2004年8月21日土曜日

フリーター ニート

フリーター(朝日新聞/経済気象台)
 そして近年は、大学を卒業しても定職につかない「大卒フリーター」が急増し、その数は99年以降、毎年20万人近くにのぼる。この大卒フリーターの増加には、大学の定員数の増加という構造的な要因があるだろう。だが、大学を卒業後すぐに定職につかないということは、本当に好ましくないことなのか。

 労働慣行の違いもあるので一概に比較できないが、インターンシップなど、就業体験の仕組みが普及している欧米でも、大学卒業後すぐに定職につく学生は一部。多くの学生は卒業後、一時的なものも含めて、いくつかの仕事をしながら、自分に合った仕事を見つけるという。

 一方、日本では、学生時代に本当の意味で仕事に触れる機会は非常に少なく、学生の職業観は非常に未熟である。そのような状況の中、ごく短期間の就職活動だけで、自分に合った仕事を見極めることができるのであろうか。その答えは「3年以内で30%もの新入社員が退職する」という統計が示しているように思う。彼らは適職を求めた結果、退職という行動にでているのであろう。

 短期間で退職する若者やフリーターに対し、「最近の若者は……」と嘆いてばかりいられない。企業をはじめとする社会全体が、彼らを戦力として受け入れるための土壌づくりを進めると同時に、若い人たちが高校、大学時代から職業観を磨くことができるよう、支援していく必要もあるだろう。(H)


■最近では、「ニート」(NEET;Not in Employment, Education or Training)なる用語もよく聞くようになった。ようするに、仕事に就こうとせず、かといって教育を受けるでもなく、専門的な技能を身につけるべく職業訓練を受けるでもない人々を指すらしい。こっちはどうしてくれようか? 「長田百合子」育成プロジェクトでもしますか?

��長田百合子…夕方のニュースなんかで見かけるおばちゃん。引きこもりを罵倒することを生業としている。説教された人らが、本当に立ち直っているかは不明。


ニート問題に関する追記】

■学校行かず働かず52万人 04年版の労働経済白書(共同通信,2004/09/10)
 厚生労働省は9日、「2004年版労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。求職せず通学もしないため社会問題になっている「若年無業者」について、02年、03年を初めて集計。その数は03年は年平均で前年より4万人多い52万人に上り、問題が深刻さを増している実態が明らかになった。
 若年層の失業率が高止まりしている問題と併せ、白書は、企業活動や景気への影響だけでなく「社会の維持、発展」といった観点からも「憂慮すべき問題」と警告している。
 若年無業者は、求職活動していない非労働力人口のうち、15−34歳で、学校を卒業した後、進学などせず結婚もしていない人などを指す。総務省の労働力調査を基に厚労省が集計した。
 ニートは着実に増えているようです。

■どこかの番組で、コメンテーターが社会の階層化ってのに結び付けていた。つまり中卒・高卒の親からニートが生まれている…と。親はあまり関係ないんじゃないだろうか。社会の階層化にまで結び付けるのは、議論をミスリードさせてしまう。「ニート」という階層は、ある程度ゆとりのある家庭でしか許されないわけでして。働かなくても食っていける階層の誕生…これは成熟社会の負の側面だ。

■毎日新聞/社説「ニート52万人 若者が働く意欲もてる社会に」
 高卒者の求人がこの12年間で167万人から22万人へと大幅に減少し、高卒者はフリーターや無業者になっていった。経済のグローバル化の中で、企業は高度な技術や知識を持った人材を必要とし、学卒者を社内で育て上げていく余裕がなくなっている。

 すべてを若者に押し付けるのは間違っている。ニート急増の背景には社会の構造変化があるという認識を共有することが必要だ。

 政府は「若者自立・挑戦プラン」を強化し、フリーターや無業者の意欲を喚起させる施策として合宿形式による「若者自立塾」の創設や、在学中の労働体験の活動実績を記録する「ジョブパスポート」を学生に持たせ、企業の採用選考に反映させるシステムを作り上げる計画だ。

 欧米でもニートや若年者の高失業率など、日本と同じ問題を抱えている。労働政策研究・研修機構によると、英国では98年から「若者向けニューディール政策」を実施、半年以上失業中の若者一人一人にアドバイザーをつけ、積極的な就職支援を行った結果、失業率は大きく改善された。しかし、ニートを放置したとの批判が出て、01年から新たな若年者就職支援の取り組みを始めている。こうした欧米の若年者施策からも大いに学ぶ必要がある。

 ニート対策は一朝一夕にはできない。「働く意欲」という、人間の内面の問題だからだ。企業や行政、そして学校や家庭が連携を取り、若者も加わって働く意欲をもてる社会を作っていくことが重要ではないか。
 「働く意欲」という、人間の内面の問題だからニート対策は大変…働く意欲をもてる社会を作っていくことが大切…って、なんだそりゃ。まぁ、そう言うしかないのかもね、だからニートは問題なわけで。

■「ニート急増の背景には社会の構造変化がある」ってとこを展開して欲しかったんだけど。う〜ん、いや、むしろ、そういうエクスキューズこそが、ニートを増やす要因の一つじゃないかな。「すべてを若者に押し付けるのは間違っている」というのはもっともだけど、「高卒者の就職は厳しい」「不景気で再就職が大変」って感じで、ニート周辺に「甘えの構造」が形成されているとしたら…。

■本間俊典「勤労は美徳にあらず?『ニート』人口52万人(鳥の目虫の目,毎日新聞2004年9月17日)
 多くの論者が指摘するように、高度成長期のような終身雇用と年功序列を基盤にした賃金構造は、もう復活する可能性はないのだろう。同時に、それは「明日を信じて働く」という前向きな意欲を国民から削ぎ落としているのではないかという疑問につながる。

 厚生労働省の「04年版労働経済白書」によると、03年の15〜34歳の若者のうち、フリーターは前年比8万人増の217万人に上った。ところが、フリーターのほかに「ニート(NEET)」と呼ばれる層が52万人もいることも明らかになった。

 ニートとは、仕事もせず職業訓練もしていない「無業者」のこと。要するに働く意思がなく、ブラブラしている層という定義だ。どんな人たちなのだろうか。

 まず思い浮かぶのは、自宅で「花嫁修業」中の女性。次に、親のスネをかじりながら、遊び歩く不良やごくつぶし(言い方が古くなってしまう)。「花嫁修業」はともかく、全体に前向きなイメージは浮かんでこない。それとも、今はやりの「アフィリエイト」なんかでしっかり稼いでいるのだろうか。自立できないということは、結局、親が甘いのかな。いつの時代にも、いることはいるのだが。

 「勤労は美徳」「働いて社会貢献する」という社会通念は、過去の遺物となってしまったのだろうか。「神武景気と並ぶ長期好況」と言っても、ニートには何の意味もないのだろう。それとも、「無業者」を抱えられる日本経済は、まだ余裕がある?
 うーん、なんか違うなぁ。


ニート本で評価が高いのはこれか…
ニート―フリーターでもなく失業者でもなく
玄田有史・曲沼美恵 著 / 幻冬舎

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ニートは「働かない」のではない。「働けない」のだ。ニートは「働きたくない」のではなく、なぜか「働くために動き出すことができない」でいるだけだ。動き出すために、未知の誰かからの早い時点でのきっかけを必要としているのだ。(本文より)


■オマケ
ニート 働いたら負けかなと思ってる
ネット上でブームを巻き起こした名言「働いたら負けかなと思ってる」。これが派生して「〜したら負けかなと思ってる」も流行。


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