■社説を拾い読み…朝日・毎日・産経は、経営側に歩み寄りを求めている…
■朝日新聞/社説「プロ野球――このストを生かせ」
だが、これまでの動きを振り返れば、今回のストはやむをえないと考える。シロクロをはっきりつけ、最も明確に書いている。やっぱ読売が相手となると燃えるのかな。
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先週の労使交渉で、選手会は近鉄とオリックスの合併を1年延期する可能性が残っていると判断し、ストの延期を決めた。しかし、経営側には合併を凍結するつもりはなかった。
ではどうするか。新規参入を認め、来季もパ・リーグの6チームを維持する。合併後に選手たちがどの球団に行くかを選べる。そう選手会は要求を変えた。
時間を延ばした交渉で、選手会は新規参入について、来季に向けて最大限努力してもらいたいとまで譲歩した。選手会の古田敦也会長は「セ・パ11球団は本来の姿ではない。新規参入をうながすよう交渉してきた」という。
だが、経営側はこれを認めれば、合併の意味がなくなると考えたのだろう。新規参入について「最大限努力する」という約束さえも拒んだ。
これは理解できない。あまりにもかたくなではないか。
状況はパ・リーグ5球団を決めたオーナー会議のころとは変わっているはずである。早くから参入をめざしていたライブドアに続いて、同じインターネット業界の楽天が新球団をつくることを明らかにした。
経営側も、根来泰周コミッショナーの「私の見解」という形で新規参入の壁を低くする策を打ち出した。加盟料60億円を撤廃し、預かり保証金を導入する、外部の有識者が審査をする委員会を新設する、などだ。
ここまで言うのならば、来季からの新たな参入も、やる気があればできるはずだ。改革機運が盛り上がっているせっかくのチャンスを逃してはならない。
改めて気になるのは、根来コミッショナーの言動だ。選手たちに会って話をすることもしないまま、今日の事態を招いたのは野球関係者すべての責任であるとして、選手会にストを自重するよう求めていた。しかし、混乱を招いた大きな責任が、長いこと事態収拾に積極的に動かなかったコミッショナーにあるという自覚はうかがえなかった。
ストを続けるのは選手もファンも望まない。経営側はこれまでのいきががりを捨て、早く歩み寄るべきだ。
■根来泰周ってのはつくづく卑怯な奴だ。「(法律家として)“理屈の世界”に生きてきたが、野球界は“感情の世界”。理屈が通らなかった」ってな泣き言を吐きつつ、「今すぐにでも辞めたい」と逃亡。でさぁ…根来ってのは、公正取引委員会委員長やってたってんだから、悪い冗談としか思えない。彼によれば、新規参入を認めない談合は引っかからなかったみたい。
■毎日新聞/社説「プロ野球スト突入 責任はNPBの怠慢にある」
来シーズンに間に合うように認めるべきだと求めた選手会に対して、NPB側は「9月8日のオーナー会議で、来季はセ6、パ5でいく」と決めたことをタテに、新規参入は早くても06年シーズンからと譲らなかった。「時間がない」ってのは、やっぱ納得がいかないよな。引っかかるところはみな一緒か。
野球協約によれば、新たに参加しようという球団は、前年の11月30日までに実行委員会、オーナー会議の承認を得なければならない(第31条)とされ、実行委員会及びオーナー会議は、新たな球団設立の申請があった場合、30日以内に受け入れるかどうか決定する(第35条)と定めている。
これから新規参入を希望する企業を募るならともかく、すでに参入希望社が名乗りを上げている。新興の情報技術(IT)関連企業、ライブドアと、インターネット上でショッピングモール(電子商店街)を運営している楽天の2社である。
ライブドアは仙台市を本拠地とすることで、すでに地元宮城県、仙台市の了解を得ており、16日に日本プロ野球組織に加盟申請の手続きをとった。楽天もプロサッカー、Jリーグ1部のヴィッセル神戸を経営する実績を持ち、来週中に正式申請する予定だ。
カレンダーに照らし合わせてみるまでもなく、来春に間に合うだけの十分な時間はある。「公正な審査をするには、時間がない」というNPB側の言い分には協約上、説得力はない。時間があるのに1年後回しにするのは、NPB側の職務怠慢である。その結果、ストが行われるのだから、「どっちが悪い」と聞くまでもなくストの責任はNPB側にある。損害賠償など、論外の話だ。
■産経新聞/社説「球界再編 今からでも間に合うはず」
周囲の協力や既成球団側の受け入れの気持ちさえあれば時間はさほど問題ではない。特にライブドアの場合、すでに宮城県の協力をとりつけており、あとは選手の確保だけだ。パリーグ5球団に固執するのは、将来の1リーグ制のためか?来年5球団でやる→収益がますます悪化→新たな合併ってな感じでね。それとも、新規参入で自分たちのパイが減ってしまうことを恐れているのか?
