2004年8月22日日曜日

オリンピック×24時間テレビ

■『24時間テレビ』についてメモ。「障害者+試練=感動」という仕組みばかりなんで、見る気もしませんが。

■「24時間テレビ」とは、健常者が障害者のためにチャリティをするものではない。それはむしろ逆である。あくまでも「健常者」のための番組であって、「障害者でもこれだけやれる」と健常者が障害者に勇気づけられるための番組である。


■今年のテーマ「あなたの夢はみんなの夢」
 1978年にスタートした「24時間テレビ」も27回目。
 今年は日本中が一つになるオリンピック期間中と言うこともあり、日本中に愛と感動を届けてきた夏の風物詩も、いつにも増した熱い汗と涙のチャレンジをして行きたいと思います。
 これまで「24時間テレビ」は、“愛は地球を救う”の命題の下、お年寄りや体の不自由な方々への支援、そして海外援助や国内災害緊急援助を、テレビが積極的に行うという番組創設時からの基本理念を、四半世紀以上にわたり全うしてきました。
 昨年からは、地球環境保護について支援する活動が始まり、”夢”叶う舞台である次世代の日本へ向け、テレビの前の方々一人一人が“年に一度、自分たちの暮らす周り・地球について考える日”として、チャリティの主役となる国民的行事へと成長させたいと考えます。
 
 番組の趣旨説明。今年も障害者使って感動させまっせ!…この一文で十分なのにね。

■「オリンピック期間中」と「いつにも増した熱い汗と涙のチャレンジをして行きたい」ってのは、どういう因果関係があるわけ? それは製作者側の決意表明でしかないんだよ。これは、オリンピックに視聴率で負けないようにがんばります…って書いてるようなもんだ。見苦しいったらない。まぁ、五輪に対して、「24時間」は作られた感動ですからね。そら、勝つのは難しいよ。


■「番組創設時からの基本理念」だってさ。障害者を出汁に視聴率を稼ぐってのが、そんなに崇高な理念かねぇ? さすがにそういった障害者一辺倒じゃぁ、まずいってんで、最近では環境問題ですか。やれやれ…普段、どれだけ日テレが環境問題に力を入れているのか、まずそれを示して旗振り役をやって欲しいよ。「チャリティの主役となる国民的行事」だってさ。笑わせるよなぁ。勝手に国民が動因されちゃったよ。その「国民的行事」で儲けてるのはどこのどいつだ?

■出演者
☆チャリティパーソナリティー 嵐(二宮和也/相葉雅紀/大野智/松本潤/櫻井翔)
☆総合司会 徳光和夫/松本志のぶ(日本テレビアナウンサー)
☆スペシャルサポーター 東山紀之
☆マラソンランナー 杉田かおる
☆番組パーソナリティー オセロ
 今年のアイドル枠は「嵐」か…視聴率きびしいんじゃないの?でも、今後どうすんだろうね。ジャニーズでローテーションでも組むのか?

■放送時間が、2004年8月21日(土)午後7時30分〜22日(日)午後9時24分…って、ちっとも「24時間」じゃないのはいかがなものか。

■「チャリティー企画」ってのもワンパターン化してるよな。障害者がんばる、タレント応援する…みたいなさ。

●チャリティパーソナリティー企画「音楽がやりたい」
⇒様々な障害者を嵐のメンバーが応援するらしい…

●事故から10ヶ月 未来を開け!決意の車いすトライアスロン
⇒下肢障害の人を舞の海が応援するらしい…

●曙太郎も応援!双子の兄弟が障害乗り越え40キロ川下りに挑戦
⇒先天性の脳性麻痺による運動機能障害の双子を曙が応援するらしい…「昨年末にK−1ファイターとしての新たな道を歩み始めた曙さん。巨体をボートの上に揺らしながら、双子のチャレンジをサポートします」だとさ。
 曙のK1の成績はどうなんだ?他人を応援している場合か? 去年までやってた「おデブちゃんと呼ばないで」シリーズ(障害者の代役にデブを使う)を曙でやればよかったのにね。デブでもK1で勝てるかってね。今のところ1勝もできてないからうってつけだよ。

●ホームベースまで歩きたい!ヤンキース松井がくれた勇気
⇒脳性麻痺により足が不自由な少年を松井秀喜が応援するってもの。前にもこの少年は登場していたらしい…
松葉杖なしで、本塁から一塁ベースまで歩く練習をしていた納見元基君(当時9歳)は、松井選手の大ファン。松井選手の目の前で、見事その夢をかなえた納見くんに松井は「24時間テレビの当日、ホームランを打つ」と約束。残念ながら打てなかったものの、その真摯な姿勢が視聴者に大きな感動を与えました。

 うわー、なんか思い出したわ。確か「ベーブルースになりたいばっかじゃん!」ってツッコミを入れた記憶がある。松井って妙に「ヒーロー」になろうと必死なとこあって、すごく鼻につくときがある。視聴者に大きな感動を与えた…だってさ、ほんとかよ。

●Qちゃんと笑顔でかわした約束 自閉症の少年が最後のレースで…
⇒アテネでマラソンがある日にこれかよ。終わった後に五輪のマラソンが始まるってのは残念だよな。高橋尚子とぶつかっても、チャリティーマラソンとぶつかっても面白い。

■「チャリティマラソン」…毎年毎年、わけのわからない理由を無理やりつけて、意味もなく走る。なぜか、それが感動を呼ぶらしい。あぁ、なんて単純な仕組みなんだ。

■「波瀾に満ちた人生を送ってきたランナー・杉田かおるの今年ならではの輝きにご注目ください。30代最後の夏、100km完走へ向けて猛暑の中トレーニングを続けています」だってさ。「30代最後」とか「猛暑の中」ときたもん。「かわいそうでしょ?」「がんばってるでしょ?」と迫り、だから応援してよってくるんだからな。たちの悪い脅しだぜ。あんたらが勝手に走ってるだけじゃん。

■「波瀾に満ちた人生」って言うけどさ、それを肥やし(ネタ)に、杉田はカムバックしたんだから別にいいじゃん。これでキャラ変更したら、杉田はやってけないよ。日テレは潰すつもり?


