踏みが続く。
日本外交が米国頼みなのは今に始まったことではない。しかし、米国が国際協調を重んじ、力の行使に慎重である限りはいいが、単独行動主義に走ると並走するのは容易ではない。
国際政治は、ますます複雑な方程式になりつつある。中国の急速な台頭に加えて、インドが成長を加速し、ロシアも再び存在感を増している。21世紀のアジアが安定と繁栄の道を走り続けられるかどうか、予断を許さない。
福田首相は中国との関係を改善の軌道にのせ、米国一辺倒だった小泉時代の路線を改めようとしているかに見える。だが、持論である日米関係とアジア外交がプラスに作用し合う「共鳴」はまだこれからだ。
日米関係は基軸であり続けるが、「日米」だけですべては解決できない。その限界を学んだことがこの7年半の教訓ではないか。
■日米首脳会談 拉致でどう協力するのか(産経新聞)
危惧するのは、日米同盟の強化をうたいあげたにもかかわらず、同盟関係の弱体化が見え隠れしていることだ。もうね、切なくて見てらんない…自分よりも、他の人たちと仲良くしてるのは、自分が仲良くしようと努力していないからだってね。アメリカからしたら日本はお友だちの1人なのだが、日本はアメリカしか見えていないんだ。日本…かわいそう…
一つは、米国が日米同盟より、多国間協議により重心を置いているように見えることだ。拉致問題に関しても大統領は6カ国協議参加国による圧力に言及したが、中国とロシアは距離を置いており、実効性を持たないからである。
もう一つは、日本が同盟関係を強固にする努力を払っていないことだ。日本は、米国に向かう弾道ミサイルを集団的自衛権の行使に抵触するとして迎撃しないとしている。これでは頼りになる同盟国とはみられまい。
温暖化問題や原油高など、日米が協力せねばならない課題は山積している。同盟関係を揺るぎなくすることを最優先すべきだ。
■ついで…こんな記事も見つけた。
田岡俊次:「6者協議体制」が定着に向かう 米中連携で形骸化する日米同盟(AERA 2008年7月7日)
ライス米国務長官は米誌「フォーリン・アフェアーズ」7・8月号の論文(朝日新聞社「論座」8月号に全文掲載)で、涙。
「6者協議のメンバー国はこうした協調の枠組みを、北東アジアの平和と安全保障に関するメカニズムとして制度化することで、この地域における最初の安全保障フォーラムに向けた第一歩としたいと考えている」
と述べている。
一見結構に聞こえるが、6者協議は米国が中国に議長国となるよう求め、中国と密接に連絡を取りつつ会議と交渉を進めてきたものだ。「6者協議体制」が東アジアの枠組みとなれば、米国の後押しを受け、中国が「東亜の議長」の座に就くことになりかねない。6者協議で拉致にこだわった日本は疎外されたが、次に控える朝鮮戦争休戦協定を平和条約にする会議には、戦った北朝鮮、韓国、米国、中国が参加し、日本は当然参加できないだろう。5年間におよぶ難しい6者協議をなんとかまとめたことで、中国は米国の信頼を得て、外交上の地歩を固め、平和条約の会議でも中心的役割を演じることになりそうだ。
国際政治は「敵の敵は味方」という単純な原理で動いてきた。日米共通の脅威だったソ連はすでに崩壊し、東アジアで米中連携体制が確立すれば、日米同盟の意味は一層薄れる。米国は日本の基地を日本の負担で確保したいから、同盟関係の解消を言うことはないだろうが、同盟は形骸化しそうだ。
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