読売新聞/社説「プロ野球スト―超高額所得者たちの労働組合」
労組とはいっても、一般の労組とはだいぶ違う。議論をすり替えてきましたね。「超高額所得者」という言葉を使って、「スト反対」世論を煽動しようってのは何ともたちが悪い。
まず“組合員”の収入が格段に高い。選手会の調査では、今季、選手の平均年俸は3804万円だ。推定5億円を最高に1億円以上の選手は七十四人いる。
雇用関係も違う。選手は、事業所に雇用されて賃金をもらう労働基準法上の労働者ではない。独立した個人事業主として球団と契約を結んでいる。
雇用保障のない世界、とも言える。ケガや成績不振により、毎年多くの選手が球界を去っていく。その分、球団は現役時代の活躍、チームの勝利への貢献に多額の年俸で報いる。ファンも高い技術を伴ったプレーに魅了されれば、選手の高額の年俸に目くじらはたてない。
選手会は数年前から、性格を変え始めた、といわれる。代理人交渉、肖像権の帰属など、個人利益拡大を重視し、二〇〇〇年には、翌シーズンの年間試合数が増えることに初めてストを公言するなど、強硬姿勢も目立つようになった。
その中での今回の球団統合問題だ。選手会は、経営権に属する問題と認識しつつ、待ったをかけようとした。
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九四年の大リーグストでは、ビリオネア(億万長者=選手)が、ミリオネア(百万長者=オーナー)相手に強行したストと、多くのファンにあきれられた。
日本でも、ストが迷走すれば、ファンの心は離れていくだろう。そうならないよう願う気持ちは、選手会も経営側も同じはずだ。
■「たかが選手」と口をすべらせたオーナーがいたけども、これで「選手=弱者」という構図ができちゃったからね。ファンには、経営側がみんな越後屋に見えて、「選手かわいそう」との判官贔屓で選手支持に回った。
■巻き返しをはかろうと持ち出してきたのが「ビリオネアVSミリオネア」(!?)ですよ。「ファンのみなさ〜ん、選手たちは弱者ではなく、超高額所得者ですよ!」ってわけ。オーナーの尻拭い…読売の皆様、お疲れさんです。
■「超高額所得者」(= 一流選手)であればあるほど、球団の合併などどうでもいいのである。だって、自分を取ってくれるとこなど、いくらでもあるのだから。「ぜいたく税の導入や高額年俸選手の減額制限の緩和を検討したい」と古田選手会会長が言うように、「超高額所得者」にとっては、都合の悪い話が出てきている。一方、メジャーリーグの場合、選手年俸を抑制するサラリーキャップ制導入をめぐるものであって、質がまるで違う。
■しかしまぁ…FA制や逆指名の導入によって、「超高額所得者」を作り出したのって、あんたがたのボス(渡辺恒雄)じゃないの? で、それをいいことに「超高額所得者」を大量にはべらかしてさ。そんなヨミウリさんが、どの面下げて「超高額所得者たちの労働組合」なんて論説をぶつんだろね?(参照:球団別年俸) 「大金やってんだから文句言うなや!」と言いつつ、札束で引っ叩こうっての?
■「平均年俸は3804万円」って言っても、上が大きく引っ張っているからであってね。先の球団別年俸によれば、非出場登録選手の平均は…巨人は約2620万円で、広島の場合、約1588万円になる。非出場登録選手は合併のしわ寄せを食らう人たちと考えていいだろう。長い人生の中で、現役選手として稼げる期間は限られている。高収入の読売記者に聞きたい…彼らは「超高額所得」か?
■にしても、読売系列には経営側を批判できない規則があるのかねぇ。日テレでもタブーになっている。巨人OBもだんまりを決め込んでいるし、よほど「恐怖政治」が効いてるみたい。NHKの「エビジョンイル」(海老沢勝二)みたいに、ナベツネも「ナベジョンイル」と呼ぶべきじゃないか?
【追記】
これについて、朝日新聞が社説で取り扱い、批判している。
参照:社説比較・プロ野球スト回避
新聞社説/プロ野球スト…ついにストライキ突入。読売新聞はこりずに「ファン裏切る“億万長者”のスト」
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