参院選を前に自衛隊のイラク多国籍軍参加の是非をめぐって高まる議論のさなかに、国際協力銀行がアジア各国の現地通貨建て債券の起債を支援するという地味なニュースが最近日本経済新聞に載った。この2つは実は「日本の国際貢献」という意味でつながる。国際貢献論議は80年代の黒字還流政策から始まり、90年代はアジア通貨危機をきっかけに「円の国際化」の推進論が高まったが、円国際化は絵に描いた餅に終わった。アジア各国が利用できる円建て市場を整備できない代わりが上記のアジア起債支援策である。
もうひとつ貢献の流れは「カネから武へ」である。90年代初めの湾岸戦争時の日本の貢献が資金中心のために評価されなかった外交上の挫折を経て、今回はブッシュ政権への配慮からしゃにむに自衛隊の現地派遣へと突き進んだ。つまり経済面での国際貢献は忘れてしまい、「武」が「経済」を飛び越した観がある。
一体日本は、対中東で地政学的戦略を展開し戦いを繰り返してきた米欧に対し、「復興支援」という大義だけでどんな国益または外交上の成果を挙げられるのか。
日本が戦後営々と築いてきた経済貢献路線とは何だったのか。日本の今や最大の収益センターとなったアジア経済の安定で、日本はどんな役割を果たすのか。
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