2002年12月28日土曜日

アントニオ猪木と「ダァー!」を叫ぶ気持ち

 名古屋に帰って、知人と買い物に出かけた時、人だかりに出くわした。なんでもアントニオ猪木が来てるらしいく、しばらく様子を見ていた。

 途中、CBC(東海地方のテレビ局・TBS系列)の中継が入り、アナウンサーが例のごとくビンタを受けていた。猪木に「闘魂」を注入され、「ありがとうございました」と言っている。引っ叩かれて喜んでいる、そんな世界があるのだ。たしかに「猪木にビンタ」されれば「記念」にはなるかもしれないが、やはり説明することが困難な行動原理で、怪しい宗教にも似ていて面白い。

 だが、「記念に…」とビンタされて、「猪木ビンタ」を自慢したりすることはかなりまずいことになりゃしないか。聞かされたほうとしては「ふーん」としか言いようがないし、格闘技に関心を持たない人からすると「この人、ビンタされて何を興奮しているんだろう…サドかな」とあらぬ誤解を招きかねない。

 そして、例のごとく「1!2!3!ダァー!」である。会場が一体になった。しかし、知人は猪木に関して無知であり、その一体感を味わうことができず、キョトンとしていた。僕もその儀式に加わりたいとは思わなかった。いや、こぶしを振り上げて「ダー!」と叫びたいとはそう簡単には思わない。

 「ダァー」と叫んでいる人たちも、おそらく一人で「ダァー!」と叫びこぶしを振り上げたいと思うことはないだろう。どんな気持ちになるかを知るため、一度やってみるのもいいかもしれない…こぶしを勢いよくあげて「ダァー!」と。

 結論として導き出されるのは、「ダァー!」はみんなでするものらしい、ということだ。連帯することに飢えているんだ、この社会は。

 

【オマケ】

 そう言えば、『笑点』大喜利の挨拶の時、林家こん平が「1!2!3!ちゃら〜ん!」と猪木の真似をして、観客は両手を挙げて「ちゃら〜ん!」と叫ぶ(「こんぺいでぇ〜す」もアレンジされて)。

 「ダー!」と「ちゃら〜ん!」…どちらもすばらしくマヌケな響きだ。


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