2005年1月15日土曜日

社説:NHKと政治

■予想されたことだが…議論をすり替えて、矮小化を始める勢力が登場…

■読売新聞/社説[NHK番組問題]「不可解な『制作現場の自由』論」
 公正な放送のために、NHKの上層部が番組の内容を事前にチェックするのは、当然のことではないか。
 (略)
 放送法三条はまた、放送事業者に対し「報道は事実をまげないですること」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」なども求めている。

 放送局の編集責任者は、現場が制作する番組の内容がこれに反する場合、政治家に指摘されるまでもなく、是正しなければならない。

 「女性国際戦犯法廷」では、昭和天皇が「強姦」の罪などで起訴され、有罪が言い渡された。

 このような性格の「法廷」の趣旨に沿った番組が、「制作現場の自由」としてもしそのまま放送されたとすれば、NHKの上層部はあまりに無責任、ということになる。

 そもそも従軍慰安婦問題は、戦時勤労動員の女子挺身隊を「慰安婦狩り」だったとして、歴史を偽造するような一部のマスコミや市民グループが偽情報を振りまいたことから、国際社会の誤解を招いた経緯がある。
 サンドイッチ型のすり替え構造となっている。核心部分については申し訳程度に「全体の事実関係には、一部に、依然、不明な点がある」で終わらせている。「NHKが公正な報道をするのは当然」としているが、問題になっているのは、そんな一般論ではない。また、「公正」であるかどうかは政治家が決めることではない。そんなことをしたら与党との癒着がおきるだけで、それはもはや報道機関とは呼ばない。

■問題となっているのは、政治家からの圧力があったか否か、番組内容を変更したかどうかであり、NHKと政治との関係だ。番組自体が「偏向」していたかどうかはまったく別次元の話。

■もちろん、産経も「NHK慰安婦番組 内容自体も検証すべきだ」とつづく…
 番組で放送された女性国際戦犯法廷は、元朝日新聞女性記者が代表を務めたNGOが主催し、元慰安婦や各国の女性活動家を集めて開かれた。慰安婦を「戦時性暴力」の犠牲者ととらえ、昭和天皇やいわゆる「A級戦犯」を裁いた模擬裁判だ。法廷は女性を中心とする判事団と検事団で構成されていたが、弁護団はいなかった。

 これがNHKで放送されることが事前に知れわたり、そのまま教育番組として放送すべきかどうか、視聴者の間でも議論があった。NHK内部で映像を再検討した結果、極端な部分を削除し、元慰安婦証言の信憑性に疑問をもつ学者の談話を添えたとされる。

 それでも、「主催者側に偏っている」「教育番組としてふさわしくない」という批判があった。まず何より、番組が公正で中立的な内容だったか否かの再検証が必要だ。


■産経抄
 ▼告発の趣旨は、自分たちは立派な番組を作ったのに政治家の圧力で改悪されてしまった、ということらしい。本当にそうなのか。番組は日本のNGOが開いた「女性国際戦犯法廷」を紹介したもので、韓国などの元慰安婦と名乗る女性が登場し、「強制連行によって性奴隷とされた」と日本政府や日本軍を訴追する。

 ▼そうした女性を日本軍が強制的に集めたという根拠はなく、戦地での接客業というべきものではということはさて置いても、「法廷」には弁護人はおらず、反対尋問もない。なおかつ趣旨に賛同しない者の傍聴は認めないという「裁判」だったのである。

 ▼結果、慰安婦問題は「人道に対する罪」にあたり、天皇有罪と日本政府に謝罪と賠償を求める「判決」が下されている。これをそのまま報道することが、それほど立派なことだったのか。どうにも理解できないので、教えてほしい。

 ▼とくに問題とされているのが、その判決部分や元慰安婦の証言が削られ、批判的な識者コメントが増やされたことだそうだ。己の信じるところに従い報道するのは、ジャーナリストの良心である。しかし、それが公正か、偏向していないかの判断は別問題だ。
 もう産経だからしょうがないかとあきらめの境地だが…

■もし逆の状況だったらどうするかを考えて欲しい。つまり、「自虐史観」を批判する内容を作った、それに政治家が圧力を加えて改変をさせたとしたら、どういう対応にでたか。ま、これは右派・左派、関係なく言えることだが。

■ちなみに、同日の毎日新聞では次のように指摘し、締めくくっている…
 安倍氏は今回の問題をいち早く報じた朝日新聞を「偏向した記事だ。背景にある体制の薄汚い意図を感じる」などと激しく批判している。「戦犯法廷」の主催団体代表の1人が元朝日新聞記者だった点も念頭にあるのかもしれないが、慰安婦問題をどう考えるかという歴史認識の議論は別次元の話だ。問われているのはNHKと政治との関係である。
 「朝日=偏向」と決めつけるだけで、ネットの世界では喝采を浴びることができるだろうけどね。しかし、「問われているのはNHKと政治との関係である」。

