2004年8月12日木曜日

健全な愛国心

■産経はネタにしやすいので…。もぉタイトルからしてあれですね。こういうのを見ると、日本を応援する気分が萎えるなぁ…

■産経新聞/社説「アテネ五輪 健全な愛国心を養う場に」
 アテネ五輪の開幕まであと二日となった。史上最多となる日本選手団も大半がアテネ入りし、その活躍ぶりへの期待が高まっている。だが今回のオリンピックは、そうした各国のメダル争いのほかに二つの意味で注目されている。

 一つは大会のテーマが「故郷に回帰するオリンピック」となっているように、近代五輪の第一回開催地のギリシャで開かれることである。そしてもう一つは、世界が「新しい戦争の時代」に突入したといわれる三年前の「9・11」以来、初めて行われる夏季オリンピックだということだ。

 今大会には二百二の国・地域から約一万六千人が参加する。観客も含めこれほど多くの人々が、世界中から一堂に会する機会はオリンピックをおいてほかにはない。そこで人々は、それぞれの文化や歴史の違いを認め合い、尊重し合うことの大切さを知るのである。それが、アテネで始まった近代五輪の最大の意味だろう。

 これに対し9・11事件に象徴される現代のテロリズムは、こうした文化や歴史の違いを認めないところに起因しているといえる。その意味でアテネ大会が世界からテロをなくすための、真の協調精神を養う場となることを願ってやまない。
 厳戒な警備体制を見るたびに、世界はなぜこんなに危険になってしまったのだろうと思う。テロリストの側も「(アメリカの)文化や歴史の違いを認めないところ」が気に入らない。アメリカ的な価値観の押し付け…テロリストばかりでなく、世界中がそれに辟易としている。まず産経がすべきことは、アメリカに対してその事実を教えてやることだ。
 なぜテロが起きるのか、もっと考えてみる必要があるだろう。それは「テロに屈する」ことになるのではなく、もっとも効果的なテロ対策となるはずだ。


 一方、先日中国で開かれたサッカーのアジア杯での中国人観客のような対応は、そうしたオリンピックのもつ役割に全く反するものである。日本の試合で見せたように、他国への好き嫌いの感情だけで、国旗掲揚にブーイングを行ったり、観客にモノを投げるようなことをすれば、国と国との反感や憎しみを増長するだけだからだ。

 選手たちも観客も全力をつくし、応援することはもちろんだが、相手の健闘をたたえ合うような「健全な愛国心」にあふれた大会を望みたい。
 オリンピックやアジア・カップなど国際的なスポーツ大会というのは、最高の国威発動の場なのだろう。で、それにつけこんで、「健全な愛国心」を育もう…と企んでいるらしい。醜いったらない。

■「健全な愛国心」とは何だろう。そもそも、「産経」自身の「愛国心」と産経が理想とする「健全な愛国心」とは乖離がある気がしてならない。もし、そうではないと主張するのならば、つまり、産経こそが「健全な愛国心」を実践しているというのなら、それは逆に「健全な愛国心」の危険性を表すものだ。

■ナショナリズムはそもそも排他的な要素があって、為政者にとっては、国内問題の不満を海外へとそらす都合のよい道具となる。「中国の反日教育」を批判する際に、さんざん指摘されてきたことだ。仮に「健全」なる領域にあったとしても、ふとしたきっかけで、それは危険なレベルに陥る。で、それを利用しようと、虎視眈々と狙っているのが、はからずも「民度が低い」としゃしゃり出てきた石原慎太郎のような政治家なのだろう。

■それとも、日本の民衆というのは、それを克服できるほど「民度が高い」のだろうか。私にはそう言い切る自信はない。


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