2004年9月9日木曜日

テロリストに屈しない

■ロシア南部北オセチア共和国で起きた学校占拠テロ事件について…さて、こんな「美談」をご存知だろうか?
■テロリストに抗議した勇気ある少年射殺され(夕刊フジ,2004/09/06)
 勇気の抗議も銃弾が粉砕−。犯人グループに猛然と抗議したため、その場で銃殺された13歳の少年がいたことが分かった。
 殺されたのは、ハッサン・ルバエフ君。拘束から2日目の2日夕、人質が集められた体育館で突然立ち上がり、武装組織に「あなた方の要求には誰も応じない。われわれを殺しても何の役にも立たない」と叫んだ。
 犯人の1人が「正しいと確信しているか」と問い返し、ルバエフ君が「はい」と答えた次の瞬間、銃声が響いた。
 正義感が強く誰とでも友達になったが、年上相手でもひるまなかったルバエフ君。友人は「本当の勇気の持ち主だ」と、その死を惜しんだ。

■産経抄
 ▼そんな中世的暗黒と狂信の現場で、一すじの光明を見た。十三歳のハッサン・ルバエフという少年の勇気である。彼はテロリストに正面切って抗議、「あなた方の要求にはだれも応じない。われわれを殺しても何の役にも立たない」と叫んだという。
 ▼テロリストは「お前はそう確信するのか」と問い返し、ルバエフが「はい」と答えると次の瞬間に銃声が響き、少年は倒れた。なんという野蛮、しかしまたなんという勇気だろう。堂々と正義を訴えて散った少年の光芒の人生を、涙してたたえたい。

 たしかに「テロ」という不条理に対し、「No!」と言う少年…なんとも心をうつではないか。が、一方で、このような行為を手放しに賞賛してよいものだろうかとも思う。これって「勇気」というよりも、「無謀」に属するもんじゃないか。「生きて虜囚の辱めを受けず」にも通ずるものがあってさ。
■あるいは、あなたにかわいい子供がいたとしよう。その子供に対して、彼のような「勇気」を持てとあなたは実際に教えるだろうか? あるいは、そう教えるべきなのか?
■ときどき、この種の「美談」に出くわすが、どこかおかしい。まぁ、幼くして命を落とした彼を、最大限の栄誉とともに弔ってやろう…そう我々は考えるのかもしれないが。


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