2002年1月1日火曜日

田中真紀子

2001.01.14
 「首相になって欲しい政治家は?」というアンケートでは、田中真紀子が一番人気だ。なるほど、彼女は明確な批判をするので、今日政党不信となって、政党不信に陥っている人々が彼女に引き付けけられるのもうなずける。
 森総理はダメ!派閥はダメ!と庶民感覚に訴えかけるだけで、田中真紀子という人物は国民的人気を得ることができる。ずいぶんと楽な身分である。言いたいことをはっきり言うから首相に…という論理で国民が田中真紀子の名前をあげているのであれば、大いに問題である。
 僕にはとても田中真紀子が政治家として優れているとは思えないし、そもそも彼女の言動が信用できない。省庁再編にともなって、森内閣の再組閣した時、彼女はどうしたか?
 森内閣での大臣ポストに目がくらみ、組閣前には森総理批判はトーンダウンしたし、加藤紘一の森内閣に対する倒閣騒動、いわゆる「加藤の乱」の際も不信任案に反対したではないか?
 森内閣支持率低迷の解決として、田中真紀子を入閣させようという動きがあった。さんざん批判してきた田中真紀子は、森内閣に入るために、自分の言動を引っ込めた。ダメだと言い続けてきた森内閣の担ぎ役として支持率アップに力を貸そうとしたのだ。この事件で彼女は持ち前の変節ぶりを存分に発揮した。
 「加藤の乱」においては、森内閣不信任案に反対した理由として、自民党が信任した総理に対して反対はできない、と語った。ならば、マスコミに対して自分自身がとっている行動をどう説明するのか?そんな人物に政治家の道徳を語るべきではない。
 彼女は石原伸晃らが作る「自民党の明日を創る会」に参加していた時に、議員らに対して派閥を出るように発言した。自分だけが特権的な地位にいることを忘れているようである。
 二世議員でもなく地盤が無く、金もなく、知名度も、人気もない政治家が議員を続けることの難しさを理解した上での発言とは思えない。そのような持たざる人間は派閥に入り、その恩恵にすがるしか道は無い。無派閥ならば、職を失うし、党内での存在も弱くなってしまうし、何も行動できないのだ。政策の実現するためには党内で多数派にならないと実現できない。
 派閥を辞めろという理想論も結構だが、そんなことは評論家にまかせ、政治家である以上これらの自民党末期状況をどうするかを考えて欲しいし、その解決策を得意のマスコミを通じて発信してほしいものだ。他の政治家と違って、彼女には発言する場所があるのだから…
 きれいごとだけではどんな正論であろうと、政策実現はできない。実際、彼女は政治家になって何をし、どんな実績を残したのか?そもそも彼女に政策や政治家としてのヴィジョンを持ち合わせているのか?マスコミにもてはやされ、いいように利用され、ミーハーな国民の人気を得て、鬼の首でも取ったかのように自慢顔で評論活動を行って、いつまでも自己満足しているようでは話にならない。
 父である田中角栄を裏切った竹下登の流れを持つ橋本派が未だに自民党を支配しているという事実がおもしろくないのはよくわかる。だが、彼女の父、角栄は自民党の腐敗、橋本派支配と全く無関係ではない。田中角栄が首相として、キングメーカーとして、今日まで続いているミニ角栄たちの金権政治を生み、自民党、そして日本の政治を駄目にし、現在の病んだ自民党を作った元凶であるのだ。田中真紀子は自分自身の努力や才能ではなく、父のおかげで政治家になれた。自民党がダメだ、と言うのであらば、未だに父の地盤から選挙に出馬し、いいとこだけ二世議員として父の名前を利用するのではなく、父田中角栄が残した現在の日本政治に対する膨大な負の遺産を少しでも清算したらどうか。自民党改革が不可能ならば、自ら新党を作り、父が駄目にして、政党としての寿命の尽きた自民党に責任を持って引導を渡してやればいい。ともかく、口先ばかりの「評論家」ではなく、「政治家」になるべきだ。


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