2004年6月30日水曜日

衰退するプロ野球

衰えてゆくプロ野球
 「アンナ・カレーニナ」のマネではないが、幸福な家庭と同様、衰退する業界にも似たような事情がオーバーラップする。
 近鉄・オリックス合併さわぎを見ていると昭和30年初めの映画界を思い出す。思えばあのころが銀幕最高のきらめき時代だったのだ。
 こんな時代がいつまでも続くと映画会社経営者は考えた。製作するだけではもうけは知れているから、それぞれチェーンの映画館網をつくり上げた。
 入れ物をつくった以上、毎週封切りの作品をつくらねばならない。だが黒沢、小津のような巨匠でもそう長打を連発できない。いきおい穴埋めにプログラム・ピクチャーを濫作(らんさく)する。毎週のことともなると観客を呼ぶのはスターしかいない。出演料がとめどもなく上がり、そのシワ寄せが演出、脚本にくる。駄作が観客を減らし「いくらゴヒイキのスターでも」となった。直営館システムは重荷以外でなくなる。
 プロ野球はどうか。セ・パ6球団ずつになっているが日本の野球人口(ゼニを払って球場にくる人)は正味何百万人でそれで何球団がメシを食えるか。誰が今度の合併さわぎまで考えただろうか。コミッショナーいかがですか。
 映画はテレビの生誕期に「あんなチャチな電気紙芝居が」とバカにした。たしかに初期のテレビにはその気味があったが、映画の質が低下してそんならと、お茶の間でねころんで見られるテレビに無残に敗退した。
 プロ野球関係者の中でJリーグがスタートした時、これはウカウカしていると、と危機感を持った人がいただろうか。古田選手会会長は立場上、プレーヤーの地位保全を心配しているが、球団赤字の原因は何だろうか。(経済観測/毎日新聞 2004年6月29日 東京朝刊)

ようするに、選手の年俸高騰が球団経営を脅かしている…と言いたいのか。選手の年俸が高くなることで、球団経営が悪化する。で、資金が乏しい球団はスタープレーヤーを放出しなければならなくなる。そうなると、巨人は強くなる一方だ。
■一般の民間企業の賃金が減る中でプロ野球のみが右肩上がりというわけにはいかないだろう。
■では、年俸を抑えればよいのかといえば、それはそれで問題が残る。選手は日本の野球を捨てて、メジャーに行きたがるかもしれない。どうしたもんかいね。


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