2004年8月27日金曜日

がっかり名所

■日本経済新聞/春秋
 世に「がっかり名所」なる言葉がある。確定した場所があるわけではないが、国内では高知のはりまや橋、札幌の時計台などがよく例に出る。大げさに言えば、期待と現実の差を知る時の落胆という、人間誰しも味わう悲哀が底にあるので広まった言葉だろう。

一生懸命だった選手たちには酷な言い方か、いや、プロの精鋭に「よく頑張った。勝負は時の運」と慰める方が失礼なのか。どちらか分からないまま、あえて言えば、日本プロ野球はアテネ五輪の“がっかり”だった。銅メダルはとったものの、選手やコーチは絶対に金だと公言し、我々もそう思っていたのだから。

「すべてが甘すぎたか」。準決勝敗退を分析した本紙記事は、そう書き出した。職場や夜の飲み屋で、長嶋ジャパンの甘かったところを挙げてテーブルをたたく人がいるに違いない。監督役の中畑ヘッドコーチが「どうして負けたのか……」と漏らすぐらいだから、議論は果てないだろうが。
 「がっかり名所」から入るのがさすがにうまい。私自身も、野球のようなマイナースポーツでは、キューバぐらいしかライバルはいない…などと言ってきたわけで、完全になめていたわけだ。まぁ、選手やコーチに同様の考えがあったかは定かではないが。

■「がっかり名所」…調べてみると、札幌の「時計台」、高知の「はりまや橋」は確定しているのだが、もう一つが定まらないらしい。名古屋の「テレビ塔」や京都「京都タワー」、沖縄・那覇の「守礼門」、長崎の「オランダ坂」など諸説あるようだ。


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