2004年6月30日水曜日

河野洋平・衆議院議長

【インタビュー】河野洋平・日本衆議院議長(中央日報)
―日本では憲法改正の動きが活発だが。
「憲法改正を行うのなら、まず現行憲法にどんな問題があるかを具体的に議論すべきだが、今は改憲という言葉が先立ち、何のためにどこを変えるべきかという議論が不明確だ。 また初期の改憲論者は『現行憲法が(太平洋戦争敗戦後)米国の強要によって作られたため、直す必要がある』と言っていたが、最近の論者は『米国の対外政策に直ちに対応するため、(軍隊保有と戦争を禁じる)第9条を変えよう』と主張している。これではつじつまが合わない。 ただ憲法第9条には、理解しがたい点があるにはある。 実際、自衛隊は立派な軍隊だ。 ゆえに『自衛のための軍隊保有は許すべきだ』という主張も、間違った意見ではない。 だが、憲法が厳格に制約しているため、自衛隊が(規模・海外活動面で)この程度にとどまっている。 従って、自衛隊を今の程度に抑えておき、国連活動や人道支援の2つの条件に限って自衛隊の海外派遣を許可するのが良い」。
―日本がミサイル防衛(MD)システムの導入を決めるなど、軍備を強化している。 また米国は海外米軍の再配置で、韓国より日本を重視している。 こうした日本の軍事力強化が、北東アジアに緊張を呼び起こすとの懸念もあるが。
「ミサイル防衛は完全な防衛システムだというが、相手はそれを跳び越える攻撃システムを作るだろうから、結局軍費の拡大を招くことになる。 軍費の拡大は、経済に負担を与える。 在外米軍の再編成と在日米軍の強化は、米国の全体的構図で議論していく必要があるが、米国も十分な説明をする必要がある。 だが何よりも、韓国、日本、米国が力よりも外交によって問題を解決するよう、さらなる努力を行わなければならない。 外交は単なる対話ではない。 外交交渉には、取引が非常に重要だ」。
―小泉純一郎首相の靖国神社参拝で、中日関係が必ずしも順調とは言えないようだが。
「日本にとって、アジア外交は最重要だ。 アジア諸国は、互いに異なる経済的、文化的環境の中でも、ひとつになろうと努力している。 そうした努力が実るために、北東アジア諸国の指導者が一層力を合わせ、政治の安定と経済の発展をなし得るよう、努力しなければならない。 小泉首相は『二度と戦争が起きてはならない』ことを確認するため参拝すると言うが、それが結果としてアジアの平和や安定の障害となるなら、参拝を不快と感じる人々の心をもっと考えるべきだ」。
―今年4月、韓国の総選挙の結果、議員の世代が大幅に交代した。 金鍾泌(キム・ジョンピル)前議員ら韓日議員外交を導いてきた政治家も多くが落選し、韓日議員外交が新時代を迎えたが。
「これまでの韓日議員外交は、日本語によって行われてきた。しかしその時代が終わり、新時代が開いた。 日本でも若い議員が増えており、両国の若い議員が英語で対話する外交が始まるだろう。 ただ(日本の)若い議員は、それほど歴史に縛られずものを語る。 しかし歴史を無視、軽視すれば、最後には問題となるだろう。 彼らは、韓国などアジアの歴史を学ぶべきだ。 また韓国の一部の若い政治家が、米国に非常に批判的であるのも心配だ。 数人に会ったことがあるが、以前の政治家とは意見が異なり、率直であるがやや過激な発言をすると感じた。 だが日本の若い政治家は、米国に対し親近感を持っている。 両国の若い政治家が、世界に対し広い見解を持ち、米国、ヨーロッパ、中国、日本、韓国の役割と立場を互いに認めあい、理解することが非常に大切だ」。
―韓日間の民間交流が大きく増えたが、韓国では中国ブームも大きい。
「韓日交流は、政治家、経済人、学者のみだけでなく『草の根交流』によって広がりつつある。非常に良い傾向だ。今後、日本各地に国際空港が増えれば、さらに活発化するだろう。 しかし両国は、相手国への訪問だけに満足してはならない。 (ワールドカップ共同開催のように)両国がひとつとなり、何かを成していくことが大切だ。 韓国の中国ブームは、不思議なことではない。 米国も、最も熱中する所が中国だ。 日中関係がさらに深まってほしいと思う。 だがより大切なのは、韓国、日本、中国、北朝鮮の北東アジア諸国が、互いに協力し、発展できる基本枠を作ることだ。 北朝鮮核問題の解決後、『4カ国(韓、日、中、北朝鮮)+2国(米国、ロシア)』の6カ国協議の枠組を維持していくのも、方法のひとつだ。 基本枠づくりのため、最も粘り強く努力すべき国は日本だ。 歴史の問題があるためだ。 日本はこの枠組を作る時、歴史の問題を正しく認め、認識すべきだ。 日本は最近、韓国と中国に対し、首脳会談を定期的に行おうと提案した。 悪いことではないが、日本はまず歴史認識に対する国内問題を整理し、新たな認識を持つべきだ」。



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