2004年9月18日土曜日

大量破壊兵器

「大量破壊兵器、見つからないだろう」米国務長官が断念(朝日新聞)
 パウエル米国務長官は13日、上院政府活動委員会の公聴会で証言し、旧フセイン政権による大量破壊兵器について「いかなる備蓄も発見されておらず、我々が発見することはないだろう」と述べ、従来の「未解決の問題だ」との発言内容を修正した。
 すでに同長官は大量破壊兵器の保有に関する個々の情報について、誤りだったことを認めていたが、今回の発言は備蓄の発見を最終的に断念したものだ。イラク開戦の主要根拠が事実上否定されたことになり、大統領選での論議にも影響を与えそうだ。
 米情報機関の情報収集能力や分析力を高めるための情報機関改革をめぐる公聴会で発言した。長官は開戦前の機密情報について、「なぜ(実態と)異なる判断を下したのか検証しなければならない。情報には欠陥があり間違っていた」と述べた。誤った原因については「情報機関の中には情報源が怪しいと知っている人もいたが、私には伝わらなかった」と述べ、情報の確度に関する取り扱いに問題があったと指摘。ブッシュ大統領は情報機関の改革で新設ポストの国家情報長官を提案しているが、「強い権限を持った情報長官がいれば、この種の間違いは起こりにくくなるだろう」と述べた。
 ついにあきらめましたか。でも、反省してるって感じではないし、大統領選の真っ只中に発言するってのことは、この問題をアメリカ国民が重視していないってことか。大量破壊兵器の有無などどうでもよくって、「なんでもっとうまくやらないんだ」ってことだろう。さて、小泉さんはどうしようか?
■<国連総長>「イラク戦争は違法」 初めて明言(毎日新聞)
 国連のアナン事務総長は15日、英BBCとの会見で、米英が主導したイラク戦争について国連憲章に照らして「違法」との見解を初めて示した。アナン氏はたびたび同戦争に批判的な見方を繰り返してきたが、これほど明確な批判は異例だ。アナン氏はイラク戦争は違法かとの質問に、「私の見解では国連憲章に合致していないと思う」と前置きし、「違法だった」と明言した。また、「国連の承認や国際社会の広範な支持がない、イラクのような軍事作戦が再び起こらないことを望む」と述べた。イラクの旧フセイン政権に大量破壊兵器完全廃棄を迫る国連安保理決議の審議が続く中、昨年3月、米英が一方的開戦に踏み切ったことへの強い疑念が背景にあるとみられ、アナン氏は「新たな決議を目指すべきだった」と振り返った。

■朝日新聞/社説 大量破壊兵器――「戦争の大義」にけじめを(2004/09/16)
 しかし、大量破壊兵器をめぐる問題は、フセイン体制を倒したのだからもういい、と済ませられる話ではない。
 思い起こそう。イラクに大量破壊兵器の廃棄を求めた国連決議をイラク侵攻の大義としたのは、ほかならぬ米国だった。そして、開戦直前の昨年2月、安保理で数々の「証拠」を示し、脅威がいかに差し迫っているかを切々と世界に訴えたのはパウエル長官自身である。
 米国は結局、開戦を承認する国連決議がないまま戦争に走った。それでも米国を支持した国々の政府は、もちろん日本も含めて、大量破壊兵器の脅威があるのだからと、国民に理解を求めてきた。
 それが、なかったというのだ。結果的に世界を欺いただけではない。戦争は普通の住民を含む多くの人の命を奪う。平和どころか混乱と無秩序を呼び込む危険と隣り合わせだ。イラクの現実は、まさにその証明である。
 フセイン政権が危険な独裁体制であったことは、米国の言う通りだ。しかし、この戦争は米国にとっても、世界にとっても、あまりにコストが高い。それをもたらした情報や判断の誤りについて、米国自身にきちんとけじめをつけてほしいというのが、今の国際世論だろう。
 さて、小泉首相はこれまでの言動を悔いているだろうか。
 大量破壊兵器はいずれ見つかる。戦争は正しい。首相はそう言い続けてきた。フセイン前大統領の拘束前には「大統領が見つからないからといって、いなかったとは言えない。大量破壊兵器も見つからないからといって、なかったとは言えない」という筋の通らぬ論理を国会で繰り返して失笑を買ったこともある。
 そうした認識は、先月の臨時国会でも基本的に変わらなかった。だが、もはやそれではすまない。判断のもととなった情報や検討の過程を洗い直し、それを国会で国民に対して説明するのが当然の義務である。

