2004年6月20日日曜日

参院選/民主主義の敵

■産経新聞/社説「テロと参院選 スペインの例を忘れまい」
 七月十一日の参院選挙に向け、政府はテロ対策に万全を講じると同時に、国民の側も、テロ攻撃が民主主義の根幹である選挙を揺るがすことは決して許さない、という心構えを今から持つことが大事だ。

��中略)

 約二百人の死者を出したスペインの列車同時爆破テロでは、三日後に予定されていた総選挙の投票延期論も出たが、敢行された結果、与党・国民党が敗れ、米国とともにイラク戦争を戦ったアスナール政権が倒れた。事前の予想では、国民党の勝利が確実だったから、テロが民主国家の政権を倒したといっても過言ではなかった。

 日本では参院選に向け、テロが起きた場合の備えが十分にできているだろうか。公職選挙法第五七条で、天災や事故で投票ができない場合は延期が可能とされているが、直前にテロが起きた場合などに適切な判断ができる態勢になっているかどうか心もとない。

 万全の備えが求められるが、なによりも大事なのは国民のテロに対する心構えだ。テロには落ち着いて対処すると同時に、テロごときに日本の民主主義や社会の安定が揺るがされてたまるか、という気概を持ちたい。
 ようするに、テロが起きて自民党が敗れる事態に先手を打ったわけだ。せっかく外国に軍隊を送れたのに、民主党になって自衛隊撤退ってことになったら全てが水の泡ですものね。さすがです。

■安心してください。私は何が起きようとも自民党には投票しないから。テロごときに日本の民主主義や社会の安定が揺るがされてたまるかっ!


■毎日新聞/社説「連立政治 打算も鼻につき始めた」
 執行部が「現状維持の51」と低い勝敗ラインを掲げるのは選挙情勢が楽観できないからだけではない。過半数を確保すれば、数の上ではもう連立は不要となる。それが公明党を刺激しかねないとの配慮が見え隠れする。だが、2大政党化が強まる中、これでは与党第1党として志が低くないか。

 昨秋の衆院選では多くの自民党小選挙区候補者が公明党の支持母体・創価学会票を獲得するため、「比例代表は公明党へ」と支持者に要請し、「政党政治の基本が揺らぐ」と物議を醸した。

 今回も既に同党の選挙区候補者ばかりか、昨秋選挙協力を得た衆院議員の中にも「比例は公明」と求める動きが出ている。自民党執行部は、こうした行為を禁止すると言いながら、違反者の処分はせず、事実上黙認する構えだ。

 選挙協力の見返りなのか、政策面での公明党への配慮も目立つ。先に成立した年金改革法は公明党案がベースだ。自民党内には当初、参院選後への先送り論もあったが、実績をアピールしたい公明党が成立を強く後押しした。

 連立与党が政策を調整し合うのは当然だ。しかし、組織が弱体化している自民党は「公明票依存症」が強まっている。「平和と福祉」が2大看板だった公明党は福祉政策実現に力を入れる一方で、自衛隊のイラク派遣や多国籍軍参加は次々と容認した。双方に政治的な打算が目立ち始めている。

 自公連立は98年参院選で自民党の過半数割れが広がり、参院対策を迫られたのがきっかけだ。本来、政権は衆院選で有権者が選択すべきものだが、参院事情が政権の枠組みをも決める「ねじれ」は容易に解消されそうにない。

 小泉純一郎首相は「単独過半数を得たとしても公明党との連立は維持したい」と表明している。公明党も当初掲げていた「自民党に対するチェック機能」という役割は薄らぎ、連立を離脱する考えはないようだ。こうした両党の現状維持志向が、選挙制度を含む参院の抜本改革を阻む一因ともなっていないだろうか。

 今はなお政界再編の過渡期なのか。それとも自公連立は定着していくのか。参院選は連立のあり方も焦点となる。
 自民党と公明党、さっさと合併しちゃえよ…とも思うが、連立だからこそうまくいっているのだろう。合併したら、公明党・創価学会を嫌う自民党支持者が逃げていってしまうし、自民党と合流することで、公明党が掲げてきた「平和」がインチキであることがばれてしまう。

