2004年11月29日月曜日

改革派知事の政治手法

■高知県知事選…橋本大二郎が5選。やっぱ、そうなりますか。そもそも、選挙の必要性があったのかどうかが不明なんだ。

■読売新聞/社説[県知事選]「問われる“改革派”の政治手法」
 橋本氏への辞職勧告のきっかけになったのは選挙資金疑惑だ。“改革”を掲げて初当選した十三年前の知事選で、選挙事務所の事務局長が後援会長から1億円を借り、県のダム工事を受注した企業からの裏金で返済した、というものだ。

 橋本氏は一貫して自らの関与を否定している。だが、投票前の本紙世論調査では、六割近い有権者が「十分な説明をしていない」としていた。 橋本氏がまずなすべきは、議会で説明を尽くし、自らの「政治とカネ」の問題にけじめをつけることではないか。

 橋本氏の勝因は高い知名度に尽きる。投票率は前回並みだったが、疑惑問題以外に、争点は乏しかった。
  「県民に信を問う」と田中康夫の真似をしたんだけども、これで県民に対する説明責任がなくなると思っているのか。田中知事と同じ「居直り選挙」だが、それとは比べ物にならないくらい悪質のように思える。

■我こそは「改革派知事」で、引き摺り下ろそうとする「抵抗勢力」と戦っている…そんな構図を作り出す。疑惑はあるけども、「抵抗勢力」に行政を譲り渡してよいのか? そう啖呵を切って、居直るのである。もはや脅しじゃないか。

■で、知名度を生かして見事に当選ですか。「県民の理解を得られた」という都合のよい解釈が成立して、めでたしめでたし…ってわけね。
 橋本県政は他県に先駆けて新たな施策を打ち出した。国体の簡素化や森林環境税の導入、県内の港への入港艦船の非核化条例の提案や県職員採用試験の国籍条項撤廃などだ。

 だが、とくに非核化条例など、国の政策と齟齬し、自治体が提起するのには疑問な施策もあった。それが自民党を中心に議会の反発を招くことにもなった。

 高知県は、財政力指数が十七年連続で全国最下位だが、地方交付税頼みの県財政の改革は進んでいない。県民の生活向上や地域振興も遅れている。橋本県政にも、その不満がくすぶっている。
 そのあたりが争点にならないのも当たり前のこと。だって、この出直し選挙は政治資金疑惑から端を発するわけで。

 無論、談合政治や議会とのもたれ合いは戒めるべきだ。だが、同じ改革派を看板にする鳥取県の片山善博知事や岩手県の増田寛也知事らは、議会も重視して、行財政改革に取り組んでいる。

 片山氏らは中央官僚出身で、手堅い行政運営が身上だ。橋本氏や田中氏らはパフォーマンス型の色合いが濃い。それが政治手法の違いにも表れたのだろう。

 国と地方の税財政を見直す三位一体改革が進み、自治体の裁量が広がれば、今以上に知事の力量が重要になる。どの知事も“改革”を避けては通れない。その手法と成果がますます問われる。
 かつて「市民派」といういかがわしい語句が喝采を浴びたが、今ではすっかり「改革派」の時代だ。もはや誰もが皆、「改革派」なのである。

■田中康夫あたりは自治省・総務省出身の知事ばかりであると嘆く。だけども、それがどのような弊害を生んでいるのか不明確で、単なる自己優位性のアピールとも受け取れる。

■しかも、そういったネガティブ・キャンペーンの有効性は、片山善博や増田寛也によって取り払われつつあるんだよね。

■官僚出身知事であれ、パフォーマンス知事であれ、ようするに「改革」の中身次第だ。ま、言うは易し…ですね。


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