■毎日新聞/社説 「大量破壊兵器 小泉首相の説明が聞きたい」(2004/09/17)
 パウエル長官が自らの誤りを認めた上で「なぜ事実と異なる判断を下したのか突き止めなければならない」と証言した理由は、事前情報の誤りをめぐる結果責任を認めて誤りを正していく意思の表明と受け止めたい。
 米国ではこの夏、9・11同時多発テロをなぜ防げなかったかの問題と共に、大量破壊兵器に関する情報の誤りを検証する議会と独立委員会の報告が相次いだ。情報収集・評価から政策決定に至るプロセスを是正する動きに議会や政府を挙げて取り組んでいる。
 大量破壊兵器問題では、(1)地上要員の不足(2)外国機関や亡命者情報の過信(3)内部チェック機構の欠陥−−を含む「集団思考の誤り」が指摘され、国家情報長官職の新設などの抜本的な情報機関改革へ向かっている。誤った情報に立脚して戦争を主導した大統領らの政治的責任も、大統領選を通じて有権者の判断に委ねられる。
 そこで改めて問われるのは、日本での政治的責任だ。開戦時、小泉純一郎首相は湾岸戦争後の国連安保理決議などを引用して「危険な兵器を危険な独裁者に渡せば大きな危機に直面する」と述べた。大量破壊兵器問題が対米支持の重要な理由となったことは否定しようがない。
 米英支持は戦後の人道復興支援に結びつき、自衛隊派遣にもつながった。米英情報をうのみにするだけでは、日本が描こうとする安保理改革にも有益とは言えない。国連を軸とする国際協調を再建する上でも、日本が情報をどう判断し、どう行動するかが問われる。過去だけでなく、未来の問題として首相が自ら国民に説明することが指導者の義務ではないか。

 長期外遊で国外逃亡中の小泉首相…早く帰ってきて弁明しておくれ。どんな言い訳するか楽しみだ。「戦争の大義もいろいろ」と言うんじゃないかと、ひそかに期待している。
■あと、産経や読売の社説を待っているんだ。まぁ、「脅威は排除された」「国連決議を無視してきた」「フセインの圧政に苦しんでいた」…ってな感じでごまかすしかないんでしょうけども。その論理を認めれば、北朝鮮も侵略しやすくなって一石二鳥?
…と言ってたら、産経も取り扱っていた。
■産経新聞/社説 パウエル発言 国家の「脅威」は排除した
 パウエル米国務長官が上院公聴会で発言したイラクの大量破壊兵器をめぐる問題で、米国が今後の捜索を断念したかのように受け取られている。しかし、国務長官発言には「断念」するとの表明はどこにもなく、イラク戦争に反対する野党や一部マスコミが「開戦の根拠」を否定するために、あたかも米国が断念したように曲解している。
 パウエル長官は米国がイラク攻撃の理由の一つにあげた大量破壊兵器について、「いかなる備蓄も見つからず、今後も発見される見通しは少ないだろう」としか述べていない。この発言からでも、「断念した」と解釈することには無理がある。さらにいえば、パウエル長官がその数日前の米テレビインタビューで、「まだ見つかる余地がある」と述べているからである。
  往生際、悪すぎ。一生、探してろよ。米国主導の調査チーム(チャールズ・ダルファー団長)が、近くまとめる最終報告書の中で「大量破壊兵器の備蓄はなかった」と結論付けているようですが?
 米政府はすでに核兵器、生物・化学兵器など大量破壊兵器の備蓄が発見できなかったことは認めている。わずかな量で大量殺戮が可能な化学兵器を、広大な砂漠から発見するのは至難の業である。しかし、フセイン政権下のイラクに大量破壊兵器の施設、人材、技術があったことは実証ずみだ。
 フセイン政権は一九八〇年代から、核兵器の入手を模索してきた。実際に、イランや国内のクルド人に対して平然と化学兵器を使用している。九五年には、大統領の娘婿であるカーメル中将が亡命して核開発計画が発覚すると、査察そのものを拒絶した。
 米英など主要国は、フセイン政権が湾岸戦争後の十二年間に、十七にのぼる国連決議を無視し続けてきた以上、政権打倒しかないと判断した。大量破壊兵器の問題は、開戦理由の一つでしかない。
 「イラク戦争」そのものは、米軍がフセインの抑圧体制を倒し、リビアなどの核開発の野心を打ち砕くことに成功した。しかし「戦後の処理」は、当初計画からそれたのは事実である。治安を確保するために必要な兵力の投入がなかったために、シリア、イラン国境からの外国人テロリストの侵入を許してしまった。
 テロ撲滅はまだ達成できないが、少なくともイラクという独裁国家の脅威は除かれたのだ。今後のイラク復興を目指すのであれば、テロを封じる知恵と兵力を結集すべきなのである。
 「脅威」「テロ」…このマジックワードによって、あらゆる暴挙が正当化される。
■昨日、マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」がテレビでやっていた。そこに映し出されるのは「銃社会」で、「恐怖」に駆り立てられている人々がそれを支えてる。アメリカは、世界をテロの恐怖におびえさせ、アメリカ社会のグローバル化を企んでいる。チェイニーやラムズフェルドのニヤリと笑う顔が見えないか?


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