■「自民党に対するチェック機能」だって?そういう役割を演じていることで、信者をだましてきたわけだ。「公明党に対するチェック機能」を全く持ちえない信者によって、えげつない選挙活動が繰り広げられる。池田大作/創価学会ごときに日本の民主主義が揺るがされてたまるか、という気概を持ちたい。


■朝日新聞/社説「竹中氏擁立 ―抵抗勢力もご一緒に」
 小泉首相が、経済財政・金融相の竹中平蔵氏を参院選比例区の自民党候補に担ぎ出した。「構造改革の旗振り役」を選挙の前面に押し出し、党の改革イメージを売りこもうという戦略である。「竹中さんで100万票は上乗せできる」。自民党内からはそんな声も聞こえてくる。

 何とも奇妙な光景である。

 同じ比例区に立つ自民党の候補者の顔ぶれを見てほしい。例によって農水、建設、郵政、運輸、総務、防衛といった省庁の官僚OBや、医師会、薬剤師連盟、遺族会などの幹部らが並ぶ。

 関係する業界や団体から物心両面の支援を受け、当選すればその代弁者的な役回りを期待される面々だ。いわゆる抵抗勢力とはこの人々の代名詞でもある。なかには、1月の党大会で「建設関係の抵抗勢力です」と自己紹介した現職や、昨秋の総選挙で「郵政民営化反対」を叫んで落選した元衆院議員もいる。

 一方の竹中氏とは何か。みずから「構造改革の伝道者」を名乗る。公共事業の大盤振る舞いを続けてきた自民党の経済運営を批判し、自民党の反対を押しきって不良債権の処理を進めようとした。だからこそ、自民党内から「辞めさせろ」の大合唱さえ起きた。景気が回復してきたせいか、竹中氏批判はひと頃に比べて静かだが、抵抗勢力と竹中氏の考え方の違いが縮まったとはとても思えない。

 その竹中氏が抵抗勢力ご一行様のような自民党比例区の顔になり、彼らを応援する。参院比例区は政党名でも候補者名でも投票できるから、竹中氏への1票は自民党への1票だ。つまり、竹中氏を支持する票が多くなればなるほど、抵抗勢力の当選者を増やすことになる。

 小泉首相が民間から竹中氏を入閣させたのは、構造改革には永田町の住人ではない新鮮な人材が必要だったからだ。その民間人閣僚を参院選に擁立する異例の決断について、首相は、竹中氏が議員になったほうが長期にわたって改革を進めやすいと言いたいのだろう。

 抵抗勢力が竹中氏のおかげで当選できたということになれば、改革への抵抗を弱められる。そんな思惑もあるのかもしれない。だが、そうなるだろうか。

 首相は「聖域なき構造改革」で、3年前の参院選にも昨秋の総選挙にも勝った。それなのに実際には、長期政権をめざして抵抗勢力との妥協を重ね、多くの改革は尻すぼみだ。先の国会で道路公団民営化法を成立させたが、高速道路の建設は続く。年金改革でも国民の不信をかえって強めた。それが現実である。

 竹中氏自身にも、改革路線を貫こうとするなら別の道があった。たとえば、抵抗勢力の束ね役である青木幹雄氏に対抗して島根選挙区に立てばよかった。

 1年前、自民党からの批判の矢面に立たされた竹中氏は言った。「私がたたかれるのは、改革が進んでいる証拠だ」

 まったく、その通りではないか。
 与党に居座るためなら「悪魔」(小沢一郎…野中広務がそう呼んだ)とでも手を組むのが自民党である。別に「抵抗勢力」が竹中平蔵と手を組んだとしても何ら不思議ではない。しかも、自民党が党利党略で導入した非拘束名簿式は、竹中票をそのまま「抵抗勢力」に分配できる「効率的な」システムである。

■最近、どうも「抵抗勢力」が弱りきってしまって、「小泉改革VS抵抗勢力」っていう構図が見えなくなっちゃったからね。ここらで「抵抗勢力」を回復させないと、支持率も回復できない、そう思ったのかもよ。抵抗勢力との摩擦熱こそが小泉首相のパワーの源だからね。「私がたたかれるのは、改革が進んでいる証拠だ」ってなわけで、「たたかれないってことは改革が進んでいないのか?」なんて思われちゃうし。摩擦熱が起きなければ、小泉首相の陳腐な言葉だけが虚しく響くだけだから。


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