2004年7月22日木曜日

東アジア共同体

■東アジア共同体(毎日新聞/経済観測 2004年7月21日)
 東アジア共同体創設を巡る論議が活発化している。この面で中国が先行し、わが国の出遅れが目立つ状況について、中曽根康弘元首相も憂慮の念を表明している。誠に同感だ。
 確かに経済をはじめ宗教、文化など多様性と質的格差を抱えるこの地域を、総じて同質構造の西欧と同列に論じることはできない。経済統合、ましてや政治統合への道はより険しくかつ時間を要する。
 といってチャンスをつぶしてしまうのでは元も子もない。すでに東アジア諸国は、民主化、市場経済化の地歩を固め、域内の貿易、投資も着実に拡大している。欧州モデルを参考にしながら、地域に適合した現実的アプローチが必要だ。
 当面の課題は、2国間FTA(自由貿易協定)ないしEPA(経済連携協定)の拡大が第一。わが国には、とりわけ人と農業の鎖国の大転換が欠かせない。第二は通貨・金融協力の推進。欧州でも実体経済(下部構造)の条件整備が先決で、上部構造(通貨面)はその後との議論が有力であった。正論だが、通貨面の先行がかえって実体面の統合を促すとの現実的な判断が優先された。その延長線上にあるのが単一通貨ユーロである。
 このシナリオはアジアにも適用可能だと思う。すでにASEANプラス3の間で、相互金融支援(スワップ)協定網が整備され、アジア通貨建て債券市場の育成も軌道に乗りつつある。さらに共通通貨導入の方向性も示され、そこではドル、ユーロに加えて円をはじめとする域内通貨を組み入れた通貨バスケットの構想が描かれている。その際、第三の国際通貨である円を擁し、かつ世界最大の純債権国、資本輸出国であるわが国の果たすべき役割は極めて大きい。最後にこうした動きが対米関係と両立することを強調しておく。(幸兵衛)

 この問題に関して、日本人の意識が低すぎるように思える。


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