2005年2月18日金曜日

産経新聞:堀江社長に物申す

■別のところで述べたんだが、週刊誌AERA(2月21日号,朝日新聞社発行)「堀江フジサンケイ支配」という特集は産経新聞も注目していたようで、同誌に言及しつつ、社説を書いている…

■産経新聞/社説「堀江氏発言 産経を支配するって? 少し考えて言ったらどうか」
 いうまでもなく産経新聞は「正論路線」に立脚している。これは冷戦時代のさなかに策定された「産経信条」(昭和四十五年)の「民主主義と自由のためにたたかう」にもとづき、西側陣営にたって、社会主義国のイデオロギーや軍拡路線、非人間性を批判してきた路線を指す。

 冷戦は西側陣営の勝利に終わり、日本の言論の中でも「モノをいう新聞」としての産経新聞のもつ重みは増してきていると認識しこそすれ、これを修正するつもりはない。
 「産経新聞のもつ重みは増してきている」んだそうです。いつまでも「資本主義対社会主義」的な構図を引きずっているだけで、その重みが増しているとは私には思えんのですが。
 「正論路線」の否定は産経新聞が果たしてきた憲法改正論や、また中国報道や歴史観の歪みの是正、あるいは北朝鮮による拉致事件報道に対する挑戦である。これらは二十年、三十年単位で積み重ねてきた結晶であって、「あのグループにオピニオンは異色でしょ」の一言で一蹴されていいものではあるまい。
 産経的な主張ってのはバブル状態であって、産経新聞も相対化されてるわけですね。

 しかるに堀江氏はAERA誌で「あのグループにオピニオンは異色でしょ。芸能やスポーツに強いイメージがあるので芸能エンタメ(注=娯楽)系を強化した方がいいですよ」と語り、編集部も堀江氏は正論路線にあまりお金はかけたくないという、との解説を付記している。

 さらには「新聞がワーワーいったり、新しい教科書をつくったりしても、世の中変わりませんよ」と語る堀江氏の発言を「氏特有の冷めたメディア観」とたたえてもいる。しかし、この特集記事にあふれていたのは「エンタメ」「金融・経済情報」といった類の言葉ばかりで、新聞づくりの理念はうかがいしれなかった。
 「新聞がワーワーいったり、新しい教科書をつくったりしても、世の中変わりませんよ」ってホリエモンの言葉、すごく笑える。そして、この産経の憤慨っぷりがそれに輪を掛けている。

 経済合理性の観点からメディア戦略を構築しようとしているだけで、言論・報道機関を言論性でなく、むしろそうした色あいをできるだけ薄めた情報娯楽産業としかみていないのは驚くべきことといわなければならない。

 マスメディアは、国民の「知る権利」の担い手である。民主主義社会を支える役割があり、国のあり方にも大きな影響を及ぼす。だからこそ、報道・論評の自由を有している。

 そして、その自由を守るために、そこに属する人間は、責任の自覚と自らを厳しく律する精神が求められる。経済合理性では割り切れぬ判断を迫られる場面もある。
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 堀江氏は電波媒体を買収してグループ内の新聞まで支配したいという野望なのだろうが、電波というのは公共財であり、しかも無限ではない。この限りある資源を適切に使うため、国が限られた事業者に免許を与え、割り当てている。それが放送事業である。

 したがって、利益をあげることが最大の目的である一般事業会社とは当然異なり、より大きな公益性と社会的責任が伴う。
 「公益性と社会的責任」を根拠にだしてきた。ま、放送業界が「最後の護送船団方式」などと呼ばれる所以なのですよ。


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