2003年12月17日水曜日

ブッシュ大統領・イラク裁判


■ブッシュ大統領 ―ABCテレビのインタビューで。
「これはアメリカの大統領が決めることではなく、イラク市民が決めることだ」

フセインが捕まったというニュースを聞いて、イラクの国民が喜ぶ姿よりも、ブッシュやラムズフェルドのうすら笑いが浮かんできて、どうも嫌な気分になった。捕まったフセインは「ア〜ン」と口を開け、従順で情けない映像を流されていた(歯を検査されてた)。で、当然のように、ブッシュの支持率は5%ほど上がっているらしい。嫌だ嫌だ。

インタビューで、フセインは「究極の裁きを受けるに値するへどが出るような暴君」と断罪された…「世界の暴君・アメリカ」の大統領によって。


■フセイン裁判は東京裁判方式

イラクへのミサイル発射・殺戮やり放題だったブッシュが、「イラク市民が決めること」などと言い出した。出来レースというか、リンチ裁判と批判されることはわかっているから、傀儡政権に裁かせて、「イラク人が裁いた」ということにするんだろう。

裁判はイラク統治評議会が設置を準備する、イラク人中心の特別法廷で行われる予定。結局、反フセイン陣営によって裁かれるわけで結果は見えている。しかも、同法廷は「米国が過去の経験に基づいて助言している」(バウチャー米国務省報道官)ため、アメリカの意向が反映されやすいとの指摘が既にある。そんな中、大統領の「死刑宣告」である。

勝者による裁判になることは明白で、その正当性には疑問が残るだろう。「ポチ保守」には東京裁判(極東国際軍事裁判)を思い出してもらいたい。

ポチ新聞の産経は、「法の裁きはイラク人で」と言い、

「今後、米国はフセイン恐怖政治の弾圧と殺戮を法廷で裁くことになる。『法の支配』が厳格に守られるなら、イラク統治評議会のハキーム議長が述べたように『イラク人裁判官により特別法廷で裁かれる』ことが妥当である。フセイン元大統領がいくら大量破壊兵器の保有を否定し、クルド人殺戮を自己弁護したとしても、見苦しい独裁者の命ごいとして白日の下にさらされるはずである。」(16日社説)

と主張する。

結局、「勝者による裁判」を否定し続けてきた矛盾を払拭しきれていない。反フセインで、アメリカの意向を無視できないイラク統治評議会による裁判だ。

東京裁判は、アメリカの意向に沿った日本人が形式的に参加してさえいればよかった、と主張するのだろうか?

で、結局、過去の犯罪を持ち出して、裁くしかないんですね。だったら、なぜ今になって攻撃したんだろうか。「大量破壊兵器の保有を否定し、クルド人殺戮を自己弁護したとしても、見苦しい独裁者の命ごい」って言うんだけど、その点をうやむやにしてないか?


■フセイン級の脅威とブッシュ級の脅威

ブッシュは大量破壊兵器について問われると「フセインが脅威だったことには疑いがない」と語気を強めたという。

「脅威だったことに疑いがない」…そんな理屈でもって、圧倒的軍事力を行使するブッシュ大統領。超大国アメリカの恐ろしい論理が世界の「正義」を決める。

フセイン級の「脅威」など霞んで見える。


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