2008年6月19日木曜日

ベルトコンベアー鳩山:死刑執行

■鳩山法相下で死刑執行最多13人…秋葉原無差別殺傷を意識か(報知新聞)
 鳩山法相による死刑執行は、昨年12月以降、今年2月、4月に続き4回目で計13人。一時中断されていた執行が再開された93年以降、最多だった長勢甚遠前法相の10人を超えた。今回、宮崎死刑囚、東京拘置所の陸田真志死刑囚(37)、大阪拘置所の山崎義雄死刑囚(73)の計3人が執行されたことで、確定死刑囚は102人となった。

 発表会見で鳩山法相は、終始硬い表情で「慎重の上にも慎重に検討した結果、絶対に誤りがないと自信を持って執行できる人を選んだ」と強調。「数日前に執行を命令した」ことを明かし、「正義の実現のためには粛々とやるのが正しいと信じている」と説明した。

 法務省によると、98年から07年までの死刑確定から執行までの平均期間は約8年。宮崎死刑囚は、確定から約2年4か月と短期間での執行となったが、鳩山法相は「慎重に検討した結果」と繰り返し、「たまたま従来より短くなっているということだろうと思う」と述べるにとどまった。

 一方、超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」の亀井静香会長は、会見で「死刑によって、国民の幸せにつながるものが生まれるのか。ベルトコンベヤーのように処刑していくのは異常事態だ」と強く抗議した。

 芹沢一也・慶大非常勤講師(社会学)は「オタクの象徴だった宮崎死刑囚にこのタイミングで刑を執行したのは、明らかに秋葉原の無差別殺傷事件を意識した判断だ」と指摘した。
 いや、タイトルで勘違いしてしまいましたよ。秋葉原の無差別殺人に触発されて、殺したのかと思った。さすがは鳩山邦夫…「アルカイダのお友だち」なだけはあるな、と。

■無差別殺人への抑止効果?(日刊スポーツ)
 異例の早さに加え、宮崎死刑囚の執行がこのタイミングで行われたことに、ある『思惑』を疑う声が出ている。今月8日に発生した秋葉原の事件との関連だ。オタクの負の面を象徴する宮崎死刑囚の執行と、オタクの聖地・秋葉原での無差別殺人事件と関連づけ、犯罪の抑止効果を狙ったというもの。法務省幹部は「通常のタイミングだ」と、時期を選んだとの見方を否定するが、法曹関係者の間からも「『重大犯罪を犯せば死刑になる』というメッセージが、“オタク”つながりの犯罪に込められたのでは」との見方が出ている。

 実際、鳩山氏が下した3度の死刑執行の直前にも、JR荒川沖駅での8人殺傷事件など凶悪事件が発生、死刑による「治安対策」との指摘は、タイミング的にも微妙に符合する。

 鳩山氏は、宮崎死刑囚の執行を「慎重の上にも慎重に検討し、絶対誤りがないと自信をもって執行できる人を選んだ」と強調。宮崎死刑囚には再審請求の動きもあったが「慎重に調べて執行した」と述べた。秋葉原の事件翌日には「人の命を奪うような人には、それなりのものを負ってもらうべき」と発言しており、宮崎死刑囚の執行のタイミングに“見せしめ”的な意味があったかどうか、今後議論になる可能性もある。
 これはね、もう「見せしめ」ですよ。ま、こんなんで抑止されるような「まともな人間」は、そもそも無差別殺人なんてするとは思えませんがね。

■宮崎死刑囚の刑執行 「心の暗部」が未解明だ(中国新聞・社説)
 宮崎死刑囚は「覚めない夢の中でやったような感じ」と殺意を否認。「女の子が泣きだすとネズミ人間が出てきた…」など意味不明な言動が注目を浴びた。自分のしたことをどう考えていたのか、遺族に謝罪する気持ちが本当になかったのか。心の動きは分からない部分が多い。

 この事件の後も、子どもを狙った性犯罪は後を絶たない。犯罪防止に、宮崎死刑囚の心理や行動の分析をもっと役立てることはできなかっただろうか。責任能力を判断するために用いられた精神鑑定を、もう少し心の闇を解明するために活用してほしかった。

 遺族にとっては、死刑にしても物足りないような凶悪犯罪が相次いでいる。最近の司法判決は、被害者や市民感情を反映して厳罰化の傾向にある。一年後に導入される裁判員制度では、一般市民も死刑問題と正面から立ち向かう必要に迫られる。