■で、毎日社説…

■毎日新聞/社説「NHK特番問題 政治に弱い体質が問題だ」
 だが、そもそも事前に、しかも密室で番組内容を政治家に「ご説明」すること自体が報道機関として異常なのである。そして、どんな言い回しであろうと、こうした状況下での政治家の発言は、「介入」「圧力」に等しいと受け止めるのが世間の常識ではないか。

 表現の自由を保障した憲法21条は検閲を禁じている。放送法も、放送番組に政治的公平や事実を曲げないよう求める一方で、「何人からも干渉されない」と規定している。安倍氏もそれを知らないわけではなかろう。番組に問題があると言うなら、放送後、オープンな場で批判する機会はいくらでもあるはずだし、最終的には番組を評価するのは視聴者である。

 NHKの予算や決算は国会承認を必要とする。承認時期ともなれば、政治部記者も含め関係者が国会議員に「スムーズな審議を」などと頭を下げることもあるという。政治に弱い体質はかねて指摘されてきたことだ。

 NHKは政府広報機関でなく報道機関だというなら、もっと詳細に事実解明を進め、自ら公表すべきだ。「圧力を受けて変更された事実はない」と見解を発表するだけでは説得力がない。加えて、ともすれば、日ごろの報道でも視聴者より「政治家のため」が優先していないか、組織をあげて検証すべきだろう。
 イデオロギーにとりつかれて、こういう視点を見失っちゃぁ報道機関としては終わってますよね。ま、読売の場合は「政府広報機関」だから、仕方ないか。NHK同様に、権力に取り込まれて、感覚が麻痺してしまっているのだろう。

■番組改変で内部告発窓口の弁護士、NHKの代理人(読売新聞)
 NHKの長井暁チーフ・プロデューサーが「外部の圧力で戦争報道番組を改変された」と公表した問題に絡み、長井氏が内部告発した際に窓口となった東京都内の弁護士事務所の所属弁護士が、番組改変を巡りNHKが訴えられた訴訟でNHKの代理人を務めていることが14日、分かった。

 原告の市民団体側は「裁判でNHKの利益を代弁する弁護士の事務所が告発の窓口も兼ねていたのでは、内部調査の公正さが保たれない」と指摘している。
 ははは…なんだそれ。なにかの悪い冗談だろ。

■NHKの長井暁チーフ・プロデューサー…いろいろな葛藤があったのだろうけども、あぁいう場面の涙はいただけない。情に左右される人と思われて、付け入る隙を与えるだけだ。まぁ、介入したとする証拠が出せそうもなく、負い込まれている感じだが。

■あと、「会長は政治の介入を恒常化させてしまった」とか余計なことを喋らされている感が否めないな。これではポスト・エビジョンイル体制をめぐるゴタゴタというようなイメージを与えかねない。

■このままいくと、証拠不十分っぽいな。ま、私自身は限りなく黒に近いグレーだと思っているが。だって、急遽、44分の番組を40分に削除したまま放送なんてこと、考えられないでしょ。外部からの力が作用したと考えるのが自然だ。

■また、この問題に力を入れている『しんぶん赤旗』によれば…
 しかし、この問題を最初に報じた「朝日」(十二日付)によると、番組放送前日の〇一年一月二十九日、安倍、中川両氏はNHK幹部にたいし、「一方的な放送はするな」「公平で客観的な報道にするように」「それができないならやめてしまえ」などと発言。「やめてしまえ」発言について中川氏は「朝日」の取材に「まあそういう(放送中止の)意味だ」と答えています。

 さらに「朝日」報道を受け、中川氏はこの事実を十二日に否定せず、「公正中立の立場で放送すべきであることを指摘したもの」と関与を認め、安倍氏も同様の見解を述べています。

 圧力をかけた当事者である中川氏が、「放送をやめてしまえ」といったことを認め、否定していないのです。それが、NHK見解によれば、放送三日後の話だというのですから、奇怪な話です。

 奇怪といえば、その中川氏がNHKと口裏を合わせるかのように十三日夜、会ったのは「二月二日」といいだしたことです。しかし、放送を「やめてしまえ」と述べたことは否定していません。中川氏は番組が放送された後、放送中止を求めたことになるのです。
 やはり情報の「整理」が行われたと見るのが自然でしょうに。


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