2003年12月2日火曜日

産経新聞・朝日新聞

■産経新聞12月2日付け産経抄
しかしイラクで死んだ二人の外交官の日常は決してそうではなかった。

産経は他紙とはやはり違う。
せっかく犠牲になったんだから無駄死にさせてなるものか、とばかりに、産経は「遺志」を乱発している。
「このところ外務省の体質や外交官の行動の評判といえば、芳しくない不祥事ばかり続いた。外務省は『何事も荒立てない』を外交と心得るらしく、たとえば中国や北朝鮮に対しては主権国家として国益を踏まえた外交を展開できなかった。」
��↑結局、中国・北朝鮮に対する強硬路線を主張したいがために持ち出しているだけ)
「内には機密費流用の混乱が、外にはキャリアの退廃が指摘されていた。」「海外勤務の外交官の優雅な生態などといわれた」
おやおや、奥参事官もその件に関しては処分を受けているはずだが?
で、上記のお言葉である。
「しかしイラクで死んだ二人の外交官の日常は決してそうではなかった。」
すごいコントラストだ。そして美談が続く。
「水も電気もない生活を続け、砂嵐の下、最前線の底辺で日本の名誉を支えていた。不幸な悲劇によって初めてそうした苦闘が世に知らされることになったとすれば、これも不幸というほかない。」
��↑くぅ〜泣かせるねぇ〜)
「奥参事官の言葉が残されている。国連事務所のテロ現場では『これを見て(日本が)引くことができますか』と語り、支援の妨害には『常に犠牲はつきものだ。断固としてテロとたたかう』と語っていたそうだ。この遺志を受け継がなくて何とする。それ以外に道はないはずである。」
やっぱり「遺志」に従って自衛隊派遣せよ、という結論になる。
感情的になってイラク派遣して、いったい何のメリットがあるのか?
ちなみに、同日の社説でも「遺志」を利用している。
「奥氏は『我々はテロと闘っている』とのメールを残したが、方針通り自衛隊を派遣することが二人の遺志を生かす道である。」(産経社説)
しかもその日の社説のタイトルが笑える。「たじろいでいる国はない」である。みんなやってんだから、やりましょう。これぞまさしく日本人のメンタリティ。
各国のメンタリティを示すのに有名な話がある。
タイタニック号が沈没する際に、女性と子供を先に避難させようと各国の男性に説得することになった。
イギリス人には、「女性と子供を優先させるのがジェントルマンである」と説得した。
アメリカ人には、「女性と子どもを救えばヒーローになれる」と。
ドイツ人には、「女性と子どもを先に逃がすのが規則である」と。
日本人には…
「皆そうしているのだから、あなたも同じようにしなさい」
産経の「みんなやってんだから…」と呼応しているかのように、朝日は「どこも国論は大揺れだが、いまのところ兵を引いた国はない。いったん出せば引きにくくなる。」(朝日新聞社説)と主張。
あわわ…こちらの理由もすごい。
産経「みんなテロに屈していない。どこの国も撤退していない。」
朝日「だからこそ、自衛隊を派遣しないんじゃないか。逃げにくくなるもん。」
この潔さが妙に心地よい。
「みんなテロに屈してない…ゆえに派遣しない」というコペルニクス的発想である。


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