2002年1月1日火曜日

なぜ携帯電話車内使用禁止?

■2001年06月07日

 「車内でのご使用は周りのお客様のご迷惑になるため、おやめください」というアナウンスが電車を利用すると耳にする。しかし、現状を見るかぎり、それほど効果はあげていない。 周りの迷惑を考えない、このような身勝手な行動は…などと書くと、どこぞの読者投稿になってしまうが、そんなことを言いたいわけではない。  車内での携帯電話の使用禁止とはいうものの、「何故いけないのか?」がわからない。

 有力な意見としては次の2つが考えられる。
 ?健康機器、ペースメーカーの誤作動を引き起こす恐れ
 ?着信音、通話といった騒音、マナー

 まずは?から考えたい。
 確かに人の命に関わることであり、ある程度の説得力はある。
 少数派、まして命がかかっているからには無視すべきではない。しかしながら、だからと言って、大多数の利益を無視してしまうのはいささか極端がすぎる。
 他人の死に関わる恐れがあるかもしれないということを言われるだけで、人はその問題に関する議論を避け、無節操に禁止や制限を受け入れてしまうのはよくない。

 第一、こんなに世間に携帯の電波が氾濫しているのだ。電車内での禁止だけでは対処できまい。これ対抗するには、人ごみに入らないなど自己防衛しかないのが現状だ。それに、携帯の電波のせいでペースメーカーが誤作動を起こし、人が死んだなんて聞いたことがない。
 明確な根拠もなく、ペースメーカーをつけた人への不安を煽ったり、ペースメーカーのせいで携帯が使えないといった対立構造を煽るような広告はうつべきではない。それに、仮に携帯電話の使用と、ペースメーカーの誤作動に関係性が立証されているならば、こんな状況を売上の影響を気にするメーカーが黙っている訳がない。
 医療機器については、機器と携帯電話の間隔を22cmほどとれば、誤作動はしないという報告がされているし、ペースメーカーへの影響は過酷な条件下の実験でも、生命に危険があるような状態にはならない、とも聞く。最近ではペースメーカーと携帯の両開発会社が改良を重ね、データによれば、極めて0%に近いレベルまで下がっているという。

 実際には、電車内での携帯使用者に冷たい視線を送る人間というのはだいたい「通話」を問題としている。ペースメーカーといった道徳上の問題からではない。その証拠に冷たい視線を送る人は通話と同じく電波が飛ぶ「メール」や「iモード」には寛容であるからだ。にもかかわらず、冷たい目で見る人に「何故使ってはいけないのか?」と聞くと、「ペースメーカーの影響」が必ず出てくる。「ペースメーカー」は車内での携帯電話使用に対して嫌悪感を示す人に正当性をでっちあげるために利用されている。嫌悪感のある人達と規制したい鉄道会社と利害が一致し、利用させないためのコマーシャルに心臓ペースメーカーへの悪影響をあげ、「ペースメーカーへの影響」「人間の命」「モラル」の大合唱をするのである。

 では、何故、鉄道会社がペースメーカーを制限の理由に使うようになったのだろうか?

 おそらく、「うるさい」といった?の騒音、マナーの苦情が多く、その対処ができないため、人の命がかかっているという人道的なものとしてペースメーカーをでっち上げたと私は推論する。
 これについては後で述べるとして、とりあえず、騒音について。

 確かに、急に鳴る着信音はたしかに驚くかもしれない、また、マヌケな着メロには腹が立つことが多い。友人に着メロを聞かす、あるいは自慢するために敢えて着信音を長い間鳴らしっぱなしという輩に私は遭遇したことがある。確かによい気分ではない。
しかしながら、これは電車だけに限ったことではない。道を歩いていても、学校にいても、店にいても、職場にいても、公園にいても、トイレにいても…もはや、この状況からは逃れられない。

 こうなってくるとますます、「車内での通話は何故いけないのか?」という疑問の解答は迷宮入りの様相を呈してきた。
おしゃべりがいけないとのか?
 車内では沈黙を守らなければいかないのか?
 それならば、新幹線など長時間乗る電車のウルサイ子供を何とかした方がいい。しゃべり可の部屋と不可の部屋を作るとか…
 長旅で疲れているってのに眠れないで困る人もいよう。
携帯での会話は一人、普通会話は二人以上である。
 どっちがうるさいのか?
相手の会話が聞こえないからダメという可能性はないか。車内ではみんな暇で他人の話を盗み聞きしている。それで相手の会話が聞こえないと消化不良してしまう。 つまり、携帯電話の使用を迷惑と感じるのは、会話の内容が片方しか聞き取れないことにある。会話の内容が全て聞き取ることができないため、片方の会話から、ついつい全体像を推測しているのだ。そして、そんな自分にイライラしたり、推測に行き詰まったりすると、それを勘違いして「携帯電話を利用している奴は迷惑だ!」と携帯使用者のせいにしてしまっているのではないか。
この説はかなり有力(?)な説であるように思える。

 よし、NTTやその他の携帯会社に提言っ!
 通話相手の声を聞こえるようにする機能を付けろ!JRやその他鉄道会社はその機能を使うように主張すればいい。

 …冗談はこれくらいにして。

 いろいろ考えてみた結果、私の結論はこうなる。

 携帯電話が使用禁止なのは鉄道会社が根拠なく勝手にルールを作り、我々を「車内での携帯の使用はマナー違反」と洗脳したにすぎない。
 他の場所では嫌悪感を感じず、電車内では嫌悪感を感じるのであれば、これこそ“洗脳"の影響に他ならない。つまり、携帯使用者に対して冷たい視線を送る人はこの“洗脳“の被害者なのだ。

 この説を「鉄道会社悪質洗脳説」とでも名付けようか?

