2002年6月29日土曜日

石原慎太郎・総理待望論は本物か/朝まで生テレビ

「朝まで生テレビ」を見た。感想をたらたらと書くことにした。
「石原慎太郎とナショナリズム」⇒「石原慎太郎・総理待望論は本物か」にタイトルが変わった。何でだろう?変わる前の方が、実際の討論の内容を反映してたのに…
 最初に渡辺宜嗣アナに田原総一郎は意見を言う「闘うジャーナリスト」であるから意見をガンガン言っていくという、弁解っぽい紹介をされていた。「司会者が意見を言うな!」とか「中立でやれ!」とか、よっぽど苦情があるんだろうなぁ…
 「闘うジャーナリスト」て…渡辺アナが途中省略した部分を補うと「闘う(ふりして荒稼ぎする)ジャーナリスト」ですから注意が必要です。
 で、彼は、石原慎太郎は作家としては素晴らしいと持ち上げた(これ自体疑う必要があるし、仮にあるとしても、1冊で完全に枯渇しちゃったんだね。一発屋の慎ちゃんは…)。石原に対してあからさまに批判はしなかったものの、心の中では、政治家としてはダメ、という思いがあったのだろう。実際、番組の最後には自分は石原総理待望論には賛成できない、と明言している。
 私はアンチ石原であるが、何ともアンフェアーな討論だと思った。今回の石原欠席裁判は、石原派は守備側で、弁護人であり、アンチ石原派は攻撃する検察の立場にあった。石原派には最初から攻撃を受ける材料が豊富にあった。
 そんなこともあって、田原の批判的なツッコミを入れるのはだいたい石原派の方だった。そのせいか、討論を全体的に見ると、アンチ石原派が完全に押しているように思えた。もちろん、この評価には私のバイアスがかかっているが…
 番組としては、メンバーを…
【石原派】
市川周(一橋総合研究所,市川アソシエイツ代表)
徳田虎雄(自由連合・衆議院議員)
西村眞悟(自由党・衆議院議員)
西尾幹二(ドイツ文学者,電気通信大学名誉教授)
野坂昭如(作家)
花岡信昭(産経新聞論説副委員長)
【アンチ石原派】
大谷昭宏(ジャーナリスト)
小沢遼子(評論家)
金子勝(慶応大学教授)
穀田恵二(日本共産党・衆議院議員)
矢崎泰久(ジャーナリスト)
山口二郎(北海道大学教授)
と分類し、6対6の闘いの予定だったのだろう。しかし、実際は、明らかに、野坂はアンチ石原だ。それに密かに(明らかに?)田原も加わっている。
 (にしても、野坂はプッツンしてるぞ?石原が総理になったら、ちゃんとした議論ができるから待望するんだって…議論なんて封殺されて、独裁的に突っ走る可能性の方が大きい気がするのは気のせい?)
 さて、今回、特に目立ってよかった人物はいなかった。両サイドともね…
 そんな中、一人バカっぷりを惜しみなく発揮していたのが西尾幹二さんである。
 最初に田原から小泉の支持率低下の要因を聞かれ、何とも頓珍漢な分析を長々と展開した。
 何でも、小泉支持が減ったのは靖国参拝を2日ずらしたこと、歴史の共同研究をしようとすること、国立墓苑設置を検討しようとしてること…がその要因らしい。
 おいおい、そりゃ、お前を含め、「小泉が信念の人」と見当違いな評価をしていたオマヌケ保守の人間だけだろうが。それを世間全体がそうだ、と思い込むようじゃぁ、このおじいちゃんのボケは相当深刻のようだ。かわいそうに…
 まぁ、お前の妄想癖は十分にわかってるから、保険証を持って、早く病院に行きなさい。
 何を根拠にそんなことを言っているのだ?と問われると、鼻息を荒くして「諸君」「正論」を挙げた。ハハハ…中国や北朝鮮に寄生して、飯を食わせてもらうような雑誌がソースかよ?
 しかも、ちゃっかり、その盲信してるヘボ雑誌を宣伝してんじゃねぇ。…まぁ、お前ら運命共同体だもんな。反中国、反韓国が増えれば、商売繁盛ってね。
 この雑誌も西尾さんも、嫌いなフリしてホントは感謝してんだろうよ!中国様や北朝鮮様、韓国様のおかげでオマンマにありつけますってね
