2005年1月21日金曜日

ブラックバス

■外来種規制、オオクチバスの盛り込み先送り・環境省(日経新聞)
 環境省は19日、国内の生態系を守るため5月にも施行する「特定外来生物被害防止法」の規制対象種の第1陣リストに、ブラックバスの1種であるオオクチバスを盛り込まないことを決めた。指定に反対する釣り関係者などに配慮、施行段階のリストからははずし、7月以降に改めて結論をまとめる。

 同省はオオクチバスが日本在来の固有種に大きな被害を与えないよう規制や駆除の必要性を指摘する一方「全国に広がり、規制対象にして即座に駆除を進めるのは難しい」と説明している。
 正直、あまり興味がない話題ではあるが…釣り具メーカーや釣具店、バス釣りの愛好者などの猛烈な圧力に、環境省が押し切られたようです。

■日経新聞/社説「ブラックバス釣りは北米で」
 日本魚類学会は昨年12月、国内43の都道府県にブラックバスが広がり、うち86の湖沼では、在来種、日本の固有種などが絶滅・激減の危機にあると発表した。
 ブラックバスは、他の魚種の稚魚を丸のみにする大食漢の「フィッシュイーター」である。モロコやタナゴ、トミヨなどの小さな魚なら成魚も一口。湖沼の生態系は一種の閉鎖系だから、こんな暴れん坊を放たれたらひとたまりもない。琵琶湖でもブラックバスが増え、モロコは幻の高級魚となり、ニゴロブナの「ふなずし」の未来にも影を落とす。

 ブラックバス釣りはどうぞ北米ツアーで。どうしても日本で釣りたいのなら、完ぺきに密封された専用釣り場を自分たちでつくるべきだ。

 暮らし方が変わり、国際的な物流が活発になって、固有の生態系も不変ではいられない。ただ、在来種を根こそぎ駆逐する外来種を意図的に広げるのは厳禁だろう。豊芦原の瑞穂の国が育ててきた繊細で豊かな淡水生態系と、ブラックバス釣りの快楽と、どちらを選ぶのか。
 「北米ツアー」に「専用釣り場」ねぇ…ま、そうしてもらうほかないっしょって話か。

■朝日新聞/社説「ブラックバス――野放しにできぬ大食漢(1/21)
 大食漢を野放しにしていたら、昔からいる生物が絶滅しかねない。これ以上、広がるのを防ぐべきだ。そう規制派は訴える。バス釣りでは、捕まえても放すのが一般的なため、生息数が減らないことも問題視する。

 これに対して、バス釣りを楽しむ人々は、「組織的な放流はない」「生態系が崩れたのは開発などの影響が強い」と言い返す。健全なスポーツへの偏見だとして反発し、対立は一向に埋まらない。

 環境省は、激しいやり取りに腰が引けて、指定をためらい、最終結論をとりあえず6カ月先に持ち越した。

 バス釣りには300万人のファンがいて、釣り具業界などに1千億円の恩恵をもたらしているとされる。一方には在来種のフナなどの漁で生計を立てる人たちもいる。多くの利害が絡んでいることは確かだ。いま問われているのは、どの視点から考えるかだろう。

 ここは「生態系の被害を防ぎ、生物多様性を守る」という法律の原点を踏まえたうえで、規制対象に加えるべきではないか。規制が遅れるほど被害は進む。

 官僚が業界や政治家の圧力にたじろいでいるのなら、大臣の出番である。小池環境相は最後まで指定の意見だったと聞く。いまこそリーダーシップを見せてもらいたい。

 国内にはいなかった動物や植物が、海外から流れ込んでいる。新しい法律は、外来種が引き起こす問題の解決に有効なのか。ブラックバス規制は、それをうらなう試金石となるはずだ。

 バス釣りの愛好家にも考えてもらいたい。規制の対象になっても、釣ることまで禁じられるのではない。それに自然の豊かさがどんなに大切か、肌で感じているはずだ。その関心を、メダカやフナなど昔から私たちと一緒だった生き物たちにも向けてもらいたい。



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