 死刑制度については賛否両論がある。死刑の代わりに終身刑を導入しようという動きもある。そうした中で、しばらく立ち止まって考えてはどうだろうか。死刑制度の是非も含めて、国民的な議論を巻き起こしたい。
 いまの死刑制度の賛否って、国民的には維持派が多いんだろうかね。ま、事件が起きた後だけに、今とったら圧倒的な多数派になりそうだけどな。


■死刑執行 鳩山流「自動化」ですか(北海道新聞・社説)
 後戻りできない刑だけに、歴代の法相は慎重な検討を重ねてきた。

 近年、死刑確定囚が急増し、百人の大台に乗っている。長勢甚遠前法相は十人を執行した。鳩山法相はそれを上回る。確定囚が多いから急ぐのか。ここも知りたいところだ。

 鳩山法相は昨年秋、「ベルトコンベヤーと言ってはいけないけど、(死刑確定の)順番通りなのか乱数表なのか分からないけど、自動的に客観的に(執行が)進む方法を考えてはどうか」と述べた。

 法相が死刑執行命令書の署名の責任を負う苦しみを避けたいという理由だった。発言の軽さに批判が集まったことは記憶に新しい。

 気になるのはその後の執行ペースだ。事実上の「自動化」ではないかと思う人もいるだろう。ますます説明が必要だ。

 宮崎死刑囚については弁護士が再審請求の準備中だった。面会した臨床心理士によると、現実の認識能力が大きく損なわれていたという。

 本人はどこまで自分の置かれている状況を理解していたのだろう。

 国連総会が昨年十二月、死刑存置国に執行の一時停止を求める決議を採択した。日本は反対票を投じたが、死刑の廃止・停止国が増えている潮流を無視はできない。

 鳩山法相は、今回執行した三件について、「いずれも残忍な事件で遺族は無念この上ない」と述べた。

 東京・秋葉原の通り魔事件が頭にあったのだろうか。

 死刑と無期懲役の間に仮釈放のない終身刑を創設する議論も超党派で始まった。来年は裁判員制度も始まる。大きな社会状況をどこまで踏まえた判断なのかも聞きたい。
 この「ベルトコンベアー」…「自動的に客観的に進む」どころか、都合のいい奴をピックアップして吊すという便利機能付きだ。それによって、国家による「無差別殺人」ならぬ恣意的的な殺人をやってのけるのだった。

2 件のコメント:

pochidabwoo さんのコメント...

いったい何をもって「凶悪」とするかが問われる。
先延ばしにしてきた、大袈裟に言えば「社会の倫理」とか「基準」とか「標準」というものを考える必要、それもかなり本気に、かつ急いで議論する必要がありそうだと思う。
先日、「裁判員制度について」という講演会に出席してきた。それとは別に、私は、今現在係争中の裁判に深く関わっている。もっともそれは「民事」なので「裁判員制度」の対象となる「刑事」とは異なるものだが、私の体験している裁判は、もうほとんど馴れ合いの様相を呈しており、ひどくがっかりしている。
裁判長は明らかに出世主義の功名を画策し、弁護士は依頼人にほぼ敗北的和解(事前の最低価格のほぼ100%の落札額)を迫り、着手金と成功報酬を狙っている。弁護士同士の闇のルートのようなものを十分に想像させる。
私が「この点とか別の問題についても調べたい」と言ったら、当方弁護士は「それは止めろ、ぶち壊す気か」と私を罵った。いつしか私は、闘っているのは、相手と司法だと思うようになった。
これが裁判の実態なのかと、心底、あきれている。これは「情況」というものに他ならない。

そんなこともあって「裁判員制度」の話を聞いていると、「これは市民の共犯を謀り、司法の権益を守るための制度」ではないかと思えて仕方なかった。
同法案については、国会の多数の賛成で決められた。自民党や第二自民党(世間では「民主党」と言われている)が賛成するのは「さもあり何」であるが、社民党や共産党まで迂闊に賛成しているのは情けない話だ。もし「司法の民主化を」というのが賛成の意図なら、少なくとも、来年から実行されようとしている内容ではその目的を達成し得ない。

定まってもいない、共通項の確認もされていない「基準」をもって、国家の名の下に「粛々と」行われる合法的殺人へ、市民は巻き込まれ、立派な「国民」へと変質されられていくような気がする。
ちなみに「死刑確定囚」は、130名ほどいると言われている。

Anonymous さんのコメント...

ベルトコンベヤーは100%失言であることが確認できるため、こんな人は次の総選挙に出馬する資格などありません。もし冤罪が発生したらどうするんでしょう。今民主党では政権獲得後に終身刑を創設する検討をしているそうです。死刑に代わるものであるかどうかはわかりませんが。次の総選挙では「当確」からは外れています。民主党大物の選挙区からでたら供託金没収による落選の可能性もあるでしょう。