2004年6月5日土曜日

良識の府? 参議院

■参議院は「良識の府」なんだそうだが、いったいどこに「良識」を見出せばよいのか、と思わせる年金強行採決について。
■参院厚労委の質疑で、民主党の山本孝史から「マクロ経済スライド」を問われ、しどろもどろになる小泉総理。「私は経済の知識は乏しい。専門家の意見を聞きながらやっている」と経済オンチを理由に特技の「丸投げ」を正当しようとした。政府の最高責任者が法案の骨格すら理解していないことを露呈した。で、これ以上質問されたらもたないと思ったのか、社民党・共産党、他一名の質問を打ち切って強行採決するという暴挙にでた。
■社説はどう扱っているのか…と思ったら、読売新聞や産経新聞は取り扱わず。まぁ、これは「しんぶん赤旗」に共産党批判を求めるようなもんで、与党機関紙に政府批判を期待することが間違っているのかもね。
■毎日新聞社説
参院審議では政府案の根幹となっている厚生年金の給付と負担について、ごまかしが明らかになった。政府案は保険料固定方式で、同時にモデル世帯の給付水準は現役世代の平均収入の50%を確保するというのが骨子だが、これがあいまいなのだ。坂口力厚生労働相は、出生率や賃上げ、物価の動向によっては、「給付水準を維持するための財源として保険料引き上げも選択肢のひとつだ」と答弁している。政府案は保険料を段階的に引き上げて18・3%で固定するという内容だが、それより上がるというのでは政府案への信頼は根底から崩れてしまう。
 改革法案には「50%の給付水準確保」が明記されているが、それは65歳の年金給付時点のことで、それ以降は50%を大きく割り込んでいく。厚労省がこの試算を出したのは衆院を通過した後だ。しかも、モデル世帯以外の独身者や夫婦共働き世帯では給付開始時点から現役の50%には達しない。

しかも、不誠実極まりない政府の情報隠しによって、データは審議の最終段階になってやっと出てきた。十分な審議ができたとは到底言えない。これでもなお、公明党は「百年安心」と強弁するつもりか。だけど、創価学会員と違って、池田大作クラスのインチキ・トンデモを信じぬく信仰心を国民に強いるのは無茶な話ですよ。
■「なぜ急いで成立させなければならないのか。国民が納得できる説明がないまま、強行採決したことで、年金不信は一層深まったと言わざるを得ない」(毎日新聞)。参院選の争点にさせないためなのかと勘ぐりたくもなる。争点がない→無関心→低投票→創価学会パワー炸裂→与党の勝利…って筋書きなのだろう。「そうはイカンザキ!」…って、くだらんことを言わすな。
■年金論議の「最後の砦」であった参院審議も盛り上がらずに終わった。「良識の府」といわれながら、参院が「歯止め」の機能を果たしていないことが露呈した。参院が衆議院の「カーボンコピー」と言われてきたが、今回の件で「参院無用論」にますます拍車がかかるかもしれない。
■参院選挙が近い。「低投票率」を問題視する声が今から聞こえてきそうだ。しかし、投票の棄権に「参院なんていらない」という「世論」ということもあるのかもしれない。
■「卒業式できなかった」=消えた最後の質問−引退の西川議員、がっくり(時事通信)
 無所属の参院議員を18年務め、今国会を最後に引退予定の西川きよし議員は小泉純一郎首相への12分間の質問を控えていた。「卒業式」のつもりで練り上げた質問が強行採決で不可能に。「卒業式ができなかった」としょうぜんとした様子で語った。
 西川議員は他の議員の質問の間にトイレに立ち、戻ってきたら既に散会していた。採決にも加わっておらず、「(学校の)門を閉められ、卒業式がなかった上に、期末テストもなかった気分ですよ」とさびしそうに笑った。
 「18年間頑張ってきて、今回が最後。僕なりに総理への質問を温めてきた。どんな答弁をいただけるのか楽しみだった」と西川議員。「議員活動で全国の人に喜んでいただいて、良い卒業式をしたかった。本当に残念です」と目を落とした。
 西川きよし の卒業式?…そんなん知らんがな。同情する人もいるかもしれないが、18年間無所属で具体的にどのような仕事をしてきたのかを私は問いたい。入学金も授業料も払わないばかりか、血税を食い潰し、さらに議員年金までもらえる。「卒業式」がないぐらいでつべこべ言うな。
■昨日の「報道ステーション」に岡田克也が出演しており、「(質問できなかった)三人とも論客なので…」という見事なボケに笑った。勉強大好き岡田サンが西川きよし を「論客」にしちゃいましたよ。あわわ…
■「報ステ」つながりで言えば、気持ち悪いぐらいに古館伊知郎が岡田をヨイショしてた。テレビ朝日政治部は本当に民主党好きなんだなぁとつくづく思った。あと、強行採決を古館が実況し始めたのはどうかと思った。久米宏を意識しすぎって批判を回避するねらいがあったかどうかは定かではないが、無理に古館色を出しても空回りするだけだと思う。
■長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件をめぐり、井上喜一 防災担当相が変なことを言っているらしい…
「しかも(加害児童は)女ですからな。女の子だからね。これは従来の考え方をある意味で覆すことになる。男がなんか無茶をやって、ということはあったかも分からんけど、女の子(の事件)は初めてじゃないですか。今まであったかね。最近は男、女の差がなくなってきたんだね。まあ、元気な女性が多くなってきたということですかな、総じて、どこの社会も。」
 犯罪によって、男女の差はなくなったなぁ…と感慨深げに語っている。そんなこと言ってると、「ジェンダーフリー」に発狂してる産経新聞に叱られるよ。…しかも、このおじいちゃん、いつの時代の話をしているんですか。「従来の考え方」っていったい何世代前のはなし?そういう話は石原慎太郎にでも聞かせてあげてよ。
■スーパーフリーの事件の際、「集団レイプをする人は、まだ元気があっていいんじゃないですかね。まだ正常に近い」と放言したのが太田誠一(前衆議院議員…その後、落選)だが、この発言も「人を殺す人は元気がある」と言っている印象が残る。軽率という非難は当然だが、まぁ「スーフリ、元気があってよろしい」発言と比べれば、「失言」ですまされそうな感じもする。
■「防災担当相」といえば、前任者の鴻池祥肇も「(加害者の)親なんか市中引き回しの上、打ち首にすればいい」(2003年7月、長崎児童殺害事件)って言ってたな。「防災担当大臣」には、なにか暴言を吐かなければいけない決まりでもあるのか。「暴言担当大臣」も大変である。なにせ落選と隣り合わせだ。


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