2004年11月18日木曜日

自民党憲法調査会:憲法改正草案

■自民党憲法調査会(保岡興治会長)が、憲法改正草案大綱の素案をまとめ、同日の憲法改正案起草委員会に提示した…らしいですよ。

■自民が憲法改正素案 「自衛軍」設置、女性天皇は容認(朝日新聞)
 安全保障に関する規定では、「個別的、集団的自衛権を行使するための必要最小限の戦力を保持する組織として、自衛軍を設置する」とし、現行の憲法解釈では認められていない集団的自衛権行使の容認に踏み込んだ。また、自衛軍の任務として、「国際貢献のための活動」を明記、海外での武力行使を伴う活動にも道を開いた。

 一方で、武力行使を伴う活動を行う場合、原則として事前の国会承認を義務づけるなど、一定の歯止めをかける規定も整備。「国民の責務」として「国家の独立と安全を守る責務」を挙げたが、徴兵制は否定している。非核3原則も憲法に盛り込むとした。
 「国際貢献」ねぇ…この言葉によって、いよいよ「自衛」が意味をなさなくなるわけだ。「国民の責務」…これを根拠に、奇妙な法律ができるんでしょうねぇ。

 天皇については「元首」としての位置づけを明確化。「皇位は世襲で男女を問わず皇統に属する者が継承する」として、女性天皇を容認した。「日の丸」を国旗、「君が代」を国歌とすることも「総則」に盛り込む。

 基本的人権に関しては、「新しい権利」を追加するとして、具体的には(1)名誉権(2)プライバシー権(3)肖像権(4)知る権利(5)犯罪被害者の権利、を挙げた。青少年を保護するため、「出版及び映像に関する規制を法律で定める」との規定も創設する。

 国会は二院制を維持するが、衆院の優越性を強化する。地方自治では新たに道州制を導入し、自治体を道州、市町村、自治区(仮称)に分ける。


■で、すばやいリアクション…

��ニュース分析>「経済ほどに軍事も大国に」(中央日報)
「経済大国に見合った強大国になろう」と主張してきた保守右翼勢力の考えがほとんど反映された。 自民党改憲案がそのまま確定した場合、世界で国防費が2番目に多い日本が、本格的に軍事強大国として登場することを意味する。 このため、近代史で日本の侵略に途方もない苦痛を受けた韓国や中国は憂慮するしかない。また、日本の軍事力増強は中国を刺激し、北東アジアの軍備競争を加速させる可能性もある。 韓国としては非常に厳しい状況となる。



中央日報/社説「軍事大国を指向する日本の改憲案」(11/17)
われわれは、日本が経済力に見合った軍事力を保有し、自国の防衛に責任を負うという、いわゆる「普通国家化」論理には反対しない。 しかし自衛隊を軍隊に昇格させると同時に、集団的自衛権を認め、国際平和のための武力使用を可能にした条項については、深刻な憂慮を表明するしかない。 国際貢献というあいまいな条項と集団的自衛権の行使を認める文句は、結局、日本軍の地域軍としての役割拡大を念頭に置いているからだ。
日本自衛隊のこうした役割変更および拡大は、東アジア地域の情勢が険悪になった場合、むしろ地域情勢の悪化を招く可能性が高い。 強大国が向き合う東アジア地域は、領域内勢力間の葛藤要因が常に存在するだけでなく、将来、米中間の競争が本格化した場合、最高の緊張地域になることも考えられる。 こうした状況で日本の軍事大国化は、周辺の緊張をいっそう高めることになる。 この地域にはまだ領域内の葛藤を調整、協議して緩和させる多者安保協議体も用意されていない。
歴史的にも日本は帝国主義の経験を持っている。 日本はこれまで、自国によって莫大な物的・心理的被害を受けた東アジア地域民に対し、本当の謝罪や和解をしてこなかった。 むしろ過去を歪曲、ねつ造するように行動してきた。 こうした点で、われわれは日本の改憲を不安な目で見守るしかない。 日本は軍事大国化に進むよりも、経済力を通して地域平和に寄与することに外交の力点を置き、周辺国の憂慮を払拭するのが正しい道だ。

■産経新聞/社説「自民改憲原案 妥当な日本の『国柄』明記」」(11/19)
 自民案は九条改正では「戦争放棄」を残すものの、「自衛軍」設置と集団的自衛権の行使を明記した。国際貢献のための海外での武力行使も容認する一方、「必要かつ最小限の範囲内で行わなければならない」と、「制限された自衛権」を明確にした。
 戦後日本が目をそむけてきた平和をつくる軍事力の役割を正当に評価したものだ。イラク派遣自衛隊が「軍隊」としての位置付けがないため、警察権の範囲でしか対応できない武器使用などの問題点は是正されよう。
 「制限された自衛権」は、民主党が六月にまとめた「憲法提言中間報告」で打ち出した「最大限に抑制的な武力行使」と相通じており、共通の基盤を構築しようとの努力もうかがえる。
 「基本的な考え方」では「新憲法をわが国の歴史や伝統などを踏まえた価値観(国柄)を体現するもの」と定義した。天皇については「元首」と位置付けして、国旗・国歌も明記した。
 日本の国柄は、現行憲法にはうかがえなかっただけに妥当である。憲法改正手続きの緩和も支持したい。
 ただ生煮えの部分も少なくない。
 第二章の「象徴天皇制」では「皇位は、世襲のものであって、男女を問わずに皇統に属する者がこれを継承する」と、女性天皇を容認した。
 自民党内では、女性天皇は「皇統に属する男系男子」の継承を定めた皇室典範を改定して認めるべきだとの意見が多い。憲法に明記することなのかどうか、議論をもっと深める必要がある。

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