2005年7月21日木曜日

政府税調:専業主婦を侮辱?

■政府税調 配偶者控除議論 委員の発言波紋(産経新聞)
 “侮辱発言”が明らかになったのは、「サラリーマン増税」と批判された個人所得課税改革の論点整理に向けて行われた五月二十七日の基礎問題小委員会の議事録。

 議事録では配偶者控除の存廃をめぐり、ある委員が「働く女の人は(人生に)前向きで、子供を産みたい。働かないで家でごろごろしている主婦が子供を産まないんです」としたうえで、「いまパラサイト・ワイフというのができてきた。つまり、生命力のない人たちがたくさん生じていて、お金を持ってぶらぶらしているんですよ」と発言した。

 別の委員も「働いている女性の方がちゃんとご飯を作るというデータもあるんです。専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきて発泡スチロールで食べさせちゃうというのが多いんです」と追随した。
 また政府税制調査会の話題だが…議事録をちらっと見たが、誰が発言したかは明らかにされていない。議事録って、どの発言が同じ人物が言ったのかがわからず、ややっこしいんだね。

■ある委員が「専業主婦がいて子供が多い家庭を大事にする税制が必要」と主張したのに対し、それに反論するかたちで、この発言がでてきたらしい。

■ダメな専業主婦の指標として、真っ先に「子供を産まない」ってのが出てくるわけだな。どうも「少子化」というインパクトが強すぎるせいか、子供を産まないのを女性のせいにするおかしな風潮が根強い。別に専業主婦の怠けたい気持ちが、少子化を招いているわけじゃねぇだろ。アホか。

■そこには、女性の価値を決めるのは子供を産むか産まないか…ってな価値観が垣間見える。何回か出ているが、この価値観をあらわす代表な発言としては…「子どもを一人もつくらない女性が、自由を謳歌し、楽しんで、年とって、税金で面倒をみなさいというのは本当はおかしい」(森喜朗)とか「文明がもたらした最も有害なものは『ババァ』なんだそうだ。『女性が生殖能力を失っても生きているっていうのは無駄で罪です』って。」(石原慎太郎)がある。

■「国家衰退の危機だ!女性は労働者を再生産せよ!」というわけ。でも、専業主婦という形態を取るか取らないか、あるいは、子供を産む産まないは極めてプライベートな、夫婦間の決定事項であって、お国がどうこういう問題ではなかろうに。

■ましてや、「家でごろごろしている」とか「専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきて発泡スチロールで食べさせちゃうというのが多い」なんて大きなお世話だ。そもそも、どういった根拠でそんな発言してるってんだ? ま、「専業主婦は暇を持て余しているある」というステレオタイプが強すぎなんじゃないか。

 基礎問題小委員会は、学識経験者やエコノミストら女性三人を含む計二十六人で構成され、税制改正の実質的な審議を行っている。議事録について財務省は「個人攻撃などの発言は委員の了解を得て手直しするが、審議の透明性を優先し、発言内容は原則そのまま公開している」と強調している。委員同士の真剣な意見の応酬は大切だが、専業主婦への配慮が欠けた点は否めず、今後も尾を引きそうだ。
 産経新聞が「専業主婦への配慮が欠けた点は否めず」とか言うところに、ニヤリとしてしまうな。

■つまり、「専業主婦」ってのは、伝統的な家族観からすれば保護されるべき存在なのだ。だから、「働く女の人は前向きで、子供を産みたい。」「働いている女性の方がちゃんとご飯を作るというデータもある」って発言は伝統的家族観を否定するものだから…などと勘ぐってみる。


【追記】この発言をした委員は猪瀬直樹らしい。テレビで「働く女性を支援する必要性を言った上での発言」「メディアが一人歩きさせた」とか弁解していたが、でも結局、専業主婦をけなす発言をしてるわけだからねぇ。

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