会計検査院(森下伸昭院長)は9日、国費の使い道を検証した03年度の決算検査報告を小泉首相に提出した。税金の無駄遣いや不正経理などの指摘は285件で、総額430億円に上る。昨年の400億円を上回り、過去20年間で最悪となった。「無駄をなくす」と息巻いている小泉首相…このあり様は何だろう?
最も巨額の指摘は、21国立病院・国立療養所が医薬品などの代金払いを翌年度につけ回した76億円の違法な会計処理。これとは別に九州大学病院でも同様な不正経理26億円が見つかり、計100億円を超えた。
今回は、不祥事が相次いだ警察の捜査費や、国民年金事業に注目して行われたが、新たな不正や無駄遣いなどは見つからなかったという。
また、在外公館のテロ対策などとして外務省は126台の爆発物探知装置を約4億6000万円で購入し、76公館に配備したが、45公館の56台(約2億2000万円分)が利用されていなかった。
■これに関しては、地方の取り組みを見習った方がいいでしょう。
この結果を受けて、首相はどのような改善処置をするおつもりだろうか。ま、例のごとく、「しっかりやるように指示した」と言って、終了なんですかね。
■税金の無駄遣いなど430億円指摘 会計検査院が03年度報告(産経新聞)
指摘を受けた金額は厚労省と農水省が突出。厚労省では21の国立病院、療養所が医薬品や物品購入代金約76億円を次年度予算で支払う不適正な「つけ回し」をしていた。農水省は北朝鮮などへの食糧支援事業で、公益法人に支出した補助金のうち使われなかった約65億円を返還させていなかった。
贈収賄事件に発展した社会保険庁の金銭登録機の随意契約は「会計法令の趣旨に反して不当」と指摘。NHKチーフプロデューサーの制作費着服問題にも言及した。
公的資金の注入を受けたりそな銀行や足利銀行への金融庁の監督状況にも触れ、国民負担の増大を防ぐ観点から適切な対応を要請。地震や洪水の災害が相次ぐ中、橋の耐震補強工事や高規格堤防(スーパー堤防)の整備が進まない状況をデータで示し、国土交通省に重点的な対策を求めた。
■毎日新聞/社説「会計検査院 後出し報告では効果が薄い」(11/10)
会計検査院は昨年7月、北海道警北見方面本部の検査を実施した。同本部は「捜査協力者と会うために利用した」と架空の飲食店の領収書を作って提示したが、住宅地図に店が掲載されていないことが判明。会計検査院が説明を求めると今度はありもしない店の求人広告まで偽造したという。あきれるばかりの隠ぺい工作だ。
ならばなぜ、その時点で公表しなかったのか。一連の不正が国民に明らかになったのは昨年11月のマスコミ報道からだ。その後、元道警幹部らの証言があり、道警が裏金作りを正式に認めたのは今年7月。会計検査院は捜査機関でないとはいえ、いち早く公表し、厳しく対処を求めていれば道警の対応はもっと早かったはずだ。
道警が検査に直ちに反応した節はなく、「領収書は偽造の疑いがある」とようやく認めたのは昨年暮れという。内閣から独立した強い権限を持ちながら、検査院側は必要以上に遠慮し、検査を受ける側も軽視するのは公務員同士のなれ合いの構図と映る。周知された後、報告に記載するのは一種の「後出しじゃんけん」である。
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社会保険庁などから数字が上がってきたのは今年7月だったという。だが、これも督促して今春に公表していたら、当時の年金制度改革関連法の国会審議により大きな影響を与えていたに違いない。検査は予算編成や法改正など「次」に生かすためにある。年に一度報告をまとめれば事足れりというわけではあるまい。
「決算重視」という参院の意向を受け、会計検査院は今回、例年より1カ月近く早く報告をまとめた。従来なら年明けの通常国会に提出していた03年度決算も今月中に臨時国会に提出され、参院で審議が始まる。おざなりだった今までの決算審議と比べれば一定の前進ではある。しかし、それでも一省庁の決算審議に費やす時間は、参院でも数時間程度という。会計検査院は不正や問題点を把握したら、その都度公表し、随時、国会の審議に生かす。そんな仕組みを政府、国会あげて定着させることが、次の「決算改革」のステップになる。
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