 あと、「西尾さんは間違った教科書作ってますけども」と言われ、「失礼なこと言うな!」と激怒したとこが一番笑えた。つるっパゲ必死だもん。お前の大人げなく怒った顔で笑かして、戦意喪失を狙ってるの?この男、本当に学者なの?学者のはずなのに、知性が感じられません…きっと、この電球ジジィは頭の明かりのまばゆさで、電気通信大の名誉職を得たんだね。この自称、ドイツ文学者が理系の大学で名誉教授になるって時点でいかがわしいし、それを裏付けている。
 さて、それはいいとして…
何だろうなぁ…相変わらず、話が脱線しすぎ…タイトルが「石原慎太郎・総理待望論は本物か」で、石原をメインに据えるてるってのに、十分な石原論を展開していたとはとても言えない。彼が支持される理由、彼に何を望んでいるのか、支持層、等々の分析が全く不十分だったしね。
これは司会者の無能ぶり、というより司会者不在であるがゆえだろう。
 そうそう、支持層には30代が多い、ということについて金子さんは、上の世代が不良債権と化していて、思い通りにいかなくて不満があるから、みたいなことを言っていたけど、それは十分な説明とは思わない。むしろ、上の世代にタカ派を嫌う人が多く、その危険性を知っている、という説明の方がわかりやすいし、説得力がある。
 他に何か話していたかなぁ…どうでもいいことばかり話していたから、忘れちゃった。
 あっ、石原はアジアとうまくやっていけるのか、って文脈で、アジアとの連帯について語ってたかな。(でも、これって石原とどういう関係が?)
 欧州統合を引き合いに西尾幹二なんかは「ヨーロッパにはキリスト教という共通の価値観がある」という常套句を吐いていたな。コイツの頭の中には、社会主義の中国や北朝鮮の異常さに結びつけようと思ってたんだろうけどね。
 しかし、別に、何から何までとか、「EU」ばりにとか、今すぐ統合って言ってるわけじゃないし、そもそも、ヨーロッパはキリスト教という同じ価値観が出発点で、統合しているわけではない。
 連帯を促進したのは、経済的利害やヨーロッパの没落への危機意識があってのことではないか?EUとて、価値観が同じでないからこそ、これまで紆余曲折を経て、対立を乗り越えてきたはず。アジアに多用な価値観があったとしても、それが全てを台無しにするといった類の物であるとは思わない。
 アジアとて連帯意識や地域のアイデンティティは強いだろうし、EU、あるいはNAFTAへの対抗として、当然、経済的連帯を考えがあっても全く不思議ではない。それはどの国にとっても国益にもなるはずだ。
 う〜ん、後は…
 金子さんが経済的なアプローチをすると、すぐに経済オンチな擁護派は話題を変えて、逃げてたね。だいたい、こういう奴ら何でも「戦後民主主義」や「戦後教育」のせいにして、矮小化するのが得意だからな。
 結構、石原を経済的に見ることは重要なはずであった。しかし、石原論は安保やタカ派的性質が焦点となりがちで、それがないよね…例えば、彼がどういった路線を取ろうとしているのか、明確ではない。もちろん、小泉と同レベルの経済オンチって言われているぐらいだけどね。現状でわかってるのは、田舎は切り捨てられるってことぐらいかな?
 彼は、小泉的な「小さな政府」を主張するのか、あるいは都市型公共投資を重視しるのか?福祉やセーフティーネットをどう捉えるのか?彼がどのような政策を好むのか、全く検討がなかった。
 彼は都市機能を重視するみたいだから、地方への支出を減らし、民営化をする一方で、都市型公共投資を行う、ケインジアン的な側面ものぞかせると私は考える。
 大衆迎合政治家というのは、ハイダーにせよ、ルペンにせよ、福祉は重視する。石原はどうか?この点に関しては、全くの未知数であるから、石原ウォッチャーである彼らの分析が聞いてみたかったのだが…それを望むのは、メンバーからして無理、と悟るのにそれほど時間はかからなかった。
   
