2003年7月7日月曜日

マニフェスト選挙

■「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の調査で、マニフェストに国会議員の約8割が賛成した…と報じられている。マニフェストで掲げるのにふさわしい政策(複数回答)は「税・社会保障」が90.7%で最も多く、「地方分権改革」(87.2%)や「行政改革」(77.0%)が続いた。作成意義(複数回答)は75.5%が「公約実現過程や達成度の検証が容易になる」、62.3%が「官僚に対する政治の指導力が強化できる」と評価した。
■確かに、国政レベルでもマニフェストへの関心が高まっているのだろうが…「約8割が賛成」という報道の中に、隠されている問題も大きい。このアンケート、衆参両院議員723人のうち、回答したのは330人というのだ。
■マニフェスト型選挙には短所がほとんどなく、はっきり言って、反対する者の根拠には正当性がない。こういうわけで、反対する者は「反対」と公言したがらないと思う。「反対」と思っている連中の多くは、アンケートに答えないんじゃないだろうか。で…マニフェストを厄介なものと思っている多くの自民党議員は、調査への有効回答率は36.3%と非常に低くなっている。マニフェストに関して「反対!」と言えない気まずさゆえのことだろう。
■前にも述べたが、そもそも自民党がマニフェストを作るということ自体、考えにくいわけでしてね。政権与党がマニフェストを作らなくて、どうしてマニフェスト型選挙を定着させることができましょうか。各マスコミは「国政レベルでマニフェストへの関心が高まっている」と報じたが、「自民党」にこそ焦点が当てられるべきだろう。
■さらに、国政選挙で有権者に示すべき選挙公約の内容については「政党の理念や政策」(42%)、「政治家個人の所信や政策」(39%)との回答が多く、「政権の方針や実現を約束する政策」は12%にとどまった。これは、マニフェストの意義が正確に理解されていない証拠だろう。「政治家個人の所信や政策」がどれほど議院内閣制において無意味であるかを知るべきだし、「理念」という抽象的なものが前面に出てくるようでは政策本位の選挙など不可能だ。
■北川正恭らは、マニフェストによって「国民が責任を持つようになる」「よって積極的に政治に参加するようになる」と言うわけだが、この点は疑ってもよいだろう。マスコミが政策を検証しやすくなるということにはなるだろうが、そもそも関心の無い国民が、主体的に判断し業績投票をするとは考えにくい。国民に対しては過剰な期待はできないと思う。


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