2004年12月17日金曜日

立川自衛隊監視テント村

■官舎に『反対ビラ』無罪―憲法で表現活動保障(東京新聞)
 東京都立川市の防衛庁宿舎で自衛隊のイラク派遣反対のビラを配ったとして、住居侵入罪に問われた市民団体メンバー三人の判決公判が十六日、東京地裁八王子支部であり、長谷川憲一裁判長は「ビラ配りは憲法で保障された政治的表現活動であり、立ち入りによるプライバシー侵害の程度は極めて軽微で刑事罰に処するに値する違法性はない」と、無罪(求刑懲役六月)を言い渡した。 

 無罪となったのは「立川自衛隊監視テント村」のメンバー大洞俊之さん(47)、大西章寛さん(31)、高田幸美さん(31)。

 判決で長谷川裁判長は「ビラの内容は暴力や破壊活動を志向する危険思想ではなく、一つの政治的意見。ビラを届けることでテント村の見解を自衛官らに直接伝えるという動機自体は正当」と指摘。「正式な抗議や警告もなく、いきなり摘発して刑事責任を問うことは憲法の趣旨に照らして疑問」と述べた。
 ま、当然の判決だよな。

■ちなみに、政治的思想の抑制が目的で、公訴権の乱用という弁護側の主張は、「少なからぬ居住者が他の商業宣伝ビラに対するものとは異なる不快感を抱いており、こうした感情に着目すれば検察官の訴追裁量権の逸脱とまではいえない」と退けられた。

■ただ、証言をした自衛官らが「イラク派遣が始まって隊員や家族が緊張している時期に、玄関先にビラを放り込まれるのは住人として大変不快であり、家族も動揺した」と語っているように、この団体の無神経さについてはいかがなものかと思う。

■で、思い出すのは、右翼の街宣車。「ゴミ」をポケットに突っ込まれるわけで、同じく迷惑行為に違いないのだが。ま、ビラは捨てればいいことだから、これぐらいの「不自由」は許容しないといけないのかなぁ。

■朝日新聞/社説「ビラ配り無罪―郵便受けの民主主義」
 イラク開戦とそれに続く各国軍の現地派遣をめぐっては、世界のあちこちで大規模な抗議活動が繰り広げられた。欧州では、ベトナム反戦デモを上回るうねりとなった国も多かったが、日本では際立って低調だった。

 滞在中たまたま日本の反戦デモを見た外国人たちはその規模の小ささ、若者の少なさに驚いた。理由はいろいろあるだろうが、ビラ配り事件にあらわれた警察の過敏な取り締まりも一因だろう。

 自分の気に入らない意見にも耳を傾けてみる。それは民主主義を支える基本である。派遣を控えた自衛隊員にとっても、同僚や家族と全く違う意見を目にするのは無駄にはならないはずだ。くだらない意見だと思えば捨てればいい。

 そんなところにまで警察が踏み込むのは危険きわまりない。判決はそう語っている。
 「警察の過敏な取り締まりも一因」って…やや呆れる。そんなのはただの言い訳じゃないか。そんな単純なもんじゃなくって、この問題はもっと根深いものだ。


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