 
 今回の朝生は石原と関係ない話題が多すぎた。そもそも、石原の差別意識なんかを語っても平行線だろうし、政策分析についても、語れる奴がいないから、なされていないしね。石原新党の実現可能性なんかも議論されなかったし…まぁ、石原個人をテーマにするには限界があるよ。
 
 結局、朝生はこんなもんだよなぁ…仕方ない。
 で、この文章がまとまってないのも、編集するのをめんどくさがってる怠惰な私にとっては、仕方ないことでありまっす。
【おまけ】
 なぜ石原慎太郎か?という問題を少しばかり考えてみよう。
 石原への評価する意見は…
?はっきり物を言う
?日本を愛している
?実行力があるところ
?外国に“NO”と言える
?信念を貫く
…だそうだ(朝まで生テレビ調査による)。
これについて検討する必要がある。
まぁ、?は、日本の政治状況がひどいせいか、何故か日本人が好むものである。しかし、何について“はっきり”物を言うかが重要であるはずだ。おそらく、これの想定として2つ考えられる。
 まず、田中真紀子的な“はっきり”である。国民の現状への不満を率直な言葉で代弁してくれる、というアレである。しかし、これが総理としての資質に重要か、問うてみれば、答えは明白だ。それが資質というなら、評論家でも総理大臣にすればいい。
 でも、石原さんってのは自民党批判するくせに、最近では野中広務や亀井静香に色気を使って、接近してんじゃないの…その辺のことは“はっきり”言ってくれないんだね。都合がいいなぁ…いくら総理になりたいからって“はっきり”しないじゃないの?
 もう一つは、?とも関連するのだが、外交的な期待であろう。
 日本はアメリカに追従している、という不満を持つ人が多い。そこで石原氏の著書「“NO”と言える日本」が生きてくる。この著作のおかげで、「石原=アメリカにもはっきりと物が言える人」というイメージを植えつけることに成功した。
 しかし、これは当然そうあるべき、と誰しも思っているはずだよ?誰もアメリカべったりがいい、などと言う人間はいないだろうしね。
 当事者でもなければ、「アメリカべったりは止めろ!」ということは簡単なのである。問われなければならないのは、当事者になって、「NO」と言えるかである。その意味で、石原氏が「NO!」と言えるかは未知である。しかも、それは反動的な「NO!」ではなく、戦略的に言わなくてはならない。頑固ジジィ石原にとっては、この点も懸念材料だね。
 外交的な“はっきり”の支持で軽視できないのが、「対米」以上に、「対アジア」を念頭においたものであろう。
 「対アジア」外交に不満を持つ人ってのは保守層に多い。つまり、いつまで中国、北朝鮮、あるいは韓国に‘土下座’外交を続けるのか?と思っている人達だ(もっとドギツイ主張もあるわけだが)。もちろん、これらの国に対し、歴史的なことがあり、弱腰で外交にのぞんでいることは否定できないし、ODAが武器開発や金正日のようなダメ指導者政権延命のために使われていると思うと腹立たしい気持ちはわからんでもない。
 が、だからと言って極端に振れるのは問題だ。石原氏のように“はっきり”と敵対心を出されたのでは国益に反する。どんなに嫌いでも、戦略的に仲良くすることこそが、経済的にも、政治的にも、国益上重要である。日本の将来を考えたらなおさらのことだ。
 石原氏にこれができるかは極めて疑問であるし、そもそも、就任した時点で、これらの国の反発や不信感の増幅は必至である。
 石原慎太郎が外国人(とりわけアジア人)、女性、障害者に対して“はっきり”と差別発言をすることをあげておきたいね。これがあるから、石原総理誕生があっても、すぐに人気はなくなると思い、安心していられる。もっとも最近では、総理への色気が出たのか、“支那”とか“三国人”とか思ってることを“はっきり”と言わなくなったみたいだけどね。
 次は?の日本を愛している…を見てみよう。う〜ん、どうなんだろうなぁ…判断するのは不可能だが、彼に、愛国心がある、ということについては否定しない。
 だけど、実際に、国民や国のために奉仕するってのはわかんないし、それが国を救うものだと思っていたら大間違いだね。(でも憂国とか恥かしくもなく言ってると「愛国心」があるってことになるのか…いいなぁ…ただ、左翼の人にも愛国心は当然あると思うぞ?)
 さて、?について…これが何を意味してるか、正直わかんないんだよね。
 実行力?何の?
 自分が権力者になれないと悟って、国会議員を止めて、政界から逃げ出す実行力?知事が自衛隊を動かしちゃう実行力?
 番組でもアンチ石原に「彼は何をしたのか?」を問われて、擁護派は何も答えられなかった。カラス対策か?とからかわれるぐらいであった。もちろん、擁護派には安保バカしかいなかったという弱点はあったがね。
 国会議員時代も何もできず、都知事になってからも、口だけは達者だが、その実行力とやらで何をしたというの?都知事の発案で、これをした!ってのは聞かないねぇ…
 ?について。彼が国会議員になった時には何らかの信念を持っていたんでしょ?でも、しょせん権力者になれなくて、逃亡したじゃない?それに日中国交正常化の時、青嵐会を裏切って賛成に回ったんでしょ?これはどんな信念に基づいて行動したっての?
 まぁ、彼が本当に信念を貫くかどうかについては置いとくにしても、「反アジア」的行動や「差別する」信念はそれ自体間違っているし、むしろこんな信念は貫かない方がいいんじゃない?
 まぁ、誰が総理に適してるか?って聞かれても、実際にバッターボックスに立たせてみないとわからないが、これほどマイナス面が明確な人も珍しい。国会議員としても、都知事としても、よい評価するには値しない政治屋である。
 あの人もさぁ…まだ都知事だってのに、見苦しいほど総理になる気マンマンで、必死に若作りしてるけどさぁ…もういい年なんだから…
 将来有望な息子の石原伸晃クンもいるんだしさぁ…もう成仏…じゃねぇや…若い世代に譲ってもいいんじゃない?
 お前は、次男の嫁探しでもしてろや…天気予報士でお前の七光りで、せこせことタレント活動してる方の奴…石原良純って言ったっけ?気持ち悪いくらいそっくりな顔の奴…
…コホン。
 石原慎太郎を評価する声ってのは、政策通とか政治的能力というよりは気分的なものの方が大きい。そんな気がする。そして、その土台には、やはり、今の閉塞状況を打破するようなヒーローを待望している。
 そこにこそ、今の政治状況の病の根源があるとも気づかずに、期待しては裏切られ…期待しては裏切られ…自ら閉塞感を増大させている…
 皆いつまで青い鳥を追い続ければ気がすむの?
 これまで、政治の世界に「そんなものはいない」と嫌になるくらい、僕達は教えられてきたじゃないか…
 
 …と、お決まりの締めくくりをしておこう。


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