■…と、ここまで番組ホームページを見て書いた。今年はあんまり見ないと思う。


【観察日記】

■深夜の芸人枠を見た。「決定!憧れの芸人No1は誰だ!?若手芸人が徹底大討論」ってのを見た。ロンドンブーツ1号2号が司会。「ビートたけし」「明石家さんま」「ダウンタウン」「志村けん」「ダチョウ倶楽部」がその「憧れの芸人」なんだそうだ。大量の若手芸人が出ていたが、人的資源の浪費としか思えない。まだネタ見せ番組をやった方がマシだったろう。若手お笑いブームにのっかかろうとしたのかもしれないが、フジ27時間の足元にも及ばない。まぁ、ロンブーの力不足って感じもしたし、フォローするポジションの芸人もいなかった。

■曙&双子兄弟の40キロ川下りの最後はちらっと見た。主役の三人よりも、後ろの大人二人が一生懸命こいでいたように見えたのは気のせいでしょうか。

■ラスト1時間ぐらい録画したけど(新撰組を見てた)、たぶん見ることはないと思う。ハプニングおきてないっぽいし。ラストはタイミングぴったりでゴール。例年どおり、途中あんだけへばっていたのに(時間調整中)、ラストは超元気。


【関連記事】
24時間テレビ 2002年…基本的批判はここに書いてある。
24時間テレビ 2003年


■コラム甘口辛口(サンケイスポーツ2004/08/24)
 感動といえば、五輪の合間に見た22日の日本テレビ『24時間テレビ』も涙、涙…で、今年も“感動の極み”ではあった。日本武道館まで女性芸能人を走らせる、恒例の100キロマラソンでは「酒も男も断って、負け犬女性を代表して走る」といっていた女優の杉田かおるが、足の痛みに耐えながら完走。これまた“感動”だった。

 しかし、素人が残暑の中、一昼夜も走らされれば、涙を誘うほど痛々しい姿になるのは当たり前だ。視聴者は五輪で本物の感動に浸っている最中。意図的な感動の押し売りには、今年は間が悪かったようだ。


■杉田100キロゴール37・8%(日刊スポーツ2004/8/24)
 日本テレビ「24時間テレビ27 愛は地球を救う」で、タレント杉田かおる(39)が100キロマラソンを完走した22日夜の時間帯(午後8時から午後9時34分)の平均視聴率が、週間2位の25・1%を記録した。瞬間最高は午後9時23分の37・8%で、ゴールした杉田が「夢の中にいるみたい」と喜びを語った場面。山田花子(29)が走った昨年の瞬間最高34・6%を上回った。24時間の平均は11・7%で、同番組史上14位。
 とほほ…そうなのか。残念。


一本木剛『たかがテレビじゃないか!』
「24時間テレビ」VS「27時間テレビ」 (日刊ゲンダイ2004年8月28日)
 開始から27年。目立つ仕掛けがないと視聴者もついて来ないと考えたのだろう。制作側の合言葉が聞こえるようだ。「とにかくハンディキャッパーを探せ!」「子供で泣かせろ!」「困ったときは100キロマラソン!」。この3つで貫いた。

 まずは脳性マヒで足の不自由な少年。ヤンキースの松井に会うために歩行訓練をし、渡米する。また、やはり脳性マヒで運動機能障害の双子は曙太郎とボートで40キロの川下りだ。交通事故で手足が不自由な少女がピアノを弾く。さらに、高橋尚子とランニングをする自閉症児も登場した。

 いずれもハンディを越えて「夢に挑戦する」子供たちである。涙ながらに見た人も多かったに違いない。

 でも、泣けなかった。感動もしなかった。なぜならすべては番組が番組の事情(視聴率を取るべきスペシャル番組)でしつらえた夢だったからだ。ちょうどこの日、番組の裏では甲子園の決勝戦が展開されていた。駒大苫小牧と済美の死闘は理屈を超えた感動を呼んだが、それは結果としての感動であり、「24時間テレビ」は目的としての感動なのだ。

 この違いは大きい。ハンディキャッパーの少年らは確かに頑張っていたが、制作側にとって彼らは素材であり、視聴率のための手段という側面を否定できない。

 チャリティーという名の募金がしたければ、最初に日テレ社員が不当に高い給料を差し出せばいいし、司会の徳光や出演タレントもギャラを寄付すればいい。善意面してハンディのある子供たちを出演させ、人のいい視聴者から2億4790万円も“徴収”するな。

 フジの「27時間テレビ」は同じばか騒ぎでも、単なる“お祭り”を標榜しているだけマシ。腹も立たない。意味のない100キロマラソンの密着物を翌日に放送し、さらに儲けようとするのを見て、二度あきれた。
 すばらしい。無駄に長い私とは大違い。


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