2003年8月25日月曜日

偽善番組 24時間テレビ

偽善番組『24時間テレビ』(日本テレビ,2003年)

に関する感想日記。

★2003年8月22日

■ある方からのお便りで気づいたことは、『24時間テレビ』が明日に迫っているということだ。今年のテーマは『 あなたを一番愛する人・・・ 』だ。去年のように長文を書かないかもしれないが(参照:24時間テレビ 2002年)、それなりにチェックはすると思う。少し、今年の見所を予習しておこう。

■例年通りのアイドル起用ということで、今年はTOKIOになった。番組のホームページによれば、「メイン」パーソナリティを務めるらしく、「お仕着せで企画に参加するのではなく、大人になったTOKIOの5人が『自ら考え、自ら行動して』たくさんの事を決めていきます」と得意顔だ。つまり、これまでは「お仕着せ企画」だったと自白しているわけね。

■『ガチンコ!』で「やらせ」「捏造」の技術を鍛えられたTOKIOがどのような感動の捏造をしてくれるかが見物だ。まさしく「捏造」という観点から見れば、適材といった感じで、『24時間テレビ』の製作スタッフの人選を高く評価したい。

■チャリティーマラソンのチャリティーランナーは山田花子だ。「自分を見守り育ててくれた吉本興業みんなの為に、24時間完走を目標に盛夏の過酷な状況を乗り越えて日本武道館を目指します。」という例年通りわけのわからない動機だ。こんなありがた迷惑な「恩返し」が許されるのだろうか。どうせ吉本新喜劇のメンバーは応援を強制されるわけで、むしろ、恩を仇で返すような行為と言ってもよいのではないか。

■ドラマ「ふたり」には、長瀬智也と深田恭子が出演し、不慮の事故で長瀬が「下半身不随」になる模様。ドラマには「ハードル」がつき物だが、それを「障害者」で賄うという、なんとも24時間テレビらしい、安易な発想だ。

■原因不明の疾病にかかり一時は体操を中断した少女は、コマネチの話に感銘を受け励まされ復活。いつかその演技を目の前で見てみたいという思いを綴った手紙を、後藤真希に託す。コマネチはその手紙を読み、心を動かされたと快諾…か。なんで後藤に結びつくのか?あまりにも唐突だ。TOKIOのとこでは「お仕着せ企画」でないって自慢してたのに。じゃぁ、こっちはどうなんだと問いたい。反省の欠片も見られない。

■企画を作ることは下手でも、障害者を利用する悪知恵には長けている『24時間テレビ』のことだ。義足の甲子園球児・曽我健太選手(今治西高校)が餌食になるという不吉な予感がいまからするのだが。



★2003年8月23日

■少しだけ『24時間テレビ』を見た。

■山田花子が「チャリティーマラソン」をしていた。毎年、応援歌というのがあるわけだが、別に「チャリティーランナー」には届いていないわけだし、好き勝手に歌われても、ちっとも応援になっていないように思えるのは気のせいだろうか。「チャリティーマラソン」を応援することで、強引に「チャリティー感」を出しているだけのように思える(そもそも「チャリティーマラソン」の「チャリティー」という概念がひどく不可解だが)。どうも、地味な『THE 夜もヒッパレ』を見させられているという感がある。

■障害者の男性と女性…結婚までの再現ドラマってのがやってた。その特徴は、ドラマに本人自らが出演している点にある。「感動のエピソードでしょ?」と本人たち自らが、視聴者に同意を迫られているようであり、あざとく見えてしょうがない。やってて恥ずかしくないのだろうか。演技はもう見てらんないくらい下手糞で興ざめだ。

■「障害(ハンディキャップ)を持っていても、こんなことができるなんてすごいと思いました」ってのがタレントの紋切り型のコメントだが、どうも嫌な気持ちになる。なんだか「障害を持ってるのに、これだけのことができるなら、自分たちはもっとすごいことができる」と優越感にひたっているように思えてしまう。そのことに人はひどく無自覚だ。

■この番組は、障害者を前面に出してはいるが、「感動」と「優越感」を渇望する健常者のための番組に思えてならない。この番組が嫌いな人には、製作者の(障害者をダシにした)「感動+視聴率」至上主義体質だけではなく、「無邪気な視聴者」に対しても、同様の拒否反応があるのではないか。この番組を見ると罪悪感に近い感情を私は抱いてしまう。

■ホームページを見て知ったのだが、今年もこりずに「おデブちゃん企画」をやるらしい。『おデブちゃんと呼ばないで!日本一の琵琶湖カヌー横断』という企画だ。

■去年(24時間テレビ 2002年)も述べたが、「デブでもこれだけのことができるぞ!」と威張ってる暇があるなら、まず痩せろと言いたい。番組スタッフは、障害者とデブを混同して、障害を持っていてもこれだけのことができるぞ、って構図を描き感動させたいのだろう。だけど、デブは克服できるのであって、障害ではないということを完全に忘れ去っているようだ(意図的に?)。




★2003年8月24日

■『24時間テレビ』…「チャリティーランナー」山田花子、放送時間内にゴールできず。いやぁ、よかったよ。去年、わざとらしくギリギリでゴールした西村知美にも笑ったが、今年は違った意味でおもしろかった。

■「時間調整」という演出があることは知っていたものの、去年も「間に合わないんじゃないか?」と期待した。しかし、それは裏切られた。今年、中継されている時に、山田花子にスタッフが時計を見せて何かを喋ってるので、「間に合わないんじゃないか?」と思ったが、昨年のこともあるので慎重になった。が、TOKIOのメンバーが「100kmなら今頃ゴールしている」とか「放送時間とは関係なく応援」「何時になってもいいから待っている」と言い出した時に、「間に合わない」ということに確信を持てた。

