奈良市の小学一年、有山楓(かえで)ちゃん(7つ)誘拐殺人事件で、誘拐容疑で逮捕された小林薫容疑者(36)は、少女に強く執着し、強制わいせつ事件や殺人未遂事件を繰り返してきた。今回の事件でも、殺害を認めながら「悪いことはしていない」と供述し反省の態度は見えない。以前担当した保護司は「更生できないと思った」と語り、矯正させられなかったことを悔いた。ま、最後の部分は妥当なとこだな。
中学時代、大阪府内で六歳の女児にいたずらしたとして摘発された後に小林容疑者と対面した保護司の女性(85)は「当初から更生できないと思ったんです」と語る。三十年近くの間に二百人の犯罪者を引き受けた女性の直感だった。保護観察中に課された接見に来ない。約束違反は日常茶飯事。しかり飛ばしても、にやにやしながら受け答えするばかりだった。
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女性に対する差別意識など、心深くに根ざした特異な感情を背景に犯行を行うことが多い性犯罪者は、再犯率が高いとされる。性犯罪に詳しい番敦子弁護士は「女児への性犯罪を『いたずら』と表現する風土がいまだにある。性犯罪に甘く、軽視してきた日本の社会にも(再犯を許した)原因がある」と話す。
■小林容疑者は1989年、大阪府箕面市で女児8人にいたずらしたとして、強制わいせつ容疑で送検され、2年後には大阪市で女児に抱きついて首を絞め、殺人未遂容疑で逮捕された…らしい。
■警察庁によれば、全国の強制わいせつ事件被疑者の再犯率は約41%(2003年)で、刑法犯全体の平均を5ポイント上回っている。
■で、「性犯罪」「再犯率」というキーワードが出てくれば、こんな論点も登場する…
■『街の安心』か『更生』か−強制わいせつ 再犯率4割(東京新聞,核心12/31)
■米韓は公開情報開示は、「アイツは性犯罪者」と周囲の人間は指差すことが可能になるだろう。しかし、それが再犯の抑止につながるとは考えにくい。だって、性犯罪者ってのは偶発的にターゲットを決めるケースが多いだろうし、被害者が情報を有しているケースってのは考えにくい。
米ニュージャージー州は94年から、当時7歳の女児が性犯罪歴のある男に殺害された事件を機に、前歴者を登録し名前や居住地、写真を公表している。こうした動きはほかの州にも拡大した。韓国政府も2001年、十八歳未満の少女への性犯罪で有罪が確定した約百七十人の氏名などをホームページで公開。批判もあったが、地域社会の安全が優先された。
一方、ロンドンでは2000年、大衆日曜紙が幼児への性犯罪歴がある人物の実名、写真を紙面で公表。掲載された人物が住民に襲われる事態が続発した。
日本では、愛知県警が昨年から余罪情報の収集や被害者の不安解消を目的に、連続女性暴行など悪質な性犯罪者について、逮捕後に顔写真を公表する試みを始めたが、前歴者情報を地域住民に開示する動きはない。
米国や韓国と同様の制度について、北大法学部の白取祐司教授(刑事訴訟法)は「現時点では制度導入に慎重であるべきだ。(前歴者が)社会復帰できず、立ち直る機会を奪われる可能性もある。メンタルケアを通じ、病的な性格を治療する制度を整える方がよい」と話す。
一方、中央大法学部の藤本哲也教授(犯罪学)は「日本も検討すべき時期。市民に対する警告の点で、はるかに遅れている」と指摘。関西学院大の野田正彰教授(精神病理学)は「再犯防止や矯正教育に社会として取り組んでいるとは言えない」と分析している。
■それとも、「社会はお前は監視している」という「抑止効果」に期待するものだろうか。とりあえず、アメリカや韓国がどのような性犯罪再犯率の推移を見ておく必要がありそうだが。と同時に、スティグマによって、社会復帰をどれくらい妨げているのか。両者を天秤にかけて検討をすべきだろう。って、データを探すのがめんどいなぁ。
■先に登場した保護司が、結果論でなく確信を持って言えたとすれば、その性犯罪者をチェックすることなく、社会に放出してしまった仕組みをまず問題にすべきだろうな。その意味でも、野田正彰が言うように、「社会として取り組んでいるとは言えない」。
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