2008年6月11日水曜日

ヤミ金の元本

■「借金の元本も賠償額に」最高裁が初判断…ヤミ金訴訟(読売新聞)
 指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融事件で、愛媛県の11人が、違法な高金利で借金の返済を迫られ損害を被ったとして、ヤミ金融グループの元最高責任者、梶山進受刑者(58)に計約3500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が10日、最高裁第3小法廷であった。
(略)
 判決によると、原告は2000年11月~03年5月、梶山受刑者が支配するヤミ金融グループの店舗から金銭を借り入れたが、出資法の上限金利(29・2%)を大幅に上回る年利数百%~数千%の超高金利で返済させられた。

 裁判では、原告が違法な高金利だけでなく、最初に貸し付けられた元本まで取り戻すことができるかどうかが争点となった。判決はヤミ金融に、「公序良俗に反して給付したものは、返還を請求できない」とする民法の規定を適用。悪質なヤミ金融は、借り手に対して返済を請求できないだけでなく、返済された金銭についても、元本を含む全額を賠償すべきだとする考え方を示した。

 その上で、梶山受刑者が、違法な高金利の貸し付けで多大な利益を得ていた点を「反倫理的行為に該当する」と認定。「賠償額から原告が受け取った元本を差し引くべきだ」とした2審の判断を打ち消した。
 賠償の範囲を巡って判断がわかれていたそうですが、今回の判決はなかなか画期的なものですね。これでヤミ金に打撃を与えられるといいんだけどね。

■で、たまたま見つけたのはこんな記事…

■ヤミ金被害、後絶たず 30日に山形で無料相談会(山形新聞2008年05月28)
 法外な金利にもかかわらず、ヤミ金に手を出す人が後を絶たないのはなぜか。背景にあるのは2006年12月に改正された貸金業法。グレーゾーン金利の廃止など消費者金融業者に対する規制が強化されることから、近年、貸し渋りが顕著となり、複数の消費者金融業者から借金を繰り返すことでやりくりしていた多重債務者が資金繰りに困り、ヤミ金業者に流れているという。
 へぇ、そりゃそうなるか。

1 件のコメント:

山本 さんのコメント...

後段の記事は改正前から指摘されていたこと。
いくら画期的な判決が出ても、もともと地下にもぐって法外な商売で利益を上げているアウトローには効果がない。
だってアウトローの商売は法律家等に頼られた時点で既に負けなわけで、彼らの関心事はいかにそれまでに「利息と元金」と称する「アガリ」をあげて、そしていかにうまくあしあとを消して逃げるかということ。
最初から貸倒・倒産前提の「貸付」である。
彼らが派手にやりすぎてシッポをつかまれた梶山進受刑者をみて「オレならもっとうまくやる」と思っているであろうことは想像に難くない。
方向性としては、少しでも早く投下資本を回収していつ逃げても損をしないように、より高金利での「契約」をするようになっていくであろう。
現実に存在する資金需要者の数や、彼ら(の一部)の成熟性、和を重んじる社会で育てられた人間によって構成される自己責任の社会、など、多重債務問題の本質を見ようともせず、短絡的な法改正で臭いものにフタをした結果だ。
グレーゾーンで一部上場というのはさすがに問題があったし、「目ン玉売れ」が肯定されるものではないが、利限法引き直しが破産に至る前の一種の緩衝材になっていたことは否めないし、取立て等の規制と金利の規制は峻別して考えられるべきことだったはずである。
いずれにせよ、フタをしてしまった多重債務問題は解決により時間を要することとなった。
ヤミ金融の問題はそこから波及したものにすぎない。