日本の自殺者数が人口10万人あたりの比率に換算すると世界第10位で、旧ソ連・東欧圏を除く主要先進国の中では最も多いことが8日、世界保健機関(WHO)の調べでわかった。99年の前回調査では、日本は16.8人(96年)で23位だったが、今回は特に45〜64歳の中高年男子の自殺者数が急増した。また、世界全体の自殺者数は推計で年間約100万人に達し、「殺人や戦争の死者の総計を上回る」と指摘している。
調査は、データが入手可能な99カ国を対象に直近の数字を比較した。日本は00年で、自殺者総数3万251人だった。
それによると、人口10万人あたりの「自殺率」が最も多いのはリトアニア(44.7人、02年)で第2位がロシア(38.7人、02年)。日本は24.1人(男35.2人、女13.4人)で10番目。主要先進国では米国10.4人(00年)、英国7.5人(99年)、フランス17.5人(99年)、ドイツ13.5人(01年)など。
調査にあたったWHO精神保健局は、日本の自殺急増について「十分な分析はできていないが、不況による仕事でのストレスの増加が大きな理由のようだ。また、日本の場合“腹切り”の伝統があるように、自殺に寛容な文化的土壌もあるのではないか」と話している。
日本の背後にあるものは何だろうか?長期不況だけでは説明できない。十分な「豊かさ」を手に入れていないってことなのか。一般的に「豊かな国」とされる国々も、自殺者はそれなりにいる。国によって、自殺の内容に違いがありそうだ。これを調べるには…死人に聞くより他ない。
http://www.who.int/mental_health/prevention/suicide/suiciderates/en/
■WHOのサイトも一応チェックしてみたが(昨年のものだった)、ほとんどの国で、男性の方が女性よりも大きく上回っている。だから、男性の自殺が目立つのは、日本だけの特徴ではない。
■こんなのを見ると、「男はつらいよ」と男性が偉そうに言い出しそうだが、いったいこれは何故だろうか。男は精神的に弱いのか?
■産経新聞/社説「自殺対策 ちょっとした工夫で効果」
人はなぜ自殺するのか。WHOは貧困、失業、愛する人の喪失、家族や友人とのいさかい、仕事の行き詰まりなどを主な要因にあげている。また、鬱病(うつびょう)は働き盛りの年齢層の自殺の大きな誘因になっているという。
昨年の警察庁統計で過去最悪の年間三万四千四百二十七人が自殺した日本では、リストラなどにより、仕事や人間関係、自信などの喪失に遭遇するおそれがある働き盛りの年齢層が自殺の高いリスクにさらされている。
世界的に現在、自殺者が多いのはリトアニア、ロシアなど旧ソ連・東欧諸国で、人口十万人あたり年間四十−五十人が死亡している。日本は二十五人前後で、それよりは低いが、欧米の先進諸国と比べるとかなり高い。
自殺予防デーを機にWHOは「自殺は予防可能な保健課題である」と各国に対策を呼びかけた。それにはもちろん、自殺のリスク要因を減らす政策が必要だが、同時に自殺の手段を生活の場から遠ざけることも大切で、薬物の大量服用を防ぐため、錠剤はビンに入れず、一錠ずつ区分けしたパッケージに入れるといったちょっとした工夫にも予防効果があるという。
また、開業医が体の不調を訴える患者の鬱病の症状に気づき、専門医の治療につなげられれば、働き盛りの自殺を防ぐことにもなる。日本医師会はこのため、一般医療機関向けに「自殺予防マニュアル」という冊子を作成した。こうした地道な努力を評価するとともに、鬱病などの精神疾患を「誰もがかかりうる病気」として社会が受け入れていくことも大切だ。
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