2003年12月9日火曜日

小泉純一郎・憲法


■小泉純一郎・総理大臣
「憲法前文にあるように、日本国の理念、国家としての意思が問われている。日本国民の精神が試されている」

小泉首相は、国際協調の重要性をうたった前文の一部を読み上げた。
「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」
「国際貢献」「人道支援」という美辞麗句で国民を説得をはかる一方、憲法前文をその主張の後ろ盾にした。
「憲法をよく読んでいただきたい」と言ってたけど、「憲法改正」ってな人物からこんな言葉が出てくるとは意外だった…
■よく聞かれる問答?
反対派「戦争自体に大義がなかったじゃないか?」
賛成派「戦争の大義はともかく、実際にイラクで苦しんでいる人たちがいる。その人たちを助けるために自衛隊を派遣するんだ。」
反対派「イラクの人々を苦しませる原因を作ったのがアメリカじゃないか」
↑は賛成派と反対派の議論を聞いていると必ず出てくる問答である。
まず、イラク国民を不安に陥れている根源を忘れている。「大義」をうやむやにされては困る。僕は「大義」こそ問い続けたい。イラク国民を戦乱に巻き込んでまで、フセイン政権を倒さなければならなかったのはなぜか?そして、その大義なき戦争(イスラームから見れば「侵略」以外の何物でもない)をしたアメリカが、統治(占領)し続けることで新たなテロを生み、復興を妨げ、イラク国民を不安に陥れているではないか?
「人道支援」の御旗を立てられると、反論がしにくくなる。だから推進派は「人道支援」を持ち出して理論武装をするのである。
現実問題として、人道支援には線引きが必要なのである。たとえば、世界中には飢餓や貧困に苦しむ人々がたくさんいるので、「この人々を救うために、生活に必要な収入以外は全部差し出しましょう」という主張は受け入れられるだろうか?やはり現実的には、人道支援に対してコストをどこまで受け入れるかという問題が存在するのである。今回の「イラク派遣」で言えば、自衛隊の死・テロの標的化・「テロとの戦い」への強制参加といった大きなコストがあるのだ。「人道支援」というきれいごとだけを並べるのは卑怯だ。
しかしまぁ…推進派の「人道支援」って言葉ほどうそ臭いものはない。というのも、おおむね推進してる面々を見ると、世界の貧困・飢餓に無関心であって、覇権ばかりを追っている連中である。そんな連中が、急に「イラク国民のため…」と「人道主義」を掲げだした。いったい「にわか人道主義者」は途上国支援のあり方をどれだけ注視してきたのか?ODAに「国益」を持ち込もうと目論んでいるのはいかなる勢力か?
■よく聞かれる問答?
賛成派「石油を中東地域に依存している日本にとって、中東地域の安定こそ国益だ。イラクは世界で2番目の石油埋蔵量を持ち、安定的な供給が国益になる」
反対派「中東地域を不安定化させているのがアメリカだ。イラク派遣は親日であるアラブ諸国に反日感情をもたらすことになる」
アメリカこそ中東の不安定要素であるということ、イラクはアメリカが占領し続ける限りうまくいかないことを付け足す必要がある。もっとも、イラクで血を流して、ボス(アメリカ)から略奪品(石油)をわけてもらう…というのであれば、「国益至上主義」的な観点からは正当化する余地があるが。
■「国益」と日米同盟
結局のところ、イラク派遣を正当化し国民の支持をとりつけるために、「イラク国民」を持ち出しているだけだ。このアメリカ譲りの「ご都合主義」ってのは、いかにも「ポチ保守」である。
「アメリカ追従」と思われたくないせいか本音が出てこない。下手糞な理論武装はやめて、正直に言えばよいと思う。自衛隊が何人死のうが、日本がテロの標的になろうとも、知ったこっちゃない、アメリカに恩を売ることこそ「国益」であり、利権のおこぼれをもらうために自衛隊を派遣するのだ、と。
多くの国民の命を犠牲に「国益」を追求するというのなら、そんな「国益」なら捨てちまえ…と言いたいが。
日米安保はアメリカのご機嫌をたえず伺っていないと維持できないというのか?
我々がこれまで大事にしてきた日米安保とはその程度のものだったのか?
「『人道支援』をするために自衛隊はあるが、現在のイラクはその任務を遂行する状況にない」
…そう言えばすむことじゃないか。
↓以下、ボツ稿。
■推進派の弁明
「サマワの人々は自衛隊の派遣を望んでいる」
それを持ち出すなら、イラク人はアメリカ占領軍は出ていくこと望んでいる。
■イラクでは戦争状態が続いている。「戦闘地域」に突っ込んで行って、「正当防衛」と称して戦争に出かける。
■保守派は自衛隊をより「軍隊」に近づけることに成功してさぞ満足しているだろうし、「国際貢献」の足かせになっている憲法改正へはずみがつくだろう(皮肉なことに護憲派が「憲法に抵触する」と言えば言うほど、憲法改正への動きは加速する)
■アメリカ追従することこそ国益か?「アメリカ追従」への感情的な反発を排してこの問題を考えると、それはそれで重要な論点になりうる。
■「ジャパン・パッシング」とか「ジャパン・ナッシング」と言われたことを考えると、小泉首相になってから(アメリカの事情が大きいが)、日米関係は非常にうまくいっている。


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