2004年10月9日土曜日

橋本大二郎・辞職

■橋本知事 辞職勧告決議案を可決 知事の辞職許可(毎日新聞)
 高知県議会は8日、橋本大二郎知事(57)=4期目=の初当選時(91年)の選挙資金をめぐり、自民党など2会派が提出した知事の辞職勧告決議案を賛成多数で可決した。決議案に法的拘束力はないが、橋本知事は可決直後に「職を辞して県民の信を問う」として、議場で議長に辞職申出書を提出。
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 選挙資金問題は、橋本知事の元選対事務局長が知事の後援会長から借りた資金の一部1億円の返済に、談合でダム工事を受注した業者から得た資金を充てたとされる。
 橋本知事は一貫して関与を否定したが、県議会は先月、「(知事は)建設業者からの資金が使われたことを知っていたか、強い疑いを持っていたと判断される」という調査特別委員会(百条委)の報告書を承認。自民党などが「知事が疑念や不信感を抱かれるようでは県民の理解を得られない」とする辞職勧告決議案を提出していた。



■毎日新聞/社説「高知知事辞職 住民不在の政争ではないか」
 橋本知事はいきなり辞職を選択する前に、十分な説明責任を果たす必要があった。みずからの体験や関係者の話を総合し、改めて文書で説明すると言明しているが、もっと早く説明する機会はあったのではないか。

 県議会としては、その説明を聞いたうえで、辞職相当と判断するなら、知事不信任を決議するのが筋だ。その場合は、知事は県議会解散という対抗手段も取れる。それを避けるかのように、辞職勧告という強制力のない決議で、知事の非ばかりを鳴らすところに、党利党略のにおいを感じる。

 三位一体改革論議が進み、財政危機が強まる中で、県政に空白を生む知事、県議会双方の対応は住民不在としかいいようがない。各地で改革派首長が誕生し、高知県と同じように、旧勢力との対立が起きている。

 2年前、長野県議会は田中康夫知事を不信任し、田中知事は失職を選んだ。選挙で選ばれた知事と県議会の「二つの民意」のねじれが全国的に注目を集めたが、その背景には「脱ダム」の是非という重量級の政策論争が存在した。

 高知県の場合は、そういった県政の根幹を問う争点がない。過去13年にわたって「草の根」の支持を頼りに、人事制度改革や情報公開などに大なたを振るってきた知事と、トップダウン型の強権に抵抗する旧勢力の、不毛の政争ばかりが透けて見える。
 「職を辞して県民の信を問う」っても、そんな責任を押し付けられた県民はいい迷惑だ。いったい何を争点に投票すればいいのか…まるでわからない。それについての情報もないのに、疑惑についてシロかクロかの県民に認定させようってのか。そんなのは捜査当局の仕事であって、県民の仕事ではない。

■「改革派知事」としての業績によって再選されると考え、真偽や経緯を曖昧にしようという思惑が見え隠れする。自分が「シロ」だと言うのならば、それを証明すればいいだけのことじゃないか。いたずらに政治の停滞をまねくだけで、何の意味もない。誰かさんみたく「改革VS守旧派」という構図にして、問題の本質を隠してしまおうって魂胆か。「私は改革派だ」と言って、居直っているようにしか見えない。


■県民不在の“抗争” 「大二郎改革」4期半ば 橋本知事辞職(産経新聞)
国籍条項撤廃/スト職員大量処分

 NHK記者から転身し、改革派知事の先駆けとして知られた高知県の橋本大二郎知事(五七)が八日、四期半ばで“辞職”の道を選ばざるを得なくなった。新しい政策やアイデアを次々打ち出し、職員採用時の国籍条項の撤廃など中央に対して地方の立場を主張。都道府県で最初に官官接待を全廃し、情報公開、行政の透明化にも力を入れてきた。
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 昨年十一月の知事選挙で「改革の継続」を訴え、裏金疑惑や多選批判をも跳ね返して、四選を果たした橋本氏。平成三年の初当選以来、給与制度改革や「人事への組合介入」と批判のあった人事諮問制度の廃止など、県庁内のさまざまな制度に手をつけてきた。
 県庁業務の30−50%を外部委託し、民間の仕事の創出を明言、実施されつつある。知事交際費の全面公開や国体の簡素化にも取り組み、昨年は全国初の森林環境税という新たな政策も導入した。業界や県議からの「口利き行為」の文書化などの政策でも注目された。
 もっとも、橋本氏の改革路線は県職員の意識改革という点では評価されるものの、目に見える県民生活の向上や地域振興については県民の評価は高くなかった。

 一方で、財政事情を理由に来年度から三年間、県職員の給与を3%削減することを決定。賃金カットに反対してストを実施した県職員を大量処分するなど、身内の県庁職員には容赦がない。
 また、事前の根回しを廃止したことについて「議会軽視」とする一部の県議と対立。改革への抵抗や不満はくすぶり続けており、これを裏付けたのが、今回の反知事派からの辞職勧告決議案の提出だった。
 これに対し、知事は七日の緊急記者会見で辞職勧告が可決された場合、辞任して再出馬する考えを表明。「知事不在が県政の混乱を招く」「昨年の知事選予算は六億円を超えており、財政が逼迫するなか、新たな予算が必要になる」と、県議会を牽制した。
 反知事派の県議は「議会への脅し」と憤る一方、親知事派の県議からも「決議前日に圧力をかけるのは議会軽視だ」と疑問の声も聞かれた。



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