2003年6月27日金曜日

ファン・ジャンヨプ/対話と圧力

■訪韓している拉致被害者家族会が、韓国の拉致被害者家族会と連携を確認したり、金泳三(元韓国大統領)や北朝鮮から亡命した元朝鮮労働党書記の黄長火華(漢字がでない…ファン・ジャンヨプ)と会談を行ったと報じられている。
■ファン氏は、拉致について何か知っていると思われるが、語らなかった。ファン氏は韓国では軟禁状態だと言うから、北朝鮮に配慮をする韓国政府からの圧力だろうか。あるいは、来日することが目的なのだろうか。つまり、拉致問題について、なにか知っているとなると、聞かないわけにはいかない。当然、日本政府として、韓国にファン氏の来日を求めていくだろう。(万が一、来日して亡命したいと言い出せば、厄介な外交問題になるね。)
■日本のメディアと違って、韓国メディアは、日本の拉致被害者家族会の動向をそれほど追っていないように思える(中央日報・朝鮮日報・東亜日報のウェブを読んだ限りでは)。世論は拉致に関して、極めて冷たい態度を取っている。日朝首脳会議が行われる前の日本がそうだったように。
■たしか船橋洋一だったと思うが、対北朝鮮政策の日米韓の違いを信長・秀吉・家康でたとえていた。ワシントンの強硬路線は「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」(織田信長)である。一方、太陽政策を掲げる韓国は「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」(徳川家康)。そして最後に「対話と圧力」の日本が「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」(豊臣秀吉)となる。
■だが、従来の板ばさみ状態で何もできなかった日本を秀吉に例えることはできようが、現在の日本はそれができないように思われる。つまり、「圧力」を与えることは簡単だが、「対話」が全くできていない。北朝鮮が拉致を認めた後、日本の論調は政府や外務省の予想とは乖離した状況になった。そして現在の日本は、アメリカ的な強硬路線(織田信長)に傾斜しつつある。
■日本の態度の硬化は、「譲歩したら相手につけこまれる」という教訓を北朝鮮に与えた。さらには、「拉致を持ち出すと収集がつかなくなる」という教訓を、太陽政策を掲げる韓国にも与えただろう。拉致を取り上げると北朝鮮を刺激してしまうことになる、という韓国の言い分の影には、そういった事情も見え隠れしている気がする。
■太陽政策を掲げる韓国と「圧力」重視の日米…今後、さらに軋轢が生じてくるかもしれない。それを北朝鮮は見逃さないだろう。実際、韓国に対して、「同胞」「祖国統一」という感情的な道具を使って揺さぶりをかける。アメリカ、そして日本の「圧力」のなかで、北朝鮮は、「韓国」という「命綱」の確保に必死だ。
■韓国では金大中(キム・デジュン)政権が北朝鮮側に1億ドルを支援することを約束したとされる疑惑でもちきりのようだ。北朝鮮にいいように振りまわされた南北首脳会談…あれが1億ドルか。まぁ、金大中にしてみたら、それで国民をだませたわけだし、ノーベル平和賞までもらえた。結構、おいしい買い物だったかも。でも、盧武鉉(ノ・ムヒョン)は厄介な問題を引き継いでしまったなぁ…太陽政策が問われることになるかもしれない。


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