先にも述べたとおり、苦情の対処として、ペースメーカーを持ち出したのだ。そもそも、鉄道会社がペースメーカーのためと言うならば、「車内では電源を切れ」とはっきり言わないといけない。しかし、実際によく聞くのは「他のお客様の迷惑となりますので、車内での携帯電話のご使用はおやめください」とアナウンスするだけのものである。これでは「通話」だけがだめ、という誤解を与えかねない。
「メール」や「iモード」などを使うだけでも電波は飛ぶのはもちろんだし、マナーモードなどで音が鳴らなくても着信するだけで電波は飛んでいるのだ。使用はしなくとも電源が入っているだけで電波は飛んでいる。よって電源を切らない限り、意味がないのだ。

 携帯そのものの苦情も最初は少なかったはずだ。小さな子供や女子高生の「会話がうるさい」ってのと同じレベルである。どこぞの器の小さい人間、はたまた、その時機嫌が悪い人がムシャクシャしていて、腹いせに苦情を言う程度のものだったのだ。しかし、会話がうるさいのに関して、鉄道会社は「車内での会話は禁止…」とは言えない。携帯に関してはまだ言いやすかった。当時はまだ携帯を持っている人間は一部だったということもあろう。
ここで鉄道会社は明確な理由もなく、一部の苦情に対処するために携帯の使用を禁ずる。ここで一般の人は電車での携帯を使わないのは「マナー」として脳に植え付けられたのだ。つまり「電車での携帯使用」=「マナー違反」となってしまったのだ。

それから、人々は携帯が鳴ると「マナーが悪い」と嫌悪感を覚え、顔をしかめるようになった。ここでのポイントはこれは「電車の中」という「公共空間」で通用するマナーにすぎないということだ。このように電車での携帯使用禁止を多くの人がすりこまれた。そこから、より多くの人が「電車内の携帯の使用のマナーが悪い」という文句、苦情を言う人が増えた。従来の規制の効果がないし、多くの苦情を無視するわけにもいかなくなり、ペースメーカーの誤作動の「可能性がある」という「噂」を聞きつけ、鉄道会社はペースメーカーを持ち出し、その「命の重み」を悪用して規制を強化したのだ。

 この仮説の立場によれば、携帯電話が車内で使っちゃいけないということを我々の脳にすりこんだのは鉄道会社であり、苦情が鉄道会社にいくことは身から出たサビであり、自業自得である。鉄道会社は『洗脳の罠』にはまったにすぎないのである。そして、携帯使用者が周囲から冷ややかな視線を浴びるのは、全て鉄道会社のせいである。

 そもそも、鉄道会社はあれほどむきになって「車内での携帯電話の使用は周りのお客様の迷惑となりますので…」や「ペースメーカー」という具合にモラルに訴えかけるだけで、全く企業努力などしていないではないか?新しいものを締め出すのではなく、それに適応した柔軟な対応をとっていくのが社会の役割ではないか。ペースメーカーなどの医療機器には、電磁波からの影響を防ぐ機能をつける。そして、鉄道会社は、使える車両と使えない車両を分けるなどの対策をしたらどうか?
 どうしても鉄道会社が「車内での携帯電話禁止」を主張したいのであれば、もはや「携帯使用可能」と「不可能」の車両を分けるしかあるまい。根拠としては、携帯電話もタバコも似たようなもの、と考えるのである。タバコを近くで吸われると不快に感じ、同様に近くで電話をされると不快に感ずる。しかし、喫煙者にとっては、禁煙は苦痛を伴う、ビジネスマンにとっても、携帯はもはや手放せない物なのだ。携帯電話というものは人々の主要な交通手段である電車を利用している際に電話を受ける・かける必要に迫られる状況が訪れるのは至極当然だ。周囲の注目を集めるような内容および声の大きさで携帯電話を車内という一種の個室で利用するのはやはりそれなりに問題であるが(といっても個人のモラル・羞恥心によりけりである)、利用そのものを禁止することは携帯電話を持つ意味をなくすものである。

 今の私は実際、電車で通話はしないし、着信音も消している。しかし、平気でメールもするし、電源は切っていない。

 私は携帯を電車内でも使っても問題がないと思っている。
 にもかかわらず、このような情けない行動をとらざるをえない状況に追いんだのは、「周りから冷たい目で見られるのが嫌」という以外、理由など全くありえない。
 この点で私は「鉄道会社悪質洗脳」の被害者ということになる。
 この洗脳を早く解くことこそ、必要があるのではないだろうか?そして、それはJRなどが責任をもって、おこなうべきだ。


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