新球団の受け入れを再来年以降に先送りにすると、せっかく盛り上がってきた企業のベンチャー精神をしぼませる恐れがある。むしろ、再編に揺れているこの時期にこそ決断すべきだ。
問題は、経営者側がチーム数を少しでも減らし、互いに「縄張り」を守りながら共存共栄をはかる、という縮小再編の基本方針から一歩も出ようとしていないことである。
ここは、新規参入を可能なかぎり受け入れ、互いにファンを呼ぶための競争をする気概をもってほしい。そうしない限りプロ野球はどんどんファンから見はなされていくだろう。
選手の側も、新球団発足となれば、球界改革という大義のもと、自己中心的な考えを捨て協力すべきことは言うまでもない。
■経営側としては、選手会が口を挟む前例を作りたくないのだろう。選手会との競技などやってられるか…決めるのは我々だ…ってな感じで。
■一方、神経を逆撫でするのが、読売…「億万長者のスト」ってまだ言ってる…
■読売新聞/社説[プロ野球]「ファン裏切る“億万長者”のスト」
プロ野球の選手会は「スト決行」を決めた。プロ野球史上、初めての事態だ。試合を楽しみにしていたファンへの裏切り行為である。使用者側とはいえ、読売の腹立たしい内容をどうしてくれようか…「億万長者のスト」ってタイトルからして、悪意に満ちている。まぁ今回は、タイトルだけ。見だしにだけのっけて、大衆の反発を煽ろうとする。金満ジャイアンツが不当に吊り上げているって側面もあるんだが、そのあたりは↓を参照。
一週間前、双方が歩み寄りを見せ、ストの延期を決めたばかりだ。その後の話し合いは何だったのか。
選手会は、最後まで近鉄の存続にこだわった。だが、これはそもそも球団の経営事項に関することである。実現が難しいとみると、今度は新規球団の来季からの参入に固執した。
経営側も、そこまでは譲れなかった。新規参入には、きちんとした審査が必要だからだ。
中立的立場にいたコミッショナーが、最終局面で出した調停案も、結果的に選手会に踏みにじられた。コミッショナーは「ストに入れば球団がさらに疲弊し、解散、倒産に至ることもあり得る」と警告していた。
今後、ストの違法性が議論されることになるだろう。試合の中止で経営側は相当の損失を被る。経営側も、当然賠償請求を検討している。
入場料収入や放映権料など、球団側の被る損失は数十億円という試算もある。球場周辺の交通機関や店舗、旅行会社の売り上げなどにも影響するはずだ。
・超高額所得者たちの労働組合
・社説比較・プロ野球スト回避
■近視眼的な損失ばかり振りかざすのではなく、もっと遠いところまで見とおせないものか。
■で、読売さんから選手たちにお願い…
野球界が今後、「労使対決」のイメージに染まってしまうことを恐れる。選手会が、ストの「引き際」を心得ていると信じたい。
ずるずる続けば一九九四年の米大リーグストの二の舞いだ。高額年俸の抑制制度導入を図る経営側に選手側が反発し、ストは二百三十二日に及んだ。多くのファンが離れ、翌年、リストラや年俸カットが選手たちを待ち受けていた。
ファンの期待を思えば、正常なペナントレースに戻す努力を選手会、経営側双方でぎりぎりまで続けるべきだろう。スト中止もまた英断である。
■それに比べて、我らが中日を見よ!
