2004年12月14日火曜日

社説:台湾野党勝利

■台湾野党勝利の社説…

■産経新聞/社説「台湾野党勝利 曲折をたどる民主化の道」(12/12)
 中国は、中国との協調を重視する野党連合が勝ったことで、陳総統の自立化路線が否定されたと主張するだろうが、台湾では野党も「愛台湾」をスローガンにし、民主主義を唱えている事実を見誤るべきではない。
 

■読売新聞/社説[台湾野党勝利]「中国は民意を読み違えるな」
 だが中国は、対中融和派が勝利した意味を読み違えてはならない。民意は確実に自立化に向かっている。台湾・政治大学の意識調査では、現状維持派が多数を占めたが、中国との統一を望む住民は十年前の20%が今年は12%に減り、独立派は11%から19%に増え、逆転した。

 中国が、対中融和派の野党躍進を、陳政権揺さぶりの好機ととらえ、介入姿勢を強めれば、手痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。


■朝日新聞/社説「台湾選挙―この踊り場を生かせ」
 台湾と中国は主権問題で角を突き合わせながらも、一方で、経済の結びつきを日増しに強めている。

 今年10月までの貿易額は、昨年の同じ時期の36%増だ。台湾の対中投資も活発だ。大陸に滞在する台湾のビジネスマンは100万人にのぼるとも言われる。

 今度の選挙に、そのビジネスマンたちが大挙して戻り、投票したと言われる。中国を相手にする台湾の企業人が中台をつなぐ力となって、選挙の結果に影響を与えた可能性もある。

 経済では、急速に発展する中国と大きく先んじた台湾との相互依存は深まるばかりである。しかし、政治的には逆に遠心力が強まっているのが現実だ。
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 背景にあるのが「台湾人」意識の高まりだ。様々な世論調査を見ると、「自分は中国人」と思う人は80年代の末には50%を超えていたが、00年は10%台にまで落ち込んだ。逆に、「自分は台湾人」と考える人は80年代末では10%台だったのに、00年は30%台に達した。いまはこの傾向がもっと進んでいるだろう。
 今回の選挙は陳政権を牽制する結果になったとはいえ、台湾の自立志向そのものに歯止めがかかったとは言えない。


■毎日新聞/社説「台湾立法院選 民意は現状維持を選んだ」
 台湾の経済は、中国と密接にかかわりあい、中国抜きには成り立たない。大陸で働いている台湾の人々は100万人。台湾人口の23人に1人だ。冷静に考えれば、良好な中台関係が台湾と中国にウイン・ウインの利益をもたらし、対立が双方に損失を与えることはどちらも承知のはずだ。
 今後、陳政権には新憲法制定の見直しや中台対話の再開が課題となるだろう。中国もウイン・ウインを望むなら、それに応えるのが上策である。


■「台湾人」意識と経済依存性の高まりか…「現状維持派」というのは今後、ますます増加しそうだな。が、現状維持のままでは、台湾の状況は悪くなる一方じゃなかろうか。

■ちなみに、結論部分…朝日・毎日が中台は対話せよと言っているのに対し、
読売は「経済、軍事両面で膨張する中国に対抗するうえで、民主化は有効な手段だ。民意に基づく新たな対中政策の確立は、対話再開への近道となり、地域全体の安定にも寄与することになるからだ。」
産経は「日本も米国も台湾の現実を見据えつつ、東アジアの安全保障に死活的な意味を持つ中台関係を最大限注視する必要がある。」


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