2004年7月29日木曜日

愛国のはき違え

産経抄7月28日
 ▼四年後に北京五輪を控えた中国の国民にとってもこれからが、外国の人や文化への理解を深める大きなチャンスのはずだ。そう思いきや、重慶で開かれているサッカー・アジア杯での市民たちの「反日」ぶりは、自らその芽を摘もうとしているようにしか見えない。
 ▼確かに重慶は日中戦争の舞台となり日本軍の空爆も受けている。だがそのこととサッカーとは何の関係もない。日本の国旗掲揚のさいブーイングしたり、日本人の観客に物を投げたりといったことは、礼儀知らずにほかならない。国際感覚からはほど遠いものなのだ。
 ▼本紙の報道だと、市民たちの「反日」は江沢民時代の「愛国教育」の裏返しだという。とすればそれは愛国のはき違えだ。真の愛国は、自国を愛することで他国への尊敬の念も養うものだからだ。国旗を大事にすることが、他国のそれへの敬意につながるのと同じである。
 ▼大切なのは、異文化から学ぼうという謙虚さといえる。それにしても日本で「愛国」と聞いただけで目をむき、「偏狭なナショナリズム」を非難してきた新聞や政治家がこの件をほとんど報じず、論じないのはどうしたことだろう。

 自分たちは正しい「愛国」だと言いたいのだろうか?同じ穴のムジナではないか。


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