■中日新聞(東京新聞)/社説「スト決行 一日も早く解決せよ」
選手会側も、近鉄、オリックスの合併はもはや不可避と感じている。残るは新規参入をめぐる温度差の問題だ。複数の企業が、早期参入に強い意欲を表し、本拠地の選定、練習環境の確保など、具体的な条件整備を進めているのをファンはよく知っている。候補地とされる仙台や東北全体の期待も膨らんでいる。読売みたいな社説じゃなくて、ホッとしている。ずいぶんと遠慮ががちな批判だけど、ジャイアンツファンではなく、中日ファンでよかったと思える。まぁ、1リーグ制になっちゃぁ困るって気持ちがお偉いさんにあったから、書きやすかったのかな。その点、読売は見事に統制が取れている。北朝鮮の一糸乱れぬマスゲーム状態。
新規参入を受け入れて来季のセ、パ各六球団の維持を求める選手会側に、「最大限の努力」さえ約束できないプロ野球組織側の姿勢は、ファンの目にも奇異に映るはずである。
パ・リーグ五球団での運営が、そもそも不自然なことなのだ。早期参入が困難な理由があるならば、もっと具体的に示すべきではあるまいか。「審査の公正、公平」を期す姿勢は大事だが、その上で多くのファンが「迅速」を望んでいることも忘れてはならないだろう。
話し合いは今後も継続されるという。ストが一日長引けば、何千何万のファンが傷つき、プロ野球を離れていくことを忘れずに、何としても来週中の解決を探ってほしい。
■「広島・嶋重宣選手のシーズン最多安打のセ・リーグ記録、中日・立浪和義選手のプロ野球最多二塁打記録の達成などにも影響が及んでくる。」「プレーオフへ向けて盛り上がるパ・リーグの三位争いにも水を差すことになる。」とも語っている。でも、もっとも気になるのは中日の優勝では…それは言うまでもないって?
【追記2004/09/19】
■日経新聞/社説「来季からの新規参入を認めるべきだ」
不可解なのはNPB・球団側の対応である。新規参入を妨げていた加盟料60億円、参加料30億円を撤廃し、新たに保証金制度を導入して新規参入を促すとしながら、選手会側が求めた「来季からの新規参入」を「審査に時間がかかる」という理由で拒否したのは説得力に乏しい。合併やむなし…選手会は譲歩した。なぜ球団側も歩み寄れない。パリーグ5球団だと、ますますパリーグは打撃を受ける。新規球団を参入させる努力をなぜ惜しむ?
すでにIT企業のライブドアが宮城県の支援を得て加盟申請し、近日中には同じIT企業の楽天が加盟申請する予定だ。このほかにも手を挙げる企業が取りざたされている。プロ野球を担うにふさわしいかどうかを十分に審査する必要はあるが、はじめから「来年はダメ」と決めつけるのはおかしい。表向きは新規参入を促す制度に変えて、実際は審査の段階で新規参入を排除するようなことがあってはならない。
来季のセ6球団、パ5球団の体制では交流戦を導入しても日程の編成に無理が生じ、特にパ・リーグの運営は相当困難になることが予想される。にもかかわらず、NPB・球団側が「来季パ5球団」にこだわるのは理解に苦しむところである。再来年はもう1球団削減して10球団体制にすることをめざす一部球団の思惑に振り回された結果だとしたら実に残念である。選手会側もそうした疑念をぬぐいきれなかったのだろう。
親会社の経営不振や球団経営の行き詰まりで撤退を余儀なくされ、新たな買い手が見つからなければ、合併で球団数が減るのも仕方のないことである。しかし、新規参入を意図的に妨げ、当該球団の意思を無視した強引な合併で球団数を減らすような不透明なやり方は好ましくない。NPB・球団側はファンの視線を意識し、公明正大な手法でプロ野球の改革に取り組むべきである。
読売新聞/社説[プロ野球スト]「何が選手たちの真の望みなのか」