■例年通り、谷村新司と加山雄三がフィナーレに登場して「サライ」の合唱があったが、それどころじゃない。感動巨編のフィナーレに必要不可欠な「チャリティー・ランナー」が不在なのだ。まったくの大失態である。

■ランナーが早い分には時間の調整が効くが、遅い分にはどうしようもない。結果論を言えば、110kmに欲張ったからいけないのである。100kmで時間調整しておけばよかったのだ。

■延長するかと思ったら、10時から放送を行うとのこと。まぁ、そりゃそうだよな。さすがにゴールするまで、台本がないわけで間がもたんか。でも、どうせ放送中にゴールさせるだろうから、休憩やペースを落として10時まで時間潰すんだろうなぁ…と思った。

■10時にテレビをつけたら、案の定、まだ走っていた。わざとらしいことに、放送再開後すぐにゴール。10分しか延長の時間は用意していないとのことで、急いだのだろう。取ってつけたようなフィナーレだった。


■気になった言葉(あんまり見てないんで、主にホームページからの拾い物)

★『おデブちゃんと呼ばないで!日本一の琵琶湖カヌー横断』
��必死にカヌーを漕いでいるおデブちゃんの生中継が終わった時に…)

スタッフ「ハイ、OKです」
⇒中継終わったから、一生懸命に漕がなくていいよ…ってね。聞こえちゃった…マズイね。


��ゴールした後に…)
国分太一「このあといっぱい!食べてください。」
徳光和夫「子供たちは今何を一番食べたいんだろうね?」
パパイヤ鈴木「チョコレートじゃないですか?」
⇒来年もデブでいてくれないと使えないからね。「おデブちゃんって呼ばないで!」ってタイトルつけるんなら、まず痩せろって。ガチンコダイエット学院にでも入れればよかったのにね。まぁ、あそこに入ってもリバウンドするんだけどね。


★『24時間チャリティーマラソン

徳光「花ちゃん、何度も言うけど、笑いは取らなくていいからな。」
⇒笑いを取っちゃうと余裕があると思われちゃうからね。そうなると、感動ができなくなり、台無しです。芸人に対して笑いを取るなという徳光に対して、巨人の原監督は↓

原監督「芸人魂見事です」
⇒「ジャイアンツ魂」を文字ってでしょうか。勝てない巨人を応援してもらえないので、「ジャイアンツ愛」という看板を下ろした原監督。まぁ、この際、そんなことはどうだっていい。思えば、原監督は番組のオチを予期していたのではないか。最後のオチ…非常におもしろく、心の底から笑った。徳光は「笑いを取らなくていい」と言った。だが、「芸人」には「感動」は必要なく、「笑い」こそ必要だ。ゴールできないという見事なオチに、私は山田花子の「芸人魂」を見た。芸人魂と言えば、ゴールした後、他の芸人が真面目にコメントしているのに、今田耕治が「松岡君に抱かれたいねんて?」と2、3回続けて笑いを取りにいっていたとこは好感が持てた。


徳光「休憩時間は短かいけれど、大丈夫ですか?本人の判断でしょうか?」
⇒フィナーレの時に来てくれないと困るんだろうな。でも、早い分には調整の余地があったけど、間に合わない分にはどうしようもありません。



徳光「簡単にがんばって、とは言えないんだけど他に言葉がないんだ」
⇒「がんばって」以外の言葉を探して、自分たちも「がんばって」他の言葉を探した結果、↓の質問


長瀬智也「花ちゃん、外は暑いでしょ?」
山田花子「暑いです。」

⇒当たり前じゃないですか。冷房の効いて快適な武道館にはいないんだよ。


��休憩ポイントにたどり着き、タオルを顔に掛けて横になって、睡眠をとっている時に、中継が入り…)
国分太一「ゆっくり寝て!」
⇒中継で起こしといて、何を言ってやがるんだ。


・トライアスロンに挑戦した視覚障害の女性に対して
��武道館に応援に来ている祖母が、中継先のモニターで映し出されているので…)
徳光「おばあちゃんが見えるよね?」
⇒彼女は全盲というわけではないが、ほとんど見えない状態だ。なのに「見えるよね?」はひどいんじゃないですか?


・花子宛の応援FAX「花ちゃん、大変、大変て言う言葉は大きく変わると言うこと。辛かったら、それを乗り越えたらきっと自分大きく変わるよ。」
⇒何を言ってやがるんだ。うまいことを言っているつもりなのだろうが、「大変=大きく変わる」という意味ではありません。応援ファックスをもっと調べると、おもしろいのが一杯出てきそうだ。


■こうやって番組を見たり、文章を書いたりしていて、改めて思うことは、私は本当に『24時間テレビ』が「好き」ということだ。

■皆さんは『24時間テレビ』をどのように感じただろうか。短くても大歓迎なので、「お便り」を送ってくれるとありがたいです…なんてことを書いてみる。まぁ本当にこの番組が好きな人の中には、私の文章に不快な思いをされた方もいるはずだ。そこは「こういう見方もあるんだぁ…」とさらっと流して、ご勘弁をいただきたい。


≪出演者≫
★総合司会…徳光和夫、松本志のぶ
★メインパーソナリティ…TOKIO(城島茂・山口達也・国分太一・松岡昌宏・長瀬智也)
★スペシャルサポーター…柴田理恵
★チャリティサポーター…石塚英彦、舞の海、オセロ
★チャリティランナー…山田花子

24時間テレビ 偽善




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