仮面がぼろほろになった素顔のあなたに、首相は無理だ。さらば、小泉純一郎。
一筆不乱<23>週刊金曜日
調子に乗った小泉氏は、「熱しやすく冷めやすい」という古典的な格言すら忘れていたのだろう。民心が離れ始めていることに、ぎりぎりまで、いや投票結果が出るまで気づかなかったのかもしれない。
ホンネと開き直りの違いは「自己防衛」にある。自らの地位、既得権はかなぐりすてても、建前を突き崩すのが前者。自己を守るために強弁するのが後者。総裁選のとき、「自民党をぶっ壊す」と叫ぶ姿は、これまでの政治家とは違う清新な雰囲気を醸し出した。派閥も地位も関係ない、市民の支援だけが頼りという悲壮感も受けた。
「痛みを伴う構造改革」というスローガンすら、「口当たりのいいことばかり言う歴代首相に比べ、ホンネで語っている」と、むしろ肯定的に受け止められた。
だが、いつまでたっても「改革」は進まず、一方で「痛み」だけが増す実態に、さすがの大衆もイライラし始めていた。そこに年金改悪。「これまでの政権とどこが違うのか」と疑問が沸点に達しかけていたとき、本誌はいち早く、小泉首相の厚生年金疑惑を取り上げた。さすがに、この問題に関しては謝罪するだろうと思った。だが、国会の場で、小泉氏の口から出たのは「人生いろいろ 会社もいろいろ」。まさに開き直りの典型だった。
その瞬間、人気宰相の仮面はぼろぼろと崩れ落ちたのである。
これからは今まで以上に、「反改革派」や公明党の顔色をうかがわない限り、政権は維持できない。そして、そんな「小泉純一郎」を支持する有権者は少ない
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