最大の問題は、大会の肥大化だ。今回のアテネには、202の国と地域から1万人を超える選手が参加する。前回のアテネ大会は14カ国から241人の選手が参加しただけの質素な大会だったことを思えば、隔世の感を抱く。
規模が大きくなったことで、抱える問題も増大した。開催都市はわずか2週間余の大会に備え、競技会場から宿泊施設まで、膨大な投資をしなければならない。アテネは大会直前まで、準備の遅れが不安視された。
今後、肥大化した五輪を受け入れることができるのは、裕福な大国の、一握りの都市に限られ、イスラム諸国やアフリカの国々には無縁の大会になりかねない。シンボルマークの五つの輪は、五つの大陸をモデルにしているが、そのすべてを巡回することが果たしてできるのだろうか。
折から、8年後の夏季五輪開催地を巡り、国際オリンピック委員会(IOC)の委員を巻き込んだ不正工作の疑いが浮上した。五輪が「スポーツの祭典」の域を超えて、ビッグマネーが暗躍する舞台になっている現実の一端をうかがわせる出来事だ。
84年のロス五輪の成功に始まった五輪の商業化は、スポーツ本来の姿をゆがめる原因のひとつになっている。最大のスポンサーとして五輪を仕切るテレビは、五輪の世界的な普及に重要な役割を果たしたことは認めるものの、五輪で実施する競技の選別からルールの変更まで介入し、スポーツの魅力を損なわせている側面もある。
ドーピング(禁止薬物使用)問題も、商業化と無縁ではない。五輪での成功が巨額なカネを生み、それを追い求める不正の連鎖は、巧妙化する一方だ。
肥大化し、商業化した五輪はテロの恐怖とも正面から立ち向かわなければならない。ギリシャ政府は五輪の警備に10億ユーロの巨費を投じる。これは前回シドニー五輪の4倍近い額に上る。IOCもテロなどで大会が中止に追い込まれる場合に備え、最大1億7000万ドルを受け取れる損害保険に入った。アテネ市内で頻発する爆弾事件も気にかかる。これほどテロの恐怖を身近に感じながらの大会は初めてのことだ。
「肥大化した五輪を受け入れることができるのは、裕福な大国の、一握りの都市に限られ、イスラム諸国やアフリカの国々には無縁の大会になりかねない。」…なるほどね。ギリシャの工事の遅れも笑い事ではないのかもね。
五輪放送、インドネシア国民はテレビ観戦できず?(読売新聞)
インドネシアのテレビ各局が「放映権料が高すぎる」などとしてアテネ五輪の放映権を取得せず、五輪参加国・地域で唯一、国民がテレビ観戦できなくなる公算が大きくなっている。
インドネシアは男女バドミントンなどに39選手を派遣するが、地元各紙によると、主要テレビ局10局は「スポンサーが集まらない」などとして放映権を取得しない方針を表明した。
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