「来季から(球団を)増やす」「最大限努力する」。この文言を選手会は合意文書に入れたがった。経営に失敗した近鉄・オリックス両球団が身売りをすれば、こんなにこじれる話ではなかった。合併をしたからといって、うまくいく確証もない。「プロ野球界の一翼を担う責任感と自覚が経営者にあるのか」と言うが、とりあえず、現在の球団経営者にそれがあるのか調査すべきだろう。それどころか、失敗した経営者たちが「見極め」をするというのだから、理解に苦しむ。
経営側は、これでは来季に十二球団の態勢で臨むことが前提となってしまい、「新規参入球団の公正な審査にタガをはめてしまう」と、受け入れなかった。
この点を「かたくなだ」として、ストの責任を経営側に転嫁する声がある。そうだろうか。
新規参入を目指す球団の「審査」は、慎重の上にも慎重を期す必要がある。経営側がこだわるのは、過去にいくつもの失敗例を知っているからだ。
��略)
プロ野球界の一翼を担う責任感と自覚が経営者にあるのか、そのための経営基盤は盤石か、これらの点に、慎重な見極めが必要だ。
コミッショナーが提案した「新規加入球団審査委員会」に、来季から、公平で透明な審査を託そう。経営側の考えは一致していた。
選手会の希望で“密室”の中、続けられた交渉は、時間切れ寸前に一度合意に近づいた。新規参入について「最大限誠意をもって審査する」という妥協案だった。だが、「二〇〇五年」の挿入にこだわる選手会の弁護士と一握りの選手によって、議論は振り出しに戻った。
「勝ったのは弁護士だけ。第三者を介在させたのは間違いだった」と、パの元球団代表が分析していた。
選手一人一人に聞いてみたい。来季、絶対にパが六球団でないとダメなのか。それが実現しない限り、ストを続けるつもりなのか、と。
■「12球団にする」とか「審査にタガをはめてしまう」ってのはおかしい。球団数を増やすために来季から最大限努力するってだけであって、「12球団ありき」という話ではない。なぜ2005年からではいけないのか…やはりそこには1リーグ制を視野に入れているのではないかという企みが見てとれる。選手会側が不信感を持つのは当然だ。
■ストはやるべきではなく、ペナントが終わってから協議すべき…などという意見がよく聞かれるが、それは違うと思う。なぜ球団側が選手会との協議を持ったか…それはストライキがあったからだ。ストをやって、ある程度の譲歩を引き出しておかないと、シーズンが終わった後だと、選手会無視でどんどん話が進んでいってしまう可能性が高い。
■産経新聞/社説「プロ野球再編 オーナーが決断する時だ」(2004/09/22)
オーナーや球団代表ら経営者は、ファンの声、行動をもっと率直に受け止めなければならない。しかし、これまでの経営者側の言い分は、ファンの声を理解せず、球団経営の苦しさばかりを強調している。「どうすれば、ファンから支持されるプロ野球に生まれ変われるのか」という理念が全く感じられない。
多くのファンは、労働組合・日本プロ野球選手会が提示した二リーグ制の存続、新規球団の来季からの参入を支持している。しかし、経営者側はあくまでも来季からの新規球団の参入を認めようとしない。選手会がストに踏み切ったのも、新規球団参入時期の一点にかかっていた。
スト決行について、読売新聞の社説は、「ファン裏切る“億万長者”のスト」との見出しで、選手会を激しく非難した。非難されるべきは、選手会の主張に耳をかさず、当初は話し合いのテーブルにも着かなかった経営者側にあるのではないか。
経営者側は新規球団の参入審査には時間がかかり、とても来季からの参入には無理があるという。これだけでは、説得力に欠ける。ライブドアや楽天の若い起業家が、来季参入を強く希望し、意欲を見せている今こそ、プロ野球改革の最大のチャンスだ。
根来泰周・コミッショナーが強い指導力を発揮、仲裁に乗り出すのが、本来のコミッショナーの役目である。改革案は示したが、調整をせずに辞任を表明したのは無責任ではないか。
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