■毎日新聞/社説「学校占拠テロ 独立運動逸脱した残忍さ」
今回の事件は、チェチェン独立運動が民族独立という大義から逸脱し、狂信的な無差別テロへと変質していることを見せつけた。国際社会の独立運動への支持も大きく減るだろう。
その一方で、なぜ彼らが残忍なテロ行為へと走ったのか、その背景を考えると、プーチン政権の強硬政策とイスラム原理主義の浸透が浮かび上がる。
歴代のロシア政府は民族独立を求めるチェチェンの人々の声には耳を貸さず、独立運動を抑圧してきた。とりわけプーチン政権になってからは「テロには屈しない」とのスローガンを掲げ、一切の対話を拒否した。
独立運動内部の穏健派は力を失い、軍事闘争優先の過激化路線が力を得る結果になった。
軍事優先派はアルカイダなどの国際イスラム原理主義組織の支援を仰ぎ、聖戦思想を受け入れた。イスラム殉教テロが独立運動の前面に大きく出てきた理由だ。
これに対し、チェチェン穏健派はテロを否定せず、テロ思想を容認する態度をとった。
この結果、穏健派とロシア政府は対話の糸口を失い、テロという「鬼っ子」は成長し続けたのだ。
このチェチェンをめぐる状況は特異な例ではない。テロが吹き荒れるユーラシア南部のイスラム地域ではどこでも同じような状況を見いだすことができる。
権力側はテロを生む土壌を改善せず、武力弾圧に走る。権力を批判する側はテロという手段しか考えず、テロ思想を拡大する。
流血は流血を呼び、無実の子供たちが犠牲者となった。
テロを否定し、テロを生み出した背景にもっと目を向けるべきだ。さもなくば、子供たちの悲劇は繰り返されるだろう。
参照:社説比較
■「プロ野球スト」に関しては毎日しか扱っていない。やや意外。
■毎日新聞/社説「プロ野球スト 選手会の声にも耳を貸せ」
10日午後5時のスト期限が迫る中、プロ野球関係者は今一度、ファンの存在に思いをめぐらし、冷静に考えてみてはどうか。
選手会は近鉄・オリックスの合併そのものを絶対に認めないと主張しているのではない。早急に決着を図るのではなく、1年の間時間をかけ、議論を尽くしてその上でプロ野球のあり方を考えようと求めているのだ。
ファンの立場から見ても、一握りの球団経営者が、そろばん勘定だけでプロ野球の将来を決定しようとしているという印象は、確かにぬぐえない。国民的人気の高いプロ野球であることを考えれば、「もう少し時間をかけて」という選手会の主張もうなずける。
球団経営を経済活動の側面から見るなら、近鉄の買収に名乗りを上げたIT企業ライブドア社の存在もある。根来泰周コミッショナーは就任以来、野球協約の不備を再三にわたって指摘している。この際、これらの問題も国民的な合意を得られるよう、時間をかけて検討してみたらどうだろう。
残された時間はわずかだ。このままストに入れば、ただでさえファン離れが進むプロ野球が国民から見放されるのは明らかだ。
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